あの人がゲストとして登場します。
多分、前後編になります。
夏休みも終わりに近づいたこの日。
ラウラは、一夏に連れられある道場に来ていた。
深い森の中に立つが、この道場の周りだけはやけに開けている。
「師匠、ここは…?」
「うむ。ここは、八年ぐらい前から夏に修練の為に来ている場所だ。」
「?はぁ。しかし、何故今に…?」
「最近、俺に武闘家の道を説いて下さった先生が日本にお戻りになられてな。」
「師匠の師匠ですか?」
「そうなる、帰国の挨拶がてらお前を紹介する。決して無礼のないように。」
「はっ!承知しました。」
表門が見えて来ると、坊主頭の如何にもな風貌の男たちが門の前に立って居た。
「そこの方々、止められよ。」
「ここに来た目的を聴こう。」
「失礼、俺は織斑一夏こっちは弟子のラウラです。椿師範にお目通り願いたい。」
「貴殿が、一夏殿か師範から話は聞いている中へ。」
「開門~!」
男が声を上げると、門が内側に開き一夏達を中に招き入れる。
「お待ちしておりました。椿師範の下まで案内いたします。」
「はい。ラウラ、付いてきなさい。」
「は、はい。」
ラウラは、気押されていた。
門の向こうには、映画やアニメでしか見たことが無い世界が広がっていた。
乱れなく整列した門下生たちが、一糸乱れぬ動きで声を揃え拳を突き出す。
その光景に、只々圧倒されるラウラ。
「集団稽古が、珍しいか?」
「はい…凄い気迫です。」
「ここに、初めて来た時は俺も驚いたよ。普通に暮らしていたら、目にする事も無い光景だ。」
「師匠も、あの中に?」
「あぁ、とは言っても夏休みの間だけだったけどな。」
「集団稽古には、門下生同士での息を合わせる目的で行われます。」
「俺の弟子は、お前だけだからな。」
「はい…。」
「明日から、こいつも混ぜてやってもらえるか。」
「承知しました。まとめ役の門下生に話しておきます。」
「師匠、明日からとは?」
「言ってなかったな、今から三日ここで寝泊しながら稽古をつける。」
「!はい…?」
「着きました。中で椿師範がお待ちです。」
「ありがとうございました。ラウラ、行くぞ。」
「はい!」
短く礼を言い襖を開け中に入る。
そこには、瓶底眼鏡に袈裟を来た歳の若く見える男と、そば仕えの作務衣の巌い男が居た。
「来たか一夏。」
「はっ!お久しぶりでございます。」
「うむ。遠い所をよく来た。」
「これは、心ばかりの品ですが。」
持っていた風呂敷包みを解き中からカステラを出す。
「わざわざすまんな。おい、厨房に運んでおけ。」
「はっ!」
一夏の手土産を、そばに居た男に渡し控えさせる。
「それで、要件はそこの弟子に武闘家の心得を体験させる事だったか?」
「はい。最近、成り行きで弟子を取りまして。」
「愛子からも聞いている。ラウラだったか?」
「はい。精神集中と技はある程度身に着きましたが、まだ心得が教え切れておりません。」
「…だから、口で教えるよりも体で覚えさせるか…。」
「はい、ですから。師範が、アジア外延から戻られるを待って此方に足を運んだ次第です。」
「IS学園の、二学期は何時からだ。」
「今日を入れて一週間後です。」
「ならば、猶予は三日だな…良いだろう、その間は他の門下生と共に修行に励め。」
「はっ!お許しをいただき感謝いたします。ラウラ、お前も礼を言いなさい。」
「ありがとうございます。」
「うむ。あぁ、一夏。」
「何でしょうか?」
「お前に、外延の道中である話を耳にしてな。話すべきか、迷ったが一応伝えておく。」
「?何をございますか?」
「最近、台湾がIS学園に一人代表候補生を送るという話だ。」
「本当ですか?」
「さぁな…ただ、話していたのがIS関係者だったのでな。信憑性はある。」
「…心に留めておきます。」
「…そうか。」
「ラウラ、行くぞ。」
「はい。」
襖を開け、椿の方を向き一礼してから襖を閉める。
廊下に控えていた門下生に案内され、寝泊りする部屋に向かう。
案内を終え、その場を離れようとした門下生に一夏が声を掛ける
「すまない。この後、ラウラに手合わせをさせたい。誰か、腕の立つ者に声を掛けて置いてくれないか?」
「承りました。腕の立つ門下生の何人かに伝えておきます。」
「頼んだ。」
「師匠、ここの門下生は強いのですか?」
「それは戦ってみて判断しろ。それより、先ずは荷解きだ…。」
「はい…。」
荷解きを終えて、武道場に向かう。
「お待ちしておりました。」
「うむ、それで手合わせ相手は…。」
「あそこに。」
目で示された方を見る。
ラウラと、同じぐらいの背丈の男女が六人程居た。
「ラウラ、先ずは誰からいく。」
「はっ、ではあの髪の短い女性と。」
「承知しました。コロン!前へ!」
「はっ!」
前に出て、互いに礼をして構えをとる。
「はじめ!」
「やっ!」
「はっ!」
開始の合図で、互いに動く。
コロンと呼ばれた、少女が一歩前に出て牽制を仕掛ける。
ラウラは、これを冷静に凌ぎ距離をとった。
『動きが早い!それに、技も鋭い嘗めては係れん!』
コロンの動きは、一つ一つが鋭くフェイントの入れ方も上手い。
ラウラは、距離を空けつつ隙を見ては拳打を打ち込むが大概が誘い込みである為に返される。
何とか防ぎ、反撃に転じるも決定打が決まらない。
暫く、膠着状態になる。
漸く状況が動いたのは、コロンが大きく動いた時だった。
ラウラの集中力が切れ始めたのを、確信したコロンの足捌きが早くなり左右に大きく動く。
動きが変わったことに気が付いたラウラは守り固めて攻勢に備える。
コロンが、前に出て蹴りを入れる。
それを抑えよと、姿勢を低くして腕を下げる。
しかし、次の瞬間にはラウラの胴体を掌低が捉えていた。
「そこまで!」
茫然とするラウラに、相手が話しかける。
「お手合わせ、ありがとうございました。」
「いえ…こちらこそ、ありがとうございました。」
「お強いですね。流石は、最年少で免許皆伝された織斑師範の弟子です。」
「しかし、私は負けました。」
「それは、経験の差です。」
「いえ、それだけじゃない…私は、貴女を見縊っていた。」
「でしょうね。動きで分かりました。」
「私は、まだ弱い…力じゃない心が…。」
「織斑師範は、恐らくそれを分からせるために此処に連れて来たんじゃないでしょうか?」
「師匠が!心得を学べとはそう言う…。」
「ですが、技は仕上がってます。残り五人と、戦ってみてご自分の心の在り方を探ってみては如何ですか?」
「是非、お願いします!」
夏休みの終わり、ラウラは新たなる力を身に付けようとしていた。
ラウラ「掴んで見せる!己の、己だけの力を…!」
ラウラ、修行するってよ…。
椿が登場しました。
なお、彼は卒業後に大学に進学した後に道場を開きました。
今では、警察関係者や自衛隊の他に各国の護衛官にも門下生がいます。
感想などありましたらよろしくお願いします。