いつ終わるか、何時まで続くかわかりません、それでも思いつき次第続きを書いていくつもりなので、なにとぞよろしくお願いします。
俺の名前は『
雄英はその看板の大きさから、毎年かなりの人数が受験しその才能を花開かせているのだが、当然その分受験の難易度は高くなる。
が、しかし。
その難関試験に挑まんとしている俺は、あまり緊張していなかった。
と言うのも、俺は個性に恵まれているからだ。
生まれつき人の体に備わり、体質を他人とはまったく異なるものにし、その名の通り人それぞれの個性となるその能力は、ヒーローたるものみんなが強力な個性を持っているものだが、俺はその中でもかなり強力なものを持っていると自負している。
何故なら、俺の個性はその強さと勇ましさから、一時代に名をはせたヒーロー、『ネオス』と同じものだからである。
大地を駆け、空を舞い、悪しきを砕くその姿はまさに『正義』の体現者と謳われ、その姿に感銘を受ける者も多かったとか。そして、俺はその息子だ。
当然、父親の個性は僕にも受け継がれ、母の個性も相まって、それ以上に強力な個性を手にしている。
まあ、そんな紆余曲折は置いておくとして、今は試験に集中しないとね。
余裕と思っていた推薦入学を逃し、一般入試でこの高校に入るのだから、油断しているとうっかり落ちてしまうかもしれない。
ひとまず、俺は頬を自分のほほを軽くたたき、気合を入れ直し、小さく呟いた。
「よしっ!」
俺は、この学校でヒーローとしての心得を学び、最高のヒーローになって見せる。
そんな思いを胸に、僕は、雄英の門をくぐった。
俺はさっそく、試験会場へと入る。さすが倍率300倍、試験開始までまだあると言うのにすでに試験会場はほぼ満員。
名門校だけあって、会場にいる面々は、なかなか面白い個性を持っているようである。
個性には三つの種類があり、そのれらは『発動』『異形』『変形』と分類される。
その中での異形系と呼ばれる個性の持ち主たちは皆、人間とはかけ離れた姿をしていることが多い。
発動系はその名の通り、物を浮かしたり火を出したりと、昔は超能力と呼ばれていたものの多くがそれに分類される。
そして残る変形系は、体の形、物の形を変えるなど一風変わったものが多い、まあ発動系と異形系の中間と思ってもかまわないだろう。
と、周囲のライバル観察をしている間に、試験の説明が始まろうとしていた。
「今日は俺のライヴにようこそー!エヴィバディセイヘイ!」
首にスピーカーのような装置を取り付けた男が会場中に響き渡る声量で叫ぶ、が、誰もその声に反応を示す者はいなかった。
まあ当然、周りが乗らないなら自分も乗らない、そんな連鎖的な沈黙が生まれるのも仕方がない、いくらヒーロー何て言う数世代前では夢物語とされていた職業を目指す者でも、このノリは何というか、キツイ。
が、こんなことは慣れっこなのか、その男は顔色一つ変えずにまた口を開いた。
「こいつあシヴィー!!受験生のリスナー!!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?
