けものわーるど   作:Nyarlan

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第十四話 雷雨 2

「うへぁ、凄い荒らされてるなぁ……」

「まあ、雨風しのげるなら上等じゃない?」

 

 雨宿りに入った無人のコンビニは酷い荒れ様だった。

 表のガラスはひび割れの跡が散見し、動かない自動ドアをこじ開けて中に入ってみれば商品の大半が持ち去られ、棚が薙ぎ倒されたり、カラーボールが壁に叩きつけられと散々な有様だった。

 

「な、何があったんでしょうか」

「隕石騒動末期は放棄された無人の店で悪ふざけするのがヤケになった連中に流行ってたからな。ここに来る途中の店もやられてたし」

 

 ビクビクしながら周囲を見渡すシーザーに説明しつつも外からの僅かな明かりを頼りに着替えを探すが、不発に終わってしまった。

僕が着られそうな物は一つも残っていない。それならばと外へ出るための傘を探してみるもこちらも全てへし折られている始末。

 

「ダメか……地図と食べ物が多少残ってるだけ御の字だな」

 

 引き倒された雑誌の陳列棚から無事な地図本を見つけられたものの、肝心なものは何も残っていない状態だった。

 

「どうする? 他の場所探す?」

 

 床に散らばった雑多なものを拾っては戻しを繰り返していたチビ助の質問に、外の様子を一瞥して首を横に降る。

 

「……いや、探しに出て余計濡れるより素直に雨が止むのを待とう」

 

 少なくとも、扉を締めておけば風に晒されることは無いのだ。

ひとまず天候の回復待ちつつ体を休めて、明日に備えるのがいい。

 

「そう? それで大丈夫ならいいけど……」

 

 心配そうな表情を浮かべる彼女に苦笑を浮かべつつ、ここで休むための準備を始めた。

 

 

※※

 

「家がこの辺りで、予定だとこの辺まで進んでから夜を迎える予定だったんだけど……今はこの辺りかな」

「かなり、遅れが出てますね……」

 

 床に広げた地図を指さしながら説明すると、シーザーが顔を曇らせる。一刻も早く三隅さんと合流したいのは山々ではあるが……。

 

「この雨じゃ仕方ないわ。無理して体調を崩したら大変だもの」

「そう、ですよね……」

 

 チビ助はそう言ってうつむくシーザーにもう一つおにぎりを押し付ける。

 受け取ったシーザーは彼女に感謝の言葉を述べつつ、もそもそと食べ始める。

 

「あめ、やまないねー」

 

 おにぎりを咀嚼しながら、ガラス越しの空を見上げたクーが零す。

 灰色の空はすっかり黒く染まり、大地を洗う分厚い雲は月の気配すら隠してしまっている。店内で見つけた非常用ロウソクの揺らめく僅かな明かりだけがこの場所で唯一の光源となっている。

 店内の邪魔なものを退けた僕らは、バックヤードで見つけたダンボールを敷いた床に腰を下ろして夕食をとりながら話し合っていた。

 

「……これだけ雨音がうるさいと、怪物が近づいて来ても気づけないかも知れないわね」

「はい、これじゃにおいもほとんどわからないですし……」

 

 チビ助とシーザーも不安そうに外を眺めている。二人の危惧する通り、人智を超えた感覚を持つ彼女らの索敵すら鈍らせる悪天候は怪物の接近を感知できない。

 オマケに停電中で真っ暗な中でここだけ明かりが付いているとなれば、それを頼りに怪物が寄ってくる可能性も否定できない。

 かと言って明かりを消せば真っ暗な闇で何も見えなくなってしまう。

 そこまで考えて、ふと思う。彼女らは揃って真っ暗な外へ視線をやっているが、もしかして動物だった頃と変わらず夜目が効くのか。

 そう思って訊いてみるとやはり三人とも頷いた。

 

「うん、普通に見えるよー」

「雨で視界は悪いけど、ある程度はね」

「私もそれなりには……」

 

