9月に入り、いよいよディゴリー家を離れホグワーツに向かう時が来た。
開き直ってサラとエイモスに甘えまくって夏休みを過ごしていたダリアは、「行きたくない。」「ずっと家に居る。」などとキングズクロス駅に着くまでぐずぐずと駄々をこねていたが、駅のホームに到着して友人の姿を見つけると、ケロっと意見を変えた。
エイモスは少しがっかりしていた。
「あっ、ダフネだ!――――ちょっと行ってくる!じゃあね、おじさん、おばさん!」
「ああ、行っておいで。今年のクリスマスは絶対に帰ってくるんだぞ。」
「手紙を出してね。あとそれと、くれぐれも気を付けて。何か困ったことがあったら、すぐにセドリックに言うのよ。―――――セドリック、お願いね。」
「わかってるよ、母さん。」
去年のことがあったので、サラは特に不安げにセドリックに頼んだ。
ダリアはサラの言葉に一応頷いてはいるが、セドリックは最近なんとなくダリアの「性格(ポンコツさ)」を理解してきていたので、いまいち信用できなかった。
セドリックは、今年はダリアの言動に目を光らせなければ、と秘かに決意した。
「ダフネー!」
「あら、ダリアじゃない!久しぶりねぇ、元気だった?」
ダリアが手を振りながら駆け寄ると、ダフネもこちらに気付いたのか、同じように手を振ってくれた。横にはダフネによく似た、黒いネクタイの新入生の姿もある。
「アステリア!そっか、今年入学するのよね。」
「はいっ!よろしくお願いします、ダリアさん。」
ダフネの妹のアステリアは、緊張した様子でぺこりと頭を下げた。
妹が(というか年上ぶるのが)大好きなダリアは、低姿勢なアステリアに気を良くして、「勉強なら私が教えてあげるわ!」と胸を張って宣言した。
「なんてったって学年首席!去年ももし試験が実施されてたら、きっと学年首席だったに違いないもの。存分に頼っていいわよ!」
「す、すごいですダリアさん!」
「付き合うのもそこそこにしておいて、アステリア。あんまりおだてるとすぐ調子に乗るんだからこの子。」
ダフネはダリアの自己アピールをバッサリ切り捨てると、さっさとトランクを持って特急に乗り込んでしまった。アステリアも慌てて後を追う。
調子に乗って石化してしまって以来、友人たちはダリアの天狗行為にちょっぴり厳しくなってしまっていたのだ。
ダリアは口をとがらせながらも、アステリアがトランクを特急に積み上げるのを手伝ってやった。
まだ出発には早い時間だったのでコンパートメントは何処も空いており、ダリア達3人は広々とした席を陣取ることができた。
「今年は絶対にグラップとゴイルは入れないからね。去年みたいなギュウギュウ詰めでペチャンコになるのはごめんだからね。」
「そうねぇ。あの二人、この一年でまた一回り大きくなっていたものね。」
トランクを荷物棚に上げた後、つらつらととりとめのない話をしているうちにミリセントが現れ、続いてパンジーが息を切らせて乗り込んできた。
「ハァ――――――結局ドラコを見つけられなかったわ。改札口で張り込んで探してたんだけど。」
「付き添い姿現しで来てるんじゃないの?ドラコのお父上はあまり顔を見せたくないだろうし。」
どうやら発車時刻ギリギリまで粘り、ドラコを探していたらしい。
結局見つからなかったと聞いて、ダリアは秘かに安心した。もしドラコが来るのならば、腰巾着の巨体二人ももれなく付いてくることになってしまうからだ。
パンジーが席に着いたところでホグワーツ特急は発車し、結局女子5人で一つのコンパートメントをゆったりと使うことができそうだった。
ホグワーツまでの長い道のりの途中、ダリア達は今年入学するアステリアのために、学校についての事を色々と教えてやっていた。