」
『YEAHH!!』
会場中に耳が痛くなるほどの声量がこだまするが、やはりそのノリでいるのは壇上の男一人だけだった。
なんというか、やはりヒーローだけあってこれしきの苦痛は慣れっこなのだろうか。少し違う気もするが、やはりヒーローはすごいと感心させられてしまう。
俺があそこに立っている側だったら最初の時点で辞表を出して一週間家で寝込むだろうなぁ・・。
だがやはり、その男は動揺を見せず、受験生全員の冷めた視線を向けられながらも説明を続ける。
受験は個人戦だが、おそらくこの試験中で一番受験生が一丸となった瞬間だろうと僕は確信した。
「入試要項通りリスナーにはこの後!十分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習場へと向かってくれよな!!」
模擬市街地演習、試験で集中し続けれるように事前に入試要項はチェックしておいたが、おおむねその内容通りで間違いないようだ。
演習場には仮想
制限時間十分でどれだけ効率よくポイントを集めれるかどうかが勝負の分かれ目だな。
無理せず中型と小型の敵を倒すか、それとも欲張って大型を狩るか。それは様子見してからでもいいかな。
と、僕が試験中の行動について思案していると、近くの席に置いた受験生が立ち上がり、言葉を発した。
「プリントには『四種』の
いかにも気真面目そうな見た目をした学生だな、あの制服は確か、聡明中学だったか?エリート路線に乗りたい真面目な奴が行く進学校だし、些細なミスにも気が付きやすいのだろう。
さて、彼が言っていたところを確認するか。
確かに、得点を持つヴィランは三種類らしい。が、ゼロポイントと記載されているところから、何らかの意図があるギミックだと容易に想像できる。
エリート故の柔軟思考の欠如か。
「各会場に一体!所狭しと大暴れしている『ギミック』よ!」
眼鏡の生徒に対する返答も、おおむねその通りのようだし。
僕は模擬試験会場の場所を確認し、講堂のデスクに置いた荷物などをまとめ、足早に会場に向かった。
試験会場に着き、各々が柔軟や個性の試し打ちなど、試験に向けて準備を行っている。僕もそれに倣い、軽く精神統一を始める。まあ、やっているのは単なる深呼吸なのだが。
「君はなんだ?妨害目的で受験しているのか?」
まだ難癖付けてんのかあの眼鏡・・。規律を正そうとするのは良いが、度が過ぎると場の空気を乱すことくらい分かれよ・・。
「あいつ校門前でこけそうになってた奴だよな」
「注意されて委縮しちゃった奴」
「少なくともライバル一人減ったんじゃね?」
いやいや、ライバルだのなんだの、他人を意識してる時点で君らの成績は御察し。なにより、ヒーローとしてどうなのよ、それ。
「はあ・・あんま目立ちたくねぇけどさ・・」
見てらんねぇでしょこれは。いくら受験でも、ヒーローを志す者がそんなでどうする。
「おい眼鏡」
「なんだね君は、それに俺は眼鏡なんかじゃなく、飯田天哉と言う名前がだな!」
いかにも怪訝そうな表情でこちらを睨む眼鏡。
うわぁ、こういうタイプは端っから自分が正しいと思ってるからやりづらいんだよなぁ。
けどまあ、俺の中の良心がくせ毛を庇えと轟叫んでるんでね、口八丁手八丁で今しばらくご静粛にしていただこうか。
「あー、こう言っちゃなんだが、チャック。空いてんぜ?」
もちろん嘘だ。
しかし、こういう真面目ちゃんにはこういう単純なだましが一番効く。
もはやこちらの思惑をくみ取ってわざとやっているとしか思えないくらい慌てる眼鏡。
動揺してずれた眼鏡をかけ直しながら、自分の下半身を確認している。
「おいくせ毛。ほっといていくぞ」
「えっ!?あ、はい!」
くせ毛に耳打ちでそう告げると、俺はくせ毛の腕を引っ張って待機場所の端まで移動した。
とまあ、何とかあの場で胸糞悪い光景が繰り広げられることなく済んだが。
急に引っ張られておろおろしたまんまのくせ毛を見て思う。ああ、こりゃああなって当然だわ。
見た目も地味だし、自信のなさが見て取れる、おまけに人付き合いが苦手なのか常時キョドってる。
それでもヒーローになろうと頑張るのは立派なことだと思うけどね、俺は。
「何っ!?・・って開いてないじゃないか!」
当たり前でしょうが・・自分が来てんのぴっちりスポーツウェアだって忘れてんの?
