我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
そのまま去ろうとする影法師……立華。
が。
「待て!」
それを止める声があった。
振り向くと十文字が立華に近づいて来た。
「何の用だ?」
「まず助けてくれたことには礼を言う」
そう言って頭を下げる。
「ほう。俺がお前達を殺すとは思わなかったのか?」
「それはないな。俺達を皆殺しにする気なら、西城を放っておくはずだ。それにその気ならもう俺達は死んでいる」
「……フン」
立華の疑問に答える十文字。
「聞きたい事がある。……だがまずお前は誰だ?」
「そうだな……。宣教師とでも呼んでくれ」
「「あんた(お前)のような宣教師がいるか!?」」
ツッコミを入れたのはエリカとレオ。
レオは完全回復していた。
「……わかった。それでいい」
一方十文字は一応納得。
「始めに聞きたい。アレは何だ?」
一見すると使い魔の一種。
だが、格が全く違う。
「そうだな。お前達に分かりやすく言えば……使い魔の一種だ」
「それはわかる。だが、あれは……」
「一線を画している……か?」
立華……宣教師の続けた言葉に頷く一同。
あの鎧武者はおかしかった。
戦闘力が桁違いであった。
しかもあり得ない位のサイオン量。
あれは一体なんなのだろう。
「フン。……まあいい説明してやろう。お前達にも無関係ではないしな」
「何?」
「……どういう意味だ?」
今まで黙っていた達也が問いかける。
それに宣教師は答える。
「話の順序がある。まず最初の疑問から答えよう。アレは”サーヴァント”と呼ばれる代物だ」
「サーヴァント?召使い?」
「直訳すればそうだが、ここでの意味は異なる」
そう言うと宣教師が説明を始める。
「サーヴァントは使い魔の一種。お前達も実感した通り最上級、最高クラスの使い魔だ。……使役しているのは英霊だから当然だがな」
「英霊?」
「古今東西の英雄が死後、人々に祀り上げられて英霊となる。それを使い魔として召喚するのさ」
「つまり……死者蘇生か!?」
達也の言葉に周りの人間が驚く気配がする。
だが、それを宣教師は否定する。
「違う、違う!正確に言えば”本体”の”コピー”だな」
「コピー?」
「その英霊の本体を完全に呼び出すのはほぼ不可能だ。だがら、”クラス”という器に切り出した側面……コピーを入れる」
その言葉に全員の頭上に疑問符が浮かぶ。
それに宣教師は嘆息する。
「そうだな……。先にクラスの説明からするか」
そう言って彼は続けた。
「クラスとはな……役割だ」
「役割?」
「……まあ身も蓋もない言い方をすればRPGのジョブだ」
「「「「「「なるほど」」」」」」
その説明に全員納得した。
「そして、そのクラスに入れたのがサーヴァントだ。さっきのはバーサーカーというクラスだ」
「……狂戦士と言う意味か?」
「その通り。基本はクラス7つ存在する」
剣士(セイバー)。バランスの取れた最優のクラス。
弓兵(アーチャー)。高い射撃能力を持つ。
槍兵(ランサー)。高い敏捷性と白兵戦能力が自慢。
この3つが三騎士と呼ばれる。
そして。
騎乗兵(ライダー)。高い機動力と宝具を数多く所有する。
魔術師(キャスター)。術を使うクラス。
暗殺者(アサシン)。マスター殺しに特化したクラス。
狂戦士(バーサーカー)。ただ狂う事で破壊に特化している。
他にもエクストラクラスが幾つもあるが、今回は割愛。
「基本この7つだ」
「なるほど……」
その説明に納得する達也。
他のメンバーも納得していた。
そんな中。
「宝具とマスターって何だ?」
桐原が宣教師に尋ねる。
「宝具はサーヴァントが持つ必殺技のような物だ。大抵皆1つは持っている」
そう言って自身の腕から青黒い炎を出す。
「このように、生前に築き上げた伝説の象徴がなる」
(「どんな伝説?」)
内心首を捻る一同。
例えが悪く、これでは全くわからない。
それに構わず説明を続ける宣教師。
「マスターはサーヴァントの主人。今回の場合……」
そう言った途端宣教師の姿が消える。
数秒後手に眼鏡の男……司を吊り下げて戻って来た。
「こいつだな」
そう言って地面に投げ捨てた。
「これは好きにしろ。どうせ何も知らないだろうしな」
そう言って去ろうとするが。
「待ちなさい!」
エリカが呼び止める。
「あたし達が無関係じゃないっていう理由を聞いてないわよ?」
「……聞きたいか?」
確認をする宣教師。
少しだけ凄んで見せる。
全員少し引くが、頷く。
「ならいい。これはな」
そう言ってカードを出して見せる。
「2年前の事件……大事件というべきか?その断片……その欠片だ」
「「「「「!?」」」」」
「「?」」
その言葉に司波兄妹とエリカ、十文字が絶句、驚愕する。
一方桐原とレオの頭上には疑問符が浮かぶ。
……二十八家と百家の一部家系の人は知っている、話す事すらタブーの”とある事件”だった。
「……あの事件は……終わっていないのか!?」
十文字が血相を変えて問うと。
「安心しろ。終わっている。とっくにな。これはな、首謀者の残した置き土産だ」
そう言ってふうと息を吐く。
「そう数はないし、俺が終わらせる」
そして、後ろを向く。
「この件には関わるな。二十八家……いや、今は二十七家か。また減ってもいいのか?」
「「「「「「!?」」」」」」
その言葉を最後に宣教師の姿は消えた。