それはさて置き最後にあの人が出てきます。
あの後の事を少し語ろう、学年別トーナメントはあの事件の後は一応第一試合のみ行われる事となった。
一夏に、弟子入りしたラウラは日が昇り沈むまで一夏と共に鍛錬に励むようになった。
時間を見つけては、一夏の様に瞑想に取り組む姿も教室ではよく見る光景と成りつつあるらしい。
そんなラウラとシャルロットが同室になり、その影響でラウラもボン太くんファンに成ったのは必然だったのだろう。
そんなこんなで日々は過ぎた。
そして、次の行事が予定が差し迫っていた。
「臨海学校が三日後に迫ってる。準備はしっかりしておけ。」
その日の、帰りのホームルームの終わり掛けに千冬が生徒たちにそう声を掛ける。
「織斑先生、準備とは?具体的にお願いします。」
「織斑、察しろ。男のお前には分らんだろうが女には色々必要なのだ。」
「?分かりました。」
一夏は理解できてないのか、煮え切らない返答を返した。
ホームルームが終わり、いつもの様に自主訓練に向かおうと席を立つ一夏にシャルロットが近寄る。
「一夏、今度の日曜日に何か予定ある?」
「いや、無いが…。」
休日の予定を聞いてくるシャルロットを不思議そうに見ている一夏。
「ならさ、ちょっとお買い物に付き合ってほしいな。」
「臨海学校の準備か?」
「うん、そんな所だよ。」
「分かった空けておこう。」
「師匠!今日は、第二アリーナが空いてるそうです!」
「ラウラか、承知した行こうか!」
「一夏、当日はお願いしたい事があるから後でメールするね。」
「了解した。」
そう言って教室を出ていく一夏を見送った。
そして日曜日。
シャルロットはリニアの駅の駅前で一夏と待ち合わせていた。
彼女は、傍から見てかなり目を引く。
当然、そう言う輩も近づいてくのは必然だった。
「ねぇ、少しの間で良いからさ~。」
「俺らと、遊びに行こうよ~。」
かなり毛羽着いた服装に軽い言動は、シャルロットが不快感を抱くのに十分だった。
その証拠に、彼女は一言として言葉を発しよとしない。
「車も有るしさ~、一緒に楽しいことしようよ~。」
「はぁ。あっ!」
いい加減、鬱陶しく思い始めた頃やっと待ち人が来た。
「ふもっふ?」『待たせてしまったかな?』
タキシードに身を包み、モフ口に付けひげを付けて手にステッキを持ったとても紳士的な格好のボン太くんが此方に歩いて来ていた。
「そんな事無いよ、行こう。」
彼の姿を、確かめると嬉しそうに近寄り声を掛ける。
「ふもふもっふふっふ。」『それは、良かった。』
親し気に話す二人を見て放心していた男達は我に返る。
「ちょっと待て、俺らの誘いよりそんな着ぐるみを優先するとかふざけんな!」
「こっちが下手に出てればこれとかねぇーだろ!」
男達の抗議の声に顔を顰めるシャルロット。
「ふもふももふーもふもっふ?」『彼らは、知り合いかな?』
「全然、ボン太くんを待ってたら声を掛けて来ただけだよ。」
「ふも。ふももふもふもるもっふほももっふ。」『ふむ。済まないが、彼女には先約があるのでね失礼させてもらうよ。』
そう言って、シャルロットの手を取りその場を後にしよとするボン太くんに男達は追い縋る。
「何、言ったか分かんねぇけど馬鹿にされた気がする!」
「この野郎、タダじゃ済まさねぇ!」
二人がボン太くんに殴り掛かろとする。
「ふも…。ふももっふ。」『仕方ない…。余り、やりたくなかったが。』
「がふっ!」
「ごっは!」
ステッキで一人目の首筋叩き昏倒させて、二人目の鳩尾に拳を叩きこんだ。
驚きの早業である。
「ふもふもっふ。」『さぁ、行こうか。』
「うん。」
気絶した二人をその場に残し、目的地へ向かう二人。
レゾナンス、そこは駅前にあるこの辺りでは一番広い規模をほこる大型ショッピングモールである。
大概の物はここで揃い、品揃えに無いものは無いと言われるほどである。
IS学園に暮らす多くの生徒がこの場所で休日を過ごす場所でもある。
二人は、その中で水着売り場に来ていた。
「ボン太くん、どっちが似合うかな?」
「ふも?ふももっふもふるふもっふ。」『ふむ?白の方が似合いそうだね。』
「こっち?そっか、うん。こっちにするよ。」
女性物の水着売り場に、紳士ボン太くんは異様である。
遠巻きに、他の客がその光景を見ていた。
そんな中、一人の女性が躊躇いがちに近付いていく。
「あの…。」
「ふも?」『はい?』
「一緒に写真撮って貰ってもいいですか⁉」
「…ふも?」『…はい?』
シャルロットの会計を済ませて、レゾナンス内に在るカフェで先程の女性の話を聞いていた。
「先程は、すいません。その…ボン太くんを見たら興奮しちゃって。」
「いえ、それは良いんですけど。」
「ふもふもっふ?」『何か、ありましたか?』
「聞いてくれますか?」
「ふもふもっふ。」『はい、私達で宜しければ。』
それから語られたのは女性の職場での事だった。
如何やら、この女性の職場では最近人事の異動があったらしい。
それで、上司が代わったのだそうだ。
前の上司は女性と同じボン太くんファンであり、性別や趣味に関しても寛容だったらしいのだが。
今の上司が女尊男碑の傾向が強くボン太くんファンにも厳しい目を向ける人物であった為に職場の環境が悪くなったらしい。
「それでも、自宅に帰ればボン太くんと触れ合えましたから。数か月は、我慢できたんです。」
「でも最近、職場の中に居た女権主義者の同僚たちがボン太くんファンの私達に仕事を押し付けるようになって。」
「そんな事が…。」
「それだけなら良かったんです。その上司は、自分の気に入った部下だけを評価する人でした、だから押し付けられた仕事が片付いても同僚たちが結果だけ持っていって…。」
「…。」
「どんどん、帰る時間が遅くなっていって。最近は碌に家にも帰れなくて。」
涙が溢れそうになるのを必死に堪え語る彼女に二人は同情した。
「ふもふもも。ふーもっふふももっふ。」『事情は理解しました。良いでしょう、写真撮りましょう。』
「うん。僕も、それが良いと思う。」
「!ありがとうございます!」
「ふもふもふもーるもっふ。」『いえいえ、世にボン太くんの幸せがあらん事を。』
「世にボン太くんの幸せがあらん事を。」
「世にボン太くんの幸せがあらん事を!」
この光景を、少し離れた所で見ていたセシリアと鈴音。
「うぅ、世にボン太くんの幸せがあらん事を。ですわ。」
「何なのかしら?この目から溢れ出した水は!」
その一幕があった頃、日本ミスリル支社本部の社長室では宗介が尋常じゃ無い程汗を流していた。
「テッサ様、今何と…?」
「様はいいですよ。それより、私も日本に行く事にしました。かなめさんも連れて来て下さいね相良さん。」
「な、何故ですか?」
「会ってみたいと思ったんです。相良さんや愛子さんが育てた後継者候補を。」
「しかし…。」
「もう決まった事ですよ。」
「はっ!了解しました!」
「では、当日を楽しみにしていますね。」
そう言い残し電話が切れる、後に残された宗介は頭を抱え暫く硬直していた。
テッサ「今から、会うのが楽しみです。」
という訳で、テッサが来ます。
楽しみしていて下さい。
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