この堅物どうやって落とす   作:へか帝

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アズールレーンの二次もっとよみたいよう
よこせ

キャラ崩壊苦手な人よ、まだ間に合う。森にお帰り


この堅物どうやって落とす

「ふーむ……。やはり敵戦艦の榴弾砲が厄介だな。自爆ボートの猛攻の件もある、対策に徹甲弾の砲や消火設備がもう少し欲しい」

 

執務用机に向かい、前回の海域偵察の報告書を睨みながら秘書艦の赤城に問う。赤と黒を基調とした着物に、伸ばした黒髪から除く狐耳が象徴的だ。なによりも背後に見える九尾の尾の存在感は決して無視できない。というかお陰様で執務室はいつもより狭めだ。どういう意図なのか胸元が派手に露出しているので、男性の僕としては大変困る。紳士的にどうとかそういう問題ではなく、ただ彼女の胸元の直視には大いなる代償が伴う、なんとなくそんな気がするのだ。

 

 そもそも僕は女性と接することに慣れがない。低身長のまま軍人として肉体を鍛えた僕は、どうしてもずんぐりとしたシルエットになってしまう。もう少し背が高ければ様になったかもしれないが、今更成長を期待できるような年齢でもなし。何が言いたいってつまり女性受けが良くない。というか悪い。

 目つきの悪い凶相がそれに拍車をかけている。基本的に避けられるというのが悲しい現実だ。

 

 だがこの職場において女性と接しないことなど不可能。なんとか最低限、みっともなくない程度に会話は行えているが、それだけだ。僕もこの席に着いてから長いが、未だ慣れる気配もない。

 親しみのある小粋なジョークでも飛ばせれば良いが、そもそも僕はそう面白い話ができるような人間でもない。彼女たちには申し訳ないがここの指揮官は面白みのない堅物であると諦めてもらうほかないだろう。

 秘書艦の赤城はそういう部分で気の利く女性である。私が異性を苦手であることを察し飽くまでも僕がやりやすいような距離感で仕事してもらえる。

 

 肝心の報告書に記された内容はどれも内容は芳しくない。比較的順調に進んでいた海域攻略は、我々が『9-1』と呼称する海域にて大きな壁にぶち当たっていた。

 

「魚雷攻撃も凶悪さに磨きがかかっていますわ。はっきり言って当人の性能や技量でカバーできる範疇を超えている。前衛の皆さんの分の増設バルジも用意しなくてなりませんわね」

 

 赤城も手元の報告書のコピーに目を通しながら進言する。彼女の冷静な分析にはよく助けられているが、その内容が此度の偵察の結果を如実に表していた。艦隊の悲惨な燃料事情も相まって今回は軽率に踏み込まず、慎重に偵察程度に収めておいたのが返って功を奏したと言える。消耗や犠牲を生まずに早い段階から海域の危険度を知れたのは幸運だった。

 

「苦しいな。バルジに関しては数は揃っているがいかんせん質が悪い。強化が間に合っていないのが実情だ。あれではほんの気休めにもならない。幸い応急修理設備なら腐るほど在庫がある、当分はそちらで間に合わせるしかないが……現状での更なる進撃には不安があるか」

「指揮官様、当面は前進ではなく、足踏みをして地面を固めてはいかがでしょう。今一度、艦隊の土台を確かなものにすべきですわ」

「賛成だな。艦の練度、装備の強化具合共に今のままではどれほど通用するか。クリーブランド率いる威力偵察部隊の報告が待ち遠しいな」

「予定では本日帰還になっていますわ。報告の結果次第ですが、やはり我が艦隊もQEシステムを導入すべきでは? 既存の戦力では限界が見えてきています、どのみち新しい風が必要ですわ」

「QEシステム……。演習でその強力さは嫌というほど知っているつもりだが、当艦隊はロイヤル陣営出身の艦で高練度の者は少数だ。十分戦力が揃っているとはいえない。実用には時間が掛かるだろうが……検討する価値はある。消火設備の設計図収集と合わせてロイヤル陣営の者の育成も視野に入れておこう」

