風の力、お借りします!…すいません。
悪ふざけが過ぎました。
と、言う訳で二人の登場です。
ここはドイツ軍施設内の一室。
椅子に掛ける中年の男とその前に起立した二人の女性が居た。
「お呼びでしょうか!准将!」
呼び方から察するに椅子に座って居るのは少女達の上司の様だ。
「うむ。楽にしたまえ。」
「はっ!」
男の許可を得て姿勢を崩した少女たち二人は小柄な方と数歩後ろに女性にしては大柄な方であろうか。
「少佐。君を呼んだのは少し日本に行ってきて欲しいからだ。」
「はっ!発言を宜しいでしょうか!」
「許そう。なんだね?」
「これは軍の命令ですか?」
「いや。私個人の依頼だ。」
「准将個人の…?」
「あぁ。昔の知り合いに頼まれてしまってね。日本に居るある人物と接触して欲しい。」
「その人物とは?」
「詳しくは後で資料を送ろう。だが一つ明かすとすればウルズ7を継ぐ者と呼ばれている。」
「なっ!まさか、あいつでは!」
「少佐。頼めるかな?」
「はっ!この依頼引き受けさせて頂きます!」
その後、部屋を退室した二人を見送る。
そして、男。リチャードは嘗て自分が支えていた上司を思い出した。
「テッサは何をお考えなのか?」
ミスリルが解体した後、ドイツ軍に元の地位で迎えられてから早数年。
ずっと音信が無かった相手からの急な依頼だった。
しかも名指しである。
薄くなった頭皮が今度は無くなるかもしれないと危惧していた。
場所は替わりフランスのデュノア社の本社ビル。
社長室では密やかにある会話が交わされている。
「お前を日本に送る事になった。」
「…。」
「役割は理解しているな。」
「はい…。」
「ならいい。」
「あの!」
「何だ…。」
「いえ。何でもありません。」
「そうか。なら、もう行け。」
「はい。失礼します。」
一方が退室してから残された方、アルベール・デュノアは苦虫を嚙み潰したような顔で扉の方を見ていた。
「済まない。マリア…。」
そう、呟くと表情をいつもの素面に戻した。
それから数日後の日本、場所はIS学園。
この日、一年一組にはいつもの朝とは一風変わった空気が流れていた。
「織斑君!また転校生来るってさ!」
「またか…。」
「うん。それも二人だって話だよ!」
「二人か。それにしても随分急だな。」
「きっと、一夏さんの影響ですわね。」
「おはようセシリア。俺の影響とは?」
「おはようございます。世界で唯一の男性のIS装着者である一夏さんとコネクションを作りたい国家が多いという事ですわ。」
「成る程な、理解した。」
「それに、あわよくばデータも取れるって考える研究機関もあるだろうしね。」
「鈴か。おはよう。」
「うん。一夏、おはよう。」
「おはようございます。鈴さん。」
「おはよう。セシリア。」
「しかし、今の俺の身柄は日本ミスリル預かりになってるはずだが?」
「確かに、国家としてはそうでも個人としては違うという事ですわ。」
「そう言うものか?」
「そう言うものよ。」
「それより箒は?朝から見ないんだけど。」
「そう言えば、わたくしも見ていませんわね?」
「箒なら、少し考えたい事があると言って先に来ているはずだが。」
三人の話題に上った箒は剣道場に居た。
『あの時、私は足手纏いだった。』
思い出すのはクラス代表戦での一幕である。
放送室から一夏に呼び掛けた箒は結果として無人機に隙を作る事には貢献したが。
それでも一歩間違えれば死んでいた。
その事を教師陣から説教され大分落ち込んでいた。
『私に、専用機が有れば…。』
考えるのはあの時の事である。
あの時、自分にも専用機が有れば一夏と共に戦えただろうか?
鈴音やセシリアの様に一夏の役に立てただろうか?
