一夏の目の前には、先程も見た澄み切った空と水面が広がっていた。
「漸く、この時が来ました…。」
「あぁ…!」
「はい!」
そこには、アルビノボン太くんのISコアとアルファそして一夏が居た。
「私は、求めて来た。貴方達と会える日を…共にこの空を駆ける日を。」
「アルビノ…。」
「私達の願いは一つです。」
「ウルズ7を継ぎ、世の平穏を守る。」
「争いなき世界は無理でも、誰もが一度でも夢を持ち語る事が出来る世界を作る。」
「誰かの想いを否定することなく、自分の思いの丈を言葉にできる社会を目指す。」
「「「その為に、今こそ一つとなる!」」」
三人を、中心に世界が光で満ち溢れる。
ISコアと補助AIそして操縦者の精神が重なり神聖なる光が溢れ出す。
その光は、アルビノボン太くんを新たなる戦士に変えた。
『二次移行シークエンス完了。一夏、本機の今後の名称を決めて下さい。』
「ふもっふ!ふもるるふーもふっもふ!」『了解!セイクリットアルビノボン太くん!』
『機体識別名、セイクリットアルビノボン太くんを登録します。』
セイクリットそれは神聖を意味する言葉である。
その言葉が表す通り、ボン太くんは基本形状に変化は余りないが、確かに進化していた。
まず目を引くのは、機体の上半身に青地に黒のアーマージャケットを装備している。
次に、左目が赤から青に変わりオッドアイになった。
何より、その腕部に換装された腕全体を覆う謎のアーマーが何よりも存在感を放っていた。
敵対する者が見れば、その姿と覇気に畏怖を覚え。
味方が見れば、神々しさと力強さに奮い立つ。
正道を征き、邪悪を退ける神聖なるボン太くんが誕生した。
「!Laaaaa...!」
その姿を、遠くからカメラで見ていたシルバリオゴスペルは慄きと共にボン太くんに光弾を打ち出す。
「ふも!」『無駄だ!』
ボン太くんが片腕を前に突き出すと、まるで光弾からボン太くんに当たる事を拒むかのように弾道を逸らす。
これこそが、彼が求めた英雄ウルズ7の継承者の証[ラムダドライバ]である。
虚現斥力場生成装置、不可視の斥力場を発生させる効果のある特殊装置である。
だがそれだけではない、斥力とは物質同士の反発する力を指す。
その使用法は多岐にわたり、例えば機体の周囲に斥力場を発生させ不可視の防壁を形成してり、弾丸の周囲に発生させれば喩え小さな弾でも質量が勝る敵を吹き飛ばす、又は弾が無くとものイメージだけで不可視な弾丸を作り出し、遮蔽物を透過して内側の物を破壊する事も可能である。
言うなれば、ラムダドライバとは使用者の想像力次第で思うがままに、物理法則すら改変してしまう装置なのである。
エネルギーで作り出された、光弾も実体化と可視化の為に表面に粒子を纏わせていた、その為に粒子が斥力場に干渉して弾道を曲げたのである。
「師匠!そのお力は!」
「ふも…。」『ラウラ…。』
「手に入れられたのですね!継承の証を!」
「ふも…ふもふーもっふ!ふももっふ。」『あぁ…会得したぞ!お前のお陰でな!』
「私が…師匠のお役に…!」
「ふももふーもっふもふる!」『お前の機体のAICとの戦闘記録が基になった!』
「!あの戦いが、継承の証の基に…うぅ。」
「ふもふもっふ?」『ラウラ、何故泣く?』
「嬉しいのです…例え、その行動が偶然で自分の意思の下に行ったものじゃなくとも、貴方の役に立てたそれが堪らなく嬉しいのです!」
「ふもっふ!ふもももっふ!」『そうか!礼を言うぞラウラ!』
「はい!その言葉、有難く頂戴致しましす!」
『一夏、機体の残存エネルギーが10%をきりました。』
師弟の会話が終わるころ合いでアルファが一夏に告げた。
「ふも…ふももっふふーもふもるる。」『うむ…三連続エクストラアタックコードの後だからな。』
「ボン太くん~!」
「ふも?」『箒?』
「手を取ってくれ!」
「ふもも?」『手を取れ?』
「良いから早く!」
「ふも…ふもっふ!」『うむ…分かった!』
箒の手を取ると紅椿が金色に光り繋いだ手からエネルギーが流れ込む。
「ふも…!」『これは…!』
「紅椿の力だ。これで行けるか?」
「ふも!ふーもっふ!」『あぁ!十分に戦える!』
「ちょっと!そこの三人!」
「何時までそうしてるつもりですの⁉」
「用が済んだら早くこっちに加わってくれないかな⁉」
「持ち堪えるのも…大変…だから…!」
三人が固まり、話し込んでる間も鈴音たちはシルバリオゴスペルの足止めをしていた。
そして、中々此方に気を向けない三人にしびれを切らして催促してきたのである。
「ふも!ふもも…ふーもっふ!」『はっ!すまん…直ぐに向かう!』
「お供します!師匠!」
「私も、行くぞボン太くん!」
「ふもふもっふ!ふももっふ!」『ラウラ、箒!押して征くぞ!』
「「おう!」」
三人が加わり、七人となった専用機持ち達はボン太くんを攻撃の核として攻勢にでる。
光弾をまき散らし如何にか、攻撃を振り切ろうとするがラムダドライバを有したボン太くんにはもう通用しない。
接近され拳打を叩きこまれ、逃れても追いつかれまた拳打を叩きこまれる。
その攻防が繰り返され、気付けば東の空に朝日が昇り始める。
シルバリオゴスペルはもう闘争心を失い、ほぼ抵抗をしなくなっていた。
一応まだ悪あがき程度の反撃はあるものの、最早その攻撃には覇気を感じられなかった。
「ふもふもるふもっふ。」『此処が落としどころか。』
ボン太くんは、宗介から受け取ったアサルトナイフを構えて斥力場をナイフに纏う。
「ふももふもるっふ!」『これで最後だ!』
ナイフに纏わせた斥力場の刃をシルバリオゴスペルのISコアに直接叩き込む。
シルバリオゴスペルは機能を停止させてその場に静止した。
「ふもっふ!ふももっふふーふももっふー!」『皆の者!我々の勝利である勝鬨を上げるぞ!』
「ふも!ふも!ふもっふー!」『えい!えい!オー!』
「「「「「「えい!えい!オーーーーーーー!」」」」」」
「ふも!ふも!ふもっふーーーーーーー!」『えい!えい!オーーーーーーー!』
「「「「「「えい!えい!オーーーーーーー!」」」」」」
朝日を浴びて立つ、ボン太くん達の声が海岸全体に響き渡る。
こうして、災禍を呼ぶ銀鍾との戦いは幕を閉じた。
しかし、まだ帰ってからの地獄が待っている事を頭の中からすっぽり抜けたように忘れていた七人は、教師陣からシルバリオゴスペルとの戦いよりも過酷な折檻を受ける事になるのをまだ知らない。
千冬「ア・イ・ツ・ラ…!」
セイクリットアルビノボン太くんはまだ通過点です。
ラムダドライバを完全に使いこなす道程がまだ残ってます。
臨海学校編はもう一話か二話で終わらせます。
感想などありましたらよろしくお願いします。