君はエンプラちゃんを求めて特型建造を回し続ける初心者の私の元へまっさきに来てくれましたね。
他のSSRを押しのけ14回連続で。
おかげ様で私の最初一か月半は、高雄ちゃんとログインボーナスのプリンツさんしかSSRがいませんでした。
当然最初の好感度愛も高雄ちゃんです。そして勲章によるSSR支援というもの知ってワクワクしながらタブを開いた私を迎えてくれたのも高雄ちゃん、あなたでした。
私はもう、2:05:00 を見た瞬間息が詰まります。
先日、大型建造で愛宕さんをねらったところ、高雄ちゃんが4人遊びに来ました。
確率の壁を越えて、電子データの向こう側から重い愛を感じる。
「失礼する」
「遅刻しちゃったかな?」
ガチャリと扉を開けてやってきたのは摩耶とサン・ルイの二人。この二人は着任がほぼ同時期だった為か、よく二人一緒にいる姿を見かける。今日は上級自主訓練の帰りのようだ。
二人は室内を軽く見渡したあと、安堵したように息をついた。
「ふう、どうやら間に合ったようだぞ」
「良かった、今回を逃したら次がいつになるかわからないからね」
「む、新入りか。どこか空いている場所に座るといい」
エンタープライズが二人に気づき、声を掛けた。
二人のやってきた場所は会議室だ。風通しの良い大部屋で、中央に巨大なテーブルがありそのテーブルを囲うように無数の椅子が用意されている。部屋の隅にはキャスターのついたホワイトボードやスクリーンなどもあり、設備も十分整っているようだ。
「早速で申し訳ないのだが、これがどういった趣旨の集まりなのか教えてもらえないだろうか」
「ここに来ればこの泊地の精鋭と顔合わせができるとだけ聞いて来たんだよね」
「む、知らずに来たのか。まあ自然と猛者ばかりが集まるのは本当だが、興味がないのなら時間の無駄になりかねないな……。まあこの泊地の主戦力がどういった面々なのか見ていくといい。この会議の趣旨ならすぐにわかる」
エンタープライズはそれだけ言い残して、二人の困惑をよそに手元の資料の整理を再開した。彼女もこの会議を前に忙しいようだ。
とりあえず二人は目立たず視界の開けた場所にしようと、会議室の中でも隅の方にある座席に座ることにした。
改めて会議室を見回してみると、座席には一航戦の赤城加賀の姉妹や鉄血陣営のティルピッツ、グラーフ・ツェッペリンの姿がある。どちらもこの泊地で一、二を争う練度の艦だった。
「今日は空席が多いのね。珍しい」
「指揮官が休暇前に長期の委託を受けた。だからだろうな、普段見ない珍しい連中が来ている」
彼女が言っているのは机の上にノートを広げたクリーブランドやヘレナ、インディアナポリスの写真の束をアルバムに整理しているポートランドのことだろう。いやポートランドは何しに来たんだ。
ともかくこの部屋にいる艦のほとんどの艦が新参者の摩耶とサン・ルイにとっては雲の上の存在だった。それは最初に気さくに声を掛けてくれたエンタープライズも例外ではない。今までも自主訓練の傍ら、華々しい戦果とともに凱旋するのを遠巻きに眺めているのがやっとだった。
二人とも努めて平静を装っているが、緊張と萎縮で気が気ではない。互いにここに一人で来なくてよかったと内心思っていた。
鉄血の二人は腕と足を組んで深く椅子に座り込んでいる。傲岸ともとれるその態度も、外見と実力の双方が伴っているためかとても様になっている。この鉄血の二人がこの泊地を掌握している支配者と言われても思わず納得してしまうだろう。
例え場所が戦場ではなくとも、ただその振る舞いだけで強さが見えることもある。思わず摩耶とサン・ルイが小さく感嘆の声を漏らした。