 ……流石は元動物と言ったところか。

 怪物が正面からやって来てもこれである程度感知できる訳だ。

 水を一口飲み込み、体に広がる寒気に身震いする。多少は水気が飛んだ感じはあるものの、服は未だにジットリとした湿気を含んでおり、すっかりと身体が冷え込んでしまった。

 乾きやすい彼女らの服もとい毛皮が本当に羨ましい。

 

「もう九時か、大分時間が経ったけど止む気配がないというか……」

「むしろ、強くなってる気がします……」

 

 普段ならニュースなりなんなりて大雨洪水警報が出ているであろうレベルの雨だ。

 停電で都市機能が低下してる所にこれって大丈夫なんだろうか、近くに氾濫しそうな河こそないが、雨そのもので水没しそうで怖くなってきた。この辺は平気だろうか?

 不安な気持ちを頭を降って振り払う。今考えても仕方がない。

 

「とりあえず、明日に備えて寝ようか。外の見張りは……」

「見張りならあたしたちでやるから、クオンは休んでなさい」

 

 チビ助の言葉に驚いていると、三人は笑みを浮かべる。

 

「そもそもアナタ、夜目が効かないんでしょ?」

「そうそう、それにクーは夜行性だからね!」

「なので、くおんさまはゆっくりとお休み下さい。かなりお疲れのようですし、みんな心配してますよ?」

 

 少しだけ考えて、僕は彼女らの言葉に甘える事にした。三人の手前痩せ我慢をしてはいたが、実際かなり疲れが溜まっている。

 普段長距離を歩くことはしないからか、足にはいくつかマメができているし、冷えすぎて手足の感覚は薄れてる、筋肉痛も確定だ。

 ……冷静に考えるとなかなかの疲労困憊っぷりだな、ここは素直に甘えて明日に備えるとしよう。

 

「ごめん、それじゃあお言葉に甘えさせてもらおうかな」

「ええ、そうしてちょうだい」

「怪物が来たら私たちが知らせますのでご安心ください」

「小さいのだったらクーがやっつけちゃうからね!」

 

 頼もしい言葉に安堵しつつ、広げたダンボールを被り横になった。

 普段なら寒くてなかなか寝付けなくなりそうなものだが、たまりに溜まった疲労感はいとも簡単に僕の意識を眠りへ落とした。

 

 

※※※

 

「……寝たみたいね」

 

 だんぼーる? に包まってほんの何呼吸かの間に寝息を立て始めたクオンを見てあたしはほっと胸を撫で下ろす。

 

「いつもならまだ起きてるけど、今日はすぐ寝ちゃったねー」

「ずっと『ちず』を見て私たちが迷わないよう、ずっと気を張って下さってましたから。きっととてもお疲れなんでしょう」

 

 並んで胸を上下させるクオンを眺めていたあたしたちは、その眠りを妨げないようそっと離れると『ろうそく』の火を吹き消す。

 暗くなった視界はやがて二人の顔が浮かび上がらせた。

 

「もう、一番疲れてるでしょうにあたしたちにばっかり気を使って。足も痛めたみたいだし、寒そうにしてるのに『平気平気』って痩せ我慢しちゃってから……」

「昔から優しいお方ですから。今までずっと甘えっぱなしなので、こうして少しでもお役に立てることがあれば嬉しいです」

「普段はにーちゃが何でもしてくれるもんねー」

 

 そう言って顔をほころばせるシーザーたちに、私はふと思った疑問を投げつけてみることにした。

 

「そういえば、アナタ達はどうクオンと出会ったの?」

 

 この中で一番クオンとの付き合いが浅いのはあたしだ。彼女らとクオンがどう出会い、過ごしてきたのか気になってたのよね。

 

「にーちゃと? うーん、覚えてる限りだとずっとにーちゃと一緒だったからなー。わかんないや!」

「わたしは、まだただの犬だった頃にですね……恥ずかしながら、ご主人さまの家を飛び出し迷子になってしまった事がありまして」

 

