この日、一夏をはじめとした一年生専用機持ち組+一人はこの夏、彼らにとって最も熱い祭りの会場の前に横並びで立って居た。
「ここが、ボン太くんサマーフェスの会場…!」
「此処からでも、熱気が伝わってきますわ…!」
「くっ!何というプレッシャーだ…!」
初参加となる、ヨーロッパ出身の三人組は会場から漏れ出るオーラの影響を受け始めていた。
「今年も、この時が来た!」
「狙いのサークルの位置は、把握済みだよカンちゃん!」
簪と本音は、毎回の事なのだろう、闘志を燃やしていた。
「今年の狙いは、全身20箇所稼働のアルビノボン太くんアクションフィギアだ!各形態換装パーツも忘れるな!」
「「「「「おう!」」」」」
目標物の確認と気合を入れる為に点呼を取る一夏に声を揃えて答えた。
そんな友人たちを眺める箒と鈴音。
「…箒、私達って場違いじゃ無いかしら…。」
「言うな鈴、薄々勘づいてはいたが口にしない様にしていたんだ…。」
「そっか、ごめん…。」
一夏達の影響で少しずつボン太くんを好きになりつつある二人でも、この状況に若干引いていた。
傍から見れば、何の変哲もないフリーマーケットに見える会場に目を向ける。
「しかし、本当にここで良いのか?」
「あぁ、ここで間違いない。」
「いや。どう見ても、フリーマーケットでしょ。」
「確かに、そう見えるかも知れない…けど、ボン太くんファンがイベントをしようとすると、必ず妨害がある…。」
「そうならない為には、屋内でなるべくボン太くんの催しである事を隠す必要があるんだよ~!」
「そ、そうなのか…。」
「知らなかったわ…。」
そう、一年目は普通に開催できたが二年目から女権主義者からの妨害であわやもう少しで中止になる事が起きていた。
幸いにして、その時は来場者の中に警察関係者の上層部の人間が居た為に妨害に当たっていた女権主義者は拘束され連行されたが、それ以来こう言った催しはひっそりと行うよになったのである。
「それより、もうじき開場時間だ。気を引き締めろ!」
「張り切って行きますわ!」
「集合は二時間後、中心の広場で!」
「其れ迄は、各々の健闘を祈る!」
「アルビノボン太くんアクションフィギアの購入整理券の配布は開場から二時間後の広場!」
「絶対に、皆で手に入れるよ~!」
そして、入場が開始される。
一夏は、箒たちと別れて目当てのサークルのブースに急ぐ。
時間は一刻を争う、早歩きになりながら一つ目のサークルに到着した。
一つ目のサークルでのお目当ての商品は、ボン太くんデザインのスマフォケースである。
これが、中々芸の細かい品なのだそうな。
カメラ端子の塞いで代わりにボン太くんの目の位置にカメラが来る仕様に成っていたり、スピーカーも耳に繋がっていたりと拘りが強い物らしい。
スマフォケースとしてもボン太くんグッズとしてもハイレベルなこれは、噂ではある有名携帯会社が匿名で製造していると言う話もあるほど人気の高い品なのだ。
それ故か、唯一販売されてるボン太くんフェスでは開始から3時間程で完売してしまう人気商品なのである。
「よし、次だ。」
「あれ?一夏じゃねぇか!」
「?あぁ、オータムさん!」
「久しぶりだな!」
「はい。何時、日本にお戻りに?」
「一週間前だ。いや~まさか、ドイツでの一件があそこまで長引くとは思わなかったぜ。」
「お疲れ様です。スコールさんは、お元気ですか?」
「あぁ、今日も一緒に来てるぞ。」
「そうですか。じゃあ、そろそろお暇しても?」
「うん?あっ!悪いな呼び止めて。」
「いえ、世にボン太くんの幸せがあらん事を。」
「世にボン太くんの幸せがあらん事を。」
その後、目当ての商品を手に入れつつ顔馴染みのボン太くんファンと交流して、合流までの間を楽しんだ。
そして、合流の時間が近くなり中央広場に向かった。
「すまん。待ったか?」
「大丈夫ですわよ。」
「寧ろ、時間ぴったりだった。」
「整理券は、まだ配布されてないから大丈夫…。」
「それより、成果は如何だった~?」
「ばっちりだ!」
「それは、何より~。」
「お前達は?」
「抜かり在りませんわ!」
「僕は、ラウラと回ったから問題ないよ。」
「はい!ボン太くんパジャマは際どかったですが、概ね問題なしです!」
「わたし達も、特に問題は無かったよ…。」
「うん。あっ!でも、一回ブースの場所が判らなくて迷ったかな~。」
「?大丈夫だったのか?」
「うん。綺麗なお姉さんと私達より小さい女の子の二人組が案内してくれたから大丈夫~。」
「もしかして、スコールさんか?」
「知り合い…?」
「あぁ、ミスリル関係でちょっとな。」
「今から、アルビノボン太くんアクションフィギアの販売整理券の配布を行います~!」
「始まったな…!」
「えぇ!」
「うん!」
「はい!」
「此処からが…本番!」
「よ~し!」
「皆、行くぞ!」
「「「「「おう!」」」」」
整理券の受け取りの列に並びに向かう一夏達。
その姿を、後ろから見ていた二人は。
「…置いてきぼりだな…。」
「…言わないで頂戴…。」
着いて行けてなかった。
「なんだと!もう、始まっているだと!」
後ろから声がする。
「?この声、数馬!」
「うん?おぉ、鈴か。久しぶりだな!」
「あぁ、うん。久しぶり、やっぱり来てたのね…。」
「当たり前だろ!俺が、来なかったら誰が来るんだ。」
彼は、御手洗数馬。
中学時代の一夏が、ボン太くん談義を唯一行えた五反田弾を除けば最も仲の良い友人である。
「すまんな。積もる話も有るが、今は…。」
「行って来なさいよ。買い逃したって恨まれたくは無いわ。」
「恩に着る。」
数馬も、列に加わりに行く。
それから、無事に目的の物を買えた一夏一行は数馬を加え昼食を食べに向かう。
「数馬、久しぶりだな!」
「おう!いつも、ニュースで見てるぞ、お前の活躍!」
「そうか、如何だった?」
「正直、羨ましい…。」
その言葉を、普通に捉えれば女子生徒しか居ない環境で、たった一人男子として入学した一夏に嫉妬していると考えてしまうだろう。
しかし、数馬も一夏に負けぬ程のボン太くんファンだ、普通であるはずがない。
「そうだろう!俺が、ボン太くんに操縦している事が、羨ましかろう!」
「くぅ!何故、俺では無かったのだ!俺だって、ボン太くんを愛しているのに!」
「ふっ。愛しているだけじゃ、足りないのさ…。」
「なん…だと…。」
その後、日本ミスリルがボン太くんの販売権を委託している[おおかわ豆腐店]がイベント限定で販売しているボン太くん豆腐の冷奴等の、会場限定グルメを昼食にして暫く喋っていたらしい。
なお、ここの限定商品を出してる屋台の主は、殆どが有名店のオーナーシェフだったりパティシエだったりするのだが、あまり知られていない。
鈴音「あいつ等、変わって無いわね…。」
ボン太くんフェスティバルは、春夏秋冬の四回行われたいます。
結構、有名企業が名を伏せて出店してるらしいです。
感想などありましたらよろしくお願いします。