「なんか……カッコイイね」
「実力に裏打ちされた自信というべきか……見事なものだ」
「ボクも早く肩を並べても恥ずかしくないくらい、強くなりたい」
この場にいるのは前回の威力偵察に向かって余暇のある精鋭が多い。彼女たちは常に海域攻略の尖兵として活躍していたため、母港で姿を見ることも稀だった。しかし、泊地の方針が基礎の増強に変わったことで大講堂のあたりなら見かける機会は多いだろう。主に中堅に留まっている後進たちの教育に専念しているようだ。
「あ、姉さん」
「む、どこだ?」
「ほら、端の席に」
摩耶の視線の先には、すずりに墨石を研いで議事録の用意をする高雄の姿があった。
今まで摩耶は執務室で指揮官の背後の壁に寄り掛かって腕を組んでいる姿しか見たことが無かった。寡黙な武士然とした艦で、同じ所属でありながらほとんど情報がない。分かっているのはこの泊地で最も古い艦ということと、恐ろしく腕が立つということの二点のみ。滅多に姿を見ることはないし、執務室で目にした時も話しかけるのは憚られた。
「……驚いたな。気配とはあれほどまでに見事に殺せるものだったのか。いや消しているのではなく、馴染ませているのか? わからん。ともあれよく見つけたものだ」
「うん、もしかしたらと思って探していたから。意識してなかったら絶対無理」
白という目立つ配色の衣装で物音まで立てているのにも関わらず、気を抜いたら見失いそうなほど、高雄の気配は希薄だった。指揮官の背後に控えているときもそうだ。無意識の隙間に入り込み、視界に入っているにもかかわらず、不思議と存在しないものとして認識してしまう。 物言わず不動を貫く姿には、もはや雄大な大樹のような印象さえ抱かせた。
時間が進むとともに、会議室のメンバーも増えていく。空席だったクリーブランドの周囲の席はモントピリアとデンバー、コロンビアが固めている。
他にも一心にインディアナポリスの写真を厳選していたポートランドの元には、アークロイヤルとグリッドレイが加わっていた。
「ふむ。そろそろ頃合いだな。では──
これより第48回指揮官攻略対策会議を始める!」
会議室にエンタープライズの明朗な声が響いた。エンタープライズが毅然と座っている席は、会議室全体が見渡せる議長席。席に座っている面々も真剣な顔をして聞いており、二人を除いてその表情に困惑の色はなかった。どうやらここに参加している摩耶とサン・ルイ以外は常連らしい。
「あれ。ボク何か聞き間違えたのかもしれない」
「奇遇だな摩耶。私もそう思っていたところだ」
二人は予想の範疇を遥かに越えた状況に現実逃避を始めた。だがそうしているうちにも会議は進む。
「本日の議題は『指揮官の好みの女性』だ。早速だが事前に予想を立てて候補を絞ってきた。我ながらなかなか的を射ていると思うんだが、どう思う?」
エンタープライズがごそごそと机の下からフリップを取り出した。先ほどまでせっせと用意していたのはこのフリップだったようだ。
フリップには大きな文字でこう書いてある。
①ヨークタウン級二番艦
②エンタープライズ
③グレイゴースト
④LuckyE
「ねぇ加賀。明らかに候補の上げ方がおかしいと思わない?」
「どうする姉さま? 処す? 処す?」
開始三十秒で会議室の空気が不穏なものに変わった。
「おっと、手が滑ったわ」
ゴトリ。
突然会議室に重厚な物音がした。
音のしたほうを見れば、なんとティルピッツが磁気魚雷をテーブルに構えている。
「あーっ! それはダメですよっ!」
音を不審に思いアルバムから顔を上げたポートランドが、ティルピッツの凶行に気づき咄嗟に制止しようと声を掛けるがもう遅い。
