都築涼平(つづき りょうへい)
・菊乃と同じクラスメイト。事件前から学校に行ってない不登校児である事がきっかけで学校に行かなくなる。
お久しぶりです。失踪しがち&スランプ…しごと…お酒…うぅ(´・ω・`)
「…………」
学校いかなくなって3ヶ月経つな…そんな事を思いながら部屋でずっと機材の本を読んでいた都築涼平は布団から起きあがりカーテンを開ける。
「……誰も来てないよな?」
素行不良だがそれなりに成績も良く友人もいた涼平を最初はクラスの人が心配になって来ていたが1ヶ月となればもう誰も来なくなっていた。涼平と唯一連絡を取っていた恋太郎と最近は連絡が億劫になってる。
(俺は身を隠すのが一番だ…あんなことして学校に行くなんて考えられねぇし)
テレビで見たけど菊乃の家族が惨殺って…あいつの親って確か現役裁判官だったような。記憶を辿りながらそんな事を思う涼平の携帯に着信が来て部屋中に鳴り響く。
(おわっ!?なんだよ一体…って恋太郎?)
久々の恋太郎からの連絡なら出ない理由は無い、そう考えた涼平は電話に応答する。
「恋太郎?」
『リョウですかっ!?よかった…飢え死にしてなかったんですね』
「人を死体扱いするなよ。電話してきたってことはなんか学校であったのか?」
『はい。この前学校に警察が来て菊乃の事件についてクラスへ聴きに来たんです。多分そろそろリョウのところにも行くかと思って…』
「それで連絡してきたのか、わかった。アツヤは学校に来てたか?」
『アツヤは…その』
「ったくあのサボり常習犯は…そういや菊乃はまだ行方不明らしいな?」
テレビで報道されていた菊乃の事について涼平は恋太郎に尋ねる。
『はい…僕も僕なりに菊乃を探そうかなと思います。なにかあったらまた連絡しますので』
「はいよ」
涼平は恋太郎との電話を終えて部屋に溜まったゴミを纏めて家を出る。そして近くのゴミ収集車回収場所まで持って勢い良く投げ捨てた。
(もし菊乃があの事を怒っていたら…俺はどうやって償えばいいんだ)
雲ひとつない青空を見渡し涼平はその場を離れようとすると声をかけられ呼び止められた。振り向くと不機嫌そうな中年の男と若々しい男が1人。なんのようだと思っていると中年の男が涼平の前に出て来て問いかける。
「都築涼平だな?警察だ。お前に話がある。閃宮崎菊乃についてだ」
「!?」
それを聞いて涼平は、自分が菊乃にしてしまった事が脳裏に浮かび家には向かわずそのまま走って逃げて行く。
「あ…おいガキ!どこ行きやがる待ちやがれってんだ!タツヤ追うぞ!」
「え?ちょま、待ってください陸奥さーん!?」
(なんで警察に話が知られてんだよっ!?こんな所で捕まってたまるか!!こうなったら撒いてやる!)
菊乃side
〜牛込家〜
「……私の知ってる有咲ちゃんの事はこれで全部、だよ。菊乃くん」
「……うん、ありがとう。りみさん」
俺はりみさんに自分のことを知っているかも知れない市ヶ谷有咲さんについての情報を得ていた。
「盆栽とネットサーフィンが好き…バンド内ではキーボード担当、昔ピアノを習っていたけど断念してしまった、か。教えてくれてありがとう」
「か、感謝されるほどじゃないよ。私は知ってることを話しただけだから」
こんな風にりみさんは言うけど、事実上俺の記憶に繋がる何かかも知れないってだけで有り難いことこの上ない。
(昔にピアノ習っていたのが驚きだったな……これは本人に聞いてみるのもありかもしれない)
「ねぇ、りみさん」
「どうしたの菊乃くん?」
「俺を有咲さんの家に案内してくれない?」
「へっ?」
俺の言葉に驚いたのかりみさんが声を上げる。
「いや、俺の事について詳しいだろうし…"幼馴染"ってのがどうも引っかかるからね。だったら本人に聞いて見ようかなって思ったんだけど…」
「それはいいかもしれないけど…」
「けど?」
「えっと…菊乃くん今行方不明ってなってるから…」
確かに…ニュースを見る限り今もずっと行方不明ってことになってるらしい俺の事を警察は探してるわけだから下手に外出して目立つとアウト。記憶が戻らないまま過ごすことになる。
「でもこのまま何もしないってわけにも…」
「う〜ん…っそうだ菊乃くん!変装すればいいんだよ!」
「へ、変装?」
確かに変装はいいかも知れないけど…そんな都合よく変装道具なんてある?なんてことを思ってるとりみさんが帽子を持ってきた。
「な、なんで帽子?変装って言うくらいだからもっと違うのはない感じなのかな?」
「あるにはあるけどハロウィンの仮装だから…目立っちゃうよりは帽子の方がいいかなって」
「ま、まぁ深くかぶれば大丈夫かな?」
俺は服を着替えてスマホと財布をズボンに入れ、帽子を深くかぶる。
「あれ?菊乃くんとりみ、どこかお出掛け?」
部屋を出ようとするとゆりさんが部屋に入ってきた。
「えっと…まぁ、そんな感じです」
「お姉ちゃん…ちょっとだけ有咲ちゃんの家に行ってくるね?」
「有咲ちゃんの家に?」
ゆりさんはそう言うと俺の服装をじっと見る。
「な、なんですか?ゆりさん、どうかしましたか?」
「ちょっと失礼」
ゆりさんは帽子を取って自分のヘアゴムを使い俺の髪をとめてそこに帽子を被せ直す。
「これなら多少は大丈夫かも。見つからないようね?」
「あ、ありがとうございます」
「ありがとうお姉ちゃん。行こう菊乃くん」
「はい」
俺とりみさんはゆりさんに見送られ有咲さんの家に向かった。
香澄side
「う"ぅっ…」
「ありしゃーっ!?しっかりしてよ有咲ーっ!?」
(えっとえっとどうしたらぁっ!?と、とにかくみんなに知らせなきゃっ!!)
