2018.06.22.修正
タイトルに特殊タグ使うのはHTML的に問題あるようなので修正
前回のあらすじ
・コミューンの食事はサプリonly
・キレたアスカがカレーを作って振舞うと、おかわり争奪戦が勃発。
・能力の自主規制解除が可能になった!
カレーを振舞っておかわり争奪戦を誘発してから数日が経過した。
あれ以来、そのまま俺がコミューンの食事担当にされてしまった。でもそれだけやってるわけにはいかんから、やる気のある数名を助手に任命して料理を教えながら仕事をこなしている。
あと毎度リビングでやるわけにもいかんから調理場を貰った。換気……正常(誤字にあらず)な空気は貴重なんで外に吐くなんてとんでもない、というわけで集気して浄化する術式を浮かばせて換気扇の変わりにした。定期的に魔力を補充しないといけないけど、放置してても数年は持つぐらいを詰め込んでおいたから大丈夫だろう。
流し場つき調理台と業務用冷蔵庫も設置。あとコンロも。こいつらも俺の魔力を動力源にするので魔力は満タンにしておいた。一年間はもつだろう。自動チャージする方法はないだろうか、この世界の大気に魔力はないようなので難しいか。
食材については、今まで食糧供給を一手に担ってきたプラントとやらを調べたところ、カレー粉、じゃがいも、牛肉は生産可能のようなのでそれを使うように切り替えた。米とにんじんは今のところ無理なので引き続き提供する、ここで提供終了という手もあるにはあるが誰よりも俺がライス食べたい。
初回に使った王子様ではなくプラント産カレー粉を使ったカレーライスは普通に辛味がある。俺好みの味だが他の人、特に子供にはちょっと不評。辛いのが苦手だというので生卵トッピングを教えたところ好評。でも生卵はプラントで生産できないので俺の提供量が増加。
他には牛丼、豚肉生姜焼き、鶏唐揚げ、肉じゃが、焼き魚、スクランブルエッグ、味噌汁、野菜サラダ、ミネストローネ、ホットケーキなどを日替わりで提供。好評なのはうれしいが、これらの材料もほとんどが今のところプラントで生産不能なため俺の提供量がドン! さらに倍!
俺はただ(自分が)美味いものを食いたかっただけなのだが、気がつけば個人の食材備蓄がガンガン減っている。
解せぬ。
まぁ俺の物資備蓄は各種数千トン単位で確保してあるから問題ないんだけどな。
保管中の時間経過もないので腐る心配も皆無で実に便利。
いわゆる
で、だ。
ジオグラフォスだけ世話してポストアポカリプスが救えるわけがない。ここはド辺境、生き残りは他にももっといるはずだ、よって探そう。そのための手段は解放された。
というわけで今日は久々に飛ぶ。思いっきり飛ぶ。翼を広げた鳥のように。
―――― feather bress you ――――
俺の背に三対六枚の翼が現れる。この世界に来たときには発動させられず、能力を部分解放してようやく使えるようになった【
別に翼がなくても飛ぶ手段は色々あるのだが、やはりこれが一番爽快に飛べる。自分の和名を『飛鳥』に決めたときはそんなつもりなかったけど、すっかり名は体を現すようになってしまった気がする。
というわけで、あのときは嘘になってしまったセリフを今こそ。
「あーい、きゃーん、ふらーい!」
翼に引っ張られるのではなく、ふわりと身体が浮き上がるようにして――次の瞬間には音速を超える。ヒャッハー!