 ゴシュジンサマってのは、いま探しに向かってるヒトの事ね。

 

「その日の朝も今ぐらい荒れた天気だったのをよく憶えています。当時のわたしは雨の降り込まない外の小屋で過ごしていたんですが、突然おうちの前にある石の木にかみなりが落ちまして……」

 

 そう言って、シーザーは当時を思い出したように耳を伏せ身震いする。かみなり、たしかに怖いわよね。

 

「それはもう、言葉にできないくらいすごい光と音でした……! とっても驚いて何がなんだか分からなくなってしまったわたしは、とにかく無我夢中で走り出しました」

 

「そうして気づいたら、いつの間にかわたしは全然知らない場所で一人ぽつんと立ちすくんでいました。雨でにおいもわからなくて、遠くでかみなりの音がなる中、見知らぬ場所で一人きり……」

 

「それはもう、とても恐ろしい経験でした……。毛が濡れて寒くて、かみなりの音が恐ろしくて、ただただ心細かったのを憶えています」

 

「ただひたすらに叫んで、ご主人さまを呼んで。声はご主人さまに届かなくて……もう二度と、会えないのかと泣いていました」

 

「そうして途方に暮れていた時、通りががったくおんさまが助けてくださったんです」

 

「くおんさまのお宅へ上げられて、濡れた毛皮を拭いて温かい風で乾かしていただいて、ご飯まで頂いて……」

 

「そのまま疲れて眠ってしまったんですけど、聞き覚えのある声で目を覚ましたら目の前にご主人さまがいて!」

 

「もう嬉しくて嬉しくて……くおんさまは、どれだけ感謝をしてもし足りないくらいの恩人なんです」

 

 そう語るシーザーの顔は、外の天気とは裏腹に晴れ上がるような笑顔だった。

 そしてその感情に釣られて尻尾がゆらゆらと穏やかに揺れていた。そっか、クオンは昔から優しかったのね。

 

「そんなことあったんだ、知らなかったー」

「ふふ、クーちゃんがまだ生まれてなかった頃のお話ですから」

「そーなんだ?」

 

 目を丸くするクーの様子に、シーザーはくすりと笑う。

 

「クーちゃんは産まれたての赤ちゃんだった頃くおんさまのおうちに来たんですよ? お散歩の途中でくおんさまのお宅へ寄った際、よちよち歩きのクーちゃんをくおんさまに見せていただいたのを、よーく覚えています」

「赤ちゃんだった頃かー、覚えてないや」

 

 そう言って首を傾げつつも幸せそうに笑うクーと、それを見守るシーザーの様子を見て羨ましさを感じる。

 クオンにとってあたしは餌付けしていた群れ内の一羽でしかない。

 だけど、今は言葉で通じ合えるようになった。二人に負けないくらいの思い出を積み重ねていけたらいいな、と漠然と思った。

 そんな風に彼女らの思い出話に夢中になりながら過ごしていると、不意に視界が白く染まった。

 

――それから少し遅れて、ズドンという大きな音が響き渡る。

 

「きゃあああああ!?」「ひゃあ!?」

 

 その爆音に、シーザーとクーが文字通り飛び上がる。

 

「落ち着いて、ただのかみなりよ」

 

 ゴロゴロという地響きが止むと、あたしは縮こまっている二人にそう言った。クーが恐る恐る伏せていた顔を上げると、再び暗い空が白く染まる。そして、再度響き渡る音。

 

「ひぃぃいいい……!」

 

 縮こまったまま震えるシーザーと、なんとか落ち着きを取り戻したクーにあたしは小さくため息をついた。

 

「……クーはもう平気かしら?」

「う、うん。ちょっとびっくりしたけど」

「そう。シーザーは?」

 

 おずおずと耳を立てながら返答するクーに対し、シーザーはその場で丸まって震えている。驚かさないようゆっくりと近づいてその場にしゃがんだ。

 