磁気魚雷はエンタープライズの元へと前進を始め──
「御免」
高雄が不意に言葉を発して、鞘を掴む左手の親指で、刀の鍔を僅かに押す。カチャリと音を立て、白銀の刃がほんの僅かに顔を見せた瞬間。
時間が止まる。
その剣閃に音は無く──
──その斬撃に速さは無く。
だが、バラバラに崩れた磁気魚雷だけが残った。
「……っ!?」
これに最も驚いたのは他でもないティルピッツだった。その紺碧の眼を大きく見開き、無残に分解された魚雷を見やる。隣に座るツェッペリンも同様に何が起きたのか理解できていない。目の前の光景が信じられないようだった。
「もーっ! いくらなんでも艤装の使用はご法度ですよ!」
一方のポートランドは直前の光景にまったく動じることなく、自分のペースを保ったままぷりぷりと怒りってティルピッツを諫めた。
「……す、すまない。浅慮だった。少し、頭を冷やす。……今のはポートランド、あなたが?」
ポートランドの言葉に我に返ったティルピッツが、どうにか謝罪の言葉を絞り出し、恐る恐る先ほどの現象について尋ねた。
「ええ? 海の上でもあるまいし、私そんな曲芸じみた真似できませんよぉ! 今のは高雄ちゃんが部屋が壊れないように止めてくれたんです」
「あ、あり得ない! 抜いた姿も見えなかった! 残像も、刀を収める姿も見えなかった! それも今の一瞬で、これほど正確に斬ったなんて、そもそも刃の届くような距離じゃ……」
「もう抜かせるな。次に抜けば、斬らねばならぬ」
平静を失い、うろたえるティルピッツを高雄の起伏を感じさせない声が遮った。
畏れすれ感じられる表情で、ティルピッツは息を呑んで頷いた。高雄が次に抜いた時、何を斬るのか。ティルピッツはそれを問うことができなかった。
当の高雄は、初めの姿勢から一歩も動いていない。自らの肩に立てかけるように刀を抱き、その眼も閉ざされた。もはや既にティルピッツの存在も気を留めていない。
「私も悪かった。正直に言うと結構真面目に作った資料だったんだが、煽るような内容であったことは否定できない。すまなかったな。もう身に染みてわかったとは思うが、会議中は荒事は避けるように。特に高雄がいる日は、な」
エンタープライズが会議室全員に謝罪の言葉を言った。一応自分がこの場の全員にケンカを売るような言動をした自覚はあるらしい。一方のティルピッツはエンタープライズの忠告に青ざめた顔で蒼銀の髪を揺らしながらコクコクと頷いていた。隣のツェッペリンも不遜な姿勢や表情に変化こそないものの、頬には冷や汗が流れていた。
「……摩耶は見えたか?」
「さっぱり。姉さん……すごい」
反対に摩耶は想像を絶する姉の実力に大興奮。山吹色の瞳を黄金に輝かせて、尊敬や崇拝の色すら浮かべて高雄の姿を見ていた。姉譲りの冷静沈着ぶりで多くは語らないが、今この瞬間摩耶は電撃的な衝撃を受けてハイテンションだった。
そこへ、クリーブランドが朗らかに声を掛ける。
「鉄血の二人とそこの新入りは高雄の居合を見るの初めてか? 本当に凄いよなぁ! 極限まで無駄を省いた、最速最短の不可避の速攻だぜ。滅多に見れるものじゃないぞ、ラッキーだったな!」
あはは、いやぁ久々に見たなぁなどと言いながらのんきに笑うクリーブランド。しかし周囲の姉妹は若干引いている。が、すぐに持ち直しむしろその肝の据わりように一層の尊敬を集め始めた。彼女の周りはだいたいいつもこんな感じだ。
「姉さま。あの重巡洋艦こわい」
「加賀。あなた面接の時に高雄が要人警護の委託に出てなかったら、今頃体と首が離れてたかもしれないわね」