アステリアは実家で既にダフネを質問攻めにしていたが、それでも不安が抑えきれないのか、真剣な表情で聞き入っていた。
アステリアが特に熱心に聞いていたのは、双子のウィーズリーについての話題だった。
フレッド・ウィーズリーとジョージ・ウィーズリーはスリザリンの天敵、グリフィンドール寮の5年生で、毎日何かしら大騒動を巻き起こしてフィルチをカンカンにさせている、ホグワーツ屈指の問題児だ。
スリザリン生の多くが彼らの被害にあっており、特に新入生には手ひどい洗礼が浴びせられるのが常なので、十分注意する必要がある。。
「とりあえず、グリフィンドールの連中には気を付けるのよ。特に双子のウィーズリーは要注意!あいつらスリザリンと見ると女子相手でもひどいんだから。」
「見かけたら何食わぬ顔ですぐに行き先を変えるのよ。出来るだけ関わらないようにするのよ。」
「ウィーズリーズはスリザリンの談話室を糞爆弾だらけにしたことがあるらしいわよ。」
「被害者の髪の毛をむしり取って、戦利品としてコレクションしてるらしいわよ。」
「目を付けられたスリザリンの先輩がノイローゼになって聖マンゴに入院してるらしいわよ。」
「ウィーズリーズが」「ドテカボチャども」「あの双子の悪魔が」「トウヘンボクめ」「乱暴者」「卑怯者が」「ヘチャムクレ!」
「ちょっと、あんまり色んな事を言ってアステリアを怖がらせないで頂戴!あとダリアは変な言葉をこの子に教えないで!」
ダリア達がグリフィンドールの要注意人物についてある事ない事を吹き込んでアステリアを震え上がらせていると、ダフネがピシャリと止めさせた。
ダフネは体の弱いアステリアに過保護な気があったので、愛する妹を過剰に怖がらせる友人に鋭い一瞥を送った。
悪ふざけの自覚があった3人は、クスクス笑って謝った。
話題は双子のウィーズリーから、「怪物的な怪物本」に移った。
今年のスリザリン生は全員魔法生物飼育学を選択したので、全員があの凶暴な本の恐ろしさを知っていた。
「あの本、一体何なわけ?予習しようにも開きようがないんだけど。」
「ホグワーツでは、他にもあんな教科書を使うことがあるんですか?」
「ないって!先輩たちに聞いた話じゃ、去年までは『幻の生物とその生息地』が教科書だったらしいけど。」
「噂じゃ、ケトルバーン先生は退職されて、新しい先生が来たって話だよ。」
「――――――こんな教科書を指定するような先生が?やだ、授業が始まる前から憂鬱・・・・。」
噛みつき本への不満をたらたら口にしていると、ふと列車が速度を落とし始めたことに気が付いた。
キングズクロス駅を出発して長い時間がたったが、それでもまだホグズミードに到着する予定の時刻には早すぎる。
明らかに異常な事態に、ダリア達は不安げに顔を見合わせた。
「どうしたのかしら?ホグズミードはまだ先のはずだけど。」
「汽車が故障したとか?」
「まさか、ホグワーツ特急に限ってそんなことは・・・・」
そうこうしているうちに、汽車はガクンと完全に止まってしまった。遠くで荷物が落ちるようなドシン、という音が聞こえる。
ミリセントがドアから頭をつき出して辺りを見渡しているが、首を傾げている。原因は何も分からないらしい。
「ダメね、どこも同じ。わけが分からないって感じよ。」
「アクシデントでもあったのかしら――――――きゃあ!」
突如何の前触れも無く部屋の明かりが消えた。どのコンパートメントも同様の状況らしく、いたるところから混乱した声が聞こえている。
ダリアも驚いたが、急いで魔法で視力を強化し、暗闇でも周りが良く見えるようにした。
アステリアはすっかり怯えてしまったようで、ダフネに抱きしめられてブルブル震えながら泣いていた。
