折れても再び立ち上がる 作:Seasoned Seaweed
どのスポーツでも試合前には必ず挨拶を行う。戦車道でもそれは同じで試合開始前にチームの隊長とその他数名(出席は任意)と審判を交えて挨拶を行う。一回戦サンダース大付属高校対大洗女子学園の挨拶に出席したのは、サンダース側はケイ、そして大洗側は角谷杏だった。
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「サンダース戦の作戦はこれで行きたいと思います。ただ、試合の状況によって戦術を変えていく必要があるので、情報共有を密にしてください。フラッグ車はカメさんチームにお願いします」
「あの、すみません。質問いいですか?」
「何かな?澤さん」
「何でフラッグ車が、カメさん何ですか?フラッグ車がやられちゃったら負けだったら強い戦車をフラッグ車にした方がいいと思うんですけど。IV号に乗ってるあんこうチームフラッグ車じゃダメなんですか?」
「それは私が答えるよ。基本的には澤の言ってる通り強い戦車の方がいいんだけど、うちの場合戦力が少なすぎるんだよ。うちの戦車で相手のシャーマンを倒せるのはIV号とIII突、あとM3の75ミリ砲ぐらい。一応38(t)も超至近距離でギリギリ装甲抜けるかなって感じだけど89式じゃゼロ距離でも多分無理。だから、IV号をフラッグにするとシャーマンを倒すために前線に出せるのが2両になるから火力面でさらに不利になるから89式か38(t)をフラッグ車にするしかないんだよ」
「なるほど、そういう理由があるんですね」
その後いくつかの質問にみほと二人で答えて順調に作戦会議が進んだ。特に澤からの質問が多く、以前の失敗を取り戻そうと一生懸命に戦車道を知ろうとしているようで少し嬉しくなった。作戦会議が終わりに近づいたところで、会議中に思いついた新たな作戦を提案した。
「あのさ、隊長を会長に変えない?」
「なんでかな、夏樹ちゃん?隊長は西住ちゃんの方がいいでしょ」
「もちろん、指揮はみほに任せますよ。あくまでも書類上の話ですよ。サンダースはほぼ間違いなくうちを舐めていますが、流石に隊長が西住流となれば少し警戒してくる可能性もあります。同じ理由で副隊長も別の人にお願いしたいかなって。うちのこと舐めてるなら、隊長を無名の人にしてとことん舐めさせてやればいいと思います。」
「確かに一理あるね~。相手に油断させて隙を作らせるってことだね」
「そうですね。まぁ抽選会の時にみほが代表でくじを引いたから、あまり効果がないかもですけど、念には念を入れておいたほうがいいので」
「じゃあそうしよう!それで、副隊長はどうするの?」
「ゼク...武部に任せたいです。理由はぶっちゃけカメさんチームとみほ以外なら誰でもいいんで、今一瞬目が合った武部でいいです」
「いやいやいやおかしいでしょ!」
「まぁ名前だけだからさ。それに、試合前の挨拶は隊長さえいればいいから。あと、名前だけでも副隊長だとモテるかもよ?」
「...わかった。やる」
うわっこいつちょっろwwwっていう言葉を喉の奥にしまって、一先ず付け焼刃の情報戦的なものを最後に立てて作戦会議は終わった。
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「それでは、サンダース大付属高校と大洗女子学園の試合を開始する」
「よろしく」
「あぁ」
挨拶が終わると、お互い待機場所に移動した。試合開始の合図があるまで少し時間があるので、みほが作戦の内容を改めて軽く説明した。
「説明した通り、相手のフラッグ車を戦闘不能にした方が勝ちです。サンダース付属の戦車は攻守ともに私たちより上ですが、落ち着いて戦いましょう。機動性を生かして常に動き続け敵を分散させてIII突の前に引きずり込んでください」
「「おぉー!」」
「試合開始!」
合図と共に作戦通り森の中に移動し、最初の潜伏地に到着した。そして、予定通りに偵察を出す指示をした。
「うさぎさんチーム、右方向への偵察お願いします。あひるさんチームは左方向を」
「了解しました」
「こちらも了解」
「カバさんと我々あんこうは、カメさんをも守りつつ前進します。パンツァーフォー」
2両を偵察に出し、森の中を前進しているとうさぎさんチームから通信が入った。内容はシャーマン3両を発見し、これからおびき出すとのことだった。しかし、そのすぐ後にまたうさぎさんチームから通信が入った。
「シャーマン6両に包囲されちゃいました!」
「うさぎさんチーム、南西から援軍を送ります!あひるさんチームついてきてください」
「じゃあ、私たちは単独で目標地点まで向かうね」
「お願いします。後ほど合流します」
「了解」
2両が援護に向かい、カメチームだけ予定通りに進軍することになった。状況を整理すると、こちらが一両に対し、サンダースはフラッグ以外の全車両を森の中に投入していて完全に行動が読まれている感じだった。強豪校の隊長ともなればこちらの行動を予測できるとは思うが、流石に戦力が過剰すぎることが引っ掛かり、少し悩んだが頭の片隅に入れておいた通信傍受機らしき物のことを思い出し、すぐにキューポラから頭を出し空を見渡すと白い気球が浮かんでいた。
「急にどうした?」
「やっぱりか。落ち着いて聞いてください。通信傍受機が打ち上げられています。みほたちと合流するまで通信は切って下さい」」
「何ぃ!それは反則だろう!審判に抗議しよう!」
「河島さん落ち着いてください。ルール上無線傍受は禁止されていません。まぁ正確には無線傍受に関するルールが存在しないだけなんですけど」
「それでも卑怯だ!」
「そうですけど、あの隊長は無線傍受をするような感じじゃないので、恐らく他の隊員の独断によるものだと思います。なので、みほ達と合流してから考えます」
しばらくして、みほ達が一両も撃破されずに合流してきた。私はキューポラから出て通信機を通さずに直接聞こえるようにみほに話しかけた。
「みほ!もう気づいてるよね?」
「うん、通信を傍受されてるね」
「どうする?」
「うーん...あ、そうだ!」
みほが考えたこの状況を打破する作戦を聞いて、やっぱり私はみほに勝てないと感じた。しかし、少し勝利への希望が見えて全体の士気が上がった。
次も恐らく遅くなります。どうか気長に待ってください。