「スピードが上がったところで!慣れてしまえば楽なんだよ!」
俺は三池典太を握り、冥獣に斬り掛かる。
「殿!少し頭に血が上りすぎです!下がって下さい!」
「あ…あぁ…、すまねぇ…」
三池典太に「下がれ」と言われてなければ、このまま神風特攻をするところだった。
「ど…どうかしたんですか…いきなり、向かっていくなんて…」
俺の変化に気付き、『煩悩の姫』が聞いてきた。
「あ…すまねぇ…取り乱してたか…、いや、何か「見たことがあった」気がしてな…」
「…どうしてです?貴方の世界には冥獣は…いないはずでは?」
「…「ココに来る途中」…「ホワイトスリップ」の途中だったか…アレに似た何かが人を襲うのが見えた…」
確かにそうだった。しかし、あの時、襲っていたのは「民間人」ではなく…「魔剣使い」だったが…
「…折角の2対1なんだ。連携してかねぇとか…」
俺はそう言って三池典太を見た。そして見た。三池典太が傷付いているのを…
「三池典太…大丈夫なのか…」
「…殿の無茶に付き合った結果ですよ…あ、大丈夫ですよ。全然…」
三池典太が俺をフォローしようとしてるのが、ひしひしと感じた。
「そっか…すまなかったな…。少し休んでてくれ…」
俺はそう言って、『戦槍ミネルヴァ』を持つ…いや、俺の身体が自然とミネルヴァを選んでいた。そうか…あの冥獣には、「太刀」は相性が悪かったのか…
「マスターちゃん、このミネルヴァちゃんを選んで、まさか負けるなんて無いよねー?」
「…たりめぇよ、仮にも知恵の神の名を冠する魔剣を選んでるんだ。勝つ算段ぐらいはある」
俺はそう言って、ミネルヴァを振るう。ミネルヴァから放たれる水で頭も冷えてきた。つまり、「冷静」になった。よし、これなら…「いける」…
「姫様、敵の動きを止めて頂けますかね?」
「…もちろん!」
『煩悩の姫』が冥獣に斬り掛かる。ここから反撃開始だ。
あれから数時間は経っただろうか…そこに立っていたのは、俺と『煩悩の姫』。あの冥獣は消え、「ルビー」だけが、そこに残っていた。
『煩悩の姫』は、先程の戦いで「あること」を疑問に思った。「何故、ミネルヴァが、知恵の神の名を冠した魔剣だと分かったのか」…もちろん、『煩悩の姫』はその事を教えていない。先程のミネルヴァの反応を見てはみたものの、「ミネルヴァが教えた」訳でもなさそう…。ならば、思い浮かんだ答えは1つだった。『煩悩の姫』は、これからその答えが合っているのかを確認するために、「1つの質問」をすることにした。それは…
「ねぇ…「貴方の名前は」?」
…私の考えが合っていれば…「答えることが出来る」!
「あ…あぁ…、俺の名前か?…『アクタル』っていうんだけど…」
やはり…『煩悩の騎士』の記憶が…「戻っている」
「…記憶を…戻したようね…」
「あ、あぁ…何か戦っているウチに思い出した。あの冥獣が、「俺の記憶」を呼び覚ましたみてぇだな…」
「…記憶は戻ったが、元の世界に戻れないことには変わらねぇか…。じゃあ、世話になりますよ、『煩悩の姫様』…いや『トロイア』さん」
「え…えぇ…。こちらこそよろしくお願いします…えっと…『アクタル』さん…」
そう言って、俺らは『煩悩の姫』の屋敷に入っていく。でも、俺は一つだけ言える。「今のところ、帰りたいなんて気持ちはなくなった」。
…1章、終了です。
いやー、この作品を書く前に思い付いてた案はコレで終わり…つまり、これからは、また案を考えねば…(投稿速度減少のお知らせ)