「大丈夫?」

「だ、駄目かもしれませ――ひっ!」

 

 再び鋭い光が走り、シーザーはますます震え上がる。

 ……どうしたものかしら、このままにはしておけないし。

 

「シーザー、かみなりの時はいつもどうやり過ごしてたの?」

 

 そう耳元で語りかけると、シーザーはビクビクしながらも顔を上げてこちらへと視線を向ける。

 

「ご、ごしゅじんさまやおくさまに抱きしめてもらってました……」

 

 ゴシュジンサマ、つまりは人間ね。この騒ぎじゃクオンも目が覚めるでしょうし、悪いけどちょっと手を貸してもらいましょうか。

 

「クオンもそのゴシュジンサマと同じくらい好きなんでしょう? ちょっとこっち来なさい、ほら!」

「あ、あわわわ……!」

 

 怯える彼女の手を引き、横になるクオンのところへ向かう。

 再び響いたかみなりの音に驚いてしゃがみこんだシーザーを一旦放置して、横になったクオンへ声をかける。

 

「クオン? ちょっと申し訳ないんだけど、シーザーがかみなりに怯えちゃってるから抱いて寝てやってくれない?」

 

 寒がってたしちょうどいいでしょう。そう思って彼の肩に手を掛けると、湿った服越しにわかるほどその体が冷たい事に気付いた。その体は小刻みに震え、カチカチと歯のなる音が雨音の中でかすかに聞こえている。

 

「ちょ、ちょっとクオン? 大丈夫?」

 

 奥を向いて横になっている彼を慌てて抱き寄せるとその体は驚くほど冷え切っていて、激しく震えていることがはっきり分かる。

 どうすれば良いのかとうろたえていると、クオンが薄目を開けた。

 

「……ちびす、け?」

 

 カチカチと歯を鳴らしながらかすれた声であたしを呼ぶクオン。

 

「ちょっと、寒い、だけ。ごめん」

 

 そう答えた彼の様子は明らかにおかしく、危険な状態になっているのは明らかだった。あたしはとっさに彼の体を抱きしめて叫ぶ。

 

「シーザー、クー! クオンがおかしいの!」

 

 窓にへばりついていたクーも異変を察知してこちらへ駆け寄り、耳をふさいで丸まっていたシーザーも顔を上げた。

 

「にーちゃがどーしたの?」「くおんさま……?」

 

 訝しげな様子の二人にクオンの様子を見せると、彼女らは目を見開いてこちらへ詰め寄ってきた。

 

「な、何があったんですか!?」

「体が冷たくて、すごく震えてるの! ヒトがこうなったときどうすれば良いのかアナタたち知らない!?」

 

 動揺する二人に尋ねる。

 

「あ、そっか、濡れたから冷えちゃったんだ……!」

「寒がっているなら、体を温めましょう!」

 

 二人の言葉に、あたし自身も取り乱していた事を自覚する。

 先日、冷たい水が毛皮に染み込んだとき、彼は驚いてすぐに毛皮を外して温まっていた。濡れた毛皮は体を冷やしてしまう。

 なら、早く外さないと!

 

「二人とも、クオンの毛皮を外すわよ!」

「わかりました!」「わかった!」

 

 意識がはっきりしないながらも僅かな抵抗を見せるクオンだったけど、三人がかりで湿ってへばりついた毛皮をすべて剥ぎ取る。

 

「よし、取れたわね。次は……そうね、あたしたちの羽毛や毛皮で彼を包むみましょう、そうすれば少しは温かいはず!」

 

 あたしたちの体はもう乾いている。それで包めば今よりは温かくなるはず。

 あたしは自分の羽毛を外し、彼の体へ巻いてゆく。二人もそれに習い首から下をすっかりと覆ってしまう。

 濡れた毛皮を着ていた頃に比べればかなり温かいハズだけど、それでもクオンの震えは止まらない……どうしよう。

 

「あとは……どうすればいいか、わかる?」

 