私はスマホでポピパメンバーに『有咲が大変!』って送って有咲のおばあちゃんに体温計や氷水を借りてくる。
「有咲!とにかく熱計らないとっ!」
有咲の汗でぐしょぐしょになったパジャマの上着を脱がせて体温計と換えの着替えを渡す。
「えっとえっとぉ…着替えはどこだっけぇ?っあああ有咲!ちゃんと布団入ってね!?」
あたふたしながら次は何するか考えてるとベッドに寝かせていた有咲が身体をもぞもぞと起こして周りをキョロキョロし始める。そしてそのまま自分の机に向かっていく。
「うぅっ…」
「あっ!有咲ーっ!無茶したらダメだって!」
「うるぜぇっ!!!!」
顔を赤くしながら有咲は私に対して怒りを露わにしていた。私はなんで有咲が怒ってるかがどうしても分からなかった。
「あ、有咲……?」
「はぁはぁ…むぢゃでもじなぎゃダメなんだよっ!!わだしが…わたじ1人でなんどかじないとダメなんだよ!私には時間が無いんだ!」
額に熱さまシートを貼ってフラフラしながら机に向かっていく有咲を止めようとしてるとさーやとおたえも蔵の中に入ってきた。
「香澄!」
「かすみ、有咲がどうしたの?」
「さーや、おたえぇ!有咲が熱出しちゃって!」
3人が視線を向ける先には、ぜぇぜぇと息を切らしながら机の物に触ろうとしている有咲の姿があった。
「ちょっと有咲どうしたのっ!?」
「さ、沙綾…それにおたえも…はぁ、はあ…なんで蔵に来てるんだ?」
「かすみに呼ばれたの。有咲が大変だーってきたから急いで来たんだよ」
「そうかよ…はぁはぁ…」
今にも倒れそうな有咲にさーやとおたえが駆け寄る。
「ちょっとしっかり!何してるかはわかんないけど休まなきゃダメだって!」
「有咲しっかりー」
2人に寝るように促される有咲はなにか焦ってる様なそんな表情を見せている。なんでそんなに焦っているのかが知りたくなった私はついつい有咲に聞いてしまう。
「ね、ねぇ有咲…有咲焦ってるみたいに見えるんだけど何に対してそんなに焦ってるの?」
「へ?有咲そうなの?」
「…………」
有咲はちょっと口篭るけどすぐに口を開いた。
「……別に焦ってねーし。だ、大体私がなんで焦ってるかなんて皆には関係ないだろ!私には時間がねーんだ!身体ぶっ壊れてでも私にはやる事があるんだよっ!!」
「有咲…」
さーやもおたえも有咲の話を黙って聞くしかなかった。
「私の私情は私の問題だ!!いくら香澄達でもこればっかりは関係ねぇんだから!!だからほっといてくれよ!!こんな事してる間にもアイツがどこか彷徨ってるかも知れないんだ!!だからぁ!!」
「っ!!」
パアァァンッ!!