「―――――ちょっと私、先頭車両まで行って何があったのか聞いてくる!」
「ダリア、ダメ!危ないことをしないで!絶対にここに居て!」
パンジーが叫ぶが、ダリアは入り口の前に陣取るミリセントをひょいと避けて、ドアを開けて外へ出ようとした。
しかし、ダリアがドアを開ける前に扉ががらりと開いた。
「今パーキンソンの声がしたけど、ここに居るのか?」
「あ、ノット。」
「ノット、ダリアを捕まえて!こんなに暗いのに出歩こうとしてるのよ!」
ドアを開けたのは、数か月振りに見るセオドール・ノットだった。パンジーの叫び声を聞きつけ、やって来たらしい。
ノットは眉を顰めると、目の前にいるダリアを手探りで捕獲し、コンパートメントの中に押し込んだ。
「わ!ど、どこ触ってるのよエッチ!」
「うるせぇ。こういう時は大人しくその場で待機だろ―――――でもまぁ助かったよ。トイレからの帰りに電気が消えてさ。コンパートメントに戻れなくて困ってたんだ。」
ぎゃあぎゃあ騒ぐダリアを無視して腕を引っ掴んだまま、ノットは空いていた席に座った。
ダリアも仕方なしに偵察を諦め、コンパートメントに留まることを決めた。
「別に逃げないわよ!ここに座ってるから、離していいってば!はーなーしーて!―――――きゃあ、何!?」
荷物棚の上から、トゥリリがひらりとダリアの頭の上に降りてきた。突然の出来事にダリアは悲鳴を上げ、その悲鳴に怯えたアステリアが叫び、その騒ぎを聞きつけた他のコンパートメントにも恐慌が広がり、たちまち車内は混乱に陥った。
「何?何があったのダリア!?」
「わ、私のせいじゃないわよ!トゥリリが突然上から降りてきてびっくりしちゃっただけだもん・・・・」
『ダリア、気を付けて。何か危険なものが来るよ。』
トゥリリの言葉に聞き返す間もなく、車両がまたガタリと大きく揺れ、ざわざわと騒がしかった車内が一瞬で張り詰めたような静寂に包まれた。
何が起こっているのかは誰も分かっていなかったが、不思議なことにその場に居た生徒全員が、何か「よくないもの」がこの車両に乗り込んできたことを察していた。
まだ暑さの残る9月にもかかわらず、体の芯を凍らせるような冷気と共に入り込んできたのは、ボロボロのマントをまとった巨大な影だった。
友人たちの息を飲む音を聞きながら、ダリアはその陰から目を逸らすことができなかった。
影の持ち主の空ろな眼窩を目にしたダリアは、トゥリリの焦った声を聴きながらも、遠のいていく意識を引き留めることが出来なかった。
誰かが自分の名前を必死で叫んでいる声が聞こえる。
痛い、寒い、怖い。
薬莢の焦げ付いたような臭気。薄く膜を張ったようにぼやけた世界。
誰かが自分の名前を必死で叫んでいる声が聞こえる。
こちらを向いているたくさんの黒い穴。雷鳴のような轟音。
胸の中心に空いた穴から漏れていく、体温と血液。
また私は皆の期待を裏切ってしまったのだろうか。
誰かが自分の名前を必死で叫んでいる声が聞こえる。
この全身を冷たく撫で下ろす、途方もない喪失感をダリアはよく覚えている。これは幼い頃、ダリアが初めて自分の命を失ったときの記憶だった。
――――――こんな昔の事、もう何年も思い出してなかったのに、どうして。
ダリアは考えながら、口から血の塊を吐き出した。肺に穴が開いているせいか、上手に息をすることが出来なかった。
緩慢な死の眠りが、ダリアの意識を暗く染めていく。
ダリアはやっぱり自分の名前を呼んでいる誰かの声を聴きながら、そうして死んだ。
「ダリア、しっかりしろ!ダリア!!!」
「うぅん、うるさいなぁ――――――――あれ?セドリック?」
ダリアがふと目を開けると、そこは先ほどまで居たホグワーツ特急のコンパートメントだった。何故かセドリックが居る。いつの間に来たのだろう。