そんな線無き事が頭をよぎる。
何を馬鹿なっと、心のどこかで囁く自分も居るがそれでも考えてしまうらしい。
そうこうしているとホームルームの時間が近くなっている事に気付く。
「こうしてはおれんな、先ずは目の前の事から当たらねば。」
そう意識を入れ替え剣道場を後にした。
教室に戻った箒は鈴音達から質問される。
「おはよう箒。どこ行ってたのよ?」
「あぁ。おはよう鈴。少し剣道場にな。」
「おはようございます。箒さん何か悩み事でもありまして?何時でも相談に乗りますわよ。」
「おはようセシリア。なに、そこまで深刻な問題じゃないんだ。」
「そうですか。でも言いたくなったら何時でも言ってくださいね?」
「あぁ。その時は頼む。」
「あ!そろそろ行かなきゃ!じゃあ次の休憩時間にまた来るわね。」
そう言って自分の教室に帰っていく鈴音を見送り自分の席に着く。
丁度始業のチャイムが鳴った。
教師陣が教室に入って来る。
そして何時もの様に真耶が壇上に上がって声を挙げる。
「おはようございます!皆さん、今日は転校生が来ています!」
真耶の発言に教室がざわつく。
「しかも二人です!」
前情報の通り二人転校してきたようだ。
「では、早速入って来てください!」
そう呼び掛けると教室の入り口から二人の制服姿の人物が入って来る。
その内の一人に教室に居た生徒はざわめきを強くする。
「じゃあ一人づつ順番に自己紹介をして下さい。」
「先ずは、ラウラ・ボーデヴィッヒさんからお願いします。」
真耶に促されラウラと呼ばれた少女が前に出る。
「うむ。ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」
「あの、それだけですか?」
「あぁ、ほかに何か?」
「いえ、それでよければ別に…。」
実に簡素な自己紹介である。
そんなラウラは教室を見回しある生徒を見つけるとその近くまで近づく。
「貴様が、織斑一夏か?」
「そうだが。」
「貴様が!」
何を思ったのか急に頬を叩こうと手を出すラウラ。
しかし、一夏は慌てず椅子を引くと迫る腕を掴み腹這いにになる様にラウラを机に押さえつける。
「直前まで殺気を隠していたのに最後は随分お粗末だな。」
そう言い放つ一夏に逆上したラウラは声を荒げる。
「貴様が居なければ。教官は今も…!」
「教官?」
熱くなるラウラに飽く迄でも冷静に対処する一夏。
ちなみに一夏は今まで一度も立ってない。
「織斑。いい加減離してやれ。」
「いいのですか?織斑先生。」
「構わん。こいつには後からきつく言っておく。」
「織斑先生がそう言うのであれば。」
漸く解放されたラウラは今度は千冬の方に詰め寄る。
「何故ですか!織斑教官!貴女ほどの人が何故っ!」
スパン
それ以上は紡がれなかった。
出席薄が彼女の脳天に突き刺さったのである。
「ここでは、織斑先生と呼べいいな。」
「はっ!織斑先生…。」
頭を押さえ涙目でそう返事を返して元の場所に戻る。
「えぇっと。じゃあもう一人もお願いします。」
空気を換えるために無理やり話題を逸らした真耶は佇んでいたもう一人の転校生に声を掛ける。
「はい。フランスから来ました。シャルル・デュノアです。」
「日本に僕と同じ境遇の人が居ると聞いてきました。宜しければ仲良くしてください。」
暫く沈黙した後誰かが小さく声を出す。
「男…!」
その声を皮切りにクラス全体がお祭り状態になる。
「二人目よ!」
「しかも織斑君とは違って守りたくなる系男子!」
朝から賑やかだ。
しかし、一夏は何処か訝しげにシャルルを見つめる。
一時間目の授業が差し迫っても静かに成らない教室に愛子が懐に手を伸ばす。
チャキッ
その音を聞いて教室が一気に静かになる。
「一時間目は二組と合同で実機訓練だ遅れるなよ。」
そう言って千冬が教室を後にすると生徒たちは粛々と移動を開始した。
シャルル「見られてる…!」
リチャードが何故ドイツ軍に居たか?
ミスリル解体→暫く引退して隠居生活→ドイツ軍が設立したばかりのIS部隊の指揮経験の無い状態→そこで隠居していたリチャードに依頼→リチャードを指揮官の補佐として着任→ところが指揮官陣営に汚職が発覚→そのまま責任者になってそれから纏めた部隊が功績を出し続けたので二階級特進これが一連の流れです。
感想などありましたどうぞよろしくお願いします。