京太郎「ミーはおフランス帰りざんす☆」   作:狗頭郎

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タイトルは『窮鼠猫を噛む』。
でもカピバラに噛まれたら大怪我じゃすまねーぞい。

今回はグルジア語。翻訳で見た時わが目を疑いましたわ。




07  ნადირობენ თაგვის კატა ~nadiroben tagvis k’at’a~

 

 

 

麻雀。

今や世界中で圧倒的な競技人口を誇るボードゲーム。

本来なら老若男女関係なしに遊ぶ事ができる遊び。

だけど10人に聞けば、間違いなく10人がこう答えるだろうね。

 

麻雀では男子は女子に勝てない、って。

 

その原因が『オカルト』。

曰く、自風牌が集まる。

曰く、槓すると嶺上牌で上がれる。

曰く、悪い待ちをすると上がれる。

曰く、東場だとヒキが良くなる。

ワカメ。

 

冗談みたいに聞こえるけど、麻雀の世界では普通の事なんだよね。主に女子にとっては。

そういう超常的な能力を相手に、人間的な打ち方しかできない男子が勝てるワケがない。

まさにゾウとアリの対決。無理無茶無謀、無駄なあがき。

 

プロの世界でもそうなんだから、アマチュアだと余計に差が出る。

その上、臨海女子のレベルはそんな女子麻雀界でも一際高い。

しかも卓を囲んでいるのは、世界ランカー2人に国内女子3位。

いくら運が太くても、シロウト同然な腕前じゃ…

 

「ロン! 3900」

 

波が来てないネリーでも、簡単に勝てちゃうよ。

あ、キョウタロー凄い驚いた顔してる。

ポカンとしてて何だか可愛い。少しミョンファの気持ちがわかった気がする。

 

「ふふふ、真剣な顔で見詰めてくれるのは嬉しいですが、麻雀は4人でやるものです。

 他の2人を疎かにしてはダメですよ」

 

ネリーへ点棒を渡すキョウタロー。それをニコニコと見守るミョンファ。

よっぽどキョウタローと打てて嬉しいんだろうね。でも正直ニコニコし過ぎてて気持ち悪い。

それをハッキリとミョンファに伝えても、

「ネリーも恋をすれば分かりますよ。あ、でも京太郎はダメですよ。私のですから」

っていう答えが返ってくるのは分かりきってるケド。

 

恋かぁ。それよりネリーにはお金の方が大事だけどな。

キョウタローを欲しいと思ったのだって、お金になりそうだからってだけだし。

でも、いくら凄い運があるって言っても、この程度の腕なら期待はずれだったかな。

 

 

 

 

 

結局、その後もキョウタローは点棒を吐き出し続けた。

放銃こそなかったけど、ツモで徐々に削られたって感じだね。

東3局現在の持ち点は、サトハが11700、ミョンファが49100、ネリーは31400。

そしてキョウタローが7800。

 

ラス親とはいえ、正直勝ちはかなり薄い。世界ランカー相手に保ったほうだけど。

シロウトのわりには打牌も早いし、読みもナカナカだと思う。

ただなんていうか、上手く立ち回ろうとしてるね。

勝つって感じじゃなくて、負けないようにしてるって感じ?

真剣ではあると思うけど、本気ではないみたい。

 

「リーチ」

 

ドラ:{⑧}

{二三四四四赤③④⑤⑥⑦234}

 

まぁ良いや。勝負に来ないなら潰すだけだ。

正直あんまりヤル気はないけど、雀士として好手は捨てれない。

イッパツと三色が付けば倍満まで伸びる。

 

「くっ…」

 

キョウタローの捨牌を選ぶ手が止まった。苦しげなうめき声まで上げてる。

悩んだ末、キョウタローの切った牌は一筒。惜しい。

 

「ポン」

 

ミョンファから鳴きが入ったので、イッパツは消えてしまった。でもまだ跳満は狙える。

ミョンファの手牌から一筒が晒され、キョウタローの捨牌とくっつく。

そして、ミョンファの手牌から1枚河へと捨てられた。

 

「なっ…!」

 

ミョンファの捨牌に思わず声が漏れた。やってくれたね、ミョンファ。

 

捨牌は一筒。明らかなイッパツ潰しの食い直しだった。

 