超音速で動くと衝撃波が発生する。自分で出したものだろうと生身で触れるとえらいことになるが、翼(が形成するバリア)が衝撃波の緩和や内部の保護をしてくれるので、俺の身には何ともない。そのかわりに風も来ない。風を浴びながら気持ちよく飛ぶには速度がありすぎるし、そもそも空気が汚い。衝撃波は痛いし、空気が汚かろうと俺の身体には問題ないのだが髪や肌がべとついて気持ち悪いのはヤだ。よってバリアはあったほうがいい。
結果的に『気持ちよく飛ぶ』からは遠い事態なんだけど仕方がないね。気持ちのいいフライトは、いつかこの星が綺麗になったときのご褒美だと思っておこう。俺がいる間にそこまでいけるかどうかわからんけど。
『で、どこを見て回る予定なんだ?』
んーとりあえずデカい島から順繰りにと思ってるんだけど。ジオグラフォスからだと一万キロくらい離れてるのかな。急ぎすぎてもアレだし30分くらいかけてのんびりいくか。
『マッハ16.8のどこがゆっくりなんだと小一時間ほど問い詰めたいんだが』
言われてみるとゆっくりではないか……【
まぁ何にせよ、速度はとにかく時間的にはのんびりいきますか。なお物理法則どおりに衝撃波を撒き散らしていると地上がどえらいことになってしまうので、バリアの機能をいじって衝撃波が飛び散らないよう適当に掻き消している。
下を見ると……島が見当たらず一面の
雲の上に行くと……かなり分厚い砂混じりの雲を抜けた先に、ひたすら青い空と雲海が見えるだけ。さすがにここまで来ると見た目だけは綺麗だ。何かのRPGの世界観に、こういう雲海の上に陸を浮かべてそこに街を作って生活するってのがあったなぁ。真似しようとすると、陸を浮かべるのにどれだけエネルギーがいるやら、ってことになるので非現実的だとは思うが。
さて今回の目的は島の探索なので、雲ばかり見ていても仕方がない。【
どこまで行っても下は奈落。ホントに31+αもの数の島があるのかね? 高度が低すぎて視認できる範囲が短いから見つけられないっていうのもありそうだけど。やっぱ【
そんなこんなでしばし空中散歩の気分でいたところ、陸地が見えたーと思ったら三秒と経たずに眼下から奈落が消えた。景色の流れが早いなぁ。高度が低くて見える範囲が狭いせいだな。だからって上に行っても雲。
ま、この陸地がどうやら目的地なので、これ以上は飛ばしても意味がない。速度を落とそう。さて何かいそうな気がするが、今更だけど武器の使用って可能なのかな?
『なぜ事前に確認しなかったし』
いや思いつかなくてな。【
とりあえずでかい虫取り網でいいか……
「【
俺の呼び声に応じて、頭に巻いていた鉢巻が光って頭から離れ、形を変えながら俺の手の中に納まる。
光がおさまると、手の中にはヒト一人ちょうど入りそうなほどの巨大な虫取り網が。
自在神器【
俺が正真正銘の学生だった頃からの持ち物で、
『そういえば、かの有名な緑の勇者の持ち物に、魔王の攻撃を跳ね返す伝説の虫取り網がありましたね』
あーあったね勇者の剣並の機能を持った虫取り網。何でアレあんなに強いの?
『それが今コイツの手にあるのか』
フルミが持ったほうがいいか?
『要らんわ!』
いやま別にこれ勇者の虫取り網がモデルってワケじゃないんだけれどね。たしかに魔法をホームランして跳ね返すくらいは可能だろうけどさ、それやるなら普通にバットの形にしたい。
『バットで魔法を打ち返す、というのも変な話ですけどね』
以前に「あっち向いてホイ!」って唱えて撃たれた魔法を術者に返したとき、周囲がかなりあきれたから、バットでやるほうがまだマシでは?
『どっちみちアタマおかしいからな?』
『そもそも、その反射の術式はマトモな名前はないんですか?』
反射は定型化してないんだよね、状況と対象に応じて即席で組むから。だから名前もない。
『だからって「あっち向いてホイ!」はないでしょうに』
それの時ちょっとノリノリだったんだよ。
っと、雑談の片手間にミサイルを避けたり虫取り網の柄で殴り壊しつつ空飛ぶ
「ちょ、まだ名乗り終えてもいないのに!?」
「名乗る前からガンガン攻撃してる連中に手心も待ちもあるか馬鹿」
「挨拶は神聖なのよ!? 聞き終わるまで攻撃しちゃいけないのは常識よ!?」
「開幕でミサイル飛ばしまくってるお前らが言うな」
そもそも何でニンジャスレイヤーの常套句知ってんの? それとも特撮界の常識の方か? どちらにしても俺はニンジャでも特撮ヒーローでもないし撮影中でもないんで知ったこっちゃないんだが。
「そんなことより、あーなたーのおーなまーえなーんてーの?」
「待って私をミサイルの盾にしないできゃー!!?」
ヒトが入ってるため網部分が膨らんで、何かにぶつけるのに丁度いい大きさ重さになっている。相変わらず小型ミサイルがぶんぶん飛び交うので、この即席の長柄
【
この大量の小型ミサイル、出所はどこなんだろうな。爆煙で見通しがいまいちよくないし、【
こりゃあれだ、飛んできたミサイル自身に場所を教えてもらおう。ノリノリ術式再び。
「あっち向いてホイ!」
―――― look your homes ――――
【
「たーまやー」
『花火じゃねーよ』
あれ、『きたねぇ花火だ』のほうがよかった?
『だから花火じゃねえっつーの』
『それよりも、まさか話題にした途端にまたそれをやるとは』
もしかしたら使えるなー、って思ってしまったのでつい。
で、あのミサイルがUターンして命中したところが各ミサイルの発射台なわけだが。6箇所あるな。そしてミサイル止んだな。あれで全部か?
