早朝まだまだ薄暗く日も登りきらない時間、一人の少年が比較的広い通りをある程度のスピードで走っている。
織斑一夏だ、時はふもっふ事件から2年の時が過ぎていた。
あの日を境に彼は早朝と夕方のランニングや隣家の相良親子の特訓などのトレーニングを始めていた。
数か月前までは愛子の紹介で早朝と夕刊の新聞配達のアルバイトをランニングのついでやっていたのだが受験が近くなってきた事もあり辞めている。
そして今日これから高校受験の本番を迎え気合を入れるのと思考を落ち着けるために日課のランニングで汗を流していた。
『やれる事はやった。後はこれまで積み上げてきたものを出し切るだけだ。』
気合も自信も十分といった思いが彼の表情には現れていた。
そうこうしているうちにいつものランニングコースの終点の小高い丘の上にある広い公園に着く。
心地よい疲労感といつもの充足感を感じつつ昇り始めた朝日に目を細める。
今日は快晴であるちらほら見える雲が朝日に照らされいつ見ても幻想的なこの光景を彼は眩しそうに眺めていた。
受験前の彼にとってこの見慣れた景色はそれでも決意を固めるには十分なものだった。
『絶対合格してみせる!』
決意も新たに一夏は来た道をまたランニングしながら戻る。
辺りが大分明るくなり早朝の散歩などでちらほら人とすれ違い始める頃家の前まで来た一夏に誰かが声をかけた。
「おはよう。一夏君、今朝もランニング?」
「おはようございます。かなめ小母さん、はい、じっとしてられなくて。」
その人は隣家に住む相良家の家主相良宗介の妻相良かなめである。
千冬と同じ位の年齢の娘がいるとは思えない若々しい見た目だが肝は太く怒らせると怖いがとても優しい母親である。
織斑姉弟も実の母の様に慕うそんな人である。
「気合を入れ過ぎるとは本番でばてるわよ。一回深呼吸して落ち着きなさい。」
彼を幼い頃から見てきたかなめは自信が有り余って空回りする彼の悪い癖を心配してそう忠告してきた。
「分ってます。これからシャワーでも浴びて冷静になろかと思ってます。」
「それがいいわ。頑張りなさい一夏君!」
そんな他愛の無い日々の一幕の後一夏は帰宅してシャワーを浴びるもちろん冷水で運動で火照った体を冷たい水か濡らしとても心地がいい。
その後まだ時間があると感じた彼は英語の単語帳を持ち最後の追いこ込みに係る。
そうして時間を過ごしていると玄関から聞きなれた声が聞こえてきた。
「一夏君!お母さんがご飯できたから一緒に食べないかって言ってるけどどうする?」
相良家に一人娘愛子が朝食を一緒にどうかと誘いに来た。
「もちろん食べるよ待てって今行くから!」
一夏にとってこれも大して特別な事では無い幼い頃から相良家で食卓を囲むのはよくあっる事である。
千冬の帰りが遅い時などは愛子が織斑家に行って一夏を寝かせる事もあるぐらい両家の距離は近かった。
「おはよう一夏。今日が本番だな!」
相良家に上がると家主の宗介が声を掛けてきた。
「はい!今日が勝負の日です!」
一夏が答えると宗介が徐に何かを取り出してきた。
「これは俺が引退する前から使っていた御守りだこいつを持っていけ。」
宗介が出したのはアサルトナイフだったので一夏が困惑した。
悪気はないのだろうが宗介は偶に扱いに困るものを出してる。
スッパン!
そんな心地の良い音と共に宗介が前のめりに倒れる。
「あんたはまたそんな扱いに困るんを一夏君に見せて!一夏君が困ってるじゃない!」
音に正体はかなめが宗介の後ろからハリセンではたいた音だった。
音もそうだが大人の男を倒せる威力をただのハリセンで出すかなめも凄い。
「何故だかなめ?俺はこのナイフのお陰でやり過ごせた難局も数知れずあるのだ。きっと一夏の役に立t…。」
スッパン!
以外に大丈夫そうな宗介はいつもの様に反論しよとするもまたハリセンを喰らう。
「だからそういうのが困らせるんでしょが!いいあんたの常識は世間の非常識なの受験会場そんなの持ってたら一夏君が会場から締め出されるでしょうが!」
言い募る宗介を気にもかけず反論を封じるかなめ。
この夫婦大概こうであるので一夏も慣れた様子でリビングに向かう。
朝の夫婦漫才から復帰した相良夫妻と愛子それから一夏が朝食を食べ終わる頃には出発するには丁度いい時間になっていた。
「じゃあ行ってきます!」
「あっ!待って一夏君!」
意気揚々と家を出よとする一夏を愛子が呼び止めた。
「はいこれ合格祈願の御守り。」
それは勉学の神が祀られた神社の御守りだった。
「ありがとう。愛子姉さん絶対合格するから!」
「うん!頑張れ一夏君!」
その後、電車で数駅離れた試験会場に入った一夏だったが道に迷い右往左往していた。
「どこだ?試験時間には余裕が有るとはとは言え。こうしていても始まらないここは一つ勘を信じてどこかの部屋に入ろう。」
そう腹に決め、近くの扉を開けた先には待機状態のISが鎮座していた。
どうやら入る部屋間違えたらしい。
直ぐに出ようとした一夏だったが何故かIS気になり近づいて観察し始める。
何故こんなにISが気になるのか分からないが惹かれるものを感じて彼はISの触れた。
その時、脳内に直接情報が送り込まれたよな感覚に襲われ驚いた彼は一瞬目を閉じた。
恐る恐る目を開け視界が開けて来ると先ずいつもの視界より高い位置に自分の視線があることに気が付く。
落ち着いて自分の周りよく見るとさっきまで目の前にあったISがない事に気づく。
そして自分を見ると。
「なんだこれ⁉なんで俺ISを!!」
なんと一夏が女性しか使えないはずのISを纏っていた。
今の自分の姿に困惑していると出口の方から声がする。
「今だれかの声が聞こえたけど誰かいるのォオオオオ!」
「どうしたのよ?何かあったってえぇぇ!」
入ってきた女性たちは驚きの声を上げその声釣られて人が集まって来る。
そうして集まった人の中で一人が呟く。
「男がISを使ってる…。」
この事件は瞬く間に世間に知れ渡った。
男で唯一ISを扱える存在織斑一夏彼とボン太くんの再開まで後僅かである。
?「始まったね。いっくんこれから起こることを楽しみにしてるよ。」
いかがだったでしょうか。
ボン太くんが出てこないだけでギャグが不足しているこの話ですが。
感想などありましたどうぞよろしくお願いいたします。