アマルガムと呼ばれたテロ組織が嘗て存在した、その歴史は亡国企業と同じか少し後の頃と呼ばれている。
彼の組織の技術力はかなり高度なものだった言う話がある、正式名称アーム・ビルド・スレイブ・システムを簡略化してアーム・スレイブ、通称をASと呼ばれた大型人型兵器が主流だった頃の世界で最も最先端の技術力を保持していたらしい。
そんなアマルガムの製造したASの中には、人間サイズにまで縮小された対人型ASアラストルが存在した。
本来8mクラスの物が主流とされたASの中でこの機体は約2mと小型であったとされ、その運用方法も対人戦闘を主とした奇襲戦法が主だった。
ISの台頭や一部のASに積まれた兵器が使用禁止に成ったのも重なり衰退していった中で、この機体は様々の状況に対応できる汎用性と唯一ISに対抗できる兵器としてISを持てない国家の研究機関などに、現在も秘密裏に保管されてると言う噂も実しやかに囁かれる。
そして、文化祭に招待された一般人が来場しているIS学園の敷地の中には件のASが猛威を振るっていた。
学園側も、教師と防衛部のメンバーが迎撃に当たり、如何にか一般人への被害は食い止めていた。
「喰らえ…ふもっふ流拳闘術紫電突き!」
ラウラが、プラズマ手刀を発生させた状態で拳を握りアラストルの胴体に打ち込む。
拳打を受けたアラストルは煙を出して機能を停止させる。
敵が動かない事を確認したラウラは、別の機体の方に体を向けた。
その直後、背後で小さく爆発音が鳴る。
「くぅ!しまった…!」
ラウラの背後に潜んでいた、アラストルの腕部に内蔵された12.7mm機銃がラウラの背部に直撃した。
通常の弾丸であればISがダメージを受ける事は無い、しかし対IS用に作られた弾丸を装填したアラストルの機銃はラウラに確実にダメージを与えた。
「ふもっふ流射弓術迅風射矢…!」
追撃を仕掛けようとしたアラストルの胸部が彼方から放たれた矢に射貫かれた。
「ヴィシュヌか、助かった。」
「いえ。それにしても、数が多いですね…。」
「あぁ、一体何処にこれだけの戦力を潜ませていたんだ?」
ラウラが思わず口にした悪態交じりの疑問は、この場で防衛線を守ってる者全員の疑問でもあった。
急に現れたかと思えば警告も無しに襲ってきたのである、それもかなりの大勢だ。
唯一の救いは、これらが全て無人機であった事だろうか。
最初こそ、有人である可能性も有ったが動きが単調な事と誤って破壊した一機の残骸から無人である事が発覚してそれからは、手加減する必要も無くなり彼女たちは優勢とはいかなくとも五分五分の戦況の持ち直していた。
「ラウラ、交代よ。」
「お疲れ様ですわ。補給を受けて来て下さいな。」
前線で防衛していたラウラに、後方から補給を済ませた鈴音とセシリアが近づいて来る。
「判った、ヴィシュヌ行くぞ。」
「はい。」
前線を鈴音とセシリアに任せ、補給の為に後方に下がるラウラとヴィシュヌ。
二人を背後で見送って、眼前の敵に意識を向ける。
「さて…やりますか。」
「はい!少しでも多く、敵を減らしましょう。」
この他の場所でも迎撃戦が勃発している為に、ここに回せる応援が無い。
その為に四人を、二人一組で一時間ごとに交代する方法で凌いでいた。
「此方、キング2。本校敷地内に、敵勢力の尖兵と思われる人物が潜伏している模様。捜索は、しているが身柄を確保できていない。特徴は、黒の長髪に白のスーツ姿だ。各自、出来る限り警戒していてくれ。」
「此方、クイーン4了解。」
「クイーン3了解ですわ。」
一夏からの報告を、二人は身近く返した。
「一夏の奴、何してるかと思えば…。」
「しかし…これで、この襲撃の意図が読めましたわね。」
所謂、陽動か時間稼ぎ辺りだろうと見解を立てた。
そして、恐らくその人物を取り押さえる事が出来ればこの兵器たちは停止すると、確証は無いが確信できていた。
一夏が、対象人物を見つけて確保できるまでは如何にかこの場を持ち堪えて見せようと気合を入れる。
一方の一夏は、地下通路を抜けて地上の施設を探索していた。
「あの状況では、学外に逃げる事は出来ない筈なんだがな?」
「ふもっふふーふもっふふもるふももっふ。」『ISを纏っていたとは言え、相当なダメージを受けましたからね。』
「あぁ。しかし、手伝って貰って良かったのかな?恐らくだが、君は来場客の誰かだろう?」
「ふもふもっふふーもっふ!」『気にしないで下さい兄さん!』
「ふむ…そろそろ、話して貰えないだろうか?君は何故、俺を兄と呼ぶのか?」
「ふも!ふも…!ふもっふ…。」『えぇ!それは…!兄さん…。』
「…説明は、彼女を取り押さえた後か…。」
一夏の質問にどう答えようか思案していると、Rボン太くんのセンサーに反応が有ったのを確認した。
Rボン太くんが視線を向けた先は、閉じ切られた部屋の扉だったが一夏も室内から来る殺気を感じ取っていた。
ゆっくり近づいて、様子を伺う。
「リベリオン、前衛を頼めるか?」
「ふもっふ。」『了解です。』
Rボン太、ドアノブに手を掛けて少しづつ開ける。
「ふもっふふももっふ。」『トラップは、仕掛けられてませんね。』
「了解。引き続き警戒は続けてくれ。」
「ふもっふ。」『了解です。』
部屋の外で控えてる一夏からの指示に短く返す。
何者かが、潜んでる気配は感じるがどこに居るのか判別できない。
部屋の明かりをつける為に、ドアの知覚のスイッチに手を掛けようとした時、部屋の奥から物音が聞こえた。
「ふも?」『そこですか?』
音がした方に、ゆっくり近づいていくRボン太くん。
音の下と思われる場所まで来た時、扉の方で物音がした。
「ふも!」『しまった!』
揺動に嵌まり、入り口の警戒を疎かにした自分の短慮に悪態をつきながら扉に急ぐ。
「惜しかったな。」
「くぅ!」
扉の前のでは、一夏に組み伏されたガーベラが居た。
ガーベラを縛り上げると、一夏は耳に填ったインカムから全隊員に捕縛が完了した事を伝える。
「キング2より各員へ、標的は抑えた。これより、戦闘停止の為の方法を吐かせる。それまでは、どうにか持ち堪えてくれ。」
返答を待たずに終わらせると、一夏はガーベラに向き直った。
尋問を始めようとした時である、インカムに緊急通信が入った。
「こ、此方…クイーン3、敵勢力に増援を確認…敵は…強奪されたイギリスのBT実験機サイレントゼフィルスと思われますわ。」
動揺にしながらも、飽く迄冷静に告げられた報告を耳にして顔を顰める。
「此方、クイーン1。増援は私が抑える、お前達は戦線の意地を優先しろ!」
「ジャック3も同行します!」
ラウラとヴィシュヌが答え、増援の迎撃に向かったらしい事が知れた。
一夏は、この状況を打開すべく行動を開始する。
一夏「さぁ、喋って貰うぞ奴らの活動を止める方法を…!」
次は、ラウラとシュヴァルツェア・レーゲンに何かが起こるかも…?
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