 ヒトと暮らしていた二人なら、何かわかるかもしれない。そう思ってすがる思いで聞くと、二人は頷いた。

 

「うん! にーちゃが体調崩して寝るときはいつも『おくすり』っていうのを食べてたのを覚えてるよ!」

「『おくすり』! 私も病気で苦しい時とかにご主人さまが『おくすり』を食べさせられたのを覚えてます! きっとあれがヒトが病気を治すときに使う食べ物なんですよ」

 

 二人は自信有りげにそう言うが、あたしはその『おくすり』とやらを知らない。それはどうやって手に入れるのかしら。

 そう思って尋ねると、二人は首をひねる。

 

「ええと、白くて小さくて、まあるい形をしていたかと……」

「たしかそういう形だったね、箱の中で銀色の板にひっついてたのを見たことある、落ちてるので遊ぼうとしたら怒られたから覚えてるよ。でも、どこから取ってくるのは分からないや……」

 

 そう言って二人は顔を見合わせる。

 

「その『箱』はここには無かったの?」

「うーん、さっきいろいろ漁ったときそれらしいのは無かったなぁ」

 

 少なくともここにはない、と。

 それなら、外へ探しに行くしかないだろう。そうなると――。

 

「うん、クーがおそとに探しに行くよ! だからシーザーとチーちゃんはにーちゃを守ってあげて」

 

 そう言って、彼女は両手の拳を握った。暗い中きらりと光る目は決意に満ち溢れているのがよくわかる。

 

「でもクーちゃん、一人で大丈夫なの?」

「うん! おくすり箱を覚えてるのはクーだけだし、めだまオバケが来たとき飛んで逃げられるチーちゃんと、一番つよいシーザーがにーちゃを守ってくれるならクーも安心だし!」

 

 そう語るクーに、今はそれが最適だと納得するしかなかった。

 あたしはシーザーと目を合わせると、ゆっくりと頷いた。

 

「はいっ、クオンさまのことはわたしたちにおまかせください!」

「……そうね、クオンはあたしたちで守るから『おくすり』を探すのはクーにまかせる。外は寒いし怪我するといけないから、アナタの分の毛皮はつけ直した方がいいと思うわ」

 

 毛皮を外すと地肌がほぼ剥き出しになるからとても寒い。それに毛皮がなければ傷も負いやすくなるだろう。

 

「そっか! じゃあ……これ……どうやるんだっけ」

「任せて、クオンに少し教わったから」

 

 

「みゃー、なんかちょっと違う気がする」

「そう? 見た目的にはあまり変わらないと思うけど……」

 

 クーの毛皮をつけ直したものの、どことなく違和感があるらしい。

 でも今はどうしようもないし、我慢してもらおう。

 

「気になるなら病気を直したクオンに見てもらいましょ」

「……そだね!」

 

 彼女は力強くうなずくとその場でグッと伸びをし、外を見据えた。

 

「……じゃあ、開けますよ?」

 

 シーザーが外へ続く透明な壁を横へずらすと、雨音が強くなり風が吹き込んでくる。クーは一歩外へ出ると、こちらを振り返る。

 

「それじゃあ、行ってくるね!」

「クーちゃん、『おくすり』のことよろしくお願いします……!」

「クオンは任せて。アナタも、気をつけるのよ」

「うん!」

 

 彼女は力強く頷くと、外へと飛び出して行った。

 

 

「……とはいえ、大丈夫かしら。あの子、ずっとクオンの巣の中で育ってきたんでしょう?」

「あ……き、きっと大丈夫ですよ、クーちゃんなら。『きらきら』も持ってることですし……ひゃあ!?」

 

「……アナタはあまり大丈夫じゃなさそうね」

 

 再び空が強く光り、シーザーがひっくり返る。……この子、体は大きいのに気は小さいのよね。

 あたしは入り口を閉めると、シーザーの手を引いてクオンの傍まで戻る。今は少しでも彼を暖めてあげないと。

 

 

 


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