我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
そんな立華に達也は問いかける。
「それで?お前はどこで関わったんだ?」
「ん?まあ中盤辺りで、色々と」
そう言うと立華はお茶を置いた。
空になっていた。
「まあこれ以上はな」
そう言う立華。
これ以上は何聞かれても答えないと言う風だった。
なので達也は質問を変える。
「じゃあ別の質問だ。お前は何でそれを使える?」
「生来からの能力」
そう答える立華。
「BS魔法や先天性のスキルみたいな物さ。ほら偶にいるでしょ?」
「……」
納得していない風の達也。
だが。
「まあいい。じゃあお前はどれだけの、どんなことができるんだ?」
「……それを聞くのは野暮じゃないのか?」
「……」
個人の魔法の詳細を尋ねるのはマナー違反である。
だが、達也は気になってしょうがなかった。
達也の性格はかなり度を超えた朴念仁で感情を荒立てることない。
だが、結構好奇心も旺盛で、負けず嫌いなところもある。
深雪に言わせれば「何にでも首を突っ込みたがる破滅型の無鉄砲」である。
なので達也は。
「じゃあ立華」
「ん?」
「どうすれば教えてくれる?」
「……お兄様……」
好奇心むき出しの達也に呆れる深雪。
そんな兄妹を見て立華は少し考え。
「等価交換」
「……」
「そちらが手札を晒すならこちらもそれに見あった手札を晒そう」
立華の言葉に達也は沈黙。
彼には手札は色々ある。
だがどれも機密に近い。
「全部じゃなくていいし、曖昧でもいい。オレもそこまでは言えないし」
「……立華」
「うん?」
「前にお前は言ったな。俺達の事を知ろうとすれば知ることができると」
「うん。言ったね」
「そうしないのか?」
達也のその言葉に立華は軽く笑って告げる。
「そういう事ができる人にもマナーがある。それに別に詮索する気はないし、吹聴するつもりはない」
「……わかった」
そう言うと達也は。
「俺はな、とある2つの魔法が占めているせいで自由に魔法が使えない」
自らの手札を晒す事にした。
……深雪は驚いていた。
「それが分解と再成だ」
だが全部ではない。
「その副産物で俺は物の構造を解析できる」
〈雲散霧消〉や、〈マテリアルバースト〉、〈フラッシュキャスト〉等は秘める。
「相手を治す事も、消す事もできる」
アレらは切り札兼機密である。
だからこそ見せる事は出来ない。
それでも、できる範囲で手札を晒した達也。
それを聞いた立華は話始める
「オレは条件を満たした英霊の力を借りることができる」
そう言って隣にいた新シンを見る。
「初めに召喚して使役。……まあ偶に暴走するのがいるけど」
ケラケラ笑う。
……笑いごとではない気がするが。
「そして次に」
懐からカードを出した。
図柄は剣を持った騎士であった。
「まずは英霊の力の一端」
そう言った途端カードが輝く。
そしてカードが剣に変わっていた。
「「!?」」
驚く司波兄妹。
「例えばこれは”神の鞭”と呼ばれたある大王が使った剣だ」
三色の光で出来た長剣だった。
どことなく近未来風を思わせる。
「真名解放すれば……まあここら一体は更地になるから実演は出来ないけど」
「真名解放?」
達也の疑問。
「ねえ何でサーヴァントをクラス名で呼ぶかわかる?真名じゃなくて」
「え……」
「……」
「弱点になるからかい?」
それに対する立華の問いに今まで話を黙って聞いていた八雲が言う。
「ええ。そうです。例えば……ジークフリートなら背中、アキレウスなら踵、ケルト勢はゲッシュと言う風に弱点になります。弱点じゃなくても手札とかがわかってしまうから」
「なるほど……」
「……まあ真名バレても平気なのも結構いるから注意だけど」
そう言って剣を軽く振るう。
「それで宝具はその英雄の切り札。大半の宝具はその名前を唱えなきゃならない。例えば……エクスカリバーって聞いたら誰かすぐわかるだろう?」
「アーサー王だな」
「正解。だからこそだ」
その説明に納得する達也。
「因みにセイバーのクラスの真名解放はビームが多い。……何か知らんけど。相対したら注意してね」
「「……」」
その言葉に無言になる兄妹。
「じゃあ話を戻そう」
そう言ってセイバーのカードを仕舞い、次に出したのは鎖で繋がれた人が描かれているカードだった。
「そして、その英霊そのもの」
そう言うとカードが消え、立華の姿が変わる
「「「!?」」」
三者三様に驚く。
その姿は異様だった。
一言で言うなら仮面の怪人。
赤と黒の装束に仮面を被っている。
手には長剣を持っていた。
「こんな風に。身体能力も上がる」
「なぜ、それ?」
レイナが首を捻る。
「ん?何となく?それにこれは一見でも誰かわからないし」
「……確かに」
「まあこんな風になる。この間は違うサーヴァントの姿を借りたけどね」
「……もしかして今の”それ”と”前”のは7クラス以外の奴か?」
「……よくわかったね」
「7つに当てはまらない気がしてな」
そういう達也に立華は答える。
「確かに色々あるよ。これは復讐者……アヴェンジャーだね」
「復讐か……」
「うん。それ以外も色々あるけどキリないから今回は割愛。いずれ機会があれば話す」
そう言って姿が戻る立華。
「まあ、こんな感じだね」
そう言って締めくくる。
「じゃあこれでお開きでいい?」
「……ああ」
そして、新シンをカードに戻し、立華は帰ろうとしたが。
「あ、そうだ!」
「「?」」
「ほれ」
達也に何かを投げ渡す立華。
それは小袋だった。
何か石のようなものが入っていた。
「これは?」
「さっき言ったお詫び、それと口止め料代わり」
「……中身は?」
「賢者の石」
「「!?」」
驚く司波兄妹。
が、それに構わず立華はレイナを抱え。
「じゃね」
「また」
2人の姿は夜空に消えた。