「でしたらエディンバラを教育用に引き抜いて試用してみましょう。彼女、少々ドジですけれど、演習でLuckyEやらBIGSEVENの弾幕を全身に浴びてなお相手の装甲をぶち抜くような狂犬。実力は本物ですわ」

「先日はクイーンエリザベス率いるフッドとウォースパイトの砲撃を単身しのぎ切って相手を瀕死まで追い込んだと聞いたが」

 

 エディンバラは日常の振る舞いと戦場のガッツのギャップが強すぎる……。ベルファストの姉妹艦は伊達ではないな。性格的に教官役としては些か不安が残るが、まあ彼女の教え子であればさぞかし屈強な優雅が育つことだろうし赤城の人選で問題ないだろう。

 

「失礼、指揮官。7-2海域の設計図収集の進捗についてなんだが──」

「エンタープライズ……!」

 

 いかん。

 ノックの音と共に入室してきたのはエンタープライズ。白い長髪が象徴的な凛々しい女性だが、秘書艦の赤城とは因縁があり犬猿の仲。何事もなく報告が終わるとは思えんぞ。

 

「……今日の秘書艦は赤城だったな」

「はやく報告なさい」

 

 赤城とエンタープライズが視線を交わす。どちらも平常通りの声色なのになぜだろう、心なしか室温が下がった気がする。

 

「言われなくとも。さて指揮官。かねてより推し進めている113mm連装高角砲tier3の開発にようやく目処が立ち始めてだな──」

 

 報告書を携えたエンタープライズがさも当然かのように僕の座っている執務席にねじり込むように座る。僕の座っている椅子は僕より一回りほど大きいのだが、なら二人分座れるというかというと絶対に否。現在僕とエンタープライズの距離は密着状態を0とした場合-18くらいだろうか。椅子の隅に追いやられ、更に僕の左ももの上にエンタープライズの右ももが半ばのしかかっていると表現すればわかりやすいだろうか。人肌のぬくもりや柔らかい感触、仄かに甘い匂いなどの要素が僕の理性を攻撃する。

 恐る恐る赤城の表情を伺えば、額に青筋を浮かべて顔を引きつらせたままエンタープライズを睨みつけていた。

 

「お待ちなさい。なぜ指揮官様の隣に座っているのかしら?」

「今後のためにも重要な項目だからな。さぁ指揮──」

「そんな理由赤城が認めるものですか! こちらが大人の対応をしていれば付け上がって……! 距離感というものがあるでしょう!? この赤城だって指揮官様の椅子に座ったことないのに!」

 

 赤城が座り込んだエンタープライズを引き抜かんと腕を掴み引っ張るが、エンタープライズもまた抵抗せんと僕と腕を組み、乗せていた右足を僕の足に絡みつかせる。エンタープライズに持っていかれた左腕の肘が彼女の大きな胸に接触、一瞬幸せな気分とともに気が緩みかけたものの、赤城の視線から強力な念を感じたので正気に戻った。

 

 

「ええい邪魔をするな! これが私と指揮官の適正な距離感だ、誰にも文句は言わせないぞ!」

「おのれ言わせておけば……! いったい何処からその自信がやってくるのよ、貴女は指揮官様とは何ら特別な間柄ではないでしょう!」

「指揮官は私が戦場で託されてきた数多の遺志を共に背負ってくれるかもしれない人だ! 例え断られようと私はついていくからな!」

 

 エンタープライズに絡めとられた僕の腕と足が、ギリギリと痛みを訴えかける。僕の腕を組む強さが尋常ではない。なんというかこう、"絶対に離さない"という屈強な意思を感じる。無意識の行動なのかエンタープライズは赤城と睨み合ったままで、僕の状態に気づいた様子はない。僕は命の危険を感じ取った。

 

「いちいち重いのよ貴女!? そんな風に逆プロポーズばっかりしてるせいで指揮官様に避けられ気味なことに気づいてないのかしら!?」

「なっ……何を馬鹿な、滅多なことを言うな! この私が避けられてなど、避けられてなど……?」

 

 普段の威風堂々とした答えが嘘のようにエンタープライズの声量がしぼんでいく。すまないエンタープライズ。だって君寮舎の入り口で僕が食糧補給に来るのずっと待ってたり、明石に頼んで一日五十通くらいメール送って来たりとかするじゃないか。ちょっと怖いんだよ……。

