京太郎「ミーはおフランス帰りざんす☆」   作:狗頭郎

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『不幸は1つでは済まない』
不幸が起きるときは、1つだけではない、不幸なできごとは続く、悪いことは重なる、というフランスのことわざ。

まさに原作での京太郎を表す良いことわざですね。


02 Un malheur ne vient jamais seul.

「おや、智葉に明華。帰ったのではなかったんデス?」

 

部室へ入るやいなや、褐色の長身少女-メガン・ダヴァン-が部室へと舞い戻ったお嬢たちへ声をかけてきた。

話に聞く通りズルズルとヌードルをすすっている。良い小泉さんっぷりだ。

 

その見た目や立ち振る舞いから、カッコいいという印象を強く受ける娘だが、口いっぱいに麺を頬張るその姿は、年相応の可愛らしさで溢れている。

ただ、雀卓に汁が飛ぶから、食べるときは別席に移った方が良いと思うぞ。たまに牌がベタベタするってお嬢がボヤいてたし。

 

「何、忘れ物でもしたの?だったらネリーが届けてあげたのに。モチロン有料でね!」

 

派手な民族衣装の少女が、小さい身体をぴょいんぴょいんと跳ねさせお嬢へ向かってゲスいアピールを行ってきた。

 

ネリー・ヴィルサラーゼ。

幼い見た目と1年という年齢ながら、臨海の大将を務める大物だ。

こっちもお嬢から聞いた通り、見事な銭ゲバ娘だな。

 

「ん?」

 

お嬢へ向けられていた青い瞳がオレを捉える。

きょとんとしていた顔が徐々に険しくなり、そして驚愕へと変わっていった。

 

「ちょ、サトハ!誰なのコレ!?なんかスッゴイけど!!」

 

大きい目をめいっぱいに開き、噛みつきそうな勢いでお嬢へと飛びくネリー。

本来なら未然に引き剥がすべきなんだろうが、生憎今のオレは身動きが取りづらい。

それに正直女の子2人がじゃれあってるだけだし、助ける必要はないだろう。

なのでお嬢、そんな剣呑な表情で催促しないでくださいよ。ちびりそうっす。

 

「落ち着けネリー。コイツは私の運転手だ」

「ネリーにちょうだい!」

 

おうチミっ子、オレはモノじゃねーんだぞ?あとまず本人に許可取ろうな。

思わず口にしそうだった言葉は、結局オレの喉に引っかかったまま消えた。

 

隣人のお天気具合が一瞬にして大崩れしたからだ。

右腕に感じていたおもちの感触が強まり、急に部室内を陰風が撫でた。

窓が開いている訳でもないのに、風が吹き荒んでいる事から、彼女の能力によるものだろう。

先程まで彼女が纏っていた、暖かくて柔らかな薫風はすっかりなりを潜めている。代わりに吹き荒ぶのは、冷たく鋭い風巻。

彼女と組んでいる腕から、急速に体温が抜け落ちていく。畜生、おもちの感触が消えた!

 

「おやぁ、ネリーは冗談があまり得意ではないようですね。まったく笑えませんよ」

「冗談?ネリーは本気だけど。どうかしたの、ミョンファ?」

 

風神の放つ暴風を、しかしネリーはどこ吹く風だ。心底不思議そうに小首を傾げてる。

なるほど臨海の大将を張るだけのことはある。たいしたタマだ。

 

「その辺の詳しい話をしてもらおうと思ってな。

 ついでだからメンバーにも話を聞いて貰おうかと、こうやって戻って来たんだ」

 

そう言うと、お嬢は頭痛を抑えるように眉間を揉みほぐした。眼精疲労っすか。温めます?

さっとホットアイマスクを差し出したら、なんでかギロリと睨まれた。解せぬ。

その割にしっかり受け取ってるけど。相変わらず女心はよく分からん。

 

「それで、いったいお前と明華はどういった関係なんだ?」

「ふふふ、私がご説明しましょ~♪」

 

あ、これダメなやつだ。喜色満面な明華に嫌な予感しかしない。

絶対にあることないこと喋る気だ。何としても止めなくては。

しかし、オレの不安は杞憂に終わった。乱入者によって。

 

「アンタ達まだいたの?それに誰?ここには関係者以外入って欲しくないんだけど」

 

ツカツカとヒールの音を響かせて、女性が部室内へ入ってきた。

振り向くと、そこにはミドルヘアをセンター分けにした、パンツスーツの美女がいた。

おもちはお持ちではないが、スラリとした体型に美貌。身長と相まってモデルのようだ。

臨海女子麻雀部監督、アレクサンドラ・ヴィントハイム。この人もお嬢から聞いてた通りだな。

 

明華のスキを突き、組んでいた腕をスルリと抜き取ったオレは監督と正対した。

 

「勝手に入り込んでしまい申し訳ありません。私はおj…辻垣内智葉の身内の者でして…」

 

ガシリ。サングラスを握ってた手を思いっきり掴まれた。握られたのが手首で助かった。下手したらサングラスでケガしてたわ。

いつの間にか距離を詰めていた監督の仕業だ。また不意打ちかよ。

まさか釈明もなしにケーサツへ突き出されるのだろうかと、思わず慌てた。

 

「ちょ、ちょっと待って下さい!」

 

しかし、焦るオレをヨソに監督はピクリとも動かない。

いや、動いてた。なんかプルプルしてる。

 

何だか様子がおかしい。よくよく見れば心なしか顔も赤いし。

美人に上目遣いでそんな色っぽい表情されると、ドキドキしてしかたないんだが。

しかしこの反応。また嫌な予感が…

 

「す、好きです!!」

 

部室が暴風圏に突中した。

 

 

 




明華さん一応メインヒロインなんで能力強化されてまっせ。世界ランカーですし。
あと、京太郎の運がえらい事になってる影響でネリーからの評価が高めです。

本来ならサイコロ判定で
00~50 不審者扱い
51~70 普通
71~90 好意的
91~  欲しい!
といった感じでした。運極な上に財力ぶっ飛んでるからね。仕方ないね。
でもまだ恋愛感情とかは皆無ですよ。純粋に財布的に欲しいって感じ。

同じ様な理由で監督からも最初から好印象。監督の場合は現役時代の京太郎の大ファン。
ドイツもハンドボールは相当人気らしいですからね。同じヨーロッパならフランスで活躍してた京太郎の事も知ってるでしょう。ヨーロッパリーグとかもあるらしいですし。
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