よく周りを見てみると、状況がおかしい。
何故か床で寝ていたようだし、いつの間にか列車は動いているし、夏だというのに全身を寒気が覆っている。
ダリアが目を覚ましたことに気付いた全員が、安心したように息をついた。皆青ざめた顔をしており、アステリアはダフネに縋り付いたまま泣いている。
「え、なんで?何があったの?なんでセドリックが居るの?あれ?」
「――――お前、ディメンターが入ってきた途端、ぱったり倒れたんだよ。あいつらがどっかに行っても目が覚めなかったから、監督生を呼びに行ったんだ。そしたらディゴリーが来て。」
ノットが蒼白な表情のまま言った。そう言われて初めて、ダリアは自分が気絶していたということに気が付いた。
セドリックがダリアの上体を起こしながら眉を顰める。全身が細かく震えている。
ダリアは自分で自覚している以上に体が冷え切っていた。
氷のように冷たいダリアの手をさすってやりながら、セドリックはポケットからチョコレートを取り出した。
「ノットの焦りようが普通じゃなかったから、急いで監督生用のコンパートメントから走ってきたんだ。そうしたら君、床に倒れたままピクリともしてないし。―――――――はい、チョコレートだ。ディメンターにはこれが一番よく効く。」
「ダリア、あなた、息をしてなかったのよ! 私、暗くて何も分からなかったから、あなたがディメンターに何かされて死んでしまったのかと思った!」
「えっ、私死んでたの!?」
ダリアはパンジーの言葉にびっくりして、チョコレートを口に詰め込まれながら慌てて自分の命の状態を探った。
ちゃんと7つ残っているようで、安心した。
「よかった、私死んでないわ・・・・もぐもぐ。」
「いや、今はどっからどう見ても生きてるのは分かるでしょ。」
ミリセントは呆れ気味に言ったが、これはダリアにとっては重要な確認だった。
複数の命を持つ大魔法使いは、死んでもすぐに(個人で時間差はあるらしいが)次の命に入れ替わる。今生きているからと言って、一度死んでいる可能性を捨てきれないのだ。
幸いなことに、今回はどうやら本当に死んでいなかったらしい。
チョコレートを食べ全身がみるみる温まってきたダリアは、ようやく立ち上がることが出来た。
「よかった。―――――監督生のコンパートメントに先生が乗っているから、一応看てもらいにいこうか。」
「うん。――――――ねぇ、トゥリリ知らない?見当たらないんだけど。」
「トゥリリなら、ディメンターを追いかけてどこかに行ったわ。―――――私、気が動転していたからかしら。あの子の頭が何個かに増えて、足がたくさんあるように見えたのよね。」
ダリアは先ほどとは違う冷や汗をかいた。どうやらトゥリリがディメンターを追い払ってくれたらしい。その際本性を現した姿を見られてしまったようだった。
セドリックに連れられて監督生のコンパートメントにやって来たダリアはそこで監督生達に指示を出していた男性教員に簡単な診察を受けた。
「―――――うん。体温も低くないし、顔色もそう悪くないね。チョコレートを食べさせたかい?」
「はい。僕が行った時には呼吸も浅くて体温も低かったので、丸々一枚食べさせました。」
「いい判断だ。―――――心配は無いと思うけど、念のためホグワーツに到着したらマダム・ポンフリーに看てもらうといい。」
始めてみる教員だ。おそらく彼が新しい闇の魔術に対する防衛術の教員なのだろう。
着ているものは粗末だが、ちゃんとした「教師」らしい知識を備えているようだった。
去年や一昨年よりはずっと良い授業を期待できるかもしれない。
またもや初対面の相手をジロジロ観察し始めたダリアに、セドリックは慌てて頭を下げさせた。
