折れても再び立ち上がる 作:Seasoned Seaweed
「秋山さん、結局練習に来ませんでしたね」
「メールは返ってきた?」
「ぜーんぜん。電話かけても圏外だし」
「どうしたんでしょう」
この日、秋山は学校に来なかった。先生たちも知らないようだったので放課後秋山の家に突撃することになった 。
「いらっしゃいませ」
「すみません。あの、優花里さんはいますか?」
「あんたたちは?」
「友達です」
「いつも優花里がお世話になってます。優花里、朝早く家を出て、まだ学校から帰ってないんですよ。どうぞ2階へ」
秋山のお父さんがすごい反応をしたけど、あまり気にせず2回の秋山の部屋で待つことにした。しばらく待っていると、突然窓が開いて秋山がシュタッと入ってきた。
「あれ~?皆さんどうしたんですか?」
「秋山さんこそ」
「連絡がないので心配して」
「すいません。電源を切っていて」
「つかっ、何で玄関から入ってこないのよ!」
「こんな格好だと父が心配すると思って…でも、丁度よかったです!ぜひ、見ていただきたいものがあるんです!」
そして、始まったのが『突撃!!サンダース大付属高校』というタイトルのビデオだった。内容は秋山がサンダースに潜入して、相手の戦術や部隊編成を調べるというもので、新鮮撮れたての産地直送だった。最後に潜入がバレてしまったから、作戦を変えられるかもしれないが、それなりに有益な情報であることに間違いはない。映像が終わって沙織が心配そうに尋ねた。
「いいの?こんなことして」
「試合前の偵察行為は承認されています」
「実際にやる人はそんなにいなにけどね。まあ、私は一回やったあるけど、みほのチームの偵察」
「え、そうなの!?」
「もちろん負けたけどね。それはまあいいでしょ」
「西住殿、オフラインレベルの仮編集ですが参考になさってください」
「ありがとう、秋山さんのおかげでフラッグ車もわかったし頑張って戦術立ててみる!」
次の日の放課後、みほと二人でサンダース戦の作戦を立てるために、私の寮に呼んだ。そして、秋山の潜入動画を基に戦術を立てて、一段落したところで休憩することにした。
「とりあえず、こんなものでいいかな?ちょっとお茶しよ」
「うん、私も手伝うよ」
「いいから座ってて、お客さんだし」
私はダージリンさんに頂いた紅茶とお茶菓子を用意して、軽くつまみながら再び戦術についての話の続きを始めた。
「作戦通りいけば十分勝てそうだけど、そんなに上手くはいかないよね」
「うん、そうだと思う。それに、秋山さんの潜入動画を基に立ててるから、この間の潜入の後に作戦とか編成を変えられたら、流石に難しいかな。」
「作戦を変えてる可能性は十分にあるよね。最後に潜入バレたし。でも、多分変えてこないんじゃないかな?」
「どうして?」
「抽選会の時サンダースの人達うちと当たって、大はしゃぎしてたじゃん。まるで、一回戦は突破したみたいな。だから、相当うちのこと舐めてるし、私とみほの存在も知らないんだと思う」
「まあ、そうだよね。素人ばかりのチームだし下に見られてもしょうがないよね」
「でも、舐められてるからこそ、勝機がある。サンダースは上向いて足元掬いやすいからそこを狙っていこう」
最初に立てた作戦通りにいくことはほとんどないから、様々なシチュエーションを想定していくつか新たに戦術を考えるためにもう一度潜入動画を見ることにした。何度見ても映像やサンダースの作戦が変わるわけではないので、それ以外の背景や細部に注目してみることにした。すると、戦車倉庫の奥の隅に少しだけ気になるものが映っていることに気づいた。
「みほ、ちょっとだけ映像戻すよ」
「うん、いいよ」
「ここの奥の小さい気球っぽいのって、もしかして通信傍受器じゃない?」
「うーん…どうだろ?小さいからよく分かんない。でも、サンダースなら持っててもおかしくないよね」
「そうだね。流石に使ってこないと思うけど、一応頭の片隅にでも入れておこうか」
程なくして戦術が固まったのでお開きすることになった。それから数日後、ついに全国大会の当日となった。
戦車の整備が整い、河島さんから試合まで待機という号令がかかった。その直後にタイミングを見計らったようにサンダースの人がこちらの待機所に来た。
「暢気なものね。それでよくノコノコと全国大会に出てこれたわね」
「貴様ら何しに来た!」
「試合前の交流も兼ねて、食事でもどうかと思いまして」
これは恐らく、単純に試合前の交流ではなく、財力の差を見せつけこちらの戦意を削ぐのが目的である。これはもう既にこの時点で試合が始まっているということを意味していた。会長はこの食事会の意味をきちんと理解しているようで、敢えて堂々とこの申し出を受けた。
しかし、私はその食事会には参加せずに待機所で留守番することにした。流石に全員で行って待機所をすっからかんにするわけにはいかないからだ。しばらくして、全員帰ってきて試合の準備が始まった。
2020v-dayゼクシィ武部も引いたことを後書きにて報告します。あと。お気に入り50件ありがとうございます。