折れても再び立ち上がる   作:Seasoned Seaweed

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こちらは後編となっております。


私は追いかけ追われている(後編)

その頃、逸見エリカは隊長である西住まほと共に大洗対サンダースの試合を観戦していた。

 

「サンダースのあのシャーマン達、あの距離で当てられないなんて情けないですね」

「確かに思うところはあるが、これは大洗が一枚上手だったようだ。相手が格下な上に最弱の戦車だった故に、油断していたところを発煙筒でファイヤフライを封じられ少しパニックになっているのだろう。それに行進間射撃だから当てるのがそもそも難しい。見た目以上に非常に計算された作戦だな」

「...おそらくこの作戦は夏樹隊...夏樹さんが考えたものだと思います。この嫌らしさは元副隊長でも難しいかと」

「恐らくそうだろう。私見だが、彼女は戦車を攻撃するというよりは選手を攻撃する戦車道という印象が強い」

「仰る通りです。彼女は以前『戦車道は戦争ではない、武道だ。戦っているのは選手であって戦車ではない。どんなに強い戦車に乗っていても乗員が攻撃出来なきゃ車と一緒だ』と豪語していました」

「確かに一理あるな。決勝まで勝ち上がってきたら注意しよう」

「流石に大洗はサンダースに勝てませんよ」

「油断して今まさに足元を掬われようとしているのがそのサンダースだ。注意しておくに越したことはない。サンダースが勝てばただの杞憂で済むがな」

「杞憂ですよ」

 

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先程までは回避に集中していたが、アヒルさんチームの防汚外のおかげでようやく攻撃できるようになった。しかし、やはり行進間射撃の練度が低く当てることができない。また、援護に来ていない相手の残り車両の存在も気がかりで涼は回避に集中しつつも相手の作戦や意図を読もうとしていた。何故4両しか援護に来ていないのか、単純に先に回りさせたと考えるのが普通なのだがそれにしては到着が遅い。他に考えるとしたら念のため偽の集合場所にも向かわせたのか。しかし、敵フラッグから直接こちらの位置が報告されているはずだから、わざわざ向かう必要もないし全車両で援護に向かうべきだ。

 

結局わからないまま状況が進んでいき、少しづつ焦り始めたところにアヒルチームから通信が届いた。

 

「こちらアヒルチーム。最後の発煙筒2本共シャーマンに乗せることに成功したんですけど撃破されました」

「アヒルチーム怪我人は!?」

「大丈夫です!」

 

怪我がないことをホッとしつつ、相手の攻撃できる車両が現状1両になったことを喜んだ。しかし、煙幕が晴れるまでのごく短い時間だけのことで早く仕留めなければならない状況なのは変わりない。距離も縮まってきたのでカバさんチームも後方に回して盾になってもらった。相手の砲撃のタイミング読み、何度も回避の指示を出し続けていたが、タイミングをずらされてついに38(t)の砲塔の側面を掠めた。

 

「あんなに近づいてきた!」

「追いつかれるぞ」

「だめだーやられた!」

「みんな落ち着いて!落ち着いて攻撃を続けてください。敵も走りながら撃ってきますから。当たる確率は低いです。フラッグ車をたたくことに集中してください。今がチャンスなんです。当てさえすれば勝つんです。諦めたら負けなんです!」

「西住殿の言う通りです」

「そうだよね!諦めたら負けなんだよね!華、撃って撃って撃ちまくって!下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるって。恋愛だってそうだもん!」

「いいえ、一発でいいはずです。冷泉さん、丘の上へ。上から狙います」

「稜線射撃は危険だけど優位に立てる。かけてみましょう」

「行くぞ」

 

あんこうチームと別れた数分後、IV号から放たれた砲弾がシャーマンのウィークポイントを正確に撃ち抜き白旗を上げさせた。試合終了のアナウンスの後、全員があんこうチームのもとに集合して勝利の喜びを分かち合った。

 

その後、会場に戻り挨拶を終えるとサンダースの隊長が話しかけてきた。

 

「あなたがキャプテン?と、38(t)の車長?」

「え?あ、はい」「そうですね」

 

ケイさんはニヤっと口角を上げてこちらを見るとみほもろとも抱きしめられた。

 

「Exciting! こんな試合ができるなんて思わなかったわ!」

「あの」

「何?」

「4両しか来なかったのは?」

「あなたたちと同じ車両数を使ったの」

「どうして?」

「That's 戦車道!これは戦争じゃない。道を外れたら戦車が泣くでしょ。盗み聞きなんてつまんないことして悪かったわね」

「とんでもないです。私は無線傍受されていることに気づいたことをサンダースのフラッグ車に伝えて、サンダースとケイさんの名誉を盾に脅してフラッグ車を誘き寄せたんです。こちらこそ本当に申し訳ないです。ですので、フラッグ車の子をあまり責めないで上げてください」

「そもそもあの子が無線傍受なんてしてなかったらあなたがそういう事しなかったんだからあの子の方が悪いよ。でも、正直に話してくれてありがとう。それと、おめでとう!」

「ありがとうございます!」

 

 

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ケイは大洗の隊長達と握手を交わしてチームメンバーの元に戻って物凄く申し訳なさそうに俯いているアリサに声をかけた。

 

「あの子に聞いたよ脅されたんだってね」

「はい...」

「でもそれとこれとは別だからね。後で反省会するから」

 

最後の大会で悔しいとは思うし、自分の部下が不正を働いたことを申し訳ないと思いつつ、非常に楽しい試合ができたことを心の底から喜んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アリサちゃんごめんね。嫌いじゃないんだよ。ごめんなさい。
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