……有咲の声を遮るように鋭い平手打ちの音がくら全体に響き渡る。有咲だけじゃなくさーやもおたえも目を見開く、だって平手打ちしたのは他の誰でもない私なのだから。
「…………か、香澄?」
「………お、おい香澄…何すんd」
「私だって……私だって本当はこんなことしたくないよっ!!!」
こんなに声を上げたのはいつぶりだろう。感情と涙ががこみあげて止まらない。
「だ、だったらなんで叩いたんだよっ!!」
「だって有咲がっ!!今の有咲が自分勝手すぎるんだもん!!」
「っ!?」
止まらない。止めたくても止めることはもう出来ない。
「今の有咲、なにかに取り憑かれたみたいなかんじになってるもん!!私達の事なんか構っていられないとかそんな顔してる!!こんなの……私の知ってる有咲じゃない!!ばかばか!有咲のばーか!!大っ嫌いだよ!!!!」
私は勢い任せに自分のギターを持ってそのまま走って行った。さーやとおたえが止めようとする声が聞こえたけどそんなのお構い無しに私は家まで突っ走っていく。
(有咲ぁ…ありしゃぁ…ううっ…)
家に戻ってきた時はあっちゃんにも何があったのか心配されたけど今はもうそんなことどうでも良くなっていた。
「お、お姉ちゃん?市ヶ谷さんと何かあったの?」
「ごめんあっちゃん。今は放って置いて」
「……無理強いはしないから話す気になったら出て来てね?」
私はカーテンも閉めて部屋の隅で蹲る。今は何もしたくない…
「ううぅ…………ありしゃぁ…」
有咲side
香澄に言われること言われて出て行った。止めようとした沙綾もおたえも、叩かれた私もそれを呆然を見つめることしか出来なかった。……香澄に叩かれた左頬がじんじんする。
「…………"大っ嫌い"か…そう言われても仕方ねぇよな…」
「あ、有咲…」
「沙綾、おたえ…香澄には風邪治ったら謝るって伝えてくれるか?それと…その、ごめん」
「う、うん。分かった、早く、治してね?」
「…あぁ」
おたえも沙綾も帰り、蔵は再び私だけになった。私は氷水で冷えたタオルをおでこに乗せて布団の中に入る。途中ばあちゃんが作ってきたお粥を食べたり氷水を変えてもらったりしながらお菊のことを考えていた。
「………お菊、どこにいるんだろ?」
幸いな事に香澄達にはノートを見られなくて良かった。お菊の事が書かれたあのノートを見られちゃったら追求してくるに違いない。
(お菊……お菊は絶対私が守るからな!!だから…待っててくれ。こんな風邪すぐにでも治し…)
「ゴホッ!ゴホッ!」
喉痛てぇ…のど飴どこやったかな?一旦氷水にタオルを戻してのど飴を探してると引き出しの中からお菊と一緒に撮ったプリがあった。
「………懐かしいな。中2の時に初めてお菊とゲームセンターに行って撮ったんだよなぁ」
私が腕組んだら胸当たってるって言って顔赤くしてたのを覚えてる。
「…記憶戻ったら、お菊とまたプリ撮りに行きたいな。それと……」
お菊と一緒に作譜し、破れた楽譜をみる。
「……これも、一緒に演奏出来たらなぁ」
懐かしさの余韻に浸っていると蔵の外から声がした。
「あ、有咲ちゃん…」
この声…りみか?
「蔵の扉開いてるから入って来ていーぞ…ゲホゲホッ!」
「う、うん!分かった。入っていいって」
ん?りみの他に誰かきてんのか?
「失礼します」
「っ!?」
りみと一緒に蔵に入って来たのは私もよく知る幼馴染、探していたお菊だった。
「………お、お菊…なのか?…………なんでりみと一緒にいるんだよ?」
「………」
りみと菊乃が市ヶ谷有咲の家に来た同時刻、菊乃と同じクラスメイトの都築涼平は未だ警察から逃げていた。
「おいコラガキ!待てって言ってんだろうが!!」
「はぁ…はぁ…待つと言われて待つバカは居ないね!」
涼平は何度も曲がり角を利用して陸奥とタツヤを撒こうとする。
(捕まるわけにゃ行かねぇ!ここで撒いてやる!!)
「都築くーん!僕達は話を聞きたいだけなんだ!出てきてくれー!」
涼平は息を切らしながら、残りの力を振り絞って警察から距離をとる。しかし、無意識に走っている涼平の逃げる先は不幸にも自身が通っている聖木松高校だった。涼平は校門を勢いよく駆け抜けて行くがタイミング悪くスタミナ切れで走る気力が残ってなかった。陸奥とタツヤはそれを見かけるや否、涼平を拘束する。他の生徒はなんの騒ぎだと言わんばかりに3人を見ていた。
「ようやく捕まえたぞ…ったく手間かけさせやがってガキが…」
「っ離せ!!離せって!!っていでででで!?」
「陸奥さん、あんまり拘束強めると都築くんの腕が…」
「事件には関係ねーけど俺と菊乃の事は話すから!!頼むから拘束解いて痛い痛い!!解いてくれっ!?」
涼平はこれ以上目立ちなくなかったのもあるからか観念して警察に自分の事情を話すことにした。
立ち話する訳にも行かなく涼平は警察2人に連れられ資料室に入った。
「ふぅ…汚れちゃった」
砂埃を祓いながらパイプ椅子に座る。
「それで、なんであんなに逃げてたんだ?事件には関係ねーけどとか言いながら何か隠してるんじゃないのか?」
「違うって言ってんだろ?俺は菊乃の家族が殺される前から引きこもりだったんだから」
「だったら……何故都築くんは家に籠るようになったのかだけでも教えてくれないかい?」
タツヤが涼平にそう言うと、涼平は菊乃と何があったのかを淡々と語りだした。
最後まで読んでもらいありがとうございます。
次回更新は未定ですが失踪疑惑がつかないように精進していこうと思います。
ひまり小説の方もハロハピも頑張ります。