我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第三十二節:それぞれのその後

 ◆◆◆

 

 会談が終わり仲良く帰宅した司波兄妹。

 帰った達也は立華から貰った物を調べていた。

 

 一見するとフォトニック結晶のような石。

 だがこれには。

 

(「なるほど。魔法式の保存が可能。それ以外には疑似的な不死に、元素変換か……」)

 

 袋に入っていた手紙によるとそういう効果があるそうだ。

 専ら立華は身代わりに利用しているらしい。

 

 魔法式保存はやって見た結果、成功した。

 

(「これが複製できれば……」)

 

 達也には夢がある。

 魔法師が兵器でなくなる世界の実現である。

 その為に彼は「常駐型重力制御魔法式熱核融合炉」を作ろうとしている。

 そのためにこれが量産出来ればいいのだが……。

 

「……構造の解析はできるが……」

 

 解析は出来た。

 恐ろしく苦労したが。

 だが、どうやって作るのかが見当もつかない。

 

「立華に聞くか?」

 

 正確にはこれを作ったサーヴァントであろう。

 恐らくキャスター。

 正体……真名は恐らく……。

 

「お兄様」

 

 考え事から深雪の声で戻る。

 手には飲み物を持っていた。

 持ってきてくれたらしい。

 受け取り、飲む。

 

 ふと深雪を見ると彼女は嬉しそうにしていた。

 

「どうした?」

「深雪は嬉しいのです。お兄様」

「?」

「ご自分で気づいておいでにならないのですか?お兄様、今とても嬉しそうですよ?」

「……俺が?」

「はい。とっても」

 

 そう言ってニッコリ微笑む。

 

「お兄様が嬉しいと私も嬉しいのです」

「そうか」

 

 微笑む達也。

 そういう感じで司波家の夜は過ぎていった。

 

 一方。

 立華は。

 とある人物を回線で呼び出した。

 出てきた人物は……。

 

『何かあったかね?』

 

 九島烈だった。

 彼に今回の件の報告をまだしていなかった。

 それに今回で一応ひと段落なので連絡したという訳である。

 

「ブランシュの件と……報告があったであろう”あの件”です」

『聞こう』

 

 何があったのかを詳しく話す。

 

『なるほど……。まだ完全に終わっていないのか』

 

 ブランシュの件を聞き、顔を顰める烈。

 2年前の事件では九島家も結構な被害を負ったのだ。

 

「いえ、もう終わってます。首謀者は消しましたし」

 

 あの大事件……この世界で起こってしまった聖杯戦争。

 起こしたのは御三家だが、黒幕は違う。

 とある一族の「亡霊」とある男の「残留思念」。

 この2つが黒幕である。

 だが二つとも消えた。

 立華+聖人6人がかりで浄化した。

 

「クラスカードは確かにまだ少しだけ残っているようですけど、完全に扱える人はオレ以外いないでしょうし」

『ああ。だが強力なサーヴァントが万が一召喚されたら』

「大丈夫です。俺もいますし、皆もいます」

『そうだな……』

 

 烈の暗さが取れる。

 

『……これは誰にも言った事ないのだがな』

「?」

『私はね、あの事件に感謝もしているのだよ』

「……」

『君達の出会いがあったからね』

 

 烈の年齢は現在90歳に近い。

 このまま朽ちるのかと思った事もある。

 

 だが、立華との出会いで変わった。

 見たことがない、特殊な技術を見る事ができた。

 子供の頃、本でしか見れなかった英雄に会う事ができた。

 そして。

 

『おかげで光宣は元気になった。毎日嬉しそうに学校に行っている。友達も出来たらしい。本当にありがとう』

 

 そう言って頭を下げる烈。

 それに慌てる立華。

 

「頭を上げてください。好きでやった事ですし、お礼は十分過ぎる程貰ってます」

『そうかね』

 

 そう言って頭を上げる烈。

 

 その後は取り留めもない雑談に興じていたが。

 

『そういえば』

「?」

『十文字からの報告が届いたよ』

「……そうですか」

『とは言っても知っている事ばかりだったがね』

 

 烈は彼らの事情を知っているのだから、当然だった。

 恐らく十師族で一番今回の事について詳しいだろう。

 

『だが……どうやら四葉や七草が動いているようだ』

「そうなるか……」

 

 立華がため息をつく。

 忠告したのに聞く気がないのだろうか。

 ……まあ覚悟はしていたが。

 

「いずれバレるのはわかってるけどなあ」

『君達の事は私や光宣、響子から漏れる事はない。だが……』

「わかってます。いずれバレるのは」

 

 溜息をつく立華。

 秘密はどこからか漏れる物である。

 これは最初から言われている事だった。

 

『もしバレた時は私が後ろ盾になる。例え他の二十六家を敵に回しても』

「烈さん……」

 

 これは烈が最初に言い出した事である。

 その言葉に何も言えなくなる立華。

 

 そして、軽く笑う烈が続けた。

 

『流石に昔の教え子の死体は見たくないしな』

「……」

 

 彼にはわかっていた。

 万が一ぶつかり合ったらどうなるかが。

 

「色々考えてみます」

『ああ、そうしてくれ』

「また連絡します。……今度は光宣にも」

『そうしてくれ。直接話したいそうだからな』

 

 そうして回線が切れる。

 

 立華は部屋を出て、廊下を歩く。

 そして、レイナの部屋に入っていった。

 

 

 

 入学編 了




次回予告

「悔い……改めろ!」

「花音?風邪?」

「選手以上に問題なのがエンジニアよ……」

「あーちゃん先輩が憤死するか、悶死するので」

「久しぶりね」

「炉心が問題だ」

「エクレア?栗きんとん?中○譲治?」

「ねえねえ。2人はどこまで行ったの?」

「ちょっとした悪ふざけだ」

「いいか?本当の敵は相手じゃない。自分自身だ」

「皆!耳塞いで!!」

「あーちゃんが死んだ!?」

「この人でなし!」

「立華。勝ってね」

「ボエエエエエエ~」

「このすっとんきょう!」

「おっと電気が滑った」

「今までの事を謝る。すまない」

(まが)れ」

「そんな無茶な!?」

「そう来たか……」

「それは例外的に認められた。いい加減腹をくくれ」

「時間を稼いでくれ」

「動け、ゴーレム」

「そんな馬鹿な!?」

「お前達には消えて貰う」

「俺はな達也。勝利を確信した奴らを叩き潰すのが……大っっっ好きだああああああ!」

九校戦編 2018年 6月2日(土) 連載開始予定
(火)(木)(土)週三連載予定
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