「急にごめんね。」
「いえ、それにしても二次移行したアルビノボン太くんのデータは以前に収集しましたよね?」
「そうなんだけど、今回は別件でデータが欲しいんだよ。戦闘ログをコピーしたらすぐ返すから。」
一夏が愛子に呼ばれある場所に来ていた。
一夏が、第七ミスリル島以外の日本ミスリルの研究施設に来るのは初めてである。
ここは、あの島と違い本体テストのみに焦点を置いた施設の様である。
そして、愛子が欲しいデータは如何やらアルビノボン太くんの戦闘ログの中に在るらしい。
「まぁ、そう言う事であれば…どうぞ。」
「ありがとう。じゃあ、早速…。」
一夏から、アルビノボン太くんを受け取り、ログデータを立ち上げた。
この一学期までの、戦闘ログを見返して見るとやはりどう考えてもアクシデントが多い。
特に、行事関係に集中している気がするのは気のせいでは無いだろう。
「やはり異常ですね、この襲撃の回数は…。」
「ん?そうだね、ここ数年のIS学園の行事日程と比較したけど、毎回の如くトラブルが起きるのは異常だよ。」
「…例の連中が絡んでると見ていいですね。」
「うん。このままだと、確実に2学期以降もあるね。」
「戦力強化は、必須…ですか?」
「う~ん。今のところ、それは様子見かな~。」
「そうですね。まだ、ラムダドライバの制御も手探りな状況ですし…。」
「そうだね。それに今は、二号機の製作も控えてるし…。」
「?今なんて?」
「ん~?何でもないよ~。それより、今日は篠ノ之神社の夏祭りでしょ。」
「あぁ、そう言えばそうですね。」
「誰か、誘って行かないの~?」
「今の所、その予定はありませんが…愛子姉さん、久しぶりに二人で行きませんか?」
「えっ、私!」
「ダメですか?」
「う~ん。ダメじゃないけど…。」
「偶には、愛子姉さんとIS関係以外で出かけたいんですが?」
「…分かったよ。そうだね、偶には…良いかもね。それに、今日のお礼もしたかったし…丁度いいね!」
「ありがとうございます、愛子姉さん。」
「うん。待ち合わせは如何する?」
「鳥居の前で待ち合わせましょう。」
「了解。じゃあ、一旦帰ろっか。」
「はい。また後で…。」
「うん。また後で!」
愛子は、まだ用が在るらしく一夏は先に帰宅する事になった。
その後、自宅に戻った一夏は夏祭りまでの時間を家事と鍛錬で潰して待った。
夕方頃、一夏は篠ノ之神社の鳥居の前で愛子を待っていた。
服装は、青の甚平羽織を着ており中々に似合っている。
「お待たせ~。おぉ、似合ってるね甚平さん。」
「ありがとうございます。愛子姉さんの浴衣姿も、お似合いです。」
「ん~。そうかな?ありがとう。」
愛子は、赤地に白と黄の花柄の浴衣を身に纏っている。
遠巻きに見ていた通行人がおもわず立ち止まる程に似合っている。
一夏は、愛子を連れ立って境内に足を向けた。
「先ずは、腹ごしらえから如何ですか?」
「異存ないよ。」
「じゃあ、何を食べましょうか…。」
二人は、出店を覗きながら最初に何を食べるか話し合う。
「たこ焼きは、てっぱんかな。」
「焼きそばなんて、良いんじゃないですか?」
「見て一夏君!お好み焼きの店がある!」
「あぁ、本当だ!」
目に付いた店の商品を、粗方買って空いている場所を探す。
直ぐに空いているスペースを見つけて買った物をその場に並べて行く。
「うん!やっぱり、お祭りのたこ焼きはてっぱんだね!」
「はい。濃いソースとマヨネーズが食欲をそそります。」
「焼きそばも良いね!」
「ちょっと、甘めのソースがアクセントですね。」
「お祭りのお好み焼きは、大阪風と広島風があるけど、私的には広島風が好きかな~。」
「俺も、広島風ですかね。生地の下の焼きそばの麺が出汁のきいた生地と絡むともう…!」
二人は、屋台グルメに舌鼓を打ちつつ会話を弾ませる。
「なんか、のど乾いてきたね。」
「そりゃあ、あれだけ濃い物を食べたらそうなりますね。」
「飲み物買ってこようか?」
「いえ、ここは俺が。」
「えぇ、でも…。」
「こう言う、雑用は男の役目です。」
「ん~、じゃあお願いね。」
「はい、すぐ戻ります。」
そう言って、愛子の下を離れ近くの屋台に向かう。
そんなに時間を掛けずに戻ったつもりだが、やはり愛子の様な美麗な女性にはそう言う輩が集まり易いのだろう。
ただ、一夏は彼らの方が不運に思えた。
「ねぇねぇ、お姉さん~俺らと遊ぼうよ~!」
「ちょっと、付き合ってくれれば良いからさ~!」
雰囲気的に、チャラついた感じの若い男二人組だ。
だが、愛子はただ笑顔のまま何も喋らない。
いな、一夏だけが気付いたあれは笑顔であって笑顔じゃないと。
「だんまり決めてないでさ~、俺らと行こうって!」
「きっと楽しいよ、ほらほら!」
二人の内の一人が愛子の手首を掴んだ時、男の視界は180度回転した。
「?何が起き?ぎゃぁぁぁ!」
「お、おい!テメー何しやがる!」
掴まれた腕を中心に足払いで姿勢を崩し、宙に浮いた状態で腕の力で回転させるこれぞふもっふ流闘柔術車軸回しである。
ついでに、腕の関節を外したのは単なる意趣返しらしい。
「愛子姉さん、それ位で…。」
「あぁ、一夏君見てたの?」
「いえ、ちょっと離れた隙にこれですから驚いてます。」
「なっ!連れが居たのかよ!」
「あ~ぁ、あんたそいつのお仲間?」
「そ、そうだけど?」
「早く、医者に見せた方がいいぞ。多分、関節外れてる。」
「はぁ!今の、一瞬でそんな事できるのかよ!」
「出来るよ。」
「やれますね…愛子姉さんなら…。」
「マジかよ…!」
「一応、嵌めっとくから後は医者に見せろよ…。」
「お、おう…。」
関節を嵌め直しその場を離れる一夏と愛子、その後姿をその場に居た民衆は見送った。
その後、二人は花火が始まる少し前に昔見つけた花火がよく見える場所にやって来た。
「さっきは、ごめんね。」
「いえ、でも加減はして下さい。相手は、一般人ですよ。」
「あはは、ついイライラしちゃって…。」
「まぁ、愛子姉さんに大事が無くてよかったんですが。」
「心配してくれたんだ。」
「まぁ、愛子姉さんも女性ですし。」
「そっか、ありがとう一夏君。」
そんなやり取りの中で、花火が始まる。
こうして、愛子と花火を見るのは何年振りかと一夏は思い返してみる。
『少なくとも、2年以上前だな…箒が引っ越してからか?』
そう考えると随分時間が経ったものだと感慨に更ける一夏であった。
その最中、愛子の携帯にメールが送られる。
相手は、束だった。
内容は…。
束「頼まれてた、コアが完成したよ。」
ふもっふ流武術は、意外と方が多いです。
ラウラが、一夏から学んでいるのもふもっふ流武術です。
感想などありましたらよろしくお願いします。