もしその時この泊地のどこかにいたなら、確実に現場に駆けつけて来て言語道断で一刀両断していただろう。そう確信できる圧が高雄にはあった。
「お、撮れてる」
「本当か!? さすがグリッドレイ先生! ってなんだこれ」
この場に居る唯一の駆逐艦グリッドレイもまた、百戦錬磨の古豪。信じがたいことに刹那の見切りで高雄の神速の一刀を捉え、その瞬間をカメラに収めていた。
これには高雄の神速を知る者たちも驚く。いや、知っているからこそ驚いている。
だが、となりのアークロイヤルがその写真を覗いてみると、
「なんか魚雷に向かって白い帯が伸びてるぞ」
「あ、やっぱり? どうしてもカメラの性能の方が追い付かないよね」
「わぁーすっごいですねぇこれ。師匠、やっぱりこんど演習中のインディちゃん撮ってくださいよぅ。師匠ならとびっきりの一枚撮れますよね?!」
「いやよ。誰を撮るかは私が選ぶの。撮り方は教えてあげるから、自分で撮りなさい」
「すまない、そろそろ本題に戻らせてくれ」
ここでエンタープライズが停滞していた会議の軌道修正を図った。そもそもスタートの瞬間から軌道が間違っているがそれを指摘するものはここには──
「本題も何も。グレイゴースト、貴様が開始早々にふざけたことを言い出すからこうなったのだろうが」
いた。エンタープライズを敵視する一航戦の妹の方が噛みつくようにそもそもの矛盾点に噛みついた。姉の方もうんうん、と頷いている。
「真剣な顔で調子付きおって、滑稽だなグレイゴースト。だいたい此度の議題だがな、我ら一航戦は既に指揮官から好みの女性の何たるかを聞き出している!」
「そうよ、先日私が指揮官様から直接──え? 何故加賀がそれを知っているの?」
「そういえばなぜだろう! まったくわからん、不思議だなあツェッペリン!?」
「我に振るな。誤魔化すにしても、もう少しやりようがあるだろう」
ツェッペリンを巻き込もうとするも強引が過ぎるあまりあえなく失敗。赤城が加賀をどうしようもないものを見る目で見ている。
「まあ、あとで聞き出すからいいわ。加賀は敵対心むき出しみたいだけど、私はそう思っていないの。
というのもこの愚妹が指揮官様に襲い掛かったせいでまた指揮官様が更に女性から距離を置こうとしているわ。ここはひとつ協力して指揮官様を少しずつ絆さなくてはならないと思うの」
「同意だな。私も指揮官から避けられているような気はしていた」
「いや、エンタープライズのは前からだと思うんだけど……」
「やめてあげてクリーブランド。真実は時に何よりも恐ろしい刃になるのよ」
ヘレナがクリーブランドを諭すが、放った言葉は取り返せない。予想していない方向から突然現実を突き付けられて、エンタープライズが苦しそうに胸を押さえて呻いている。
「そこのへんなのは放っておいて、皆さんには指揮官様から聞き出した好みの女性のタイプについて話そうと思うの」
「なっ! 正気ですか姉さま!? せっかくのアドバンテージを何故!」
「加賀は黙ってなさい。これはあなたの尻拭いでもあるのよ」
「赤城、お前そんな指揮官攻略会議の意義を根底から覆すような情報を……」
赤城から指揮官の情報が聞きだせると思うや否なエンタープライズがすぐさま復活する。
赤城はこういう場で嘘を吐くような人物ではないし、情報源も指揮官から直接聞いたというのだから信憑性もある。この場の全員が赤城の言葉に真剣に耳を傾ける。
「準備は良い? 一度しか言わないからそのつもりで。指揮官様の理想の女性像は──」
会議室が静寂に包まれる。これだけの人数がいながら、一切の音が消えた。奇妙な連帯感がそこにあった。
「まず、常識を弁えた落ち着いた人物で──」
((((私の事か……?))))
