我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
空気弾がテロリストを襲う。
空気が圧縮・解放されテロリストを吹き飛ばす。
空気に関する魔法。
空気弾の数がおかしいが、これならまだ許容範囲。
一方こちら。
12本の剣が踊る。
それぞれバラバラに動き、テロリストに襲いかかる。
これは単純な移動系等の魔法なのだが……
それを12本同時に操っているのは異様だった。
無論テロリストも黙っていない。
銃を撃ったり、キャスト・ジャミングを使ったり、ナイフや棍棒を手に襲いかかる。
だが、どれも叩き伏せられていく。
そんな中。
「お、来たか」
そう言って立華が笑う。
その視線の先には達也と深雪、レオ、エリカがいた。
「よお!無事そうで何より」
立華が嬉しそうに声を掛け。
「タツミユ、レオエリ。元気?」
「「タツミユ!?」」
「「こんなのと一緒にするな!」」
レイナの声掛けにツッコミを入れる一同。
そんな中。
「なあ……立華」
「ん?」
「……それがお前のCADか?」
「ああ。そうだよ」
そう言って12本をバラバラに操る。
まるで意志を持っているかのようだった。
「なるほど……。確かに目立つな」
達也が納得する。
だが……
(「あそこまで自在に操るとは……」)
内心絶句していた。
移動魔法で物を動かすのは大抵の魔法師ならこなす。
だが、いくつもの数をあそこまで自在に操る事はおそらく深雪にも出来ない。
「群体制御」というのもあるが、それとは違う。
あれは数百近くの物を操る。
それに比べれば数は少ない。
だが、ここまで自在に操るとは。
そんな事を思ってると。
「下は?」
「ああ。もうすぐ終わる」
「そう」
レイナの問いに答える達也。
「ところで、図書館は?あたし達向かってたんだけど……」
「大丈夫。……決着ついたみたい」
「え?」
エリカの疑問に答える立華。
奇妙な事を言い出したので疑問符を浮かべる中。
「ハラキリ~勝った?」
「だ・か・ら!桐原っつってんだろが!」
そう言って降りてきたのは桐原。そして……壬生だった。
……その間違えた呼び名に数人噴き出した。
「……はあ。勝ったぞ」
そして勝利の報告をする。
その報告にレイナは微笑む。
今度は壬生の方を向く。
「え~と……み、みかん?」
「壬生。壬生紗耶香よ。柑橘類になった覚えはないわ。鷹山さん」
「そう、それそれ」
名前が出てこないらしいレイナ。
それに名乗る壬生。
「どう?スッキリ、した?」
「……」
レイナの疑問に黙り込んでしまった壬生。
ややあって。
「ええ。ありがとう」
礼を言った。
「それで?これからどうする?」
「鎮圧、手伝い」
「それしかないな」
そんな訳でテロリストの鎮圧に動いた。
そして、テロリストが鎮圧されるまでそう長くはかからなかった。
◆◆◆
テロリストの鎮圧が一通り済み、今は遅れて到着した警察による集団犯の検挙中。
ただし、テロリストたちに協力した一高の生徒たちに関しては、克人が十師族の影響力を駆使し、今のところは手出し無用と言う事になっている。
もちろん野放しにしているわけではなく、校内で然るべき措置を取った上でだ。
そんな生徒の一人である壬生紗耶香は、現在教室の一室を借りて事情聴取の真っ最中であった。
本人に抵抗の意思が無い事もあり、特に拘束されたりはしていない。
その場には七草、渡辺、十文字の他、達也をはじめとした一年生たちも同席している。
その場に立華とレイナはいなかった。
彼らは。
「ここまででいいよ。2人共」
「はい!大丈夫なので」
雫とほのかのお見送りだった。
流石に家までとはいかないが、学校が見える範囲なら可能である。
「じゃあ気を付けて」
「またね」
「さよなら」
「さようなら」
そう言って帰っていく雫とほのかを見守る2人。
2人の姿が見えなくなったところで学校に戻る。
「これから、どうする?」
「う~ん。まだ終わってない気がするなあ」
どうにも嫌な予感がするのだ。
「向こう、どうする?」
「警察任せ……にはしないよな」
そんな事思っていると。
「うん?」
立華が見覚えある上級生……桐原を発見する。
手には刀を持っていた。
「ハラキリ、どうしたの?」
「……もういいや。面倒くせえ。……実はな」
ツッコミを入れるのが面倒くさくなったのか、無視して説明を始める。
それにレイナは落ち込む。
桐原曰く。
壬生の事情聴取の結果、彼女はどうやらマインドコントロールを受けてたらしい。
(「なるほど。道理で何か変だと思った」)
そう思う立華。
そのせいで渡辺の発言が言っていない物に変わっていたらしい。
そこへ達也が相手のブランシュのアジトへの襲撃を提案。
周りも賛同。
それに桐原も加わりにいくそうだ。
「俺はアイツらが気に食わねえ」
そこには怒りがあった。
「壬生の剣を……アイツの綺麗な剣を変えやがって」
悲しみもあった。
そんな彼に立華は尋ねる。
「だから刀を持っているんですねえ」
「ああ。……まあ刃引きしてあるけどな」
「そうですか……」
桐原の答えに笑みを浮かべる立華。
「先輩」
「あん?」
「これどうぞ」
立華が鞄から棒状の物を取り出し、渡した。
一振りの日本刀だった。
因みにさっきまで立華が使っていた物ではなく、出かける直前に入れて置いた物だった
「使ってください。サービスです!」
「……いいのか?」
「今宵のこの刀、血に飢えてるので」
「物騒だな!?……わかった。感謝する」
そう言って刀を受け取り、駆けていく桐原を見守る立華。
「いいの?」
「ああ。アレは試作品だしな。俺には他にも色々あるし」
「そっか」