IS世界のボン太くん   作:マガガマオウ

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全校集会で事後説明、その後何かが起こる…!


種明かしと帳尻合わせalternative

以前にも、この空気は感じていた。

ただ、一つ違うとすれば……彼、織斑一夏の現在の所在だろうか?

暗転した舞台袖に控え自分の出番を待つ彼の表情は、何処か楽しそうである。

それは、彼の後ろに控えていた織斑円夏と御手洗数馬にも容易に汲み取れた。

今日この日、一夏は自分の立場を明かしその後来るであろう、非難の言葉を躱す為の己の策を使い時を今か今と待っていた。

 

「余裕ねぇ~一夏君。」

「えぇ勿論!寧ろ、ワクワクしています!」

「ははは、貴方も相当いい根性してるわね。」

 

数馬は、そんな一夏と楯無の間で交わされる不穏な会話を聞かない様にしていた。

 

「お嬢様、そろそろ。」

「あら、もうそんな時間?じゃあ、一夏君お先に。」

 

楯無を呼びに来た虚に顔を向けて答え壇上に進み出る、壇上から見回した生徒達の期待と不安の入り交じった視線を受けて、これからこの場が阿鼻叫喚に変わるのかと思い少しばかり不憫に感じる。

『でもこれも、学園を守る為よ!』

そんな心にも無い言い訳を、胸中で囁いて視線を前に戻す。

 

「皆さん、昨日までの文化祭はお疲れさまでした。最後はトラブルもありましたが、概ね平穏に終える事が出来ました。」

 

毎度ながら普段の彼女を知る者から見て、違和感を覚えずにはいられない生徒会長然とした態度である。

 

「さて、前置きはこれ位にして本題に移りましょうか?今皆さんが、最も関心を寄せている事象は存じています。」

 

凛とした態度のまま、本題に入る楯無の姿を見ていた群衆の視線が集中した。

 

「結果から言いましょう。各部対抗織斑一夏争奪戦の勝者は……!」

 

何処からか流れて来たドラムロールに煽られて、会場の空気が緊迫する。

 

「私達、生徒会です!」

「「「「「えぇ~!」」」」」

 

完全に騙し討ちを食らった生徒達のブーイングが、会場全体で巻き起こる。

矢張りこうなったかと、心中で呟くと表情に出すことなく、予定通りに事を進める。

 

「投票数一位は、生徒会主催の演劇【シンデレラ・ウォー】でしたのでこういう結果に成りました。」

「納得できないわ!」

「こんなの、いかさまじゃない!」

 

まるで、会場を煽るかのような発言に激しいバッシングが投げつけられる、しかしこうなる事は予想出来ていた事である。

ある程度の覚悟はしていた為、さして問題はない。

いや、覚悟などしなくとも、楯無なら受け流す事位は容易いかもしれないが。

何にしても、この空気では真面に話を聞いてはくれないだろう、そこで早々に場を落ち着かせる方策を取る事にした。

 

「皆さんの言分は判りました!しかし、このままでは埒が明かないと思います。ですので、今回の争奪戦のもう一人の企画者である防衛部の隊長からも説明をして貰おうと思います。」

 

その言葉の後に、舞台袖の近くにスポットライトが当りそこに立っていた人物が照らされた。

 

「え?」

 

誰の言葉だったのか、いや若しかしたらこの場に居る全員が思わず零してしまった呟きだったのかもしれない、何故なら…。

 

「では、防衛部隊長織斑一夏君。壇上までお願いします。」

「はい。」

 

それもそうだろう、渦中の人物である筈の織斑一夏が学園の物とは違う衣装を着て立っていたのだから。

そして、虚に促されて楯無の居る壇上に足を進める、一体全体何がどうなっているのか、状況を正確に把握できていない生徒達は、その光景を黙って見ていた。

 

「先程も紹介にありましたが、私からも自己紹介をさせてもらいます。私が、生徒有志防衛部隊通称防衛部の部長兼隊長を任せられている、織斑一夏です。」

「「「……えぇ~!」」」

 

現状を上手く汲み取れずに固まっていた生徒達が、一夏の自己紹介が終わると共に現実へ引き戻されて楯無の時よりも大きなどよめきとなった。

 

「ど、どいう事?」

「織斑君が、防衛部の隊長って?」

「いやそれ以前に、織斑君が部長って事は学園祭の前からもう既に防衛部に所属していたって事?」

「という事は、最初っから嵌められてたの⁉」

 

壇上の下から、困惑した生徒達の会話を聞いていた一夏は、心の中で意地の悪い笑みを浮かべて次の工程に移った。

 

「では、簡単にですが今回の経緯を説明させていただきます。」

 

一夏の一言で、ざわついていた生徒達が壇上の彼に視線を集中させた。

 

「事の起こりは、二学期の初め迄遡ります。私は、生徒会長より模擬戦の申し出を受けました。」

「「「!」」」

 

唐突に告げられた、自分達があずかり知らぬ場所で起きたであろう出来事に驚愕する一同、そんな彼女らの反応を見た一夏は先を続けた。

 

「結果から言えば、引き分けです。」

「この結果に、嘘は無いです。彼は、私と戦いそして引き分けになりました。」

「ですが、その試合の後に会長より学園側の警備が問題視され始めた事と生徒にも警備に携わるように通達があった話を聞き、その場に居た防衛部のメンバーと共に話を受ける事にしました。」

 

 