まあ、いまさら何を言おうが、俺はどこ吹く風。
すでに俺はくせ毛と共に待機場所の機材置き場の影まで移動している。
さて、こっちはこっちで、どうしますかね。
「おいくせ毛、名前は?」
「あ、緑谷出久って言います!さっきはありがとうございました」
「別に、目の前でヒーロー志望が醜い小競り合いやってんのが見るに堪えなかっただけだよ。しっかし、あの眼鏡・・飯田って奴もひどいう事言うねぇ。オタクも志すものがあって
俺はため息をつきながら頭を掻き、昔からこういう場面は放って置けない質らしい自分を呪う。
しかし、そんな俺を目の前にして、くせ毛はバツの悪そうな顔をして呟いた。
「でも、その、眼鏡の飯田君?のいう事も一理あると思うし・・僕みたいなのが居たら、場の空気悪くなっちゃうよ・・」
「ちっ、そんなんだから舐められるんだっての、ちょっとは自信もt『ハイスタートォ!』・・へ?」
唐突に告げられたその合図に、周りの生徒は何が何だかと言う感じで固まっている。
と言うか俺もだ。試験ってこう・・もっと段階踏んでからじゃないのか?
しかし、そんな甘い考えを捨て去れと言わんばかりに、巨大な監視塔の上に立つプレゼントマイクは言った。
「どうしたぁ!!実践じゃあカウントダウンなんざねぇんだよ!!走れ走れぇ!!」
『賽はすでに投げられてんぞぉ!!?』
その言葉の意味を理解した俺は、無意識に演習場へと走り出した。
っと、危ねぇ、ボケっとしてるくせ毛にを放置するところだった。
「っ!どうやら励ましあってる余裕はないみたいだ!オタクもがんばれよ!じゃあな!」
その言葉にようやく状況を理解したのか、くせ毛も少し出遅れたが走り出した。
さあ、お人よしはここまでだ。あとはしっかり、やれるだけの事やらせてもらうとしますかぁ!
演習場へと足を踏み込むと、そこは普通の街並みを成功に再現した等身大ジオラマだった。
すでに仮想ヴィランとの戦闘を始めている者もいたが、どうやら手古摺っているようで。巨大な体を持つ仮想ヴィランのパワーを凌ぎ切れないもの。攻撃が届くかと思えば、ビルの影に回り込まれうまく攻撃をかわされるもの。そこらの街よりビルなどの遮蔽物が多く、ポイントを獲得するためにはいかに戦闘慣れしているか。もしくはいかに戦闘のセンスを持ち合わせているかが求められるだろう。
しかし、好都合。
俺の個性にとってこの環境は好都合と言うほかない。
「んじゃいっちょやりますかぁ!」
俺はそういうと、上に聞いていた学ランを脱ぎ捨て、半そでのシャツ一枚になった。
すると、あたりの落ち葉や砂塵が俺を中心に渦を巻く。
俺の個性の一端『風力操作』体表から風を吸収し、それを放出すると言う単純明快な能力。
そして俺が今行っているのは『風の吸収』建物が多くてビル風が吹くこの場所と俺のこの力は、かなりの高愛称と言えるだろう。
「よいしょぉ!」
俺の体は靴のかかとから噴き出した風によって勢いよく宙に浮き、常人にはまず不可能な跳躍をして見せた。
しかし、それだけではあたりにあるビルを超えることは愚か、仮想ヴィランを飛び越えるのも不可能だ。
だが、跳躍時の勢いが薄れてきたところで両腕からさっき以上の量の風を放出し続ける。
すると、ヘリコプターのホバリングの要領で宙に浮かび、そのまま垂直に上昇する。
そして小さなビルを一つ二つ超えたところで、一番近くにあったビルの屋上へと降り立つ。
着地の余韻でいまだ吹き荒れる突風、そしてビルに阻まれてあまり見えなかった演習場の全貌。仮想ヴィランが街を破壊し、未熟な受験生たちがそれを何とか倒そうと切磋琢磨する。
「おーおー、皆張り切ってるねぇ、こりゃあ俺もがんばらないと落ちちまうなぁ」
その光景を見て、俺は新たに決意を固くする。
俺はこの激戦を戦い抜いて、なんとしてでも入学してやる、と。
心がざわめく、感情が高ぶる、神経が研ぎ澄まされる。
俺は強くこぶしを握り締め、先程放出した分の風をまた吸収する。そして再び飛び立ち、近くにいたヴィランの直線状へ移動した。
