我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第二十六節:二年前の欠片

 そのまま去ろうとする影法師……立華。

 が。

 

「待て!」

 

 それを止める声があった。

 振り向くと十文字が立華に近づいて来た。

 

「何の用だ?」

「まず助けてくれたことには礼を言う」

 

 そう言って頭を下げる。

 

「ほう。俺がお前達を殺すとは思わなかったのか?」

「それはないな。俺達を皆殺しにする気なら、西城を放っておくはずだ。それにその気ならもう俺達は死んでいる」

「……フン」

 

 立華の疑問に答える十文字。

 

「聞きたい事がある。……だがまずお前は誰だ?」

「そうだな……。宣教師とでも呼んでくれ」

「「あんた(お前)のような宣教師がいるか!?」」

 

 ツッコミを入れたのはエリカとレオ。

 レオは完全回復していた。

 

「……わかった。それでいい」

 

 一方十文字は一応納得。

 

「始めに聞きたい。アレは何だ?」

 

 一見すると使い魔の一種。

 だが、格が全く違う。

 

「そうだな。お前達に分かりやすく言えば……使い魔の一種だ」

「それはわかる。だが、あれは……」

「一線を画している……か?」

 

 立華……宣教師の続けた言葉に頷く一同。

 

 あの鎧武者はおかしかった。

 戦闘力が桁違いであった。

 しかもあり得ない位のサイオン量。

 あれは一体なんなのだろう。

 

「フン。……まあいい説明してやろう。お前達にも無関係ではないしな」

「何?」

「……どういう意味だ?」

 

 今まで黙っていた達也が問いかける。

 それに宣教師は答える。

 

「話の順序がある。まず最初の疑問から答えよう。アレは”サーヴァント”と呼ばれる代物だ」

「サーヴァント?召使い?」

「直訳すればそうだが、ここでの意味は異なる」

 

 そう言うと宣教師が説明を始める。

 

「サーヴァントは使い魔の一種。お前達も実感した通り最上級、最高クラスの使い魔だ。……使役しているのは英霊だから当然だがな」

「英霊?」

「古今東西の英雄が死後、人々に祀り上げられて英霊となる。それを使い魔として召喚するのさ」

「つまり……死者蘇生か!?」

 

 達也の言葉に周りの人間が驚く気配がする。

 だが、それを宣教師は否定する。

 

「違う、違う!正確に言えば”本体”の”コピー”だな」

「コピー?」

「その英霊の本体を完全に呼び出すのはほぼ不可能だ。だがら、”クラス”という器に切り出した側面……コピーを入れる」

 

 その言葉に全員の頭上に疑問符が浮かぶ。

 それに宣教師は嘆息する。

 

「そうだな……。先にクラスの説明からするか」

 

 そう言って彼は続けた。

 

「クラスとはな……役割だ」

「役割?」

「……まあ身も蓋もない言い方をすればRPGのジョブだ」

「「「「「「なるほど」」」」」」

 

 その説明に全員納得した。

 

「そして、そのクラスに入れたのがサーヴァントだ。さっきのはバーサーカーというクラスだ」

「……狂戦士と言う意味か?」

「その通り。基本はクラス7つ存在する」

 

 

 剣士(セイバー)。バランスの取れた最優のクラス。

 弓兵(アーチャー)。高い射撃能力を持つ。

 槍兵(ランサー)。高い敏捷性と白兵戦能力が自慢。

 

 この3つが三騎士と呼ばれる。

 そして。

 

 騎乗兵(ライダー)。高い機動力と宝具を数多く所有する。

 魔術師(キャスター)。術を使うクラス。

 暗殺者(アサシン)。マスター殺しに特化したクラス。

 狂戦士(バーサーカー)。ただ狂う事で破壊に特化している。

 

 他にもエクストラクラスが幾つもあるが、今回は割愛。

 

「基本この7つだ」

「なるほど……」

 

 その説明に納得する達也。

 他のメンバーも納得していた。

 そんな中。

 

「宝具とマスターって何だ?」

 

 桐原が宣教師に尋ねる。

 

「宝具はサーヴァントが持つ必殺技のような物だ。大抵皆1つは持っている」

 

 そう言って自身の腕から青黒い炎を出す。

 

「このように、生前に築き上げた伝説の象徴がなる」

 

(「どんな伝説?」)

 

 内心首を捻る一同。

 例えが悪く、これでは全くわからない。

 それに構わず説明を続ける宣教師。

 

「マスターはサーヴァントの主人。今回の場合……」

 

 そう言った途端宣教師の姿が消える。

 数秒後手に眼鏡の男……司を吊り下げて戻って来た。

 

「こいつだな」

 

 そう言って地面に投げ捨てた。

 

「これは好きにしろ。どうせ何も知らないだろうしな」

 

 そう言って去ろうとするが。

 

「待ちなさい!」

 

 エリカが呼び止める。

 

「あたし達が無関係じゃないっていう理由を聞いてないわよ?」

「……聞きたいか?」

 

 確認をする宣教師。

 少しだけ凄んで見せる。

 全員少し引くが、頷く。

 

「ならいい。これはな」

 

 そう言ってカードを出して見せる。

 

「2年前の事件……大事件というべきか?その断片……その欠片だ」

「「「「「!?」」」」」

「「?」」

 

 その言葉に司波兄妹とエリカ、十文字が絶句、驚愕する。

 一方桐原とレオの頭上には疑問符が浮かぶ。

 ……二十八家と百家の一部家系の人は知っている、話す事すらタブーの”とある事件”だった。

 

「……あの事件は……終わっていないのか!?」

 

 十文字が血相を変えて問うと。

 

「安心しろ。終わっている。とっくにな。これはな、首謀者の残した置き土産だ」

 

 そう言ってふうと息を吐く。

 

「そう数はないし、俺が終わらせる」

 

 そして、後ろを向く。

 

「この件には関わるな。二十八家……いや、今は二十七家か。また減ってもいいのか?」

「「「「「「!?」」」」」」

 

 その言葉を最後に宣教師の姿は消えた。

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