「ありがとうございました。」
「うん。最後まで、自分の流儀を貫くのは感心ね。ありがとうございました。」
試合の後、アリーナの通路で感謝の礼を言う一夏。
「ところで。その子、試合中に現れたアーマーよね…?」
楯無の困惑気味な視線の先、一夏の隣に先程見たよりかは小さいサイズのメカアニマルがお座りをしていた。
「はい。アルファに聞いたら、ISを起動していなくても実体化出来るそうです。」
「そ、そうなの~。」
ビーストアーマー、アルビノボン太くんが二次移行を行った事で発現した機能である。
元々在った形態変化機能が、自己進化した姿で自立稼働型のビーストモードと追加外装型のアーマーモードを有する、また本体が非稼働状態でも実体化する事が出来る。
実体化した際は、性能を抑えてる為にサイズが小さくなり攻撃用の機能がロックされる。
「がう?」
「ファンウルが何か?」
さっきの、試合で見たファンウルと名付けられた狼メカにギャップを感じずにはいられない。
注視する楯無の視線を見つめ返し小首を傾げるファンウル。
「あぁ、何でもないのよ⁉何でも…。」
如何見ても、子犬ロボに見えるファンウルに戸惑いを隠せない。
「それで、ここまでの経緯について教えて貰っても?」
「あっ!うん、良いわよ。じゃあ、皆もう集まってるだろし行きましょうか。」
「皆もう集まってる?」
廊下を進みアリーナの中に在る放送室に移動する。
「ここよ。」
「放送室?」
「えぇ、ここなら盗撮・盗聴対策も取られてるから。」
「…関係者以外には、聞かれたくない話ですか?」
「そう言う事よ。さぁ、中に入って。」
「…失礼します。」
楯無に入室を促されて中に入る。
部屋の中には、先程観覧席に居たメンバーが揃ってた。
「集まってわね。それじゃあ、本題に入りましょうか。」
一夏の後に入って来た楯無が部屋の中を一瞥して、主要人物が揃ってる事を確認してから話し始める。
「もう、気付いてる人はいると思うけど。此処に集められてる人物は皆、専用機を持ってる生徒よ。」
「だろうな、それで?」
楯無の口から出た言葉に、返答を返し続きを促すダリル。
「今年の学園行事について、ここに居るメンバーはどう考えてるかしら?」
「今年…とにかく、妨害が多いっすね。」
「えぇ、それも正体不明の相手からね。」
フォルテの意見を固定して、更に続ける。
「臨海学校に行っていた子達なら、もう知っているでしょうけど。これ迄の事件には少なからずある二つの組織が関与してる可能性があるの。」
「…それは?」
「亡国企業と、嘗てアマルガムと呼ばれたテロ組織よ。」
その言葉に、この場に居た生徒が息を呑む。
「これから先は、他言無用でお願いね。実は、今度の文化祭も標的になってる可能性が出て来たの。」
「…」
部屋に居た全員が無言になる。
「それで、生徒主体で学園内またその周辺の治安維持を目的にした、独立部隊を作る事になったわ。」
「…成る程な、それで教師陣だけでフォロー出来なくなってきたから、警備を私等にもやらせようって事か。」
「そうなるわね…。」
「ふっ。まぁ…いいぜ、引き受けても。なぁ、フォルテ。」
「はい。自分も、参加させてもらうっす。」
「皆はどう?」
「愚問です。」
「当然、受けるわよ!」
「ここで、断るのは一生の恥ですわ。」
「僕も、やらせて下さい。」
「師匠は、参加を決めてるのですか?」
「あぁ。」
「では、私も参加します。」
「私も…!」
「かんちゃんなら、そう言うと思ったよ。」
「鈴お姉ちゃんが参加するなら…私もやるわ!」
「ラウラさん程では、ありませんが。私も、師範に従います。」
「オニール、如何する?」
「ファニール、やろうよ!」
「…うん、分かった。私達も、参加します。」
「ふむ、では私も引き受けよう。」
「…私も…やる…!」
「…はぁ、仕方ない。一人だけ除け者に為りたくないし、参加するわ。」
ここで集まった、上級生二人が部隊への参加の意を示した事を切っ掛けにして全員が参加を表明した。
「ありがとう。それで、その…部隊の司令官は私が勤めるのだけど、常に現場に居る訳にもいかないのよ。」
「!…それで、さっきの試合か…。」
一夏は、ここで楯無の真意に気付いた。
「えぇ。一夏君、貴方に独立部隊の隊長を任せようと思うのだけど引き受けてくれる?」
「俺の一存では判断しかねますね…皆さんは、如何ですか?俺が、隊長で不都合な事とか在りませんか?」
「私は、特に問題はないっす。」
「俺も無いぜ。つうか、あんな戦い見た後でいちゃもん付ける奴居ないだろ。」
「そうですか…分かりました。その部隊の隊長、引き受けさせてもらいます。」
「そう、それじゃあお願いね。」
生徒会主導の防衛部隊がこの時、発足された。
「それで、早速なんだけど。このメンバーを三つの小隊に別けたいのだけど、何かいい案はある?」
楯無の問いに、一夏は少し思案して答える。
「一先ず、全員の技能レベルを見ましょう。それを基準にして、グループを別けるのは如何ですか?」
「ふむ…それしか、手は無さそうね。」
「それじゃあ…。」
「あぁ!待って、折角だしこのメンバーに試合形式で技能試験を受けて貰いましょう!」
「…試合形式ですか?」
「えぇ。勿論、私と一夏君は除外してね。」
「具体的には?対戦形式は?対戦カードなどは、如何選定しますか?」
「それじゃあ、今から生徒会室で話し合って決めましょうか。」
「はぁ、分かりました。」
「そう言う事だから、今日は解散ね。皆、お疲れ様。」
一夏を連れ退室した楯無を、その場に残された16名の女子生徒達は茫然と見送った。
その後、話し合いの末にシングルで一人一戦のみの方式で行われる事になり対戦カードも伝えられた。
第一試合凰鈴音VS凰乱音
第二試合セシリア・オルコットVSダリル・ケイシー
第三試合フォルテ・サファイヤVSベルベット・ヘル
第四試合ファニール・コメット、オニール・コメットVS篠ノ之箒※コメット姉妹は二人で一人と換算
第五試合シャルロット・デュノアVSロランツィーネ・ローランディフィルネィ
第六試合ラウラ・ボーデヴィッヒVSヴィシュヌ・イサ・ギャラクシー
第七試合更識簪VS布仏本音
例外としてクーリェ・ルククシェフカは試合日程が組まれず能力試験のみとなった。
虚「お嬢様、私が副司令官になってる理由を教えて貰えますか…?」
楯無さんはこの後、怒れる虚さんお説教されたそうな。
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