『網の中のヤツに聞いてみればいいじゃねえか』
『正直に答えるとは限らないがな』
ああ、一応聞くだけ聞いてみるか。
「おーい
「それ、わたしの事?」
「だって名乗ってくれないし。あ、
「……カナリヤでお願いします」
というわけでコイツの仮名称はカナリヤである。
◇プラント
どのような形であれ必要な量の各元素(炭素酸素水素その他)があれば、原子配列変換して必要な物質を生成できるという一次生産機関。
たとえば排泄物を原料にして食料を合成できたり、産業廃棄物を各金属の純粋インゴットや薬品などに戻したりできる。食料や生物由来素材を合成した場合、天然素材に比べて風味などが劣る場合が多い。
作中で言及しているのは、ジオグラフォス・コミューンの生命線である、食糧生産に特化したプラント。
◇
飛鳥のそれは単一能力としてもってるわけではなく、複数の
仮想の収納庫の中に物品を投入する【
仮想の収納庫の中にあるものをリストしたり条件検索する【
仮想の収納庫から任意のものを取り出す【
この三つの術式を使って実現している。
なお『仮想の収納庫』と言ったが亜空間に収納場所が存在するとかいうわけではなく、実態としては【
あからさまに時空系の術式だが、一応生活術式であるため能力制限で完全に封印されることはない(取り出す物品に制限をかけられる場合はある)。
◇【
対象に翼を与えて飛行能力を付与する。
オプションでステルス性と防御能力もつけることが可能。また抜けた羽を任意で飛ばして刺したり爆発させたりという攻撃能力もある。
汎用性の高さもあって、飛鳥のお気に入り術式の一つである。
◇マッハ16.8のどこがゆっくりなんだ
このときの飛鳥の飛行速度は時速約2万キロ、飛行高度は雲の下なので地上とあまり変わらず音速を330メートル毎秒とすると、マッハ16.8となる。
地球における超音速航空機の速度はマッハ2前後が主流で、マッハ3を超えるものは発熱や耐久などの都合で殆ど存在しない。
航空機の世界最速記録は2004年11月16日にNASAのX-43という機体が出した時速12,144km、マッハ9.68である(高度や気圧などの条件差によりキロ毎時とマッハの換算パラメータが異なる)。
それを大幅に上回る速度をして『ゆっくり』とはとんでもない感性であるが、目的地まで30分もかかるのは事実なので、長距離を瞬間移動する手段を持つヒトならその感性も仕方ないことかもしれない。
◇【
どちらも神業術の術式のひとつ、二つ挙げたが原理的には同一の術式。
直線距離でだいたい数十メートル~数万キロ程度の範囲にある二点を、亜空間だかなんだかを利用して三次元外から連結し距離ゼロにしてしまうのが【
【
現時点では使用不能。空間を操作する系統の術式は影響規模が大きいため、制限解除されていない。
◇【
特定範囲内(基本的には術者から一定距離内)の空間内にある物体を、視覚をはじめとした一切の身体感覚に拠らず把握する。
現時点での効果範囲は高感度だと術者を中心に半径約15メートル程度、低感度なら半径1.5キロほど。
◇自在神器【
飛鳥がメイン武器としている、神性を持つ
もとは学生時代に課題で出た
強化と魔改造を繰り返した果てに自在変形機能がつけられ、さらに長らく使い続けた(というより強い力に長らく晒し続けた)結果として【不変】の神性がついた。現在の頑丈さ全振りチートぶりはこの神性による。
◇【
神業術の術式の1つ。魔力を矢の形にして飛ばす。
着弾時の効果や威力は調整が可能であり、見た目が同じでありながら複数の異なる効果を使い分けることが可能。初歩の魔法のような見た目に反して応用性が非常に高い。
封印状態でも最低3種類11発を同時に使用できる。
◇定型化していない術式
術式の定型化は、即座に使うのが楽、定型式を持っていれば構築技量が足らなくても扱える、などの利点がある反面、効果が一律で応用があまり利かない欠点がある。やたら応用が利く【
定型化せず必要時に術式を組み上げる方式はこれと利点欠点が真逆になり、状況に即した効果を出せる反面、即座に使うには非常に高い技量が要る。とはいえ飛鳥にとって技量面は全く問題にならないため、いくつかの気に入った定型術式以外はだいたい即席で組む。
プログラミングに例えると、バッチファイルをあらかじめ準備しておくか、その場でコマンドを叩きまくるかの差。
◇(仮称)あっち向いてホイ
自分に向かってくる遠距離攻撃を相手へと返す。
対象が魔法だったり物理(ミサイル)だったり、返し方が反射だったりUターンだったり、返し後の軌道が元来た通りだったり発射元狙いだったり、と状況に応じて要求事項が異なるため定型化していない。なので過去に使った術式と今回使った術式は似た効果だが別物。