我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第二十八節:得物と使い手

 話し合いで使われていた部屋を出る、司波兄妹と桐原、エリカ、レオ。

 聞いた話が話なので無言だった。

 その時、桐原がふと思い出す。

 

「なあお前ら」

「「「「?」」」」

「藤丸の奴どこにいるか知らないか?」

「用事でもあるのですか?」

「ああ。借りてた物返さなきゃならないからな……」

「今日はいたとは思いますが……」

 

 そういう訳で探してみると。

 

「Z-Z-Z-」

 

 いた。

 中庭のベンチにいた。

 レイナの膝枕で眠っている。

 

「あ、タツミユ、エリエリ、レオリオ、ハラキリ」

「「「「「何その呼び名!?」」」」」

 

 レイナの声掛けに全員がツッコミを入れる。

 凄く変な呼び方である。

 すると。

 

「ん……ふあ」

 

 立華が起き出す。

 

「おや、御揃いでどうした?」

 

 その問いにまず桐原が刀の入った大袋と何かが入っている小袋を渡した。

 

「ほら、これ借りてただろ?」

「ああ。そうでしたね」

 

 そう言って受け取る立華。

 小袋の中身を確かめて懐に仕舞う。

 そして、大袋の口を開け、刀を取り出す。

 鞘から刀身を抜く。

 その刀を見て言った。

 

「……ちゃんと手入れしてくれたんですね」

「当たり前だろうが」

 

 桐原の答えに笑う立華。

 そんな彼にエリカが言う。

 

「ねえ、何であたしには貸してくれなかったの?」

「うん?だってエリカは立派な得物持ってるでしょう?」

「……それはまあそうだけど」

 

 確かにエリカは普段使っている警棒含め得物を幾つか持っている。

 でも。

 

「それとこれとは話が別よ!今度機会があったr」

「あったら、困る」

 

 レイナの言葉に一同深く頷いた。

 

「う~ん。別に貸すのはやぶさかではないんだけどね……」

 

 そう言って鞘に刀を収める。

 そして、袋に詰めながら、桐原を視線を向ける。

 

「桐原先輩」

「……なんだ」

「上げます」

 

 そう言って刀を袋ごと差しだした。

 それに一同絶句。

 

「な、なんで……」

「どうやらこいつ、先輩の事気に入ったようなので」

 

 そう言って刀を渡す。

 

「き、気に入ったって……」

「使い手が武器を選ぶんじゃないんです。武器が持ち主を選ぶんです。ほらアーサー王だって選定の剣に選ばれて……引き抜いて王になったように」

 

 桐原の手に無理やり刀を持たせた。

 

「もし受け取れないなら、御宅の家に投げ込みます」

「投げ込む!?」

「それが嫌なら受け取ってくださいな。もしお金とかの問題なら出世払いで構いません」

 

 その言葉に桐原は不承不承に受け取る。

 

「わかった。でもただ貰う訳にはいかねえから、代金は払う」

「分割か出世払い。結構高価ですので」

「い、いくらだ?」

「ウフフフ」

 

 答えずに笑う立華だった。

 

「いいなあ。ねえあたしにはないの?」

「手頃なのがあったらあげる」

「ホント?」

「ああ」

「言質とったからね」

 

 不満そうなエリカも何とか納得する。

 

「じゃあ帰るか」

「うん」

 

 そう言って立華は立ち上がり、レイナもそれに続いた。

 

「またね~」

「じゃあ」

 

 そう言って2人は帰っていった。

 が少しして戻って来た。

 

「忘れてた忘れてた」

「「「「「?」」」」」

「天村正(アマノムラマサ)」

「?」

「この刀の銘です」

 

 そう言って桐原を見る。

 

「村正……か」

「はい。忘れないでくださいね」

 

 そう言って笑う立華だった。

 

 そしてそのまま自然解散となった。

 

 ◆◆◆

 

「……」

 

 司波家。達也の部屋。

 そこでは達也が考え事をしていた。

 

(「あの刀は一体……」)

 

 昨日のサーヴァントとの戦いで、ほとんどの攻撃が通じなかった。

 ある程度通じたのが深雪と十文字の魔法。

 そしてあの刀【天村正】。

 

「何だったんだ?」

 

 構造は解析できた。

 だが、なぜか分解できそうになかった。

 

 そして、昨日出てきたサーヴァント、そして。

 

(「あの宣教師、サーヴァントと構造が似ていた」)

 

 だが、決定的に異なる点があった。

 それは……。

 

「お兄様、入ってもよろしいでしょうか?」

「……ああ」

 

 考え事を中断して深雪を迎え入れた。

 入って来た深雪は飲み物を差し入れた。

 そして。

 

「お兄様。一体何を考えられていたのですか?」

「……ああ」

 

 話すか少し迷うが、話す事にする。

 

「昨日の宣教師を覚えているか?」

「はい。彼もやはり……」

「ああ。サーヴァントだろう」

 

 あのバーサーカーにダメージを与えられていた所から同じ存在であると考えられる。

 だが。

 

「だがな決定的な違いがあった」

「とおっしゃいますと?」

「あのバーサーカーはサイオンとプシオンで出来ていた」

 

 正確に言えば、物質に干渉できるサイオンに変質したサイオンだが。

 

「だが、宣教師は違う。サイオンと人の身体。要するに皮膚の上からサーヴァントの身体を纏っているような状態だった」

「!?」

 

 口元に手を当て驚く深雪。

 そのまま達也はお茶を口に運ぶ。

 飲み終わった所で深雪が尋ねる。

 

「それは一体誰だったのですか?」

「わからない……が」

「が?」

「予想は付く」

 

 そう言って達也は端末を取り出す。

 そして、どこかにメールをした。




『天村正』

ランク:C
レンジ:1
種別:対人宝具
最大捕捉:1人

――――――これ以上は閲覧不可――――――
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