我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第十一節:前兆

 そこへレイナが意外な事を言い出す。

 

「リッカ、やってみたら?」

「え?」

「だって、制圧、殲滅、お手の物」

「……ほう。やっぱり荒事に向いているらしいな」

「……やりませんよ?」

 

 渡辺が嬉しそうに言う。

 それに嫌そうな立華。

 それに更に畳みかけるレイナ。

 

「風紀委員、合法的、相手、ぶっ飛ばせる」

「……なるほど!」

「嫌いな奴。合法的、しばける」

「……確かに!」

 

 とんでもない事言い出したレイナ。

 

「いやいや、出来ないからな!?」

「じゃあ、仕事、何する?」

「……中条」

 

 レイナの言葉にツッコミを入れる渡辺。

 だが、仕事内容を説明できないらしく、さっきからあわあわしていた中条へ振る。

 

「は、はい」

 

「ふ、風紀委員は校則違反者を取り締まる組織です」

 

「主な仕事は、魔法使用に関する校則違反者の摘発と、魔法を使用した争乱行為の取り締まりです」

 

「違反者に対する罰則を決めたり、生徒側の代表として生徒会長と共に、懲罰委員会に出席して意見を述べます」

 

「いわば、警察と検察を合わせたような組織が、風紀委員です」

「警察、検察、一緒、危険。権力、暴走」

「そ、それは……」

 

 権力は分立していないと暴走する。

 

「流石にそこまでの事態にならないから大丈夫だ」

「……そう」

 

 渡辺の言葉にレイナが納得する。

 そして。

 

「わたし、やっていい?」

「え?」

「リッカ、風紀委員、やるなら、わたし、やりたい」

「風紀委員には荒事があるのよ?」

 

 七草が心配そうに言う。

 それに立華が答える。

 

「それは平気です。レイナはそんじょそこらの魔法師より遥かに強い」

 

 何せ豪華な教師陣に色々習ったのだから。

 

「リッカ、わたし、やる。だから、一緒に、やろ?」

 

 上目遣いに見つめる。

 この視線に立華は弱い。

 

「……それもそうだな」

 

「わかった……」

 

「先輩。コイツと一緒ならオレも引き受けますよ」

 

 妥協した立華。

 それに考え込む七草と渡辺。

 

「……摩利。風紀委員にまだ空きはあったわよね?」

「ある。……わかった。いいだろう」

「「イエイ!」」

 

 結果はイエス。

 ハイタッチする2人を後目に渡辺が達也の方を向く。

 

「……そういえば真由美。風紀委員の生徒会選任枠のうち、前年度の卒業生の一枠がまだ余っていたな」

「え?ええ」

 

 七草が頷く。

 

「一科生の縛りがある役員は会長と副会長、書記、会計だけだったな?」

 

「そして、風紀委員の生徒会枠に、二科の生徒を選んでも規定違反にはならないわけだ」

「なるほどね!その枠に達也くんを入れるのね!」

「「!?」」

 

 察した七草の言葉に達也と深雪が驚く。

 

「そうよ!風紀委員なら問題ないじゃない!摩利、生徒会は司波達也くんを風紀委員に指名します!」

「……ちょ、ちょっと待ってください!」

「凄いじゃないですか、お兄様!」

 

 七草の言葉。

 慌てる達也。

 喜ぶ深雪。

 

「先程の説明だと、風紀委員は喧嘩……荒事が起こった場合、力ずくで止めないといけないと言うことで良いんですよね?」

「ああ、その通りだ」

 

「魔法の使用の有無関係なく、争いがあったら私たちの仕事だ」

 

「それにできれば、魔法の使用前に止めさせるのが望ましいがね」

「あのですね!俺は実技の成績が悪かったから二科生なんですが!」

「構わんよ。力比べなら、私がいる」

 

 そんな言い合いを眺めていた立華とレイナ。

 レイナが軽く立華に目配せしてきたので、立華は頷く。

 どうやらフォローするらしい。

 

「会長、先輩、深雪」

「「「?」」」

「本人、意志、尊重、すべき」

 

 レイナが達也に助け舟を出す。

 ハイタッチをしたままで、くっついたままだった手を立華を放し、達也に近づく。

 

「達也」

「……なんだ」

「貴方、風紀委員、やりたい?やりたくない?」

「俺は……」

「少なくとも、わたし、リッカ、貴方、意志、尊重」

 

 顔を至近距離まで近づける。

 

「はっきり、言うべき、どうするの?」

「……正直言えばやりたくはない。だが、やるしかないなと思ってる」

「そう」

 

 答えを聞いて達也から離れるレイナ。

 ふわりと微笑んだ。

 ふと時計を見る彼女。

 

「昼休み、終わる。続き、どうする?」

「ん?ああ。続きは放課後だな。いったん解散だ」

 

 そんな訳で放課後にまた話す事となった。

 

 ◆◆◆

 

「2人は風紀委員になったのですか?」

「うん」

「名誉ある仕事、良かったね」

「面倒なんだけどね……」

 

 クラスに戻って、雫とほのかに報告。

 この2人も喜んでくれた。

 そして、達也が選ばれた事を告げると。

 

「達也さんが風紀委員なら偏見なく見てくれそうですし、似合ってますね」

「ほのかの言う通り。私もそう思う」

「そうですよね」

 

 好意的な2人の意見に嬉しそうな深雪。

 だが、立華の顔は冴えなかった。

 

「どうしたの?」

「嫌な予感がする……」

「「「え」」」

 

 その言葉を聞きつけたのか深雪と雫、ほのかの顔が曇る。

 

「ほら、アイツの例があるだろう?」

 

 立華が顎をしゃくる。

 その先にいたのは森崎だった。

 

「アイツみたいに認められない奴っているもんだ」

 

「だからさ」

 

「そう言う奴がいるんじゃないかなって」

 

 その言葉に深雪とほのか、雫の顔が曇る。

 それにレイナが言う。

 

「そう言う奴、力づく、ぶっ飛ばす、それだけ」

「まあな」

「達也、強い。きっと平気」

 

 その言葉に深雪の表情が少し明るくなった。

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