我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
全員がその光に目を瞑ってしまった。
だが、達也はそれくらいでは止まらないし、止められない。
CADを起動させ、司の足に穴を開け、機動力を奪っておく。
そして、懐の光の発信源を狙うが……。
(「なんだこれは!?」)
分解できなかった。
形状からカードと言う事はわかるが、それ以外が全く分からない。
構造情報が分からなければ分解できない。
そして、光が収まった。
その先には。
「「「「「「!?」」」」」」
全員絶句。
なぜなら目の前に……司の前に武者がいた。
一言で言うなら赤い鎧武者。
顔は日本風で、性別は男。
だが、今の時代には似つかわしくない赤い鎧姿。
腰には日本刀……鍔が小さめの薩摩拵の刀が二本差しにしてあった。
そして、轡十字の家紋のある猩々緋の陣羽織を纏っていた。
そして。
「ア、アア、アアアアアアア!!!」
咆哮。
全員が耳を塞ぐほどの轟音。
そしてその武士は辺りを見渡す。
「帰ル、帰ル、帰ルーーー!」
再び咆哮。
近くにいた達也に襲いかかる。
「くっ!」
凄まじい速さにギリギリ避けられた達也。
CADを向け分解しようとするも……。
(「またか!?」)
できなかった。
この武者は化成体に近い。
莫大な量のサイオンとプシオンで出来ているのは分かる。
そして、サイオン量が莫大すぎて、魔法式が通らない。
構造も把握できないので分解も不可能。
更に。
「アアアアアア!!!!!!」
振り下ろした刀が床を斬った。
サイオンが物質に干渉していた。
これはあり得ない事なのに。
「お兄様!」
深雪の魔法が発動。
相手を凍らせる。
だが。
「アアアアアア!!!!!!」
芯までは凍らなかったのか、直ぐに起動。
そこへ十文字が〈障壁魔法〉が武者を潰しにかかる。
が。
「アアアアアア!!!!!!」
障壁を斬り裂いた。
そして、彼らを見て。
「首ィ、首ィ……置イテ行ケェェェーーー!」
絶叫。
襲い掛かってくる。
「退くぞ!」
十文字が〈ファランクス〉を展開。
武者の動きが止まる。
その隙に深雪が〈ニブルヘイム〉を使用。
氷漬けになる
一時的に動きは止まった所で全員で逃走。
全員わかっていた。
長くは持たないと。
「なんなんだ!?アレ!?」
「知るもんですか!……薩摩由来の武者ってことはわかるけど」
レオの問いにエリカが答える。
どうやら刀でわかったらしい。
「でもねえ」
エリカにはわかった。
「アレがヤバイ事だけはわかるわ」
あの太刀筋。
鍛錬の後が伺える。
「あたし達じゃ刃が立たない。逃げるしかないわ」
全員分かっている事だった。
だが。
「首ィィィィィィ!」
咆哮を上げて襲いかかる。
このままでは追いつかれる。
「迎え撃つしかねえぞ!?」
桐原の言葉に達也は思考。
そして。
「深雪。頼む」
「はい!」
「十文字先輩もお願いします」
「わかった!」
再びの障壁魔法と凍結魔法が襲い掛かる。
そこへエリカとレオ、桐原が同時に攻撃を仕掛ける。
が。
「「「!?」」」
レオの拳とエリカの警棒は素通りした。
桐原の刀は傷を与えられた。
なのだが。
「チイ!」
浅かった。
武者は結構硬かった。
そこへ。
「アアアアアア!!!!!!」
武者が起動。
刀を振るう。
「くっ!」
「ちょっ!」
「うっ」
レオがエリカを突き飛ばす。
硬化魔法は発動済み。
桐原は刀を盾にする。
生半可な盾よりは硬い。
エリカは吹っ飛ばされたため、射程から逃れる。
そして。
ザシュ!
2人は吹き飛ばされる。
桐原は大きな怪我はなかった。
刀のおかげだった。
だが、レオからは血が大量に出ていた。
今すぐ処置をしないと不味い怪我だった。
(「使うか?だが……」)
「再成」を使うか迷う。
アレは誤魔化しが効きづらい。
このままでは全員倒される。
全員に絶望感が漂う。
その時だった。
何かが天井を貫き落ちてきた。
轟音。煙。
煙が晴れる。
そこにいたのは……。
「「「「「「!?」」」」」」
全員再び絶句。
「ア?」
武者も首を捻る。
真っ黒な影法師だった。
人型はしており、帽子を被っているのはわかる。
眼が爛々と輝いている。
だが、それ以外全く分からなかった。
全身に黒い靄を纏っており、何もわからない。
……達也の目でもわからなかった。
その影はレオを見ると。
「よく戦った」
そう言うと手を翳す。
―――待て、しかして希望せよ(アトンドリ・エスペリエ)
するとレオの怪我が一瞬で治る。
回復したのを見届けると武者を睨む。
そして。
「おまえは──地獄を見たことがあるか。狂戦士(バーサーカー)」
影法師の言葉に武者は。
「アアアアアア!!!!!!」
咆哮で返した。
そして両者激突した。
「アアアアアア!!!!!!」
「首ィ、首ィ。置イテ行ケーーー!!!」
「帰ル、帰ル、帰ルーーー!!!」
狂戦士(バーサーカー)のサーヴァント。本作オリジナルサーヴァント。
通称【関ヶ原のバーサーカー】。
鎧を来た青年。家紋に十字が使われている。
昨今珍しい、言葉を流暢に喋らない、喋れないバーサーカー。
刀を片手に獣のように戦う。
ノッブ、サル、タヌキを見ると襲い掛かる。後、茶々と柳但にも襲い掛かる。