IS世界のボン太くん   作:マガガマオウ

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今回は考察回です。


作られた悪意の片鱗のふもっふconspiracy

放課後、一夏は人気の無い教室である人物と接触していた。

 

「すいません薫子先輩。急な依頼を引き受けて貰って。」

 

密会の相手は薫子の様だ。

 

「いいのよ。それにしても、デュノア君の近辺を調べてほしいってメールを貰った時は如何したのかと思ったわ。」

「それで、何か分かりました?」

 

薫子は外に情報屋とのパイプが有り、一夏はそれを頼った。

全てはシャルルが此処までくるに至った経緯を知る為である。

 

「えぇ、如何やらデュノア社は数年前から赤字が続いてるみたいよ。」

「赤字?デュノア社と言えばフランスのIS関連のメーカーで大手のはず。」

「どうも、第三世代の開発がうまくいって無いみたいなの。」

「成る程。それで、男として…。しかし、ラファールはバージョンアップ機がまだ現役のはずでは?」

「それも他の企業に押され始めてるみたい。」

「それで俺の専用機のデータを…いや、それだけが狙いだとする余りにもリスクが大きすぎる。」

「そうよね。万が一、性別詐称が発覚したらと考えると余り合理的ではないわ。」

「やはり、そう思いますか。学園には各国から派遣された留学生や代表候補生が集まっている。そんな場所でこの事が露呈したらフランスの信用に傷が付く。」

「その事と、関係が有るかどうかは判らないけど。もう一つある情報が入ったの。」

「それは?」

「現在のデュノア社の経営権は二つの家が管理しているの。一つはデュノア家、そしてもう一つが奥様の実家のコールマン家よ。」

「それが何か?」

「うん。実は経営不振になる十数年前までもう一つ技術開発部門を受け持っていた三番目の家系があったの。」

「その家の名は?」

「ウェストコートよ。」

「ウェストコート家…。」

「今解ってるのはこれだけ、あと数日待って貰えれば他に分かるかもしれないけど?」

「はい。引き続きお願いします。」

「了解よ。」

 

その後、空き教室を出て少し過ぎた頃。

真耶と出くわした。

 

「織斑君。どこに居たんですか?」

「いえ、少し調べ物を。それより何か用ですか?」

「はい。今日からデュノア君と相部屋になったと伝えてなかったので。」

 

『何故、こうも必要事項を伝え忘れるのか。』

そう感じているのが顔に出ている為か若干涙目に成りながら必死に弁明の言葉を探る真耶。

ここに居ては埒が空かないと真耶を置いてその場を離れる。

寮に戻る道すがら薫子から齎された情報をもう一度思い出す。

『デュノア社の業績不振に、ウェストコート家の失墜か。』

パズルのピースはまだ足りてはいないが。それでも朧気ながら全容は把握出来つつある。

『あと少し、せめてシャルル本人から何か情報が得られれば。』

そう過ぎった考えを頭を振って追い払う。

『今はまだ確証が無い。変に勘繰り警戒されればより厄介だ。』

 

「先ずは信用を得る所からだ…。」

 

そう考え、一路寮までの道を行く。

信用を得る足掛かりとしては相部屋は良い環境だと気が付くのはシャルルと部屋で会話した時だったのは関係ない事である。

それから数日が過ぎたある日。

一夏はシャルルと自主訓練を行っていた。

「こうして見るとボン太くんって凄い機体だね。」

「ふも?ふももっふ。」『そうか?確かに汎用性は良いが。』

「うん。それもそうだけど、アルビノボン太くんに限った話なんだけど。」

「2.5世代と言ってるにしては第三世代並みの機体性能に加えて、それ単機で高速格闘や火力砲撃と云った複数の戦局に対応できる機体なんて聞いた事がないから。」

「ふもっふ。ふもーふもっふ。」『成る程な。だが長所ばかりでもないぞ。』

「そうなの?」

「ふも。ふーももっふふもーふ。」『あぁ。それだけ複雑な操作が出来る人間は限られるからな。』

「成る程ね。幾ら高性能な機体でもそれを扱えなければ意味が無いって事。」

「ふもっふ。」『そう言う事だ。』

 

そう、幾ら補助AIを積んでいても限度が有る。

やはり操作の大部分は人間の技術が必要なのである。

そんな二人の遣り取りを聞いてか挑発的な声がした。

 

「ほう。それは是非、お手合わせ願いたいな。」

 

ラウラが此方に嘲る様に言ってきた。

 

「ボーデヴィッヒさんだっけ、いきなり来てそれは無いんじゃないかな?」

 

ラウラの不躾な言動に反論するシャルル。

 

「誰かと思えば、何時までも第二世代に留まってるフランスの代表候補生か。」

「まだ、実用化出来てないドイツの第三世代よりかはマシじゃないかな。」

 

言葉自体は穏やかだが発せられる語気は攻撃的だ。

 

