たぶん、続かない。
「なあ、ヤンデレってどう思う?」
「……なんだい、藪から棒に。とうとう
「確かに俺がオタクなのは否定しねーけど、二次元と三次元をごっちゃにしたりはしねーよ。
いやさ? 昨日適当にネット小説とか漁っててさ、色んなラノベのクロスオーバーとかオリ主とか普通のオリジナルとか、色々。
そしたらヤンデレ物が目についたわけよ。
それで読んでみたら意外に面白いんだよ、主人公が無自覚系だったり、はたまたエログロだったり、そもそもそういう修羅場を楽しみにする話とか、まあ総じて主人公がイケメンなのがちょっとムカつくんだが、それも含めて楽しめたからいいんだけどな。
それでよ、終盤に近づくにつれてヒロインが主人公に依存してたりでちょっと可笑しくなったり奇行に走るわけなんだが、そこで俺はふと思ったのよ。
これ、病んではいるけど本当にデレてんの? って」
「……なんていうか、言いたいことはなんとなく分かった気がするよ。
つまり、本当に好きなら相手の事を困らせようとしたり、浮気相手とか本人殺したりするのか、ってことだね?」
「そうそれよ。俺が読んだ話とか、大体nice boatよろしく首刈られたり、監禁からの逆レでテクノブレイクだったからさ、なんていうか……それで幸せなのかなってさ」
「まあ、それはやっぱり仕方ないんじゃないかな、話の都合上。ヤンデレがメインなのに、普通にカップルやってたら詰まんないと思うよ。
そもそも『相手を殺したいくらい大好き』とか『他の誰かにとられるくらいなら殺して自分のものにする』とか、そういう考えなのがヤンデレって言うんじゃないの?」
「おう、結構知ってんのな。まあ大体合ってる。
でもよ、それって本当に好きって言えるのか?
好きな相手って普通殺さないよな」
「そもそもヤンデレは普通じゃ無いんだろうけど……多分考え方の違いなんだよ、きっと。
例えば君に好きな人がいたとするよ? そうだね……タイプって訳じゃないけど、いつも優しくて頼りになって、話してると楽しい人とか、そんな感じの子。
でも彼女には他に好きな男の子がいたとして、君ならどうする?
頑張ってアプローチする? それとも身を引く?」
「むぅ……まあその子に、本当に好きな人がいるんだとしたら身を引くよ。
やっぱり、好きな子には幸せになってほしいし」
「そこだよ、きっと。彼女たちと君の違いは。
身を引くのが君で、それでも諦めない人がいて、その中でもちょっと過激なのがヤンデレってこと。
つまりはさ、好きなのは好きなんだけど、幸せにしたくもあるんだけど、それでも自分も幸せになりたいのが彼女達ってことだよ」
「あー、なるほど。考え方の違いってそういう……」
「自分は幸せになりたいし相手も幸せにしたい。
けど相手は他に幸せにしたい人がいて、それでも諦めきれなかったり、自分の方が幸せにできると思ってたり、そういった思いが重すぎて、最終的に病んじゃうんだと思うよ。
愛とか恋って結構自分本位なところあるから」
「オッケーオッケー、大体分かった。流石生徒会長、説明がスッゲー分かりやすいよ」
「どういたしまして……でいいのかな?」
「いいんだよ。感謝はタダなんだから素直に貰っとけよ」
「じゃあどういたしまして、だね」
「おう。
ちなみにお前はどうなの?
自分が好きな男に他の好きな女の子がいたとして、お前だったらどうする?
頑張ってアプローチする? それとも身を引く?」
「──いるの? 好きな人?」
「……ん? いや俺の話じゃねえよ? お前に聞いてるだけで」
「……あぁ、いやごめん。ちょっと聞き間違えちゃったのかな。変な声出してごめんね?」
「いや、気にすんなよ。声低くなってちょっと怖かったけどな」
「はは……ちょっと、ね。
で、僕の話だっけ。諦めないか、身を引くか。
……やっぱり、諦められないかな。だって好きなわけだしさ。他に好きな人がいるだけで諦めきれないというか、僕の方が幸せに……いや、これは違うよ? 病んでるわけじゃないからね?
──こほん。
つまりもっとアピールをして、僕の魅力を知って貰えば、自然と振り向いてくれると思っているのさ、僕は。
自意識過剰かもしれないけど、やっぱり好きな人とは一緒にいたいからね」
「おおう、なんというか……大人だな。俺には真似できないぜ、お前のそういう自信家なところ。
そういえば生徒会長の立候補の時も真っ先に手挙げたって聞いたし、やっぱりすげーよお前」
「いやいや、それほどでもないよ、全部君のおかげさ。君が応援してくれたから、僕は頑張れたと言っても過言ではないよ」
「ははっ、それは流石に言い過ぎだぜ。皆もお前を支持してたし、俺はそれに乗っかってただけさ」
「……君って結構お調子者のくせに、わりと謙虚というか、誠実だよね。そういうところが良いんだけど、もっと胸を張るべきというか……そう、もっと調子に乗るべきだよ」
「ばーか、お調子者が更に調子に乗ってどうすんだよ。思い上がりが止まんなくなっちまうだろうが」
「その時は僕が止めるさ。なんなら代わりに僕に乗ってもいいよ? 生徒会長は力持ちだからね」
「生徒会長は担ぐもんだろ」
「僕が乗ってほしいのさ」
「やめとけ、俺は重いぞ」
「僕だって重いさ。こんなに思ってるんだからね」
男の子:高校二年生くらいの帰宅部
ちょっぴりオタク
基本ただの良い奴
優しいけどモテない
謙虚なムードメーカー
女の子:高校二年生くらいの生徒会長
ちょっぴりヤンデレ
基本清楚系僕っ子優等生
優しくてモテて頭も良い
やっぱり愛が重い
会話と会話の間は一行開けた方が良かったかも。