そして、テッサも引き続き登場…嫌な予感しかしない。
臨海学校二日目の朝。
セシリアは、早く起きたのか旅館の中を散策していた。
彼女は、こう云った体験は初めてだったので興味深々なのだろう。
ふと、中庭に目を向けるとその場には不釣り合いな物が視界に映る。
うさぎの耳だろうか、それが忽然と中庭の地面に直接刺さっていた。
はっきり言って、怪しい。
誰かの悪戯だったら撤去した方が良いのだろうが、個人的にはあれから発せられる謎のプレッシャーを感じる。
如何しよかと、戸惑っていると一夏がセシリアに気が付き声を掛ける。
「おはよう。そんな所で、何してるんだ?」
「おはようございます。それが…。」
彼女の視線を先を追って一夏もそちらに目を向ける。
一夏も、気が付いた。
「うむ。これは…。」
一夏は、一瞬たじろいだが取り敢えず中庭に降りる。
「アルファ。地中に生体反応は…。」
『ありません。しかし、上空には謎の反応が確認しました。』
「上か、これは所謂これを抜けと言いたいんだな。」
仕掛けた人物の意図を察してか疲れた表情になる。
しかし、こうしていても始まらないと意を決して抜く事をする。
地面から、うさ耳を抜くと直ぐにその場を離れる。
その直後、一夏が居た場所の手前辺りに上空から何かが落下してくる。
巨大なニンジンの形をした何かがそこにはあった。
ニンジンが展開して中から人が出て来る。
「うん、分かってた。」
「やっほー!完全に気付かれてたけど、束さんだよ~久しぶりだね~いっくん!」
「はい、お久しぶりです。束さん…。」
「いっくん!ちーちゃんは何処かな~!」
「たぶん、まだ部屋じゃないですかね…。」
「そっか!よ~し、待っててちーちゃん!今行くよ~!」
ハイテンションで、千冬を探しに行く束を二人は見送った。
「一夏さん、今の方ってまさか…?」
「あぁ、篠ノ之束さんだ…。」
「随分…独創的な方ですわね。」
「かなり、暈した言い方だな…。」
時間は流れて臨海学校二日目の予定が開始される。
千冬の朝の号令の後に人目のつきづらい岸壁に囲われた浜辺に集合した。
「今からISの装備試験を執り行う。各班に別れて迅速に取り掛かれ。専用機持ちは搬入された専用パーツの試験を行う。」
千冬の指示で、生徒たちが行動を開始する。
一般生徒は、持ち込まれた打鉄とラファール・リヴァイヴ用の特殊装備の癖や特色などを確認していく。
専用機持ちは、各国又は各企業からこの日の為に用意された装備やパッケージ等のデータを録る。
全て、最重要機密事項になる為この場所での試験が行われている。
当然、ミスリルからもエンジニアが来ていた。
勿論、その中にはテッサも居る。
「おい!織斑、何故あの方がここ居る!」
「ふもふもっふ!ふもーふもふる!」『自分は何も知りません!後、ボン太くんです!』
「織斑先生!ここは、なるべく穏便に事を運びましょう!」
「…それしか、無いですね。」
ボン太くんを纏った一夏と千冬、愛子がひっそりと話し合う。
遠巻きに、その光景を見ている生徒達は不思議な物を見る目で見ていた。
「あぁ、余りの事に忘れていた篠ノ之。」
「はい?」
「今日から、お前に…。」
「専用機が与えられるちゃうんです!」
突然の声に、驚き声の主を探す生徒達。
そして、岸壁の上に人影を見つけた。
「天が呼ぶ!地が呼ぶ!ちーちゃんが呼ぶ!私を愛せと束さんを呼ぶ!トゥ!」
そんな、何処かの仮面のカブトムシヒーローの掛け声を捩った叫びと共に断崖の上からジャンプする。
そして、そんな束を待ち受け見事なアイアンクローで受け止める千冬。
「よかった。今ほど、お前に出会えた事を感謝した日は無い…。」