やられた。確かに食い直しについて、試合前に何も決めてなかった。

でも好形だっただけに、やっぱりムカつく。

 

ムカつくのはイッパツ潰しだけじゃない。

今の鳴きでさっきまでの太い波が、嘘のようになくなってしまった。

これじゃツモ和了は難しい。誰かの放銃を期待するしかない。

ベタオリどころかやる気もないサトハは、既にツモ切りマシーンになっている。

最悪の場合、サトハへのロンを狙おうかな。間に合えばだけど。

 

逆に、今の鳴きでミョンファへ大きな波がきていた。

ミョンファを中心に、流れが急速に集まってってるのが分かる。

天へと登る竜のような流れ。それをまとうその姿は、まさに風神と言う名前に相応しい。

 

「ツモ、6000・12000」

 

ドラ:{⑧}

{⑨⑨⑨東東東北北北1} {①横①①} {1}

 

次巡、結局ミョンファのツモ和了で終わった。

結果はなんと3倍満。今卓1番の大物手。

倍満を潰された上に、ワザワザ役満を捨てての食い直し3倍満。

正直、ミョンファに殺意を覚えるよ。

 

これでキョウタローとミョンファの点差は70000を越えた。

もうミョンファへ役満を直撃でもさせない限り、勝ちはない。

相当追い詰められちゃってるね。キョウタローの顔色がすっごい事になってる。

 

「ふーむ、やはりイマイチ本気になれてないようですね。

 麻雀ではケガすることもないですし、京太郎にとっては致し方ないのかもしれません。

 折角役満を捨ててオーラスに繋げたんですから、もう少し頑張って欲しいところですが…」

 

やっぱりミョンファはワザと役満を蹴ったんだね。

気持ちは分かるけど、食い直しで潰されたネリーはたまったもんじゃないよ。激おこだよ。

 

「そこまでミョンファがキョウタローに拘る理由が、ネリーにはまったく分からないよ。

 正直、最初ほどキョウタローの事欲しいって思えないし。

 キョウタローのどこがそんなに良いの?」

「おいおい、随分な事言ってくれるじゃねーか、このちみっ子が」

「ネリー、トラッシュトークはほどほどにしておけ」

 

もー、サトハは堅いなぁ。別にネリーは間違った事言ってないと思うんだけど。

確かにキョウタローの運は凄い。それはネリーも認める。

麻雀の腕もなかなかある。スジの読みも出来てはいる。

でも所詮それはシロウトにしては出来ているってだけ。

運にしてもそうだ。いくら凄くても、それを全然活かせてない。

折角、撃てば必ず当たるS&W M500を持ってるようなものなのに。勿体無い。

必殺の銃も、引き金を引けないのなら何の意味もないよ。

 

「良いことを思いつきました」

 

どうやらミョンファに名案が浮かんだらしい。悪い顔になっている。

 

「もし次の闘牌、私が本気だと感じなかった場合は、ご両親を殺すことにしましょうか」

 

あー良いんじゃない? ネリーはなかなか面白いと思うよ。

サトハも眉根を寄せたけど、特に止める様子もない。

やっぱり何だかんだ言って、サトハもミョンファが拘る理由が知りたいみたいだね。

 

ネリーもサトハも、会ったことも見たこともない人間がどうなろうが、知ったこっちゃない。

そんなどーでも良い理由で、ミョンファの拘ってる理由が分かるなら安いもんだね。

 

「…明華、本気で言ってんのか?」

「ふふふ、私が京太郎に嘘を吐くわけないじゃないですか」

 

キョウタローへ自分の携帯を差し出すミョンファ。

ネリーも確認してみたけど、それには1組の男女が映し出されていた。

東洋人って見た目から年齢が判断出来ないんだよね。彫りも浅いから見分けがつかないし。

話の流れからしてキョウタローの両親なんだろうけど。

 

「そうか…」

 

一瞬、キョウタローの存在が大きくなったように感じた。もともと大きいけど。

ネリーと同じように、その圧力に反応したメグと慧宇が、キョウタローへ銃を突きつける。

ガバメント?これだからアメ公は。やっぱトカレフでしょ。慧宇を見習いなよ。

 

「大人しくしててくだサイ。雀卓を血で汚したくはありまセン」

「銃弾が効けばの話ですけれど。

 ……効きますよね?」

 

