IS世界のボン太くん   作:マガガマオウ

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数馬君の初陣そして、一夏の中学時代も少し明かされる!かも…


そのボン太くん宛ら阿修羅の如くfierce god asura

ここ迄、二度もの激戦を繰り広げその相手となった二人を悉く退いた襲撃者も、突如現れセシリアと自分の間に割り込んだ乱入者に底知れぬ圧迫感を感じていた。

今までの相手とは何かが違う、あの赤いボン太くんから流れ出る気配はここに居る誰より強く一線を画している。

例えるならば、鬼の様に恐ろしく反面神仏の様に神々しく穏やか、そんな相反する二つが同居したような気配を乱入者から感じ取っていた。

『ただそこに居るだけ、たったそれだけで震えが止まらない⁉』

セシリアを見ると怯えた様子がない事から、背中越しに更には自分だけにこのボン太くんは殺気を向けている。

まるで、今手を出したら命は無いと脅す様に威圧しているかの様だった。

 

「ふも…ふもっふ。」『さて…待たせたな。』

 

セシリアの無事を確かめたのも束の間、赤いボン太くんがゆっくり正面を向いた。

向き合ったからこそ判る、この人は自分を倒せると。

強者との戦いは望む所である筈の自分が、心の底から怯えこの場を離れたがっている。

認めたくない己の感情が、生存本能と言う形で否応も無し叩きつけられる。

恐怖で一言も話せない、さっき迄あれ程饒舌だった彼女の口は、この場を支配した圧倒的な殺気によって固く閉ざされもう開ける事すら出来ない。

 

「ふもふー?ふっふもっふ…!」『来ないのか?では此方から行くぞ…!』

 

その一撃は一瞬だった、手にした戦斧の大きさから考えられない程の加速で接近され振り下ろされた斬撃の重さと速さ全てが襲撃者の知るISのそれを凌駕していた、防ぐ事も躱す事も出来ぬまま得物の重量にスピードが加算され恐るべき破壊力となって襲撃者を捉えた。

 

「グッハッ!」

 

ただ一撃与えられただけである、それもただ巨大な斧をただ振り下ろされただけ、その筈なのに肺の空気を衝撃で押し出され一瞬呼吸が止まった。

 

「はぁはぁはぁはぁ!」

 

肺が空気を求めて呼吸が荒くなる、一時的な酸欠で思考能力が著しく低下し自分が今何をされたか理解できなかった。

それから暫く追撃は無かったが、ただ一撃でここまで自分が追い詰められた事に彼女の精神が理解を拒んだ。

 

「ありえない…遺伝調整を行われてる訳でも無いのに…そんな、篠ノ之束みたいな人間が居る訳…⁉」

「ふもっふ。」『黙れ。』

「がぁはっ!」

 

またして捉え切れない速さで一撃を放つ赤いボン太くん、襲撃者の精神はこの時点で崩壊寸前だった。

 

「ウ、ヴヴヴヴヴ!」

 

声にならない絶叫を伴って、襲撃者は自暴自棄の乱雑な攻撃を放ち続ける。

 

「ふもふもっふ。ふーもっふふももっふー!」『自棄になったか。そんな精細を欠いた攻撃で勝てると思うな!』

 

戦斧を盾代わりにして身を守り、何時に間にか展開していた斬馬刀で反撃する。

獣の様な猛攻をたった二本の腕で捌き、鋭い反撃を繰り出す様を見ていたセシリアは、赤いボン太くんの腕が六本有る様に錯覚した。

 

「あの…戦い方は、数馬…ね。」

「鈴さん!」

 

赤いボン太くんを見ていたセシリアの腕の中で、鈴音が痛みを堪えながら静かに語りだした。

 

「私が転校する前、丁度中学に入りたてだった時の事だった。」

「喋ってはいけませんわ!傷に障りましてよ!」

「大丈夫よ、今は聞いて。あれは、学校外でも相当幅を利かせていた二つの不良グループが抗争を始めた時だった。」

 

鈴音が語りだしたのは、彼女の中学時代の事だった。

 

「鈴さん…分かりましたわ、最後まで聞きましょう。」

「ありがとう。あの日の事は県内でも結構大きい話題になったのよ、その日はね別の中学の制服を着た男女数人が私達の通っていた学校の校門を占拠したの。」

「それは…確かに話題にもなりますわね…。」

「えぇ、実際当時も警察雑多に発展しかけた問題だった。何せ原因が、当の不良グループ同士の抗争にその学校の生徒が巻き込まれた事だったしね。」

 

鈴音の説明に補足するなら、被害に遭った他行の生徒というのはその学校の不良たちの顔役だった男子生徒の妹だったらしい。

しかも実害を与えた生徒は、その抗争の最中に大怪我を負い入院していた事も不運だったと言っておこう。

 

