我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第十三節:模擬戦 後編

 話が終わる。

 両者向かい合う。

 

 とは言っても服装は変わらない2人。

 が、実はこの2人の制服にはかなりの改造が施してある。

 

 まず、格闘の阻害にならないように、生地の付けたしなどが施されている。。

 そして、刻んだルーンのおかげで生半可な鎧以上の防御力を持つ。

 更に、ある劇作家のスキル〈エンチャント〉のおかげでDランク相当の宝具になっている。

 

 閑話休題。

 

 そして、立会人である渡辺が合図をする。

 その瞬間。

 

 立華がいたところへ大量の空気弾が降り注ぐ。

 レイナの得意技である。

 だが一発も当たらない。

 次の瞬間にはレイナの前にいる立華。

 が、それは彼女も予測済み。

 

「ニコリ」

 

 笑う。

 

「ニヤリ」

 

 笑い返す。

 

 両者拳を引き。

 相手の顔面に目がけて振るう。

 

 バキイン

 

 思わず模擬戦観戦者の内の何人かが耳を塞ぐほどの音。

 両者の拳は顔面にクリンヒット。

 のけ反る2人。

 だが、ダメージからすぐさま復帰。

 そのまま2人は接近戦(殴り合い)を開始する。

 

 立華は動きを加速させ、拳や蹴りを使い攻撃を仕掛ける。

 時には投げや組技も仕掛ける。

 これが彼のスタイル。

 

 彼が契約していたサーヴァントには素手で戦う者が何人もいた。

 しかも全員そのスタイルが違う。

 

 「翼ある蛇」はルチャリブレに嵌り(嵌り過ぎ)、それを取り入れて戦う。

 「竜の聖女」は天使すら撲殺する古き格闘法を使い、竜を説得(物理)した。

 「怪力の王」は自身の剛力を活かし戦い、怪物や竜すら殴り殺した。

 「世界最高峰の探偵」は東洋武術とボクシングを組み合わせた打撃術を使い、キメラを投げ飛ばした。

 「美しき女王」は偉そうにすればするほど敵にダメージを与える(よくわからない)魔技を使う。

 「魔拳士」は千の技を学ぶより一の技を徹底的に磨き上げることで、文字通りの一撃必殺を体現した。

 他にも色々とあるが今回は割愛。

 

 それらを見た彼は。

 

『やってみたい!』

 

 こう思った。

 

 そういう訳で教えを受けたり、技を模倣したりした。

 これが彼の糧になっている。

 ただそのせいで、彼が()()に、インチキしないで戦う場合は、色々混ざり合ってへんてこりんになってしまった。

 が、どんな状況にでも対応できるのだ。

 

 それに対してレイナは加速と空気甲冑(エア・アーマー)を併用して使い戦う。

 そのおかげか何とか掴まれないで済んでいる。

 そして、立華の拳や蹴りを両手で捌く。

 彼女のスタイルはパンクラチオン+八極拳である。

 

 元々、立華の戦いを見て自分も何かやりたいと感じた彼女。

 そういう訳で白羽の矢が立ったのが。

 

『我が知識が少しは役立てばいいのですが……』

 

 様々な英雄の教師であった「賢者」だった。

 

 因みに同じ教師枠の「紫」はあまりにスパルタなので除外。

 彼女の弟子達(同一人物複数)も全員やめろと言ってきた。

 ……その後、どこからともなく飛んできた大量の赤い槍でもれなく全員串刺しになっていたが。

 

 文字通り文武両道な彼。

 彼女に知識だけでなく、パンクラチオンも仕込んだ。

 その為かレイナは彼の事をとても尊敬している。

 ……因みに「紫」とは仲が悪いうえ、嫌っている。

 

 更に何か護身術をもう少し仕込もうと言う事で名乗りを上げたのが……。

 

『どれ、突きから教えてやろう』

 

 意外や意外「魔拳士」だった。

 そういえば彼は子や孫がいたので、彼女に重ねていたのだろうか?

 そんな訳で彼からは八極拳を習った。

 

 2つとも達人級とは言えないが、実戦で使えるレベル。

 

 だからこそ何とか互角に渡り合えていた。

 ……まあ立華が手加減しているおかげもあるが。

 

 ◆◆◆

 

「……凄い」

 

 試合が始まって数分経って、お互い膠着状態に陥った所で呟きを漏らす七草。

 この場の全員が唖然とする戦い方だった。

 

 魔法は使っている。

 両者共に自己加速。

 それに加え、レイナは空気甲冑、立華はルーンが見えるため、何かをしているのはわかる。

 

 が、この2人は完全に体術主体で戦っていた。

 しかもお互いが、殴り、蹴り、投げる。

 レイナが立華の腕を取りぶん投げれば、彼はそのまま投げ返す。

 立華がレイナを殴れば、彼女はカウンターを入れる。

 そういう感じの戦いが続いていた。

 

「沢木や桐原とも渡り合えるんじゃないか……」

 

 思わず呟く服部。

 両者共に白兵戦を得意とする魔法師である。

 桐原とは模擬戦をしたことがあり、何とか辛勝した服部である。

 恐らくだが、あの2人以上の戦い方だった。

 

「凄い……ですね」

「……ああ」

 

 達也と深雪も驚いていた。

 実力があるのは、わかっていたが、まさかここまでとは。

 

「(だが何だ?この違和感?)」

 

 だが達也は妙な違和感を感じていた。

 昨日使っていた「縮地」の時と、何かが違う気がしていたのだ。

 

 そんな中戦いは終盤を迎えていた。

 接近戦で渡り合っていたが、離れる2人。

 そして。

 

「ふう」

 

 レイナが息を吐き、構えを取る。

 

「……」

 

 立華も構える。

 

 そして。

 

「!」

 

 一瞬で間合いを詰めるレイナ。

 彼女が選んだ技は。

 

―――猛虎硬爬山

 

 中段突きからの肘内。

 立華にヒット。

 

「(手応え、あり!)」

 

 が。

 それが隙となる。

 しっかりと掴まれるレイナ。

 

(「不味い!」)

 

 だが、もう遅い。

 宙に舞いあがるレイナ。

 そして、逆さになってしまった彼女を掴む立華。

 そのまま脳天落としが炸裂。

 

―――マルティネーテ

 

 女神直伝の技が綺麗に決まった。

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