我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
ブランシュ事件の後。
司波兄妹は平和に過ごしていた。
八雲との稽古をしたり(そろそろ”アレ”もあるので、それに備え深雪も鍛錬中)、壬生のお見舞いにいったり(桐原と付き合い始めたのを知った)、授業を受けたり(居残りになったエリカやレオに付き合った)と言った感じに過ごしていた。
そんなある日の夜。
司波兄妹はバイク(この時点ではまだ普通のバイク。後に……)でとある場所へ向かっていた。
10km程走らせてその場所へ付いた。
「ここですか?」
「ああ」
事件の後、あの”宣教師”の正体であろう「彼」に連絡を取った。
話がしたいと。
その結果、とある場所で話をする事になったのだ。
それは。
「やあ達也くん、深雪くん」
九重八雲が兄妹を迎えた。
九重寺だった。
ここはただの寺ではなく、色々設備が整っている。
「もう彼らは来ているよ?」
「そうですか」
「……」
八雲が先に歩き、庫裏へ向かう。
「師匠」
「何だい?」
「2人の様子は?」
「特に変わった様子はないよ……一応」
「一応?」
「勘がね、何かおかしいって言っている」
少しだけ会話をする。
そして、辿り着いた。
結界が張られているのに達也は気づく。
「この部屋にいるよ」
そういう訳で3人は入室する。
そこにいたのは……。
「よっ!」
白い髪と浅黒い肌の少年。
藤丸立華。
「ハゲ、タッツン、ミユキチ。こんばんは」
白い少女。
鷹山レイナ。
この2人……正確には藤丸立華の方。
彼と宣教師の気配は非常に良く似ていたのだ。
だからこそ、話をしたいと要請したのだ。
そして、4人が座り、話が始まるかと思われたが。
「まず最初に聞いていいか?」
「なんd」
最後まで言わせず達也が拳銃型CADを立華に付きつけた。
「お兄様!?」
「……!」
「「……」」
その行動に驚く深雪、少し眉を上げただけの八雲、あまり変わらぬコンビ。
「お前は誰だ?いや、ブランシュの時に立華の振りをしていた奴だな?」
達也の言葉に立華……否その振りをしていた者が笑みを浮かべる。
そして。
「やれやれ。マスターの言った通りになっちまった。どうします?」
誰かに問いかける声。
すると。
「流石お兄様。こうします」
「「「!?」」」
その声と同時にレイナの影から人が出てきた。
それは藤丸立華だった。
〈影灯籠〉で影と同化し、〈気配遮断:EX〉で世界と同化していた。
とある
これでは誰であろうと気づくのはほぼ不可能。
それに司波兄妹と八雲は絶句する。
この3人でも気づけなかった。
そんな2人に声を掛ける立華。
「悪いね。ちょっとした悪ふざけだ」
苦笑する立華。
……とある老人の真似である。
「償いはする。だから銃を降ろしてくれ」
そう言う立華に達也は暫くしてからCADを降ろす。
それを確認すると立華はもう1人の自分を見る。
「解いていいよ」
「いいんですか?」
「うん。誠意を見せなきゃ」
確認にOKを出す。
そして。
「あらよっと」
その途端、一瞬で立華の姿が変わる。
そこにいたのは似ても似つかぬ男。
東洋系の顔立ちの青年。
服装も変わっており、上半身は裸で、両手には手甲。
上半身には牡丹と龍の大きな刺青を彫っていた。
「いよー!という訳でアサシンだ。専ら新宿のアサシンを縮めて”新シン”って呼ばれているがね」
そう言って挨拶をする青年……新シン。
それに機能停止していた3人だったが、何とか起動。
達也は尋ねる。
「あの日も変わっていたのか?」
「うん。とは言っても途中で戻ったけど」
「そうか……」
達也が納得する。
あの日の立華はどこか違和感があったのだ。
気になる事が解消できたのか少しスッキリした顔になる達也。
そして。
「藤丸」
「うん?」
「単刀直入に聞く。お前は2年前の事件に関わっているのか?」
それが達也が聞きたい事だった。
あの事件は自分も駆り出された。
とは言っても戦闘には参加せず、専ら再成を使っての後方支援が多かった。
何せサーヴァントとの正面衝突でかなりの数の死傷者が出たのだから。
何せ風間や柳といった実力者2人ですら大怪我を負ったのだ。
その問いに立華は。
「YesかNoかで言えばYesだ。関わってはいる」
「「!」」
「でも、あらかじめ言っておく」
そう言って隣にいたレイナを引き寄せ、肩を抱く。
それに抵抗せず、肩を寄せるレイナ。
「俺も、レイナも巻き込まれた被害者だ」
「……被害者?」
「ああ、そうさ。こいつに至っては」
表情が曇っているレイナの頭を軽く撫でながら告げる。
「下手すれば死んでいる」
色んな意味で。
と心の中で続ける。
「……どういう意味なのでしょう?」
疑問に思ったのか、尋ねて来た深雪。
それに。
「リッカ」
「うん」
「言っていいよ」
「いいのか?」
「うん」
レイナが許可を出した。
なので。
「ふう。わかった。じゃあ話そう。とは言っても全部は無理だからそれはわかってくれ」
「はい」
「わかってる」
「ボクも聞いていいのかい?」
「いいですよ」
そんな訳で話が始まった。