我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
そこへレイナが意外な事を言い出す。
「リッカ、やってみたら?」
「え?」
「だって、制圧、殲滅、お手の物」
「……ほう。やっぱり荒事に向いているらしいな」
「……やりませんよ?」
渡辺が嬉しそうに言う。
それに嫌そうな立華。
それに更に畳みかけるレイナ。
「風紀委員、合法的、相手、ぶっ飛ばせる」
「……なるほど!」
「嫌いな奴。合法的、しばける」
「……確かに!」
とんでもない事言い出したレイナ。
「いやいや、出来ないからな!?」
「じゃあ、仕事、何する?」
「……中条」
レイナの言葉にツッコミを入れる渡辺。
だが、仕事内容を説明できないらしく、さっきからあわあわしていた中条へ振る。
「は、はい」
「ふ、風紀委員は校則違反者を取り締まる組織です」
「主な仕事は、魔法使用に関する校則違反者の摘発と、魔法を使用した争乱行為の取り締まりです」
「違反者に対する罰則を決めたり、生徒側の代表として生徒会長と共に、懲罰委員会に出席して意見を述べます」
「いわば、警察と検察を合わせたような組織が、風紀委員です」
「警察、検察、一緒、危険。権力、暴走」
「そ、それは……」
権力は分立していないと暴走する。
「流石にそこまでの事態にならないから大丈夫だ」
「……そう」
渡辺の言葉にレイナが納得する。
そして。
「わたし、やっていい?」
「え?」
「リッカ、風紀委員、やるなら、わたし、やりたい」
「風紀委員には荒事があるのよ?」
七草が心配そうに言う。
それに立華が答える。
「それは平気です。レイナはそんじょそこらの魔法師より遥かに強い」
何せ豪華な教師陣に色々習ったのだから。
「リッカ、わたし、やる。だから、一緒に、やろ?」
上目遣いに見つめる。
この視線に立華は弱い。
「……それもそうだな」
「わかった……」
「先輩。コイツと一緒ならオレも引き受けますよ」
妥協した立華。
それに考え込む七草と渡辺。
「……摩利。風紀委員にまだ空きはあったわよね?」
「ある。……わかった。いいだろう」
「「イエイ!」」
結果はイエス。
ハイタッチする2人を後目に渡辺が達也の方を向く。
「……そういえば真由美。風紀委員の生徒会選任枠のうち、前年度の卒業生の一枠がまだ余っていたな」
「え?ええ」
七草が頷く。
「一科生の縛りがある役員は会長と副会長、書記、会計だけだったな?」
「そして、風紀委員の生徒会枠に、二科の生徒を選んでも規定違反にはならないわけだ」
「なるほどね!その枠に達也くんを入れるのね!」
「「!?」」
察した七草の言葉に達也と深雪が驚く。
「そうよ!風紀委員なら問題ないじゃない!摩利、生徒会は司波達也くんを風紀委員に指名します!」
「……ちょ、ちょっと待ってください!」
「凄いじゃないですか、お兄様!」
七草の言葉。
慌てる達也。
喜ぶ深雪。
「先程の説明だと、風紀委員は喧嘩……荒事が起こった場合、力ずくで止めないといけないと言うことで良いんですよね?」
「ああ、その通りだ」
「魔法の使用の有無関係なく、争いがあったら私たちの仕事だ」
「それにできれば、魔法の使用前に止めさせるのが望ましいがね」
「あのですね!俺は実技の成績が悪かったから二科生なんですが!」
「構わんよ。力比べなら、私がいる」
そんな言い合いを眺めていた立華とレイナ。
レイナが軽く立華に目配せしてきたので、立華は頷く。
どうやらフォローするらしい。
「会長、先輩、深雪」
「「「?」」」
「本人、意志、尊重、すべき」
レイナが達也に助け舟を出す。
ハイタッチをしたままで、くっついたままだった手を立華を放し、達也に近づく。
「達也」
「……なんだ」
「貴方、風紀委員、やりたい?やりたくない?」
「俺は……」
「少なくとも、わたし、リッカ、貴方、意志、尊重」
顔を至近距離まで近づける。
「はっきり、言うべき、どうするの?」
「……正直言えばやりたくはない。だが、やるしかないなと思ってる」
「そう」
答えを聞いて達也から離れるレイナ。
ふわりと微笑んだ。
ふと時計を見る彼女。
「昼休み、終わる。続き、どうする?」
「ん?ああ。続きは放課後だな。いったん解散だ」
そんな訳で放課後にまた話す事となった。
◆◆◆
「2人は風紀委員になったのですか?」
「うん」
「名誉ある仕事、良かったね」
「面倒なんだけどね……」
クラスに戻って、雫とほのかに報告。
この2人も喜んでくれた。
そして、達也が選ばれた事を告げると。
「達也さんが風紀委員なら偏見なく見てくれそうですし、似合ってますね」
「ほのかの言う通り。私もそう思う」
「そうですよね」
好意的な2人の意見に嬉しそうな深雪。
だが、立華の顔は冴えなかった。
「どうしたの?」
「嫌な予感がする……」
「「「え」」」
その言葉を聞きつけたのか深雪と雫、ほのかの顔が曇る。
「ほら、アイツの例があるだろう?」
立華が顎をしゃくる。
その先にいたのは森崎だった。
「アイツみたいに認められない奴っているもんだ」
「だからさ」
「そう言う奴がいるんじゃないかなって」
その言葉に深雪とほのか、雫の顔が曇る。
それにレイナが言う。
「そう言う奴、力づく、ぶっ飛ばす、それだけ」
「まあな」
「達也、強い。きっと平気」
その言葉に深雪の表情が少し明るくなった。