ドラゴンは人間が生まれるより遥か昔から、この地球に生息している魔法生物である。その体には古代の魔法が隅々まで浸透し、特にその鱗はありとあらゆる魔法を弾くという。
「ってことは、鱗に覆われていない場所を狙うのが定石だよな。代表的なのは、目か、口か……。」
「口は危なすぎるわ。だってドラゴンって大抵口から炎を吐き出すじゃない。噛まれる危険性も考えたら、避けた方がいいんじゃないかしら。」
「そうだね。ドラゴンと直接戦わなければならないときは、やっぱり目を狙った方がいいかもしれないな。でもやり過ごすだけなら、気を引くものを用意するだけでもいいかもしれない。」
「――――。」
第一の課題に関する諸々の事で一時衝撃を受けたセドリックだったが、いつまでも落ち込んでいるわけにはいかない。課題までもう一週間も無いのだ。
セドリックは友人であるダニーとジャネットに声を掛けた。二人は「ドラゴン」と聞き最初は驚いていたが、すぐに快く協力を申し出てくれた。
セドリックとダニー、ジャネットが図書室の奥まったテーブルで真剣に話をする中、ダリアは先ほどから一言も発することなく、背中に暗い雲を背負っていた。
「――――なるほど、いいかもしれないわ。正面から戦って勝てる相手じゃないもの、搦め手が一番安全かもしれないわ。」
「そうだなぁ。じゃ、使うのは変身術で決まりか。数日もあれば、セドならかなりの精度でできるようになってるだろ。――――で?なんでお前、さっきから一言もしゃべらないんだよ。こういう時こそお前の知能を生かすべきなんじゃないのか?」
「――――。」
面倒くさそうに言うダニーを、ダリアはむっつりとしたまま恨めし気に睨みつけた。今にも怨嗟の呻きが漏れ出んばかりのダリアの頭を、セドリックが笑顔で軽くはたいた。
「ちょっと色々あってさ。ここ最近、ダリアが裏で色々と危ない事をしているというのが分かってね――――第一の課題が終わるまで、試合に関わることは一切口出し禁止にしてるんだよ。」
結局深夜に禁じられた森を徘徊していることがバレたダリアは、芋づる式に今まで秘かに行ってきたスパイ活動までもが明るみに出てしまった。
各校の代表選手を監視していた事どころか、何回かボーバトンの馬車の中やダームストラングの船の中にまで潜入していたという事実を知ることとなったセドリックは、一時的にネガティブな感情を忘れ、怒りを爆発させた。
「問い詰めてみれば、『禁じられた森は昔からよく忍び込んでたから大丈夫だもん!』なんて言うんだよ?昔っていつだと聞けば、1年生の頃からだって言うんだよ?――――信じられない、危なすぎる、何を考えてるんだ。去年の森は、シリウス・ブラックが徘徊してた可能性もあったのに!」
「結局、シリウス・ブラックは悪い人じゃ無かったじゃん……。」
「そういう問題じゃないだろ!――――こんな風に反省の色が見えないから、強硬手段に出ることにしたんだ。僕の事を心配して危ない事に手を出すというのなら、第一の課題が終わるまではダリアの助言に一切耳を貸さない。ダニーとジャネットも、ダリアの言う事には耳を貸さないように。」
「そんなぁ……。せめてドラゴンの種類だけでも教えさせてよぉ……。」
「ダメだ。」
尚も言い縋るダリアに、セドリックがきっぱりと断言した。
「無理やり何か助言しようとしたら、父さん達に手紙を書くからな。母さんが知ったらどんなに心配するか……すぐさま家に連れ帰られる覚悟をしておいた方がいいよ。」
その展開は容易に想像できる。ダリアはがっくりして図書室の机に突っ伏した。
聞く耳を持たないセドリックに対し、ダリアは情に訴えかける作戦に打って出た。チョロチョロとセドリックの周りに纏わりつき、両手を組んで涙目でじっと相手の目を見つめる。