「執務、戦闘の両方で頼りになって……」
(((((私の事だ……)))))
「なによりも一途な女性が好みだと仰っていたわ」
そうか、指揮官は──
「「「「私のことが好きだったのか……」」」」
「ちがぁーう!!」
全員が全員、赤城の言葉から指揮官の好みのタイプが自分自身だと思って疑っていなかった。
指揮官に向ける感情の種類は十人十色、それぞれが困ったように顔を赤らめたりガッツポーズをしたり、多種多様な反応をしていた。一部の席からは『私には姉貴が……』とか『子供は10人……』とかぶつぶつと聞こえてくる。
「貴女たちいくらなんでも自意識過剰が過ぎるわよ! だいたい、この言葉は"指揮官様"が、"私に向かって""二人きりの時に"くださった言葉なの! これはもうどう考えても指揮官様のぷ、プロポーズでしょう!?」
「自意識過剰は赤城、お前の方じゃないのか? 指揮官はただ赤城の質問に答えただけだろう」
「な、何を世迷言を……」
前のめりで吠える赤城を、エンタープライズの冷静な一声が制した。やはりこういう場面での振る舞いには貫禄がある。自分を見失わず、常に客観的な視点で物を見て判断できる力は本物だ。
「そもそもお前が協力しようなどと言い始めた時点で妙だとは思っていた。自らの優位を打算も無しに捨てる貴様ではあるまい。というかお前の言葉を認めると指揮官とらぶらぶちゅっちゅのチャンスがなくなるから絶対認めない」
最後の一言で全部台無しになった。だがそれは赤城と加賀を除いた全員の総意でもある。
「そういえば指揮官は自分の言った言葉の意味をよく分かっていなかったな……」
「加賀は黙ってて」
「ハイ」
思い出したようにぼそりと呟いた加賀だが、赤城にキッと睨みつけられて小さく縮こまってしまった。
今の加賀の言葉は先ほどの赤城の主張を否定する何よりの根拠だ。呟いた加賀の声はか細く小さなものだったが、聞き逃したものはこの場にはいないだろう。
と、ここでクリーブランドとともに座るモントピリアが、ちょこんと手を挙げて発言した。
「ねえ赤城。一応聞いておきたいんだけど、さっき言ってた指揮官の好みの女性像っていうのは本当なんだよね? い、いや別に興味ないけど。別に興味ないけど!?」
声を上ずらせながらの言葉に、赤城は苦々しい顔で答えた。
「本当よ。悔しいけど、あてはまる人物が多いのは認めざるを得ないわ。まあ、例外もいるみたいだけど?」
赤城は言いながら、エンタープライズに嫌らしい笑みを向けた。それに対しエンタープライズは、
「ああ、お前たち非常識だもんな……」
「あんたに言ってんのよ!! そんな憐れむような眼で見るな!!」
「っ! っ!! っ!! っ!」
「加賀あんた黙っててもうるさいわね!?」
どうやら加賀は姉と一緒に非常識枠にまとめられたのが腑に落ちないらしい。本人は認めないだろうがエンタープライズともども同じ穴の狢だ。どんぐりの背比べだ。むしろお前が一番深みにはまっている。
と、またしても停滞しかけた会議に、ポートランドが鶴の一声。
「はいはーい! 前に私が指揮官にインディちゃん可愛いでしょって聞いたら、指揮官は確かにインディちゃんのこと可愛いと思うって言ってましたよー!」
「詳しく」
いがみ合っていた一航戦は瞬時に静かになった。即座に続きを促すエンタープライズも手慣れている。
「え? インディちゃんについての詳細を語らせたら世界が終わるまで続くから語るだけ無駄になるけどそれでもいい?」
「すまない私が悪かった」
目がマジだった。エンタープライズはすかさず謝る。今日一番の英断だった。
「なら、その時のいきさつを要点をかいつまんで話してもらえるか?」
