我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
そんな中。
「まるで恋人同士のようですね」
市原の発言。
普通人なら赤くなりそうな言葉。
だが聞かれたのは普通ではない4人。
「そうですか?兄妹じゃなければ恋人にしたいと思った事はありますが……」
「まあ、そんな……」
達也が冷静に答える。
それに顔を赤らめ嬉しそうな深雪。
この2人の反応に少し赤くなる市原。
一方。
「俺達は相棒なので。なあ」
「ねえ」
立華も冷静に答え、それに同意するレイナ。
こちらも赤くはならなかった。
それに少し意外そうな顔をする市原。
そして気になったのか尋ねる。
「相棒……ですか?」
「ええ。相棒」
そう言って立華は軽くレイナを抱き寄せる。
それに抵抗せず、素直に立華に身体を寄りかからせるレイナ。
それを見た数人の顔が赤くなる。
「……どう見ても恋人にしか見えないんだが?」
「そうですか?……もしかして渡辺先輩の恋人はこういう事してくれないとか?」
「……そ、そんな事はない!シュウは……」
途中まで言って自分が何言ったか気づく渡辺。
小さくなって、赤くなり、黙り込んでしまった。
代わりに続けたのは七草。
「まあそこの恋愛雑魚は置いておいて……」
「誰が恋愛雑魚だ!?」
「恋人がいたことない会長に言う筋合いはないと思いますよ」
市原のボディブローのような一撃で撃沈する七草。
しょうがないので、深雪が続ける。
「お2人が仲良すぎるように見えるのですよ」
「人の事、言えない。一見する、2人、どう見ても、一線、超えてる」
「!?」
レイナの一撃に深雪も沈む。
未だ無事なのは、達也と市原のみ。
中条?
赤くなってあわあわしているので、カウントできない。
そんな恋愛雑魚な彼女らに立華は苦笑しながら話す。
「まあ確かに一見すると、恋人に見えますけどね。恋人のような事をしてますし」
「……具体的には何を?」
勇気を持って市原が尋ねる。
それに対して立華は彼女に近づき。
「耳を借りても」
「?。ええ……構いませんよ」
耳打ちする。
顔と耳までが真っ赤になった市原もショート。
残りは達也だけになった。
「でも何て言えばいいのかな?」
「恋人や友人とは何か違う気がしてね。相棒なんだよ」
「そうだな……。具体的に言うなら」
「アン、メアリー」
「そうそう。それそれ」
レイナが出した例に頷く立華。
確かにあの2人の関係がぴったりだろう。
「アン?メアリー?誰だ?」
何とか復活した渡辺が尋ねる。
それに立華が答えようとすると。
達也が先んじて聞いて来た。
「もしかして、アン・ボニーとメアリー・リードの事か?」
「流石お兄様」
「……誰がお前の兄だ」
立華の冗談にツッコミを入れる達也。
そんな達也に復活した七草が尋ねる。
「……それ誰なの?」
「十八世紀頃の大海賊時代に活躍していた女海賊ですよ」
達也が説明する。
物知りな彼は知っていた。
「カリブ海を荒らしまわった女海賊の2人組です」
「……へえ、そうなの。物知りね達也くん」
七草が感心する。
そんな中、何とか顔の色が戻った市原が立華に尋ねる。
「なるほど。でもなぜその2人を例に?」
「一番、しっくり、来る」
「……」
レイナの答えに黙り込む市原。
「(なぜ、その2人を例に?もっと他の例がある気がするのですが……)」
まさか市原も本人達に会ったからとは思えなかった。
そんな中。
立華が話題を変える。
「そういえば、なぜオレ達は呼ばれたのでしょう?」
「ああそれね。……忘れるところだったわ」
そういって七草が深雪の方を向く。
話し始める。
何でも首席に選ばれた人は生徒会に入ることになるそうだ。
だからこそ深雪が呼ばれたらしい。
直ぐに引き受ける深雪。
そして、成績優秀な兄も入れないかと聞いて来たが、それは却下されてしまった。
……だが、その時渡辺が面白そうな笑みを浮かべたのは立華以外は気づかなかった。
そして、七草は立華の方へ向き要請する。
「次席である貴方には風紀委員へ」
「面倒」
前と同じ理由で拒否する立華。
轟沈する七草。
それを聞いた渡辺が援護射撃する。
「風紀委員は名誉ある職だ、それにCADの持ち込みが許される」
「名誉はいりませんし、CADは普段は使ってないので」
「「「「「「!?」」」」」」
立華の答えに一同驚愕。
今の時代にCADを使わない?
そんな馬鹿な……。
「じゃあお前は魔法の発動に何を使ってるんだ?」
「うん?達也と深雪には昨日見せただろ?アレと……」
達也の疑問に上着の前をはだけさせる立華。
「「「「「「!?」」」」」」
一同再び絶句。
なぜなら上着の一面には符が貼られていた。
因みに上着の裏以外も、あちらこちら符に仕込みがある。
「これ」
「だが、……古式は魔法の発動が遅いだろう?」
「それを言うならCADだって操作する隙がある。それに体術の型の中に魔法を発動する結印の動作を混ぜてるし」
「……なるほど」
達也が納得する。
どうやら”彼の同僚”の1人である「彼」と同じタイプらしい。
彼も基本的にはCADを敬遠している。
特化型CADは認めているが。
なので。
「特化型はどうだ?」
「……ああ。特化は使う時もある。いつもは持ってないけど」
「アレ、目立つ」
「うん」
「(目立つ?大型武器の形状でもしているのか?)」
そんな事を思う達也だった。
……後に達也は語る。
「まさかあんな形状だとは。確かに目立つ」