「ねぇセドリック。お願いだから許してよぉ。もう夜中に禁じられた森なんて行かないわ。本当に最近は、夜には行ってなかったんだよ?こっそりペガサスが見たくて、本当に久しぶりに行っただけなの。スパイも廃業するから……。」
「なるほどね……第一の課題が終わってから、その言葉が本当かどうか見極めるよ。」
「うう……。」
しかし、割と本気で怒っていたセドリックには、取りつく島も無かった。渾身の媚をバッサリと切り捨てられたダリアは、トボトボとセドリックの後をついて歩いた。
「――――そんな悲しそうな顔をしても、ダメなものはダメだからね。」
「これはわざとじゃないのに……本当に悲しいのに……。」
「っ――――とにかく!第一の課題が終わるまでは、大人しくしておいてくれ。無事に課題を終えることが出来たら、第二の課題では色々と手伝いを頼むから――――」
捨てられた子犬のような哀愁漂う表情のダリアに、セドリックはため息をついた。傷つけることが目的なのではない、あくまでダリアに無鉄砲な所を直して欲しくてこんなことをしているのだ。
演技でなく本当に泣きそうになっているダリアに声を掛けようとした時だった。セドリックの背後から、歌うように軽やかな声が投げかけられた。
「ここーにいましたか、セドリック。さがーしました。」
「やあ、フラー。どうしたんだい?」
見事な銀髪を靡かせて、ボーバトンのフラー・デラクールが颯爽と歩いてきた。目下一番の障害の登場に、ダリアはちょっと出かかっていた涙が、一気に引っ込んだ。
「シックネスが、呼んでいまーす。第一の課題に向けて、最後の確認があるそうでーす。」
「シックネスさんが?最近、多いなぁ……わかった、ありがとう。すぐ行くよ。――――じゃあダリア、僕はシックネスさんの所に行ってくるから……。」
ダリアの方を振り向いたセドリックは、思わず黙り込んでしまった。ダリアは先ほどまでの悲し気な表情を引っ込めて、どことなくこちらを責めるかのようなジットリした目を向けている。
「――――ええっと、ダリア。どうして急にそんな……。」
「……私とは第一の課題について話さないのに、その子とは話すんだ……。」
「……いや、聞いていただろう?今からシックネスさんの所に行って――――」
責められるべきことは何一つしていないはずなのだが、ダリアから発せられる妙な圧に圧倒されたセドリックは、何故か冷や汗をかきながら言い繕った。
セドリックがあたふたとしている所に、フラーが完璧な笑顔を浮かべて割って入る。
「――――そのー子は一体、誰でーすか?」
「え?ああ。この子は僕の……従妹だよ。ダリアって言うんだ。」
「……ああ、まーえ、言っていた、“子ども”でーすね。」
「――――。」
セドリックが「あ。」と思った時には、遅かった。
ダリアは背が低い事を気にしている。フラーの言葉を聞いた瞬間、周囲の空気が一回り下がった気がした。
睨みあう二人の美少女を見て、通りがかりのホグワーツ生が興奮したようにざわめき始めた。ボーバトンのフラー・デラクールと、スリザリンのダリア・モンターナ。どちらも見た目は極上だが、気位が高すぎるなど性格に色々と難がある、地雷系女子の代表格だ。セドリックは二人から発せられる妙な圧にまたもや圧倒され、数歩後ずさった。
数十秒もの間続いた無言の睨みあいは、フラーの鼻にかかった吐息で終わりを迎えた。ダリアの片方の眉毛がピクリと引き攣る。フラーは勝ち誇った様な笑みを浮かべたまま、優しい口調でダリアに話しかけた。
「――――では、そういうことなーので、セドリックはわたーしと行きますね。ここかーらの話は、部外者は聞くことができないのでーす。」
「――――どうぞ。代表選手の義務なら、仕方ないもの。――――”仕方が”ないものね。」
平静を装いつつも、ダリアは敗北感でいっぱいだった。フラーの目は明らかに、ダリアの事を敵では無いと見下していた。彼女はダリアのような子どもなど、恐るるに足らないと判断したのだ。
