迷子探しの異世界たびにっき   作:華村天稀

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初投稿です。
駄文書きではありますが、よろしくお願いします。



プロローグ 夢うつつにてぼんやり語らう
あらすじのような思い出


――問:目標世界到達までの所要時間は?

――答:目標世界到達まで、あと約3617年。

 

 え、ちょ、まじか。

 【天啓(オラクル)】で『次の世界移動に約六千年かかる』って出て、そんなに時間がかかるんなら果報は寝て待てとばかりにスヤァ。

 でもどうも途中で目が覚めちゃったんで再確認してみたら、まだ四割なのかぁ。

 早起きは三文の徳っつーけど、今回は起きるの早すぎて利点がないなぁ。

 

『おや、おはようございますアスカさん』

 

 あら、いでやんも起きたか。おはよー。てか起こしちゃったかな、ごめんねぇ。

 しかし困ったねぇ。あと三千六百年ほど暇っぽいよ。

 

『どこぞの国の歴史がほとんど紡げそうですね』

 

 あー駄目駄目、あの国しばらくすると段々歴史が長くなってるからね、千年単位で。

 つっても、調査が進んでより過去のことが判明するにつれキャッチコピーにその部分を足していってるって話であって、決して誇大妄言が膨張するばかりとかいうわけじゃないんだろうけど。

 って、リアルで歴史シミュレーションやらかす気は毛頭ないんで、時間の潰し方を考えないと。

 

『普通に寝直しましょうよ』

 

 ですよねー、それが順当。うんわかってる。ただ困ったことに、今は眠気ゼロ。

 ってわけだからさ、眠くなるまで付き合ってよ。おっはなーししーましょ。

 

『かまいませんよ。というか、それくらいしかやれることないですからね、時空間外(ここ)だと』

 

 そうなんだよねぇ。

 

 ここで自己紹介しておこう。

 俺は紫神(しばがみ)飛鳥(あすか)次元渡航者(プレインズウォーカー)、ってこれゲーム用語だったわ……もとい、次元旅行者(オーヴァーワールド・トラベラー)だ。

 もとは人間、正確には蒼星――主に魔法技術で発展した地球だ――生まれのハーフエルフの魔術士だったんだが、五百歳くらいの頃に事故って人間やめる羽目になった。てかありゃ一回死んだようなものだ、未だ命があるのは幸運だった。

 人外になった直後はわけあって紫星――科学技術で発展した地球だ――に星間渡航して、日本という国で数十年ほど過ごした。その後はずっと、数多の宇宙を渡り歩く旅暮らし。

 

『いきなり何で自己紹介なんてしてるんですか? アルツハイマー防止ですか?』

 

 今更ボケるような構造してないよ!?

 いやほら、莫迦監査と合流して今の話したら、あいつ小説に書き起こすかもしれないじゃん。そうすると自己紹介を挟むのはこの辺かなーと思って。

 

『それは我々が考えることなんでしょうかね……小説書く人が勝手に考えて文章を起こすでしょうに』

 

 そうなんだけどさ、どうせ暇なんだし。

 

 日本に居た頃は生活資金と活動拠点を用意する目的で会社を運営していた。俺が来星した頃より少し前から頻発した色んな事件を片付けたり、逆にやらかしたり、後処理に追われたりと色々あったが楽しかった。結果、そこは俺にとって第二の故郷となった。いい仲間達に巡り会えたからに違いないと思う。

 そんな日本を去って旅に出る際に、仲間の殆どが俺についてくると言った。ついてくれば人間としての存在全てを棄てる羽目になる、と言ったのだが彼らの決意は変わらず。結局、俺は説得の言葉を尽いてしまい、根負けして彼らの同行を受け入れた。

 偉そうなことを言って止めようとしたくせに、その後の旅で俺は彼らに助けられてばかりだ。独りでいたら永い旅路で少しずつ心をすり減らし、遠からず果てていただろう。本当にいい仲間達に巡り逢えたものだ。

 

 さっきから話し相手してくれる彼はその一人で、名前は亥手弥(いでや)明人(あきひと)、通称イデア、あるいは "いでやん" だ。会社時代には社長だった。一応、俺達の中では常識人枠で通っている。

 莫迦監査というのも仲間の一人――本名は華村(はなむら)天稀(てんき)だったか。呼び名のとおり当時は監査役――なのだが、迷子になりやがった。コイツとの合流が旅の目的の一つになっている。

 小説を書く趣味があり、俺達の話を聞いては文章に起こしていた。そのうちどっかのサイトに投稿しだすかもしれない。

 