「下校時間も近かった事も有って、帰宅しようとしていた生徒も大勢居たのよ。その中に、一夏と数馬も居た…。」

 

彼らは、帰宅する生徒を強引に引き留め囲い込んだ後に件の生徒の事を聞き出そうとした、中には恐怖で泣き出し真面な受け答えが出来なかった生徒も居てそれも事態をややこしくしていた。

 

「そんな状態を見るに見かねて、二人が占拠していた他校の生徒達と話し合いで決着を着けようとしたのよ…。」

 

しかし怒りで頭に血が昇っていた男子生徒が一夏と数馬に掴み掛り黙らせようとし、それに続いた取り巻き達も二人を囲い込み逃げ場を塞いだのである。

 

「そこからね、あの二人が凄かったのは…。一夏は想像できるでしょうけど、数馬も相当だったわ。」

 

二人は囲い込まれても最初は静止するように声を掛けていた、それでも感情に引っ張られ攻撃を繰り出す男子生徒を往なしながら冷静になる様に再三亘り声を掛ける。

幾ら攻めても攻撃は当たらずだんだん疲弊の色が見え始めた時、風紀委員をやっていた女子生徒が輪の中に割り込んでくる。

 

「あれは度肝を抜いたは、流石に無茶が過ぎてたわ。」

 

無論、冷静さを欠いた男子生徒は急に乱入してきた彼女にも牙を剥いたのである。

彼女の顔を狙い右拳で殴りかかる光景を見た一夏は、男子生徒の腕を掴みアームロックを掛けた。

当然であるが痛みに悶絶する男子生徒を助けようと取り巻きも輪を崩して一夏に襲い掛かる、それを制したのは数馬だった。

襲い来る他校の生徒の急所を的確に狙い、ほぼ一撃で沈めていく。

 

「その時、余りに無駄なく仕留めていくものだから腕が六本に増えて見えたのよ。」

 

結局この後、校門を占拠していた生徒達は男子生徒を締め落した一夏も加勢して全員無力化された。

この時の二人の姿を見ていた、校内の生徒達は二人に尊敬と畏怖の意味を込めて、一夏にスサノヲそして数馬に阿修羅の君命を付ける事になった。

 

「それで、あのボン太くんを数馬さんだと…。」

「えぇ、でもそうとしか考えられないわ。あんな戦い方を出来る奴は、数馬しか知らないもの。」

 

鈴音の核心に迫った顔と言動に、セシリアはもう一度赤いボン太くんを見る。

 

「待たせたな、他を回っていたら遅くなった。」

「隊長!」

「待たせ過ぎなのよ…。」

 

一夏の通信が聞こえ後方を見やると、彼と学園に紛れ込んでいた密偵そして黒いボン太くんがそこに居た。

 

「此処が最後だ、早くしてもらおうか?」

「くっ!行動停止コード『スリープ』を実行…。」

 

密偵の声がキーとなりアラストルの大群が行動を停止した。

 

「ふっ!はぁぁぁぁ!」

 

赤いボン太くんに押されていた襲撃者が密偵を視界に捉えた時、最後の力を振り絞り密偵を捕えていた一夏達に攻撃を仕掛けた。

 

「ふも!」『何!』

「!ふもっふ!」『!兄さん!』

 

降り注ぐレーザーを一夏との間に入ったRボン太くんが受け止め彼には実害はなかった、そう彼には…。

 

「…随分ボロボロですね、結構手こずりましたか?」

「そう言う貴女こそ…いえ、相手が一夏兄さまと円夏姉さまでは仕方ありませんか。」

「取り敢えず今は、撤退を念頭に置いて行動に移りましょう。」

「はい…。」

「ふも!ふもっふ!」『待って!真冬!』

 

相手の陽動に気を取られ、密偵から気が逸れた瞬間を狙って彼女を回収した襲撃者、その背中にRボン太くんが声を大きくして呼び止めるが彼女たちは立ち止まる事はなかった。

 

「追いますか?」

「いや、深追いはするな今は被害の状況を確認したい。」

 

傍に来ていたヴィシュヌが一夏に問い掛けるが、彼は追跡よりも被害状況の確認を優先した。

 

「ふもっふ…。」『真冬…。』

「君も来なさい、事情を話して貰いたい…今回の事、そして彼女らの事もね…。」

「ふも。」『はい。』

 

IS学園襲撃は、ここで一旦幕を下ろした。

しかし、この事件は多くの疑問を残す事になる、二機のボン太くんの介入から黒いボン太くんが襲撃者に呼び掛けた真冬という名前、この事が後々に如何言う影響を与えていくのかは、まだ誰にも解らない。

 

円夏「真冬…ごめんね…。」




後日談挟んだら、次いきます。
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