意気揚々と去って行くフラーと、時折心配そうにこちらを見やるセドリックを睨みつけながら、ダリアの腹の奥では不穏な感情がどんどん渦巻き始めていた。
「なんだそれ。君、またそんなことで悩んでるのか?いい加減進歩しないなぁ。」
「うるさいうるさいうるさーい!トムには分かんないでしょ私の気持ち!敵ですらないと判断された屈辱、あの女の勝ち誇った様な顔――――ああ、思い返しただけですっごい呪いの呪文を作れちゃいそうよ!」
自身のイライラのはけ口を求めたダリアは、世界Aへ行っていたリドルを呼び戻し、フラーに対する諸々の愚痴をぶちまけていた。
急な呼び出しに慌てて何事かと世界Bへ戻ってきたリドルだったが、以前も聞いたことがあるような愚痴の内容のくだらなさに、思わずため息をついてしまう。それを聞いたダリアの愚痴がまた更にヒートアップする。ため息が出る――――負の連鎖だった。
「だいたいセドリックだってセドリックだわ。あんな女の誘い何て断って、自分で行けばいいのよ!あんなノコノコ付いて行って、あのヴィーラ女に何されるか分かったもんじゃないわ!――――ああもう、ほんっとうに、目障り!!!」
「はぁ~……。」
トムが大きなため息に反応して、ダリアがギッと目線を鋭くした。
「なによ、そのため息!自体がどれだけ深刻か分かってないんじゃないの?あの女が本当にヴィーラの血が混じってるとしたら、セドリックがうっかり惑わされちゃう可能性も十分――――」
「分かってないのは、君の方だろう。こういう時にどうすればいいのかなんて、分かり切ったことじゃないか。」
「――――え?」
リドルの呆れたような言葉に、ダリアはぽかんとした表情を浮かべた。リドルが何を言っているか、本気で分かっていない顔だ。その顔を見て、リドルはまた大きなため息をついた。
「まったく、今まで君に何を教えてきたと思ってるんだか――――以前、チョウ・チャンで実践したことがあっただろう。邪魔な女が居る時にどういう手段を取るべきなのか……まさか、もう忘れたとは言わないだろうな。」
「――――あ!」
ダリアは去年の事を思い出して、突っ伏していた机から勢いよく体を起こした。
言わずもがな、セドリックは女生徒から大変人気な男子生徒である。去年もチョウ・チャンと言うレイブンクローの女生徒に思いを寄せられ、ダリアは歯がゆい思いをしていた。
そんな時、ダリアの悩みを解決したのが、リドルへの恋愛相談だった。リドルは得意とする人心掌握術を生かし、邪魔者を排除する方法をダリアに伝授したのだった。
ダリアは去年その方法を用い、チョウ・チャンの目を別の人間(ハリー・ポッター)に向けさせることで、穏便に邪魔者を排除することに成功していたのだ。
希望が見えたダリアは、目を輝かせて立ち上がった。
「じゃあ、今回もあのヴィーラ女に適当な人間を見繕って――――」
「――――何を言っているんだ?わざわざそんな面倒な手段を取らなくても、今回はもっと効率的な方法があるじゃないか。」
早速フラーが興味を持ちそうな男子生徒をピックアップしようと意気込んでいたダリアは、出鼻を挫かれて不機嫌な表情で再び椅子に座り込んだ。
「なによぅ、せっかく人がやる気になったのに!――――っていうか、もっと効率的な方法ってどういう事?トム、前はこの方法が一番手軽だって言ってたじゃない。」
「リスクとリターンを考えた場合、あの時はあの方法が一番割に合ってたのさ。だが、今回はあの時とは状況が違う。もっと別の、リスクが少なく、リターンが大きい方法を取ることが出来るじゃないか。――――君、自分で言ったんだけど、覚えてないの?」
「えぇ?――――私、何か言ったかしら。」
本当に記憶にないダリアは、戸惑った顔でリドルを見上げた。思い当ることが全くなさそうなダリアに、リドルは今日何度目かのため息をついた後、呆れたように答えを告げた。
