我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第二十七節:屈辱の二週間

 その後、事件の後始末は十文字家が引き受けた。

 だが、これにて一件落着……とはならなかった。

 

 翌日の放課後。

 ブランシュのアジトへの襲撃に加わったメンバーと七草と渡辺がいた。

 

「……なるほどね」

 

 昨日の事件の顛末を聞いて顔を歪ませる七草。

 別動隊であった、七草と渡辺だったが、昨日の内に報告は上がっていた。

 だが、直接聞いておきたいと言う事で改めて昨日のメンバーから話を聞いていたのである。

 

「サーヴァントに、2年前の事件か」

 

 渡辺の呟きに七草と十文字の顔の顔が更に歪む。

 何せ、その事件で両家は少なくない損害を被っている。

 

 報告の後。

 

「さて、お前達には緘口令を敷かせてもらう」

 

 十文字がそう告げる。

 それに一二もなく頷く一同。

 今回の集まりは情報提供と緘口令のためだった。

 

 そして。

 

「とは言っても。二年前に何が起こったのか知らない面々もいるからな、説明を聞きたい物は残ってくれ」

「……ちょ、ちょっと十文字くん!」

「変な推測されるよりはマシだ。それにこの2人は怪我を負ってもいたしな」

「……一応治りましたけどね」

「こっちは軽症ですみました」

 

 十文字の言葉にレオと桐原が答える。

 この2人、あの後病院行きとなったのだが、レオは異常なし、というか完全健康体、桐原はバーサーカーに吹っ飛ばされた際の軽い打撲で済んでいた。

 

 閑話休題。

 

 出ていくものはおらず、話が始まる。

 

「では話そう。そもそものきっかけは……魔法協会にある通知がなされたことから始まった」

 

 2年前のある日。

 日本魔法協会にある通知が届いた。

 それは。

 

『我々は十氏族を頂点とする態勢から独立する』

 

 差出人はある「数字落ち」の三家。

 

 反逆の罪で剥奪された「士木崎」。

 重大な任務失敗で剥奪された「鹿合」。

 無能と言う事で剥奪された「矢代」。

 

「彼らは”御三家”と名乗り、新たなコミュニティを形成する、それを協会に有力魔法師へ通知しろと言って来た」

 

 最初はいたずらだと思った魔法協会の職員。

 

「だが、彼らはその通知を二十八家にも出していた」

 

 どう見ても喧嘩を売っているとしか思えない文面。

 

 なので。

 

「勿論十師族や師補十八家のほとんどはいたずらの類だと思った」

 

 だが、一部の家は違った。

 調査、場合によっては排除するために人員を割いた。

 そして、このままにはしておけないと思ったのか国防軍の一部部隊も動いた。

 

 その結果。

 

「十山が壊滅した」

 

 国防軍が凄まじい被害を受け、十山は文字通り壊滅した。

 

 その言葉にその場の全員が黙り込んでしまった。

 

「十文字は十山とつながりが深い。だからこちらも救援に向かったのだが……」

 

 その時にはもう十山は全滅していた。

 残されていたのは大量の血痕と肉片のみ。

 血筋の者から、使用人まで殺されていた。

 原形はとどめていなかった。

 

「その事態を重く見た十師族は動いた」

 

 十師族は自由に動かせる魔法師達に指令を出して、殲滅を指示したそうだ。

 無論、本家分家問わずに動いた。

 が。

 

「結果は壊滅」

 

 二十八家と百家は少なくない被害を受けた。

 一条や七草、四葉などは動かせる魔法師にかなりの損害を受けた。

 

 それは達也も知っていた。

 何せ自身の魔法で、黒羽家や軍の同僚を数えきれないほど再成させたのだ。

 

「そして彼らは新たな通知を出した」

 

『我らの力はわかったはずだ。無駄な事はやめて、現実を受け入れろ』

 

 更に警告を込めるためか、有力魔法師の子女が多数拉致された。

 三矢や七草の娘も被害にあった。

 

『手を出すな。出したらわかるだろう?』

 

 これは彼らにとって屈辱だった。

 後に歴史家から「屈辱の二週間」と呼ばれる日々だった。

 

「ところが、ある日転機が起こった」

 

 それは匿名の情報だった。

 彼らの本拠地の情報だった。

 

「これに十師族は同盟を組んでそこへ強襲をかけた」

 

 場所はとある無人島。

 地図から消えた島だったのだが。

 

「そこには島がなかった」

 

 島があった形跡すら残っていなかった。

 

 後で、調べた所によれば、大きな爆発?のような物で島自体吹き飛んだとのこと。

 

「だが、救命ボートがあってな、そこには人質が全員乗せられていた」

 

 大きな怪我もなく、全員無事だった。

 ……だが。

 

「彼らは何も覚えていなかった」

 

 拉致されてからの記憶を消されていた。

 心配していた後遺症がなかったのが唯一の救いだろうか?

 

「その後、十師族は総力を挙げ調べてたが、何もわからなかった」

 

 御三家と名乗る彼らは跡形もなくなっていた。

 この事件は仲間割れで自滅と言う事で片付いた。

 その後、この事件は隠蔽され、十山全滅はテロのせいということになった。

 

 なのだが。

 

「だが、今回の件で分かった事もある。誘拐や壊滅の実行犯は十中八九サーヴァントと呼ばれる物だろう」

 

 実行犯に接触した生き残りは口を揃えて言っていた。

 

 こちらの攻撃が一切通用しない。

 魔法が通用せず、かといって通常兵器も効果がなかった。

 

 昨日出現した「アレ」もそうだった。

 

「それでどうするの?」

「あの宣教師は関わるなと言ったが、そうも言ってられん。……とりあえず各家に報告はしておこう」

「……それしかないわね」

 

 七草の問いに答える十文字。

 

 これにてこの集まりは解散となった。 




・「士木崎」「鹿合」「矢代」

オリジナルの数字落ち。やらかした。今はいない。
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