「ありがとうございました、ルーピン先生――――――ほら、ダリアも。」
「――――――ありがとうございました。」
「はい、お大事にね。」
ルーピンというらしい教授は、「面白いものを見た」というような顔をして、ダリア達に手を振っていた。
「ダリア、前も言ったかもしれないけど、人の顔をジロジロ見るのは失礼にあたるんだよ。それに相手は先生なんだから。」
「だって知らない人だったんだもの。」
「知らない人だからこそだよ。初対面で悪い印象を与えたくないだろう?」
ダリアはセドリックのように「すべての人と仲良く」なんて別にしなくてもいいと思っていたので、適当に返事をして反省しているふりをした。
セドリックもダリアがあまり真面目に聞いていないことが分かったのだろうか。重いため息をつくと、別の話題に切り替えた。
「それで、今回は何があったんだい?」
「むっ!」
端からダリアを疑ってかかるセドリックの言葉が心外だったので、目を吊り上げて抗議した。
「何もしてないもん―――そうやってセドリックは、いっつも私がいけないことしてるみたいに思い込んで!ひどいわ!」
「別にダリアがディメンターを引き入れただなんて思っていないさ。ただ、ディメンターに反応してあんなに様子がおかしくなったのは君だけだったから、何があったか気になってるんだ。」
ダリアが無茶をして事件に巻き込まれないように、両親から子守(のようなもの)を頼まれているセドリックは、ダリアが去年のように余計な手出しをして危険な目に合ったのではないかと勘繰っていた。
確かに敵意のようなものは感じられなかったので、ダリアは少し安心した。
どうしてダリアがディメンターと対面しただけで気絶してしまったのか。ダリアはその経緯を思い出そうとした。
「―――――――うーん。なんでなのかしら。あんまり覚えてないわ。」
ダリアは気絶していた間のことを全く覚えていなかった。
ディメンターは近くに居る人間の最も忌まわしい記憶を呼び起こすという。
おそらくあまりに恐ろしい記憶を思い出したため気絶してしまったのだろうと思うのだが、肝心の内容が思い出せなかった。
素直に分からないと口にしたダリアだったが、セドリックは疑わしそうに首を傾げた。
「あんまり隠し事はしないで欲しいんだけど―――――」
「ホントだって!誰かに呼ばれて目が覚めたら、床に寝てたの!」
ダリアは一生懸命主張した。本当に悪いことはしていないのに、疑われるのは癪だった。
ひとまずセドリックは「まぁ、君怖がりな所もあるし、過剰に反応したのかもね。」と納得してくれたが、ダリア自身はあまり納得できていなかった。
――――――なんで私、気絶なんかしちゃったんだろう?
確かにダリアは小心者だが、気絶するほどに恐ろしい思いをしたことなど、今まで経験したことも無いはずだ。
トゥリリは何か知らないだろうか。
なんとなく違和感を持ったダリアは、また後で詳しくディメンターについて調べようと決意した。
セドリックに元居たコンパートメントに送ってもらうと、友人たちは見るからにホッとした様子で迎えてくれた。
「よかった。もうすっかり顔色もいいみたいね。」
「もうすぐホグズミードに到着するわよ。ぼんやりしてないで早く制服に着替えなきゃ!」
ノットもダリアの無事を確認すると、自分のコンパートメントに戻って行った。ドラコ達と同じ部屋に居たようだ。
そういえばドラコ達もあのディメンターを見たのだろうか。ドラコはダリア以上にびびりなので、もしかしたら同じように気絶しているかもしれない。あとで聞いてみよう。
ダリアがホグワーツの制服に着替え終わった頃、予定時刻を大幅に超えたものの、ホグワーツ特急は無事ホグズミード駅に到着することができたのだった。