「ふもっふ。ふもふももっふ。」『シャルル。少し下がっていてくれ。』

「ボン太くん?」

「ふーもふももっふもっふーもふ?」『ボーデヴィッヒ、今のは模擬試合を申し込まれたと取って良いのか?』

「そうだと言ったら。」

「ふも。もっふもっふー!」『ならば。受けるのが礼儀!』

「ちょっと!ボン太くん!」

「ふもも。もふーもっふふもっふ。」『慌てるな。ここで受けなければ他に飛び火するかもしれん。』

「ふもふもふーも。ふももっふ!」『そうならない為にも。ここで手打ちにする!』

「ボン太くん…わかったよ。もう止めない。」

「ふもっふ。」『感謝する。』

 

そう言って、ボン太くんは捕縛用粘着弾ランチャーとワイヤーアンカーを装備した。

 

「ふもっふ!」『よろしくお願いします!』

 

試合開始の礼をの直後、二人の戦いは始まった。

先に動いたのボン太くんだった。

粘着弾ランチャーをラウラに向け放つと距離を離す。

 

「はっ!言った割には逃げるのか!」

 

それをラウラは躱して追う。

ボン太くんに向けワイヤーブレードを打ち、それをボン太くんはワイヤーアンカーを射出して先端を衝突させて逸らす。

ラウラの背後を取りたいボン太くんは蛇行しながら移動する。

大口径レールカノンの狙いが定まらず苛立つラウラは戻したワイヤーブレードを再び放った。

しかし、此方もさっきと同じようにワイヤーアンカーぶつけて狙いを逸らした。

焦るラウラは足元に気付かなかった。

先程ボン太くんが放った粘着弾を踏み足を取られる。

 

「くっ!こいつは!」

「ふもっふ!」『今だ!』

 

背後からアウラに接近するボン太くん。

アンカーの先端のクローを展開して接近戦に持ち込もうとする。

 

「ふっ。掛かったな!」

「ふも!」『何!』

 

接近したボン太くんの動き止まった。

 

「ふもっふ!」『アルファ!』

『データベースに、この現象についての記述があります。』

「ふもっふもっふ!」『早く開示しろ。』

『了解。AICとの記述あり。アクティブ・イナーシャル・キャンセラー、PICの発展技術である。相手を任意で停止することが出来る。しかし、その為に対象にかなりの集中力を集めるため二人以上の相手及びビーム武器には不利になる。以上です。』

「ふもっふ。ふーももっふもふるもっふ!」『アルファ。この場に限り操縦権限を委任する!』

『了解!パイロット一夏を本機から離脱させます。』

 

一夏の命令で一夏から外れたボン太くんがAICの呪縛から解き放たれ、捕縛ランチャーをレールガンの発射口とワイヤーブレードの射出装置に向けて撃つ。

 

「何だと!」

 

急な事に反応が遅れ遠距離兵器を潰された。

そして動揺している隙にAICの効果範囲から抜けた一夏は再びボン太くんを纏う。

 

「遠隔操作だと!」

「ふもっふ。ふーもっふもっふーふもる。」『違うな。補助AIを積んだボン太くんタイプの特性だ。』

「機体特性だと!」

「ふもっふ。もふふもっふふももっふ。」『そうだ。一時的に補助AIに操縦権限を移した。』

「そんな事が…!」

「ふもっふ!」『仕上げだ!』

 

ボン太くんはワイヤーアンカーをラウラの周りを囲う様に打ち出し徐々に円を狭める。

 

「こんなモノ!」

「もっふ!ふーもっふ!」『無駄だ!ミスリル製の特殊ワイヤーだ!』

 

そう、このワイヤーはミスリルの技術で作られた超硬質ワイヤーの発展型なのである。

熱や摩耗に強くバーナーやナイフ、ハイバイブブレードですら切れなかった代物である。

段々動きが取り辛くなると決着がついた。

 

「ふもっふふももふもるもっふー?」『貴様は誰の意思で戦っている?』

「何?」

「ふもるもっふふもっふもーふ。」『少なくとも貴様の意思で戦っていたらこんなにあっさりは勝てなかった。』

「何を言っている!」

「ふもっふ。ふももるもふふもっふ?」『自覚無しか。初対面の時に言った事を覚えているか?』

「確か。直前までは殺気を隠していたのに最後は随分お粗末だな。だよね。」

 

シャルルが答える。

 

「ふもっふ。ふももっふ。」『そうだ。だから問う。』

「ふももふーもっふもっふ!」『お前は誰の意思で戦っている!』

 

この発言の後騒ぎを聞きつけた担当教諭に促されアリーナを出って行くボン太くんの背をただ茫然と眺めるラウラはボン太くんが発した言葉の意味を理解できなかった。

後にこの一件は千冬の耳に入る。

そして、二人は用務員の雑用の手伝いを言い渡されて事なきを得た。

 

千冬「IS学園最凶が目覚めなければいいが?」

 

 

 

 

 

 

 

 




千冬が恐れる最凶の用務員とは?
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