そこ疑問に思うんだ。キョウタローも人間だし、さすがに効くと思うよ、慧宇。

あと、狙うなら肝臓や腎臓は止めてよね。高く売れるんだから。精々手足にしといてよ。

 

銃を突きつけられても、キョウタローは固く目をつぶったままだった。

その姿に緊張や恐怖は感じられない。むしろリラックスしてるようにさえ感じる。

 

え、まさか本当に効かないから余裕なんじゃ…。

 

1度コブシをぐっと強く握りこみ、一気に力を抜くキョウタロー。

そして、深く息を吐く。

 

5秒。10秒。

たっぷりと時間をかけて肺を空っぽにしたキョウタローは、ゆっくりとその両目を開いた

 

「そんじゃ、オーラス始めるか」

 

何事もなかったように手牌を作るキョウタロー。その動きに続くサトハとミョンファ。

でも、ネリーはそんなに冷静でいられなかった。サトハが怪訝そうにネリーを見ている。

手牌を作る手が震える。こんな事は生まれて初めての事だ。

ミョンファは気付いてるハズ。よく冷静でいられるね。

 

なんでミョンファが、そんなにキョウタローに拘るのか分かったよ。

これがキョウタローの本当の力なんだね。

凄まじい運の流れが、渦のようにキョウタローを取り巻いている。

最大の波が来ているネリーと同等。いや、もしかしたら…。

 

「リーチだ」

 

キョウタローの手から、牌が横向きに捨てられた。

開幕からの親リー!? まさかここまでだなんて!

ようやくサトハも異変に気付いたらしい。珍しく思いっきり驚いていた。

 

「ツモ。 4000オール」

ドラ:{七中}

{二二三四五⑥⑦⑧55567} {8}

 

次巡イッパツでのツモ和了。サトハがトバないギリギリの点。

これでキョウタローが逆転できる可能性が出てきた。

 

「確か俺が勝ったら、明華の事好きにして良いんだったよな」

「えぇ、京太郎のお好きにしてくれて構いませんよ」

 

あぁ、そう言えばそんな話だったね。すっかり忘れてたや。

キョウタローに答えるミョンファの顔は、なんだか凄く愉しそうだ。

間違いない、あれはエロいこと考えてる顔だね。

そんな卑猥なミョンファに対し、キョウタローは不敵に笑った。

 

「そうか。

 んじゃ、俺が勝ったら明華の尻をペンペンしてやるぜ!

 泣いて謝っても許してやらねーからな!」

 

お尻ペンペンって…。

やっぱキョウタローも、ミョンファに劣らずのヘンタイなんじゃ…。

 

「なるほど、京太郎は後ろからがお好みという事ですか。

 ふふ、ならば私が勝ったら2人でお馬さんごっこしましょうか」

 

最後の最後で緊張感ない2人だよ。まったく…。

 

オーラス1本場。泣いても笑ってもこれが最後の勝負になる。

ミョンファの持ち点は69100。対するキョウタローは13800。差は55300点。

普通に考えて、まず覆ることはない絶望的な差だ。

直撃なら3倍満以上。ツモなら役満以上でなければ、キョウタローの勝ちはない。

 

でも今のキョウタローなら、ひょっとするかもしれない。

ネリーは奇跡なんて信じてない。だってこの世に神様なんていないことを知ってるから。

 

でも、今だけ、今だけなら。

 

奇跡を信じてみたくなった。

 




長い。ただただ長い。
闘牌描写難しすぎて時間かかったわりにはイマイチ。もう少し盛り上がりが欲しい。
でも熱血とかシリアスってどうも苦手。どうしてもギャグに逃げてしまう。
それと手牌の説明のために画像変換使ってますが、必要ですかね?

今回は、京太郎の運の凄さを客観的に表現したかったんで、ネリー視点で書いてみました。
臨海勢は全員悪人って事を描写したかったってのも理由ですけどね。

ガバメントはダメだけど、S&Wは許すネリーの趣味がよー分からん。
トーラス・レイジングブルと迷ったんですがね。

次回、京太郎は逆転できるのか?それとも明華が馬乗りになるのか?
個人的には馬乗りの方が見たいぞ!誰か描いて下さいお願いします!
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