セシリア・オルコットとの接触からすぐ後の授業中。
クラス担任の千冬がある事を思い出し授業を中断した。
「そう言えば。クラス代表を決めていなかったな。」
「この際だ、ここで決める。誰か立候補する者は居なか?推薦でも構わんぞ。」
千冬の突然の提案にクラス中が静かになる。
そして、一人の生徒が発言した。
「なら織斑君を推薦します!」
この発言に次々と賛同の声を上げるクラスメイト達に織斑一夏は少し大きな声で静止を呼び掛けた。
「少し待ってくれ!そもそも俺はクラス代表と言うものがどう言った役割なのかを知らない。決めるのはそれを知ってからでも遅くないだろう。」
「クラス代表と言うのは詰まる所クラス委員みたいなものですよ。ただこの学園の場合は、それに加えて代表戦などの行事に参加して貰う事になっています。」
「代表戦?」
「はい。一学年に各クラス一人のクラス代表を選出して同じ学年のクラス単位で試合を行う行事です。また優勝したクラスには商品が送られる為、どのクラスもそれなりの実力者が選ばれる事が多いですね。」
真耶の説明を聞いた一夏は少し考えてからもう一度クラスメイト全員に諭すように声を掛ける。
「今の説明で幾らか冷静になってもう一度よく考えるんだ。」
「俺個人で済むような役割が負える役割であるなら引き受ける。」
「それがこの学園で生活する上で必要な事だからだ。しかし、今回の場合は違う。」
「ただ優勝出来なかったで済むならばまだしも試合の結果如何ではこのクラスが受ける評価が勝敗に直結するだろう。それでは俺だけじゃなくこのクラスに所属する君達にまで迷惑を掛ける事になる。」
「それは俺として避けたい。どうかよく考えてから選んでほしい。」
一夏の説得は効いているのか、発言した生徒もそれに賛同した生徒も黙り込んでしまう。
しかし、千冬が発した言葉で事態が急変する。
「随分立派な高説だが。辞退は許可できない。」
「選ばれたからには選ばれたもの役目を果たせ。」
この千冬の発言に絶句した一夏は抗議する。
「待って下さい織斑先生!これは先生の受け持つクラスの生徒がこれから一年間いや下手したら卒業までその評価を受ける続ける事になるかもしれないないし貴女の評価だって落ちる可能性がある事案ですよ。」
「分っている。だからこそ辞退を許可できない。」
「どう言う事ですか?」
「こいつらは遊び半分いや物珍しさでお前を選んだ。このまま辞退させて選び直す事をすればこいつらはまた同じ事をやりかねない。」
「自分達の尻は自分達で拭いてこ意味がある。その為なら私は幾らでも泥を被ろう。」
『確かに、今の時期に失敗を経験しておけば後々同じことが起きてもそれを教訓できる。今回は俺が折れよう。』
そう納得して、了解の意を伝えようした時ヒステリックな声が静かだった教室に響き渡った。
「納得できませんわ!」
先の休憩時間中に高圧的な態度で話しかけてきたイギリスの代表候補生セシリア・オルコットである。
「納得できないとはどう云う事だ意見があるなら何故さっさと立候補しなかった。」
セシリアの身勝手な発言に眉間に皺寄せ不機嫌そうに聞いてくる千冬。
その表情に少し怯えながらも威勢よく反論する。
「そんなの聞くまでもないじゃないですか!クラス代表に相応しいのはこのセシリア・オルコットを置いて他に居ないのですから!」
自信満々に横柄で周りを見下した様な態度で答えたセシリアにクラスの雰囲気が少しばかり悪くなる。
「大体イギリスの代表候補生であるわたくしと極東の島国の猿ごときでは比べるまでも無いじゃないですか⁉」
今度は日本を見下した発言にクラスの空気は最悪である。
「ISの技術で後れを取るこの国とわたくしの祖国では位が違いすぎますは!」
最早我慢ならないと生徒の一人が抗議しようとした時怒りを抑えた低い声が聞こえ怯んでしまう。
「いい加減してくれ…。君は自分がどんな立場で発言しているか分かっているのか…!」
それは心の底から来る憤りを抑えどうにか平静を保っていた一夏の声だった。
「立場とは、何の事でしょうか?」
その声に、動揺しながらも聞いてくる彼女に一夏は呆れの籠った言葉で諭す。
「君は候補生であれ国家を背負ってここに来た。」
「君の発言が国家の意思と取られ両国の国際関係に悪化に繋がると何故分から無い?」
一夏の言葉に顔を青くするセシリア。
「さらに言えばIS技術で遅れを取っているという発言もまずい。そもそもISが誕生したのはこの日本だ!」
「その事実は、世界共通の揺るがざる答え。今君はそれを無視したことになる。」
今度は顔が青白くなり唇が震えだす。
「今すぐ謝罪するんだ。そうすれば個人の認識の誤りであった事にできる。」
「俺も今の発言は聞かなかった事する。皆もどうか許してやってくれ。」
セシリアの様子を見て故意で無かったと認識した一夏はクラスメイトに対して彼女を擁護するに語り掛ける。
他の生徒も一夏とセシリアのやり取りを聞いて矛を収めようとしていた。
しかし動揺したセシリアは思わぬ発言で事体をより難解にした。
「けっ!決闘ですわ!」
教室の空気が凍る、思いもよらぬ決闘宣言にクラスメイト達は困惑する。
「君は何を言っているんだ?」
「こうなればどっちの言分が正しいかを賭けて決闘するしかありませんわ。」
一夏は頭を抱えた、いくら動揺していたと言ってもこれではこちらの助け舟のつもりで出した提案も水の泡である。
「話は纏まったな。次の月曜日場所は第四アリーナで織斑とオルコットのクラス代表決定戦をする変更は受け付けない!以上だ!」
こうなれば腹を括るしかないと心を決めた一夏はセシリアを見て。
「はぁ。やるしか無い様だ、当日はお互い全力を出し合える試合になる事を望む。」
この一夏の発言にさっきまで困惑していたクラスメイトが人を馬鹿にした言動で囁き始める。
「織斑君何言ってるの?」
「男が強かったのは昔の話だよ?」
「今からでも手加減してもらいなよ~。」
このクラス中の発言に箒は苛立ちを隠せず抗議の為に立とうとする。
がしかしその前に一夏の声で遮らてしまった。
「戦う者を嗤っていいのは同じく戦う者だけ。彼女が決闘を申し込んだのは俺だ。」
「だから俺を嗤っていいのは彼女セシリア・オルコットだけだ!」
覇気を込めて発した言葉にクラスが静かになる。
「それにこの決闘に女も男も無い。在るは互いの意地と技量の差のみ!その様な些細な事は邪魔なだけだ!」
その言葉は重く自分達が如何に無粋で浅はかだったを知る。
その時今日最後の授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。
普通なら授業から解放され浮き立つはずの空気がクラス全員に重く圧し掛かっていた。
斯くして一夏とセシリア両名による決闘の火蓋は切って落とされたのである。
千冬「成長したな一夏。」
準備編ではあのボン太くんが再び登場します。
それでは感想などありましたどうぞよろしくお願いします。