お待たせしました。
臨海学校の一日目の夜。
箒は、ひっそりとある場所へ向かっていた。
目的地が見えて来るとそこには、先客が二人居た。
「何をしてるんだ鈴、シャルロット?」
「しっ!静かにして気付かれるでしょ!」
「そうだよ箒!今はバレたら不味いから!」
小さな声で、此方に注意してくる二人を訝しがり箒も二人の傍に向かう。
部屋の中からは一夏と聞き覚えのある声が聞こえる。
「あっ!あ~あ!そこよ、その辺りをお願い。」
「この辺かな?」
「そう、そこよ。」
「やっぱり、結構凝ってるね。」
「えぇ、こいつの相手してると腰にくるのよ。それにして悪いわね、折角の臨海学校の夜なのに。」
「気にしないでよ。普段、お世話になってるんだからこれ位はさ。」
「そうですよ。それに、最近はご迷惑も掻けて。」
「気にしなさんな。困った時は、お互い様よ。ねぇ、あなた。」
「そうだぞ。それに、お前達にはもっと甘えて欲しい位だ。」
「ありがとうございます。お二人の気持ちだけでも感謝しています。」
「あ~ぁ!一夏君、次もう少し下辺りをお願い。」
「了解。」
箒と鈴音はこの中に入る事を躊躇った。
今は、織斑姉弟が育ての親との団欒を楽しんでいる。
相良夫妻を知らないシャルロットも大体の事情は察した。
今日は、部屋に戻ろうかと立ち上がろとした時だった。
「あの、入らないんですか?」
「何よ?セシリアも来たのって!誰⁉」
セシリアによく似た声音なので聞き間違えたがセシリアよりも年上と思われる、銀髪が特徴的な女性が立っていた。
「私ですか?テレサ・テスタロッサと申します。気軽にテッサって呼んで下さい。」
「はぁ…?」
「あれ?その名前、何処かで聞いた事があるような…?」
名乗った女性、テッサの名前を何処で聞いたか思い出そうとするシャルロット。
「誰かいるのか?…あ、貴女は!」
「千冬?どうした!」
部屋の前が騒がしいので様子を見に来た千冬とその後に続いて出て来た宗介は硬直した。
「あら、相良さんお久しぶりですね。」
「は、はい!テッサもお変わりないようで…。」
「中に入ってもよろしいですか?」
「どっどうぞ、お入りください!」
「ありがとうございます。あぁ、良かったら、皆さんもご一緒にどうですか?」
緊張しきった宗介の表情と態度で目の前の人物が高位の立場だと判った三人は答えどうするか戸惑った。
「お前達も、来い…。」
「良いんですか?」
「今回は、特別だ…。」
「わ、分かりました。」
千冬の鬼気迫る顔に促され入室する。
「あら、テッサじゃない!お久しぶりね。」
「えぇ、お久しぶりです。かなめさん。」
「いつ来たの?」
「つい先ほどですよ。」
和やかに談笑を始めるテッサとかなめ、その光景を横に置いて宗介と千冬と愛子そして一夏が集まって小声で話し合う。
「宗介さん、もしかしてあの人いやあの方は…。」
「千冬ちゃん!それ以上、言っちゃだめだよ!」
「しかし!」
「千冬姉、分かっていても口に出しちゃいけない事もあるんだ…。」
「…そうだな、少し冷静じゃ無かった。すまん…。」
「如何にか、4人でこの状況を切り抜けるぞ…!」
「うん…!」
「はい…!」
「了解です!」
「そんな所で、集まって如何かしましたか?」
「「「「いえ、何でもありません。」」」」
「そうですか?」
決意を固め、一致団結してこの難局を乗り切る事を誓った四人は其々の役割をこなし始める。
「それで、お前達は如何いう用で来たんだ?」
「へ!」
「いや、あの…。」
「その、僕たちは…。」
話題を作る為に、今まで蚊帳の外だった箒たちに話を振る千冬。
そして、急に話を振られて困惑する三人にかなめが話しかける。
「箒ちゃんと鈴ちゃんよね、久しぶり。」
「あぁ、はい。お久しぶりです、かなめさん。」
「お久しぶりです。」
「二人とも、また可愛くなったわね。」
「いえ、そんな。」
「ありがとうございます。」
「で、そちらがシャルロットさんね。」
「はい。そうですが、何で私の事を?」
「愛子から、よく聞くのよ学園の事とかね。」
「へぇ!相良先生!」
「いや~、お母さんならその辺り察してくれるし口外もしないから大丈夫かな~なんて。」
「かなめさんなら、大丈夫ですよ。ねぇ、相良さん?」
「はっ!おっしゃる通りです!」
極度の緊張からおもわず声が上ずる宗介。
それを、不思議そうに見るテッサとかなめ。
「あっ!そうそう、三人ともここに来るって事は目的は一夏君かしら?」
「「「…!」」」
かなめに図星を衝かれて動揺する。
「うぅん!一夏、悪いが宗介さんと何か飲み物でも買ってきてくれ。」
「分かったよ。何が良い?」
「適当で、いいよ。なるべくじっくり選んできて。」
「うむ!そうか、では行くぞ一夏!」
「はい!宗介小父さん!」
やけにハイテンションで部屋を出ていく二人を部屋に残っていた全員で見送る。
「夜なのに、元気でしたねお二人とも。」
「まぁ、ちょっとテンションが高すぎる気もしなくもないけど…。」
「「そうですね…。」」
マイペースな二人のせりふを聞きながら、千冬と愛子は心の中で一夏と宗介に敬礼をした。
「それで、三人は一夏君に好意を持ってると思っていいのよね?」
「それは…。」
「その…。」
「あははは…。」
「一夏君も、罪な男よね~。こんなに可愛い娘に思われてるのに気付かないなんて、ねぇ千冬ちゃん。」
「はっ!ハハハ、まったく困った奴です!」
「そう言えば、一夏さんの歳の頃の宗介さんも同じような感じでしたね。」
「そうそう、ラブレターが入っていた下駄箱を爆破したりしてねぇ。」
「「「下駄箱を、爆破!」」」
かなめの思い出話に、ツッコミを入れる三人。
「そうなの、挙句に脅迫文だなんて言い出して。」
「フフ、相良さんらしいですね。」
「そこで、彼奴らしいって言うのはあんた位よテッサ。」
「まぁ!そうなのですか?」
「そうだ、折角だし一夏君が学校でどんな生活を送ってるのか聞かせてよ。」
「それは、織斑先生か相良先生に聞けば…。」
「篠ノ之、今だけ名前呼びを許す。それと、もう私達からは話してある。」
「わたしも、今回は愛子でいいよ。」
「?そうですか。」
「うん。それで千冬ちゃんと愛子からは、もう聞いたから今度は同じ生徒の目線で聞きたいなって思ってね。」
「私も、気になりますね。」
「でしょ、じゃあ箒ちゃんから。」
「はぁ。じゃあ、一夏の学校で印象から…。」
こうして、夜は過ぎていく。
一夏達が、飲み物を買って戻ってきたのは三十分位経った頃だった。
後に部屋に戻ってから、テッサの事を思い出したシャルロットはえらく慌てたらしい。
そして、臨海学校の一日は終わるのであった。
シャルロット「あれ?確か、ミスリル本社の最高責任者って…!」
物足りない?
仕方ないじゃない、宗介はテッサと絡むとあぁなっちゃうんだもん!
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