 

「あら、あらあら。ひょっとしてその様子、実は思い当たる節があるんじゃないかしら? いい加減認めたらどうなのかしら?」

「な、無いからな思い当たる節なんて! 私は避けられてない、そうだろう指揮官!?」

「……ノーコメントで」

「しっ……き、か…ん? は、っはは。めずらしいなあ指揮官がじょうだんをいうなんて」

 

 

 エンタープライズの乾いた笑いがむなしく響く。白を基調とした服装のエンタープライズだが、今は二割増しで白い気がする。なんだかそのまま灰のようにサラサラと風にさらわれそうだ。

 エンタープライズの絡みつく力が弱まったのを見抜いた赤城はすかさず僕の隣に根ざしたエンタープライズを引っこ抜き、羽交い絞めで拘束した。

 

「現実を受け入れなさいエンタープライズ。むしろ、あなたのためを思って明言を避けてくれた指揮官様に感謝すべきではなくて?」

 

 赤城がエンタープライズの耳元でささやく。だが、それを聞いたエンタープライズはすぐさま覚醒し、拘束から抜け出さんと暴れる。

 

「待ってくれ指揮官!わ、私のどこがいけないんだ! 頼む、教えてくれ……言ってくれたら何でも直すから、だから……!」

「だからそういうところが重いのよ貴女は?!」

「重いって言うな! そういうお前だって指揮官のパンツを盗んで自室で嗜んでいるのを私は知っているんだからな!」

「うん? ……赤城?」

 

 盗んだはまだわかる。なぜとか何のためにとか思わないでもないがまだギリギリ理解できる。

 でも嗜むってなんだ?

 ……吸うのか? 嗜好品なのか? 僕の下着は嗜好品なのか?

 

「ぬ、盗んだなんだだなんて人聞きの悪いことをいうのはやめてくださるかしら。指揮官様も本気になさらないでくださいね? 赤城は偶然、そう偶然指揮官様の部屋のクローゼットの棚の上から三番目の引き出しの中に落ちていた指揮官様のパンツを拾っただけですわ」

「くそ、私も欲しい……っ! なんだか私も指揮官の部屋のクローゼットの棚の上から三番目の引き出しの中に忘れ物があるような気がしてきた……指揮官、拾いに行ってきても良いだろうか?」

「だめに決まっているだろう。赤城もあとで返しなさい」

「もう食べてしまいました」

「ゑ?」

「それよりエンタープライズ、よくも私の秘密をばらしてくれたわね……。私だって貴女の秘密を知っているのよ。意趣返しにやり返すことだってできるんだから」

 

 いま何か決して流してはいけない爆弾発言があったような気がする。僕の聞き違いか?

 

「ほう? 言ってみるがいい。このエンタープライズに後ろめたい秘密などない」

「あらいいの? じゃあ言わせてもらおうかしら。貴女の秘密、それは──」

 

(指揮官、聞こえるか? 少し椅子を引いてくれ)

 

 む? どこからともなく女性の声がする。予想外の声にエンタープライズの秘密が暴露されるのを聞き逃してしまった。いやむしろ聞かないほうがいいに決まっているので不幸中の幸いかもしれない。椅子を引けといったか? よくわからないがとりあえず引いてみようか。

 僅かに腰を浮かせ、椅子を引いているとガコッと床板が外れ、白い狐耳がひょこっと顔を出した。

 

「加賀か!?」 

「すまないな指揮官、姉さまが世話になる。ああなったら私でも止められん。差し当たり今日はこの加賀が秘書艦業務を引き継ごう」

 

 切りそろえた白髪に白と青を基調とした着物。間違いない、赤城の妹の加賀だ。赤城とエンタープライズのキャットファイト(修羅場)の影響で完全に業務が止まっていたところだ。彼女は戦場でこそかなりの戦闘狂ではあるが基本的には至って常識人。これは非常にありがたい助っ人だ。

 しかしなぜ床下から……?

