我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第二十九節:対話 前編

 ブランシュ事件の後。

 司波兄妹は平和に過ごしていた。

 八雲との稽古をしたり(そろそろ”アレ”もあるので、それに備え深雪も鍛錬中)、壬生のお見舞いにいったり(桐原と付き合い始めたのを知った)、授業を受けたり(居残りになったエリカやレオに付き合った)と言った感じに過ごしていた。

 そんなある日の夜。

 司波兄妹はバイク(この時点ではまだ普通のバイク。後に……)でとある場所へ向かっていた。

 10km程走らせてその場所へ付いた。

 

「ここですか?」

「ああ」

 

 事件の後、あの”宣教師”の正体であろう「彼」に連絡を取った。

 話がしたいと。

 その結果、とある場所で話をする事になったのだ。

 それは。

 

「やあ達也くん、深雪くん」

 

 九重八雲が兄妹を迎えた。

 九重寺だった。

 ここはただの寺ではなく、色々設備が整っている。

 

「もう彼らは来ているよ?」

「そうですか」

「……」

 

 八雲が先に歩き、庫裏へ向かう。

 

「師匠」

「何だい?」

「2人の様子は?」

「特に変わった様子はないよ……一応」

「一応?」

「勘がね、何かおかしいって言っている」

 

 少しだけ会話をする。

 そして、辿り着いた。

 結界が張られているのに達也は気づく。

 

「この部屋にいるよ」

 

 そういう訳で3人は入室する。

 そこにいたのは……。

 

「よっ!」

 

 白い髪と浅黒い肌の少年。

 藤丸立華。

 

「ハゲ、タッツン、ミユキチ。こんばんは」

 

 白い少女。

 鷹山レイナ。

 

 この2人……正確には藤丸立華の方。

 彼と宣教師の気配は非常に良く似ていたのだ。

 だからこそ、話をしたいと要請したのだ。

 

 そして、4人が座り、話が始まるかと思われたが。

 

「まず最初に聞いていいか?」

「なんd」

 

 最後まで言わせず達也が拳銃型CADを立華に付きつけた。

 

「お兄様!?」

「……!」

「「……」」

 

 その行動に驚く深雪、少し眉を上げただけの八雲、あまり変わらぬコンビ。

 

「お前は誰だ?いや、ブランシュの時に立華の振りをしていた奴だな?」

 

 達也の言葉に立華……否その振りをしていた者が笑みを浮かべる。

 そして。

 

「やれやれ。マスターの言った通りになっちまった。どうします?」

 

 誰かに問いかける声。

 すると。

 

「流石お兄様。こうします」

「「「!?」」」

 

 その声と同時にレイナの影から人が出てきた。

 

 それは藤丸立華だった。

 

 〈影灯籠〉で影と同化し、〈気配遮断:EX〉で世界と同化していた。

 とある暗殺者(ハサン)のスキルである。

 これでは誰であろうと気づくのはほぼ不可能。

 

 それに司波兄妹と八雲は絶句する。

 この3人でも気づけなかった。

 

 そんな2人に声を掛ける立華。

 

「悪いね。ちょっとした悪ふざけだ」

 

 苦笑する立華。

 ……とある老人の真似である。

 

「償いはする。だから銃を降ろしてくれ」

 

 そう言う立華に達也は暫くしてからCADを降ろす。

 それを確認すると立華はもう1人の自分を見る。

 

「解いていいよ」

「いいんですか?」

「うん。誠意を見せなきゃ」

 

 確認にOKを出す。

 そして。

 

「あらよっと」

 

 その途端、一瞬で立華の姿が変わる。

 

 そこにいたのは似ても似つかぬ男。

 東洋系の顔立ちの青年。

 服装も変わっており、上半身は裸で、両手には手甲。

 上半身には牡丹と龍の大きな刺青を彫っていた。

 

「いよー!という訳でアサシンだ。専ら新宿のアサシンを縮めて”新シン”って呼ばれているがね」

 

 そう言って挨拶をする青年……新シン。

 それに機能停止していた3人だったが、何とか起動。

 達也は尋ねる。

 

「あの日も変わっていたのか?」

「うん。とは言っても途中で戻ったけど」

「そうか……」

 

 達也が納得する。

 あの日の立華はどこか違和感があったのだ。

 気になる事が解消できたのか少しスッキリした顔になる達也。

 

 そして。

 

「藤丸」

「うん?」

「単刀直入に聞く。お前は2年前の事件に関わっているのか?」

 

 それが達也が聞きたい事だった。

 

 あの事件は自分も駆り出された。

 とは言っても戦闘には参加せず、専ら再成を使っての後方支援が多かった。

 何せサーヴァントとの正面衝突でかなりの数の死傷者が出たのだから。

 何せ風間や柳といった実力者2人ですら大怪我を負ったのだ。

 

 その問いに立華は。

 

「YesかNoかで言えばYesだ。関わってはいる」

「「!」」

「でも、あらかじめ言っておく」

 

 そう言って隣にいたレイナを引き寄せ、肩を抱く。

 それに抵抗せず、肩を寄せるレイナ。

 

「俺も、レイナも巻き込まれた被害者だ」

「……被害者?」

「ああ、そうさ。こいつに至っては」

 

 表情が曇っているレイナの頭を軽く撫でながら告げる。

 

「下手すれば死んでいる」

 

 色んな意味で。

 と心の中で続ける。

 

「……どういう意味なのでしょう?」

 

 疑問に思ったのか、尋ねて来た深雪。

 それに。

 

「リッカ」

「うん」

「言っていいよ」

「いいのか?」

「うん」

 

 レイナが許可を出した。

 なので。

 

「ふう。わかった。じゃあ話そう。とは言っても全部は無理だからそれはわかってくれ」

「はい」

「わかってる」

「ボクも聞いていいのかい?」

「いいですよ」

 

 そんな訳で話が始まった。

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