彼が防衛部に所属する切っ掛けを聞いて、何となくだが当時の事情を察した生徒達は何も言わなかった。

特に楯無と同学年以上の生徒達は、彼女がこの手の事で嘘を言わない事を十分承知しているからか、懐疑的な視線は送っておらず、寧ろそれだけの実力を示した一夏を称賛している。

 

「今回の催しは、学園祭をターゲットにした襲撃に備える為の防衛策として考案しました。皆さんは、票を集める為に出し物に集中して下さった事でしょう。無用な警戒は時として敵を用心深くさせてしまいます。此方の動きを悟らせない為にも、皆さんには普段通りに過ごしてもらう必要がありました。」

 

説明をしている一夏の姿は、隊長としての気概と風格も合わさって見る者聞く者に説得力を感じさせた。

 

「シンデレラウォーに関しては、来場者及び一般生徒を守る為の作戦であり、アリーナというある種のシェルターに収容する為の策です。」

 

この言い分にも筋は通っている様にも聞こえるが、問題は何故それで票が集まったかである。

 

「此処から先は、会長のテコ入れによるものなのでご本人から弁明をお願いします。」

「あれ⁉ここで私⁉」

 

良い笑顔のまま後方に下がり、楯無を前に出す。

自分の後ろに控えている一夏の顔が、如何にも普段からよく小言を零す従者の笑顔と被り軽く恐怖を感じた。

 

「え、えぇっと……その、皆さんがシンデレラウォーに進んで参加してもらう為に、こっそり一夏君と同室になる権利を与えられると言う噂を流しました。そして、参加条件に生徒会の出し物に票を入れる事を提示して……。」

「……それで、生徒会が優勝できたと……。」

「はい……。」

 

体が縮こまり声もか細くなった楯無を見下ろし、如何にも残念な子を見る表情で目元を手で覆い顔を上に向けた、そうして少しの間立ち止まっていた一夏は顔を前に戻し壇上へ進み出た。

 

「皆さん、私も認知していなかったとは言え、不利益を被る様な真似してしまい申し訳ございませんでした。」

「私からも、申し訳ございませんでした!」

 

全校生徒の前で、深々と頭を下げた一夏に倣い慌てて後ろで頭を下げた楯無の姿を見て溜飲が下がったのか、最早誰も文句は言わなくなった。

 

「せめてもの罪滅ぼしという訳では無いですが、私の予定に空きがある時は出来る限り各部活動の助っ人をさせて頂きます。」

「あの……一応、彼も生徒会に所属して貰う事になるので、助っ人を頼まれる際は予め申請を出して下さいね。」

 

顔を上げそう宣言した一夏に続ける様に、楯無が残りの要点を付け足した。

一夏が提案した代案なら、一応の納得は出来るだがまだ不安要素は残っている、それは……。

 

「しかし、防衛部と生徒会の兼任になると時間も取りずらくなるのでわ?っと、思われている方も居ると思われます。」

 

そうなのである、幾ら本人にその気が有りまた希望申請を出しても、一夏はクラス委員長と防衛部の部長兼隊長と言う肩書を持っている他に今度は、生徒会役員としての仕事も請け負う事になっている。

流石に予定は作られるだろうが、それでもかなり限られた日程になる事は目に見えている。

 

「確かに、今後は私自身が多忙になるでしょう。ならば、彼らにも手伝って貰う事にしましょう!」

 

一夏の一言の後に、再び舞台袖にスポットライトが当り二人の人物の姿が露になる。

 

「?……へ⁉」

「……やられた。」

 

いつの間にかスポットライトに照らされた円夏と数馬が其々の反応を示した、円夏は行き成りの事で状況が上手く読めておらず数馬は友人に嵌められた事を察した様でげんなりした表情で立っていた。

そんな二人に構わず、一夏は話を先に進める。

 

「彼らは学園の外部の人間です。ですが、今回の騒動で学園防衛に尽力してくれました。更に続けるのであれば男子の方は最近、ミスリルで開発に成功した男性対応型ISコア実験機のテストパイロットです。」

「「「「!」」」」

 

この場の全員が、一夏の発言に驚愕した。

まだ表のメディアにすら公表されず、風の噂程度ではあれ話題になっていた男性対応型ISコアの実験機を駆る事になった男子が目の前に居るのだ、当然ではあるのだが。

 

「彼らには、今回の活躍も踏まえて本日より、このIS学園への編入が決まっています。そして、この学園に於いて二人目の男子生徒も含め防衛部の参加して、私と共に各部活動へ助っ人派遣を行って貰います。」

「なっ!」

 

IS学園へ編入も防衛部の所属にも理解はあった数馬ではあるが、しかし助っ人の件は完全に不意打ちだったので泡を食らった、一夏はそんな事はお構いなしに話を続ける。

 

「さて、めでたくも二人目の男子生徒の誘致する事に為りましたが、皆さんは彼らの実力の程に興味がありませんか?」

「それは……。」

「確かに、気になる。」

 

ホールの彼方此方から、一夏の意見に興味を示した生徒達からの声が上がる。

 

「これは、防衛部の隊長としての意見なのですが。今日の放課後、第一アリーナにて編入生二人による模擬戦をやって貰おうと考えています。気になるならば、自分の目で確かめればいい。」

 

強かな眼光と落ち着きながらも何処か挑発的な口調で、ホール内に居た全校生徒の心を掌握した一夏が不敵な笑みを浮かべていた。

一夏の策略により、円夏と数馬の転入初日は波乱の幕開けとなったのは言うまでもない。

 

楯無「何だろう……一夏君が怖い……。」




今回の一夏はドS!
何気に以前から、Sっ気は出してました。
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