「対象の直接排除だよ。――――君のお気に入りの言い方で言えば、闇討ち。これが今回、邪魔者を排除するために一番効率的な手段だろう?」
ダリアは凍り付いたように、目を見開いてリドルを見つめた。
闇討ち――――確かにダリアがしょっちゅう口にする言葉だ。確かに去年のあの時も、口にした記憶がある。その事は何となく覚えている。しかし、今回はその手段の事を最初から頭に入れていなかった。
ダリアは突然からからに乾いてきた喉でゆっくりと唾を飲み込むと、おそるおそるリドルに話しかけた。
「確かに、言った記憶はあるわ。記憶はあるけど――――トム、あの時闇討ちは最終手段だって言ってたじゃない。リスクが高すぎるって。それが、どうして……。」
「簡単だよ。今回は闇討ちに最適なシチュエーションが既に用意されているからね。それに君の魔法を組み合わせれば、女一人を排除することなんてわけ無いさ。」
「シチュエーション?――――――――まさか。」
嫌な予感がして、ダリアは眉を顰めた。思い当る節がある。それも、最近ダリアの頭を悩ませている事だ。
果たして、リドルが告げたのは、ダリアの予想通りの場所と時間だった。
「そう、第一の課題さ。君の話通りなら、第一の課題の内容はドラゴンを相手取る事なんだろう?安全は十分保障されていると言うが、『万が一』なんてことが起きない保証はどこにも無い。――――その『万が一』を、君が魔法でわざと引き起こしてやればいいんだ。」
「――――――――。」
確かに理には適っている。三校対抗試合は過去に死者を何人も出したことがある危険な大会だ。今回の第一の課題も、ドラゴンという凶暴な魔法生物と対峙する必要がある、命の危険性があってもおかしくない内容だ。――――そして、ダリアの魔法を使えば、誰にも気づかれることなく、全てをドラゴンのせいにして彼女を排除することが出来る。
理屈は分かる。リドルの言う通り、リスクが低くリターンの大きい、最も成功率が高そうな作戦だ。
しかし、ダリアは手足の先からどんどん寒気が這い上がってくるのを感じた。
「で、でも。流石にそれは――――やりすぎなんじゃないの?」
いつも闇討ちと騒いでおきながら、いざとなれば尻込みしてしまう自分に恥ずかしさを覚えながら、ダリアはなんとか言葉を紡いだ。
「いくら誰にも気づかれない魔法だと言っても、直接手を下すのは、やっぱりリスクがあるし。――――なんていうか、それは流石に、一線を越えてる気が……。」
「そうか。――――君は“まだ”人を殺したことがないんだったね。」
「えっ……。」
リドルはダリアの逡巡に合点がいったかのように頷いた。初めて人を殺すのならば、自分で直接手を下すのは恐ろしいだろう。リドル自身、初めての殺人はバジリスクを使った間接的なものだった。
特にダリアは意外と臆病な性格なので、出来るだけ罪悪感を持ちにくいやり方がいいかもしれない。そもそも彼女の十全な魂を割かせないためには、殺人一歩手前で抑えておいた方がいいのではないだろうか。そうだ、それがいい。そうしよう。
この一年間の間でダリアの性格をなんとなく理解していたリドルは、やれやれと頭を振り、彼女のためにもっと『初心者向け』の作戦を考え始めた。ダリアは考え込むリドルを戸惑ったように見つめていた。
数分間の沈黙の後、リドルは臆病なダリアにも実現可能であろう作戦を提案した。
「――――よし。だったら、こんな方法はどうだい?君が直接手を下す必要はない。彼女が失敗する確率を、高くするんだ。」
ダリアが目撃したドラゴンは複数種類存在した。ダリアが見る限り、スウェーデン・ショートスナウト種、ウェールズ・グリーン種、チャイニーズ・ファイアボール種、そしてハンガリー・ホーンテール種の4種類だ。数から考えて、一人の選手が一種類のドラゴンを相手にするのだろう。誰がどの種類を相手にするかは、恐らくくじか何かで決めるはずだ。