まずは小手調べだ。
俺は片手でホバリングを維持したまま、もう片方の手のひらをヴィランに向ける。それと同時に仮想ヴィランもこちらを捕捉し、無意味な破壊行動を止めて押し迫って来た。
俺の個性で風なんかを放出するときは、その方法を変える事が出来る。例えば、突風のように勢いよく放出も出来るし、そよ風のようにふわっと放出することも出来る。
と言ってもまあ、それじゃあ攻撃にはなんねえけどな。高々強めの風を当てたくらいで目の前の巨体が傷つくなんて思っちゃいねぇ、だから、圧縮する。
普段出すのが強風や突風なら、これはその上を行く烈風。水を圧縮すれ鉄を切り裂く刃となるのと同じように、風も圧縮して射出すれば、無数の針を内包した弾丸になる。
ごおぉっ!と、鼓膜を突くような雑音があたりに響く。それと共に発射された不可視の弾丸は、迫りくる仮想ヴィランの脳天に直撃する。引っ掻くような不愉快な金属音と共に、仮想ヴィランがのけぞった。
しかし、それだけで止まることはなく、仮想ヴィランは再びこちらに向けて動き出した。
「やっぱこれだけじゃあ倒れてくれませんよねぇ・・、んじゃ、ちょっと真面目にやりますか」
手のひらから出す風を強くして、目の前まで迫っていた仮想ヴィランの頭上へと回る。
そして、強くこぶしを握り締る。狙いを定め、引き絞る。真上から貫くイメージで。全力で、全開で、俺は、烈風を纏う弾丸と化した。
圧倒的風圧と、それを纏い加速する俺の拳が仮想ヴィランの頭に突き刺さり、そのまま仮想ヴィランの体内まで潜りこんだ。
内部はほぼ全壊、これで倒したことになっているだろうと一息つく。が、あたりからバチバチと嫌な音がするので、早々に仮想ヴィランの装甲を突き破り外へと出た。
すると、目の前の仮想ヴィランは紫電を放ちながら力なく崩れ、完全にその機能を停止した。
「よし、撃破完了!」俺はヒーローへの第一歩を踏み出したことを実感しつつ、手に持ったままの電気ケーブルを見る。いい武器が手に入った。一見、引き千切られ役目を終え、ふにゃっと頼りない折れ方をしたそれは武器として使えるとは思わないだろう。
しかし、俺の個性を使えばこれも武器に変わる。
「へへっ、この調子なら!」
俺は口元を少し歪め、素振りをしながら新たな敵を求め飛び立った。
仮想ヴィランを豪快に破壊した彼を見ていた審査員は、感嘆の言葉を漏らす。
『あの破壊力!あの速さ!実に有望ですな!』
『彼は風を操る個性かな?実にグレイト!』
『それにしては個性発動までにラグがあるように見えますが、それを加味してもなかなか!』
そんな彼らの評価を知る由もなく、彼は次々とヴィランを狩っていく。
「ふー、これくらい狩れば結構いいんじゃないの?お邪魔虫とやらにも合ってないし、順調順調!」
彼の過ぎていった道にある数々の仮想ヴィランの残骸を見ながら、彼は額の汗をぬぐう。
「何とか試験は『風の力』だけでやり切れそうだな」
そう、彼が見せた力はほんの一端。本来の能力のいわば第一段階。
それもまた、彼を見る審査員たちは知る由もない。
しかし、彼のその言葉を否定するように、それは起こった。
それは、彼が先に助けたくせ毛の受験生が、動けなくなっている女子の受験生を助けようとしていると言う、おせっかい焼の気がある彼にとっては手を出さずにはいられない、カオスな光景であった。
おいおいおい、あのくせ毛マジか!?自分一人であの女助けるつもりかよ!どんな個性持ってるか知んねぇけど、よりにもよって相手はあのお邪魔虫じゃねぇか。無駄にでかくて、完全に邪魔するために配置されたとしか考えられないあのデカブツ。あんなのにぶつかってったらあいつ死ぬぞ!?
そう焦った俺は、個性を使って飛ぶこともせず、がむしゃらにくせ毛のもとへ走った。
見切り発車なもんで、小説の中身は多分ちょいちょい変わります。
それでも気にせず見ていただけたら幸いです。