我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
光陰矢の如し。
あっという間に当日となる。
正確には明後日なのだが、懇親会があり、体調調整もあるので、早めに会場入りするのだ。
だがバスの出発が大幅に遅れていた。
なぜなら七草が家の事情でまだ来ていないのだ。
そのため、炎天下で待たされる達也。
人数確認のために外で待っているのだ。
……そのせいでバス内ではブリザードとなっているが、些細な事だろう。
……多分。
そして一時間三十分の大遅刻の末。
「遅れてごめんなさ~い!」
つばの大きな帽子を被り、サマードレスを纏った七草がヒールのサンダルで器用に走り寄ってくる。
バスに乗り込もうとすると。
「真由美。ちゃんと達也君に礼を言っておけ。炎天下でずっと待ってていたんだぞ?」
「え? そうだったの? 本当にごめんなさいね達也君」
「大したことではありません」
これでバスに乗る面々は揃った。
そしてバスが走り出した。
ところが、このバスにはある2人の姿がなかった。
立華とレイナの姿である。
彼らは……。
「そういえば立華さんとレイナさんは?」
「遅刻。寝坊したんだって」
「……入学式の日もしていたような?」
ほのかの疑問に雫が答える。
この2人はまたも寝坊だった。
そういう訳で現地合流という事になった。
◆◆◆
テロ未遂に巻き込まれたりして、予定より遅れたが会場についた一校御一行。
彼らを出迎えたのは……。
「遅かったな」
「「「「「「どの口が言うか!?」」」」」」
「この、口♪」
「「「「「「威張るな!?」」」」」」
立華とレイナの2人だった。
何とこの2人の方が早く付いていた。
……まあ宝具使ったので当たり前だが。
使ったのは「征服王」の「戦車」。
空を時速400kmで駆け抜け現地入りした。
……見つからないように配慮したが。
「すいません、寝坊しちゃって」
「何で寝坊したの?」
「「……聞きたい?」」
「……やめとく」
そんな感じでホテル内に入ると。
「久しぶりー」
「エリエリ!」
エリカがいた。
因みに他のメンツもいるらしい。
「……それ止めて」
「ヒコ、ミキ呼び、止めたら、考える」
「……じゃあ無理かぁ~」
「「諦めた!?」」
どうやら幹比古をミキ呼びはやめられないらしい。
因みにそれに配慮してレイナは「ヒコ」と呼んでいる。
……本人はどっちも嫌そうだが。
そして、その後あてがわれた部屋に行く。
因みに立華とレイナは何故か同室となった。
「「なぜ?」」
首を捻る2人。
理由はまあ御察しである。
部屋で立華は大きな棺桶の中のCADをチェック、レイナは懇親会の準備をしていた。
そして、ひと段落した所で、レイナは読書、立華は彼女の膝枕で眠る。
この2人のいつもの風景である。
◆◆◆
懇親会が始まった。
九校戦の参加者は(当たり前だが)九校全員合わせて四百人以上。
結構大規模である。
ホテルの給仕スタッフだけでは賄いきれないのか、アルバイトと思わしき若者があたりを行き来している。
その中にはエリカと幹比古の姿もある。
美月とレオは裏方である。
その中で会場入りした2人だが。
「目立つなあ」
「うん……」
立華とレイナは目立っていた。
立華は白い髪に浅黒い肌なので結構目立つ。
しかも顔も悪くはないので尚更。
レイナは真っ白なのでこちらも目立つ。
しかもかわいいタイプなので視線を集める。
まあ気にしてもいられないので、料理を取り、飲み物のグラスを手に持つ。
立華とレイナはどこぞの「ぽこじゃが増える王」のように大食いではないが、結構健啖家である。
なので、眼に付いた物を黙々と食べていると。
「よく食べるな……」
達也がやって来た。
「そりゃあね。元取らなきゃ」
「……何の元だ?」
「……癖。バイキングの時とか一杯食べるだろう?」
「まあな」
そこへ。
「ここにいたんですね」
「探したよ」
雫とほのかも合流。
その時ふと気になった事をレイナが尋ねる。
「タッツン、ミユキチは?」
「今は別行動中だ。どうも俺が二科生だから敬遠されているみたいでな」
「そんな! 達也さんだってメンバーなのに!」
「下らない」
ほのかと雫がそう言う。
更に。
「ホント馬鹿馬鹿しいわね」
「それが人の性というものだよ花音」
二年生の「千代田花音」、そして彼女の婚約者兼、技術スタッフとして参加している二年の「五十里啓」の2人が仲良く腕を組みながら会話に参加してきた。
……対抗心を燃やしてかレイナが立華にしがみつく。
「人って、肌の色、眼の色、髪の色、立場で差別するからな。これでもまだマシな方だ」
「……マシじゃないのって?」
「奴隷として売りさばくとか?」
「「「「「「……」」」」」」
立華は「白いひげのライダー」を思い出しながら告げる。
彼のあんまりな言葉に全員黙り込んでしまった。
そんな中話題を変えようとしてか。
「そういえば三校って強い選手いるんだよね」
「ああ。確か”クリムゾン・プリンス”、”カーディナル・ジョージ”、”エクレール・アイリ”だな。新人戦でも確実にぶつかるな」
雫の話題に達也が乗っかる。
十師族一条家の長男にして実戦経験まで持つ一条将輝。通称「クリムゾン・プリンス」。
仮説上の存在だった「基本コード」の一つである「加重系統プラスコード」を発見した吉祥寺真紅郎。通称「カーディナル・ジョージ」。
二十八家(実質二十七だが、今もそう呼ばれている)の一色家のご令嬢にして、「リーブル・エペー」において中学時代から数々の大会で優勝している一色愛梨。通称「エクレール・アイリ」。
この3人は正に三校のエースなのである。
が。
「栗きんとん?中○譲治?エクレア?」
とその事を知らないレイナが思いっきり間違えた。
「「「「「「ぶっ!!!!!!」」」」」」
あまりの間違えように立華を除き、全員噴き出す
そのまま皆笑ってしまった。
戦車
ライダー「■■■■■■」の宝具。
2頭の神牛が引くチャリオット。
凄まじいスピードで駆け抜け、雷をまき散らすので、対軍の破壊力有。
乗り心地も結構良い。