そこで、リドルが考えた作戦はこんなものだった。
「君の魔法でフラーの“運を悪く”して、彼女に一番危険なハンガリー・ホーンテール種を引き当てさせるんだ。運が悪ければ、彼女は大けがをして、再起不能になる。だけど死ぬことは無いし、もし何かがあったとしても、君が直接手を下したわけでは無い。」
「――――。」
新しい作戦を聞いても、ダリアは戸惑ったようにリドルを見るだけだった。反応の無いダリアに、リドルは訝し気に首を傾げた。
「何を戸惑うことがあるんだ?去年、チョウ・チャンを排除した時と結果は同じじゃないか。大けがをするかもしれないが、魔法界の医療技術では後遺症は殆ど残らない。ちょっとフラーを脅かすだけだろう?」
「それは、そうだけど。――――でも。」
自分が直接手を下すわけでは無い。フラーが死ぬわけでは無い。――――だが、“運”が悪ければ、それだけで彼女が死んでしまう可能性は十分にある。
それに不運を操る魔法を使う事は、まぎれもなく「魔法を悪用する」行為の一つだ。後見人に気付かれないように仕込むことも不可能では無いが、かつての自分が目指していた役職が取り締まる行為を、自分で犯してしまうというのだろうか。
――――やっぱり、無理。フラーの事は嫌いだけど、あの子に大けがしてほしいわけじゃ無い。だったらいっそ、フラーには手出ししない方が気が楽だわ。
苦悩するダリアの耳元で、リドルが激励するかのように優しく囁いた。
「じゃあ、セドリックを彼女に取られてしまってもいいのかい?」
「――――え?」
ダリアは驚いてリドルの顔を見上げた。
本当にダリアの事を気遣っているのが分かる、真剣な表情だった。リドルとは一年と少しの間ずっと付き合ってきた。日々の会話や魔法の教え合いを通して、お互いに少しずつ心を開いてきたからだろうか、ダリアはリドルが何を考えているのかを、なんとなく感じ取ることが出来るようになっていた。
だから何となく理解できる。リドルは本当にダリアの事を思いやって、真剣により良い方法を考えているのだ。――――彼自身の歪んだ倫理観に沿った形で。
呆然とするダリアに、リドルは真剣な表情でフラーを排除することの必要性を説いていく。
「君も言ってたじゃないか。――――フラーにはヴィーラの血が入っている。異性を誘惑する、魔性の生物の血だ。今はセドリックには何の影響も及ぼしていないが、これから先一年もの間、代表選手として彼女と一緒に過ごしたならば、彼がどんな影響を受けるか――――。」
「――――。」
ダリアはリドルの赤い目を見つめた。脳裏で、先ほどフラーに向けられた勝ち誇った笑みが再生される。心の底から湧き出る自分への自信に満ち溢れた、輝くばかりの美貌だ。
――――きっと今まで欲しいものは望むままに何でも手に入れてきたのだろう。一度も挫折なんかを味わったことなど無いに違いない。
ダリアの奥底から、フラーに対する憎しみが次々と生み出されていく。
そんな女が、私から、セドリックを奪おうとしている。私の大好きなセドリックを、あんな美しいだけの女が、簡単に奪い去ってしまうかもしれない。そんなこと、
「――――そんな事、許せるわけないじゃない……!!」
絞り出すような悲痛な声に、リドルは慰めるようにダリアの背中を叩いた。
「だったら、取るべき行動はたった一つだ。――――大丈夫、心配することはない。君はスリザリンとして、正しい道を選択するんだ。どんな手段を使っても、目的を遂げる狡猾さ――――何一つ間違っていないよ。」
「さぁ、ダリア。――――覚悟を決めるんだ。」
ダリアはかすかに頷いた。
リドルは満足気に笑っていた。
ツイッターアカウントを作りました。マイページにはりました。
でも飽きっぽいのですぐ無くなるかもしれません。
いつ頃更新できるかとか、小ネタとか、活動報告に書くほどでもない事を呟くと思います。
続けばいいな……。