「それは、良かったよ!所で、なんかどんどん力が強くなってない⁉」
「あぁ、ここの所ストレスが溜まっててな、いいサンドバックが向こうから来てくれ嬉しいよ…。」
「サンドバック!ちーちゃん今、束さんの事サンドバックって言った!」
「織斑先生、今は堪えて下さい。時間は、後でたっぷり作りますから。」
「あの、あーちゃんそれって庇ってる!束さんには、死刑宣告に聞こえるんだけど!」
「それもそうですね。今は、色々不味いですね。」
「どうしよう。助かったけど、余り助かった気がしない…。」
束が、幼馴染二人に戦慄していると箒が話しかける。
「姉さん、私の専用機とは?」
「箒ちゃん…うん、今の束さんには箒ちゃんでだけが癒しだよ…。」
「いえ、だから…。」
「専用機だよね、分かってる。」
束は、端末を取り出し操作すると空からコンテナが降りて来る。
「これが、束さんが箒ちゃんの為だけに作った専用機。名前は、紅椿!」
「これが、私の…。」
「うん!束さんが、作った第四世代型のISだよ!」
「…受け取れません。」
「うんうん。そうだよね~、受け取れないよね~って、えぇ~!」
「これは、今の私では受け取れません!」
「な、何で!専用機だよ!束さん特製だよ!」
「だからです。今の、私にはそれに乗る資格はない…。」
「あの、取り敢えず乗ってみるだけでもやってみませんか?」
「?貴女は?」
「急に、失礼しました。私はテレサ・テスタロッサっと申します。気軽にテッサと呼んで下さい。」
「はぁ…。」
「!テレサ・テスタロッサって、何でそんな人が!」
「知ってるのか?姉さん。」
「うん。一応ね…。」
「まぁ!篠ノ之束に認知して頂けるなんて光栄です。」
「うん。束さんも、貴女の事は無視出来ないから。」
「それで、箒さんでしたね。」
「はい。」
「何事も、経験です。先ずは、やってみてから判断しても遅くないと思いますよ。」
「…そうですね、姉さん。断って置いて勝手ながら悪いがそれに乗せてくれるか?」
「!うん!勿論、その為に作ったんだから。」
箒の気が変わらない内に、フィッティングとパーソナライズを完了させる束。
「如何かな?箒ちゃん…。」
「あぁ、今のところ違和感はない…ただ。」
「ただ何?」
「恐ろしいな…前までの自分がこれの乗っていたらと考えると。」
「箒ちゃん…。」
「うん。やはり、まだ慣れないな専用機というやつは。」
「そっか、でも束さん的には持っていて欲しいかな?」
「うむ、では暫く織斑先生に預けるとしよ。」
「ちーちゃんか、なら安心かな。」
「お話は、纏まりましたか?」
「うん。ありがとう、テッサさんが箒ちゃんを説得してくれなかったら…。」
「いえ、私は何していませんよ。」
珍しく、他人に誠意を示す束を物珍しく眺める千冬と愛子。
束が、ああいう態度を示す人間は自分達が知る限りでは相良夫妻以外はいなかったはずである。
その時、真耶が慌てた様にやって来て二人に耳打ちする。
「織斑先生、相良先生!大変です!」
「なんだ?」
「何事ですか?」
「それが…。」
「!何だと!」
「いやはや、何とも不味い事になったね。」
相当慌てた様子に生徒達も不安になる。
「お前達、今日の試験は中止だ!専用機持ち以外は、許可が出るまで部屋で待機していろ!」
何やら、新たな嵐が近づいてきているようである。
一夏達は、どうなるのだろうか?
?「フフ、さぁ。第二ラウンドと、参りましょうか?」
意外と平和だった…。
シルバリオゴスペル戦です。
最後の形態変化が登場予定です。
感想などありましたどうぞよろしくお願いします。