 

「今日の秘書艦が姉さまという時点でこうなる予感はしていたからな。よっと」

 

 加賀が足元から顔だけ出した状態から両肩、両腕と穴から這い上がってくる。その途中、片膝を出して床についた状態で動きを止めた。

 

「……どうした?」

「いや? しかし姉さまも困ったお人だ。あの悪癖さえなければな……ん゛っ」

「加賀?」

「別に? あー……今日は少し疲れただろう? あとで軽食を作ってやる。楽しみにしていろ。ぅ」

「加賀」

 

諭すように優しく彼女の名前を呼ぶ。

考え込むように俯いた加賀は、やがて観念したように俯いていた顔をあげ、厳かに言った。

 

 

 

 

 

「ハマった」

 

「……尻尾が、か?」

「そうだ」

 

 加賀が僅かに汗を滲ませ、ばつが悪そうに言った。両耳も心なしかしおれているように見える。執務机の下の穴は、床板一枚分の大きさ。大人であっても余裕をもって通れる広さではあるが、彼女の場合は赤城同様ふんわりとした太い尾が九本ある。引っ掛かるのは必然だった。

 

「もう私一人では進むことも退くこともできん」

「僕はどうすればいい」

「私を抱えて引っ張り出してくれ」

「どうやって」

「お姫様抱っこしかあるまい」

 

 加賀の紺碧の瞳が、じっと僕を見つめる。

 そうか……。確かにこの半壊した体育座りのような体勢の加賀を抱えて救出するという条件に最もふさわしい抱え方はお姫様抱っこである。実に合理的だ。

 今度は僕が冷や汗を滲ませる番だった。

 

「やろう」

「頼む」

 

 先ほどからずっと続いている赤城とエンタープライズの言い争いをBGMに作業を執り行う。つばを飲み込み、加賀の肩とふとももに慎重に手を回した。くそ、何故加賀の装束はふとももが完全に露出しているんだ。

 

「待て指揮官。抱えるのはもう片方の脚にしてくれ」

「……やってみよう」

 

 もう片方の脚、それはつまりこの加賀の現れた穴の下に残された体育座りの半壊側のことで間違いあるまい。

 立て膝の状態からさらに体を前に倒して手を伸ばし、奥の脚を下から抱えることに成功した。

 だがここで新たな問題が発生した。加賀の露わになっている胸元が目と鼻の先にまで近づいてしまったのだ。悲しきかな男のサガ。黒いインナーから零れる白い柔肌コントラストによってどう意識しようと視線が吸い込まれてしまう。くそ、なぜ加賀の装束は胸元が完全に露出しているんだ。

 

「見るな」

「難しい」

「……なら、あまり見るな」

「それも難しい」 

「……じゃあ私の顔を見ろ」

「その手があったか」

 

 言われた通り首を動かして加賀と目を合わせた。無論姿勢はそのままであるため、距離は非常に近かった。加賀は朱をかざしたようにわずかに頬を染めていた。

 

「加賀。照れるから目をそらしてもらえないか」

「断る。指揮官は私から目をそらすな」

 

 珍しく加賀がはっきりと否定した。しかも即答だ。何かその言葉には別に意味を凄みがあったので、つい勢いに押されて頷いてしまった。この件について深く考えるとなにか墓穴を掘る気がしたので、考えないことにした。

 

「持ち上げるぞ」

「やれ」

 

 加賀を抱えた状態でゆっくりと膝を立てていき、加賀を引っ張り出す。やはりというか意外というか、加賀は軽かった。年頃の女性の重量は知らないが、とりあえず想定よりは軽かった。

 そのままお姫様だっこで至近距離で見つめあったまま立ち上がると──

 

「加賀ァっ!!」

 

「はいぃ姉さまっ!」

 

「録画は!?」

 

「主観カメラばっちりです!」

 

「good job...」

 

 

 

 

「鑑賞会には是非このエンタープライズも呼んでくれ」

「「断る」」




レギュラー
 できる女 赤城

イレギュラー
 重いエンタープライズ
 食べる女 赤城
 生える女 加賀
 ハマる女 加賀

当初の予定ではできる女赤城しか登場しないはずだったんですけどね。
エンタープライズが乱入して修羅場勃発するし加賀はなんか地面から湧いて出てくるし……。
どうしたこうなった
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