「はいはーい。前にですね、私が秘書艦をしていたときのことなんですけど、インディちゃんが委託完了の報告に来た時にですね、指揮官が報告書に目を通してる間ずぅーっと上目遣いで指揮官のこと見つめながら待ってたんですよ! これがもうほんっっっとうに可愛くって! 私が思わず指揮官に同意を求めたら本当に同意が返ってきたんですよ!」
クリーブランドが熱心にノートにシチュエーションをメモしている。鉄血の二人は逆にインディアナポリスではなく指揮官の上目遣いを勝手に想起して身悶えしていた。
というのもツェッペリンとティルピッツは身長が高いため、よく指揮官から見上げられる。その時、指揮官はどうしても上目がちになってしまうのだが、破壊力がやばい。上目遣いというキーワードからの連想が生み出した悲劇だった。
それは同じく高身長のサン・ルイも例外ではない。上目遣いの指揮官を脳裏に浮かべ、何か自分の胸にぐっとくるものを感じた。
「ふむ。ポートランドは指揮官がインディアナポリスのどういう所にかわいらしさを感じたと思っている?」
「そうですねぇ、インディちゃんはとっても可愛いですけど、指揮官がぐっと来たのはやっぱり、物静かで大人しいインディちゃんがそばにちょこんと寄り添ってくれるところだと思いますよー」
「ありがとう。参考させてもらう」
ポートランドの情報は彼女たちとってかなり有益なものだった。指揮官が自分に『可愛い』を求めているかどうかはともかくとして、どんなものに『可愛い』を感じるかは知っておきたい。そういう思惑があった。
「あ、なら私からも。
指揮官にはロリコン疑惑がある」
──その時会議室に電撃走る。
グリッドレイだけは身を乗り出した。
「それは一体──」
キーンコーンカーンコーン。
「くそっもう時間か!? 延期は……無理か。次の議題はその爆弾発言についてだ。アークロイヤル、説明の責任は果たしてもらう」
皆が皆、釈然としない顔、あるいは不安そうな面持ちで会議室からぽつぽつと出ていく。事の真相が気になるのは全員同じだが、みな多忙な中どうにか時間を絞り出してこの会議に出席している。後ろ髪をひかれる思いはあるが、職務は果たさねばならなかった。
「姉さんっ!」
ずっと蚊帳の外だった摩耶が、退出しようとする高雄の元に駆け寄る。ずっと声を掛けるチャンスをうかがっていた。
「ボク、姉さんに──」
言いたいことはたくさんあったはずなのに、本人を前にすると頭がいっぱいになっていしまう。早く、何か言わなければ……!
だが、高雄は摩耶の髪を手で優しく梳きながら、小さく微笑んで言った。
「摩耶。指揮官殿はそなたに期待している。……精進せよ」
「──はいっ!」
摩耶精一杯の元気な返事をして、摩耶は高雄の後ろをついていく。
指揮官の懐刀が二本になる日も、そう遠くはないだろう。
会議室には、エンタープライズとサン・ルイの二人が残った。
「さあ、君も戻りたまえ」
「ああ。そのつもりだが──!」
「あれは──!」
会議室を退出するその瞬間。サン・ルイとエンタープライズの両名は見つけてしまった。
グリッドレイのいた席。ひらりと落ちたのは
「「指揮官の生着替え写真──!」」
二人は目を見合わせ、すぐに視線を写真に戻す。
この場にいるのは、二人だけ。
──どちらかが勝てば、どちらかが負ける。
敗けられない戦いがここにある……!
摩耶とサン・ルイ、何かと一緒に編成してるから仲良くしていたら嬉しいナァ
8500文字なんて初めて書いたぞオラ?! 詰め込みすぎてパンクする。
無限に話が膨らむから結構端折ってしまった。
摩耶は多分大丈夫。サン・ルイはダメだったよ……(諦観)
ツェッペリン視点で書いたら小回りが利かないから三人称で書き直すなどした。
ビビってる気弱なティルピッツがかわいい(小声)
がんばって書いたから感想ください(直球)