IS世界のボン太くん   作:マガガマオウ

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ラウラの修行は今後の展開の重要なプロセスです。


ラウラの中に眠れし力potential

一夏がラウラを椿の下に連れて来た日の夜。

ラウラは、夕飯の後の日課となった瞑想を始めていた。

しかし、今日は余り上手くいかない様だ。

『結局、六人の中の一人にも勝つことは出来なかった…。』

コロンとの、組手の後に残り五人とも戦ったが結果は芳しくないものだった。

何人かは、一撃を見舞う機会が訪れていたが、それを活かす事が出来ずもたついてその間に勝負が決まる。

原因は、分かってる。

焦ってしまうのだ、これまでISに頼った戦い方をしていた自分は生身のしかも無手の戦いに慣れてない。

そこに加え、師以外の同年代の相手との試合も経験が無い。

ドイツに居た頃は、皆年上か又は同じ施設の中の仲間だった。

その仲間にすら、これまで気を許す事が出来ない状況で自分は独りよがりの強さを身に着けた。

それが、ここでは通用しない。

組手をしてくれた相手全員が、敗者である自分を称えてくれた。

これまで、負けた者に容赦のない罵倒を投げつけ投げつけられる世界で生きて来たラウラには初めての経験だった。

『師匠が言っていた、[相手への礼を忘れてはいけない]の意味を漸く理解できた気がする。』

確かに、これまで違い己の中に相手への負の感情を感じない。

寧ろ、相手を尊重している自分が居る。

そして、冷静に試合の中での動きを冷静に分析できている。

ラウラは、気付き始めていた。

如何して、師があれだけ心得に重きを置くのかを。

今自分自身が、体験しているこの心情こそが答えだと気付き始めていた。

だからこそ、これまでの自分の行いを思い出し余り集中出来ていないのである。

 

「精神が、乱れているな…。」

 

隣で、瞑想をする一夏から声が掛る。

 

「はい…これまで、自分が他者にして来た行いを思い出していました。」

「…己の、生い立ちを顧みたか…。」

「私は、織斑教官に育てられて強くなった夢を見ていました。しかし、貴方に負けて自分に足りない物を諭されて尚も、己の中にまだ驕りがあった事に気付けなかった…。」

「ラウラ…人は皆、心の何処かで自分に驕るものだお前だけではないよ…。」

「しかし、私はその驕り昂ぶりに振り回されている…これまでも…今も…。」

「己で自らを御する事は、容易ではない…精々、行いを顧みて恥じる事が出来るぐらいだ…。」

「…礼を尽くす事が、如何に重要か分かりました。師匠、私は変われますか?」

「俺には、判らん…お前自身の事は、お前にしか分からない…。」

「そうですか…。」

「だが、猶予はあと二日ある、今のお前であれば変われるやもしれん…。」

「師匠…はい!必ず、変わってみせます!」

「…そうか…焦るなよ、ゆるりと励め…。」

「承知しました。」

「もうそろそろ、風呂も空いたかな?」

「織斑師範、ラウラ殿風呂の用意が出来ました。」

「うむ、ラウラを先ずは今日の汗を流そう。」

「はい!師匠!」

 

着替えを持ち、一夏とラウラは其々に分けられた風呂場へ向かった。

そして、二日目。

集団稽古に混じり体を動かした後、昨日の六人と共に鍛錬を始めた。

鍛錬の中で、ラウラは己の中で何かが変わっていくのを感じた。

一つ一つの技の動きが、これまでよりより鮮明に感じ取れる。

一打一打に、魂が篭りより力強く鋭くなる。

礼儀を心掛け、常に周りに感謝の意を示す。

たった、これだけで己の拳の一撃が、足の運びが、体の動きがまるで別物になっていた。

 

「ラウラさんはやはり凄いですね。たった一日で、動きが見違えたようです。」

「皆の、おかげです。」

「いえ、そんな。」

「ラウラさん。宜しければ、私とまた組手をして頂けませんか?」

「喜んで、受けさせて頂きます。」

「では、ホイミさん審判をお願いします。」

「承った。」

 

互いに、距離をとる。

 

「互いに礼!」

「「おねがいします。」」

「はじめ!」

 

昨日と同じように、互いに距離詰める。

コロンの素早い足捌きに、果敢についていくラウラ。

昨日とは、明らかに試合運びが違っていた。

いや、漸くラウラの持つ技量に心が追いついたっと言った所か。

一進一退の攻防が続く、ここ迄くると勝負の明暗を分けるのは運である。

そして、運であればラウラの方が秀でていた。

 

「はっ!」

 

コロンが、昨日と同じ様に蹴りを繰り出す。

しかし、ラウラは敢えて蹴りを受ける。

後に続く、掌低を受け流し返しでコロンの胴に拳を衝ける。

 

「そこまで!」

 

決着が着いた、ラウラの勝利である。

 

「「ありがとうございました。」」

「やはり、コロン殿の足運びは勉強になります。」

「いえいえ、ラウラさんのカウンターもお見事でした。」

「皆が、良ければこの後の五人ともまた一手お相手願いたい。」

「勿論!では、私から。」

 

そしてまた、ラウラは六人の門下生と組手を始めた。

そして、今度は善戦の末に全員に勝利したのであった。

それから、一日が過ぎた三日目。

一夏は、ラウラを道場の奥にあるある場所に連れて来た。

 

「師匠、ここは?」

「ここは、俺達の取って神聖な場所…一子相伝の技『大導脈流活殺術』の伝承の場所だ。」

「ここが…!」

「そう、ここで俺は愛子姉さんからその技の習った。」

「では、私も…!」

「その通りだ、だが時間は今日一日だけ。だから、いつもより厳しくいくぞ!」

「はい!」

 

一夏の修行が始まった。

いつもより辛く、苦しく、そして痛みも凄まじい。

何度も死にかけて、何度も倒れ伏せて。

それでもラウラは、立ち上がり続けて。

時に、弱音が零れそうになりがら。

時に、全てを投げ捨て死を覚悟しながら。

それでも耐え、震える体に喝を入れて。

やがてその目に、普段とは違う色が浮かんだ。

精魂尽きて、茫然とした瞳には執念が静かに燃え精神が高まりを見せる。

『静かだ…これまでに無い程、心が落ち着いている…。』

それは、自我を感じさせないものだった。

あらゆる感情が、静まりただ一つこの場に立ち己が生きているのか死んでいるのかも定かではない。

『だが…体の奥底、心の中心から来るこの熱は何だ…?』

それまで、感じた事も無い熱いはずなのに決して嫌じゃない体の突き動かす熱と力。

 

「無我に至ったか。」

 

一夏の声が聞こえる。

無我と言ったか?

『成る程、これが無我か…悪くない…。』

自分の精神と体が初めて本当の意味で同期した。

今までの、体を動かす感覚とはまるで違う感触である。

 

「放て。今のお前の全てを、この場所に…!」

 

師の言われるがまま、こぶしを握るラウラ。

『大導脈流活殺術奥義…血栓掌…!』

振り出した瞬間、拳を開き掌を岩に衝ける。

次の瞬間、岩が弾けた様に吹き飛んだ。

ここに、一夏より大導脈流活殺術をラウラは受け継いだ。

 

一夏「ついに、ものにしたか…。」

 

 

 

 

 

 

 




ラウラちゃん超強化!
次から二学期です。
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