『天稀さん、見つかると思いますか? 次の世界で』

 

 居りゃあいいけど、勿論(もちろん)探すけど、あんまり期待しないほうがいいだろうなぁ。広大な砂漠の中で砂粒1つどころか原子1つを探すようなものだし。

 

 そんな我々の今はというと、紫星の日本を離れてから通算でいくつになるやら、百を越えてからは数え忘れてしまったが、世界間移動の真っ最中だ。

 

 世界、あるいは宇宙というものは無数にある。あるのだが、ほとんどの場合は各々の宇宙は独立しており、他の宇宙とは何のつながりも持たない。行き来など当然できないし、原子一個ほどのやり取りすら発生しえない。なので、自分たちが住む宇宙の他にも宇宙が存在することを、想像こそいくらでもできるが、根拠ある事実として知ることはまずない。

 たまに2つあるいはそれ以上の宇宙が群れて存在し、それらの世界の間に何らかの移動手段が存在する場合もある。そういうのは宇宙群と呼んでいるのだけど、それら宇宙群からさらに外の宇宙へと移動する手段はやはり基本的には無い。

 では繋がりの無い他の宇宙へ移動するにはどうすればいいか? 宇宙を飛び出して渡り歩けばよいのである。

 

 ……が、この行為、すこぶる危ない。宇宙の外というのは、存在の外なのだ。重力、電磁気力、弱い力、強い力、相対原理といった標準的宇宙にて普遍的な "法則" も、そこには何一つ存在しない。普通なら出た途端に消滅は免れないし、どうにかできるような奇跡があったとしても、どうなってしまうかわからないし、どうかしてしまってもおかしくない。

 移動に六千年かかる、なんてのは、そんな領域に立ち入った結果としては至極軽いほうなのである。寿命と暇潰しさえ何とかしてしまえば問題ないわけだし。俺達の場合は、人間やめた影響で寿命は問題なく、暇のほうは眠り続ける――一般にコールドスリープと言われる技術に近い――ことで潰している。まぁ何か失敗したのか途中で目が覚めちゃったわけだけど。

 そんな神ならぬ身には(まか)り通ること(あた)わぬ危険な道行(みちゆき)だが、幸い俺なら一応何とかなる。

 

 はぐれてしまった莫迦監査には、そこまでの力は無かった。資格を持たぬままこの道に立ち入って、吹き飛ばされたかのように居なくなってしまったのだ。

 消えて無くなったのでは、という心配は微塵(みじん)も無い。だが何処に行ったのかは未だにわからない。なので地道に歩き回って探している次第だ。

 

『まったく、世話の焼ける人ですよね。まさか姿が変わってたり死んだり転生してたりしてないでしょうね』

 

 そうなってると捜し当てるのが面倒になるなぁ……まぁ、アイツの魂魄は特徴的だから、大丈夫だと思うけどね。

 さて、眠気も溜まってきたし、そろそろ寝直して到着に備えるとしますかね。それじゃあいでやん、また明日。おやすみ~。

 

『はい、おやすみなさ……って、明日起きちゃだめでしょ』

 

 




◇アスカ(紫神(しばがみ)飛鳥(あすか)
チートオブチート(駆使するとは言っていない)の主人公。人外筆頭。
内面的にはなかなか愉快な性格をしている模様。一人称は「俺/俺達」
万能魔導【神業術】と戦闘技能【練気術】の使い手。
会社時代は副社長。

◇イデア(亥手弥(いでや)明人(あきひと)
主役集団における常識人枠? 物腰も穏やかで丁寧。一人称は「僕/僕達」
敵味方の射線が見え、此方の攻撃を必ず狙い誤らぬようにし、かつ敵の攻撃を予見する魔眼の持ち主。仲間内では【天眼】と呼んでいる。
会社時代は代表取締役社長という名目でアスカのブレーキ役。

◇莫迦監査(華村(はなむら)天稀(てんき)
事故により何処かの世界に飛んでいっってしまった次元の迷子。
破天荒な社員たちの経験談を小説の形に仕立てる、という趣味がある。
この作品が形になる=将来は無事に合流?
会社時代は監査役だが監査業務についてほぼ無知。


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※2018/05/09 誤字修正(傍点部)

誤:敵味方の()()が見え、此方の攻撃を必ず狙い誤らぬにし敵の攻撃を予知する魔眼の持ち主。
正:敵味方の()()が見え、此方の攻撃を必ず狙い誤らぬ()()にし()()()敵の攻撃を予()する魔眼の持ち主。
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