我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第二十三節:移動、報復、邪眼。そして……

 大型の車が道路を走っていた。

 メンバーは十文字、司波兄妹、エリカ、レオ、そして桐原だった。

 彼らが向かっているのはブランシュの本拠地だった。

 

 普通なら敵地に乗り込むと言う事で張りつめているはずなのだが。

 

「いいな~!桐原先輩」

「しつけえな。そんなに羨ましいならアイツから借りれば良かっただろ!?」

 

 エリカが桐原の刀を羨ましがっていた。

 彼女も剣士である。

 だからこそだった。

 

「確かに持ってたけどさ~」

「そういえばCADじゃない刀も使ってたな」

 

 達也が思い出す。

 彼は右手に日本刀を持っていた。

 

「ああ。アイツCADと一緒に武器も幾つか持ってきてたらしくてな。そのうちの一本を貸してくれたんだ」

「あ~!それなら借りれば良かったあ!」

「落ち着いてエリカ」

 

 地団太を踏む勢いのエリカ。

 それを嗜める深雪。

 

 そんな中。

 

「それにしても本当に剣も使えたんだな」

 

 レオが呟いた。

 結構前の皆で帰っている時に言っていたうえ、エリカとの模擬試合では無刀取りを披露していた。

 だからこそ使えるとは思っていたが。

 

「……ああ。閲覧室の扉を一刀両断していたぞ?」

「「「「「「!?」」」」」」

 

 全員絶句する。

 あそこの扉は侵入者防止のために凄まじい硬度がある。

 それを一刀両断するなど……。

 

「アイツ曰く、ちょっとインチキしているとか言ってたけど……」

「インチキ……」

 

 桐原の言葉に達也は思考する。

 一体何をやったのだろうかと。

 そんな中。

 

「司波。もうすぐ着くぞ。作戦は?」

 

 十文字が尋ねてくる。

 なので達也は役割分担をする。

 

 そして。

 

「レオ。頼む」

「おう!」

 

 車に硬化魔法を駆けて中央突破した。

 

 その後数手に分かれ、ブランシュのアジトに突入した。

 

 ◆◆◆

 

 達也と深雪はアジトを進む。

 道中襲い掛かって来た者はいたのだが。

 

 キャスト・ジャミングは達也には効かない。

 攻撃手段の銃火器はバラバラになり。

 達也の魔法で身体に穴が空き、深雪の魔法で氷漬けになっていった。

 

 奥まで進むとそこには……。

 

「はじめまして、司波達也くん!」

 

 白い服に眼鏡の男がいた。

 

「僕がブランシュ日本支部代表の司一だ」

 

 名乗りからするとどうやら彼がリーダーらしい。

 

「そうか」

 

 どうでもよさそうに言葉を返す達也。

 

「……一応、投降勧告をしておこう」

 

 そう言っているが彼はわかっていた。

 

「全員武器を捨て、両手を頭の後ろで組んでから跪け」

 

 相手が応じるはずないと。

 

「魔法の力が全てだと思っているのかい?」

 

 その言葉に対して、余裕の笑みを浮かべる司。

 

「やはり所詮学生だ」

 

 薄笑いを浮かべた司は伊達眼鏡を空中に投げ捨て、こう言い放った。

 

「司波達也、我々の同士になれ!」

 

 だが達也に変わった様子はない。

 司の顔から笑みが消える。

 

「意識干渉型系統外魔法、邪眼(イビル・アイ)か。タネさえ分かっていれば、どうとでもなる手品だな」

 

 魔法が効かなかったせいなのか、司は冷静さを失っており、部下達に達也達を射殺するよう指示を出す。

 だが男達が引き金を引こうとすると、手元にあった銃は部品に分解され、甲高い音をたてて床に落ちていく。

 それを見た司は。

 

「ひぃっ!?」

 

叫び声を上げて逃げ出していく。

 

「お兄様方はあれを追ってください」

 

 凛とした声でそう告げる。

 達也は司が出て行った方へ歩き出す。

 彼の背後では氷の彫像になったものが幾つも倒れていた。

 

 司は達也を返り討ちにしようと身を潜めていた。

 魔法師でもキャスト・ジャミングさえ使えば大したことはない。

 そう高を括っていたのだが。

 

「な、何故!?」

 

 達也には通じなかった。

 あっという間に配下の武器はバラバラにされ、穴が空く。

 追い詰められた司。

 そこへ追い討ちをかけるように……。

 

「よお、司波」

 

 壁を切り裂き桐原が現れる。

 その後ろには十文字がいた。

 

 桐原の右手には日本刀があった。

 立華が貸した刀である。

 刀の事が分からない人でも何か感じさせる刀だった。

 

(「まるで妖刀だな」)

 

 そんな事を思う達也。

 

「ところでよお、こいつが?」

「ええ、主犯です」

 

 その言葉に凄絶な笑みを浮かべる桐原。

 

「てめえが……」

 

 刀を振りかぶる。

 

「壬生をたぶらかしやがったのか!」

 

 そう言って刀を振りかぶる。

 その刀は司の右手を切断した。

 

「ぎゃああああああ!!!」

 

 叫び声を上げる司。

 それを見た十文字がため息をつき。

 

「やり過ぎだ……」

 

 溜息を吐いた。

 

 暫くすると深雪とエリカ、レオもやって来た。

 

「深雪」

「はい」

 

 達也の呼びかけに深雪が答える。

 そして、魔法を発動させ、司の切断面を凍らせ血を止めた。

 

「これで一件落着かしら?」

「……そうだな」

 

 エリカの言葉に達也が答える。

 だが、彼の心中は穏やかではなかった。

 

(「なんだ?この胸騒ぎは……」)

 

 その様子に深雪は気づいたのか。

 

「お兄様?」

「ああ、すまない。どうにも嫌なy」

 

 最後まで続けられなかった。

 

「聖杯の……寄るべに……従い、この意、この理に……従…うなら……ば応えよ。誓いを……此処に」

 

 片腕だけの司が何かを言っていた。

 最初は独り言だと誰も気に留めなかったのだが。

 

「我は……常世…総て……の善と成る者、我……は常世……総ての悪を…敷く……者」

 

 独り言には聞こえない。

 

「汝三大の……言霊を纏う七天」

 

 これはまさか詠唱!

 

「不味い!止めr」

「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 司の懐が光った。

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