我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第八節:忠告と温泉と辺七

 部屋に戻った2人。

 さあ寝ようとなったのだが。

 ノックの音が聞こえた。

 許可を出すと入って来たのは……。

 

「さっきぶりです響子さん」

「何用?」

 

 藤林響子だった。

 彼女の顔はさっきまでと違って曇っていた。

 暫し沈黙後、口を開く。

 

「ここ最近、国防軍と四葉、七草が貴方達のPDを調べていたわ」

「……何も出てこないよな?」

 

 「電子の魔女」が上手くやったのだから。

 「後輩」からもお墨付が出ている。

 

「ええ。調べるだけならね。だからこそ軍はすぐに切り上げたけど、四葉と七草は……」

「実力行使、可能性?」

「ええ」

 

 再び静寂。

 口を開いたのは立華。

 

「しばらく烈さんや光宣との接触は控えた方がいいですか?」

「……そうして頂戴。私から祖父と光宣君には言っておくわ」

「そっか」

 

 溜息を吐く立華。

 屋敷は警備はかなり厳重にしてあるので入られる心配はないだろう。

 それに隠蔽も上手くして置いた。

 

「苦労かけるね響子さん」

「気にしないで。私は自分に出来ることをしているだけだから」

 

 そう言って少し笑った響子だった。

 

 ◆◆◆

 

 一方一校女子達は。

 

「気持ちいいねえ」

「ねえ」

 

 温泉に入っていた。

 ……途中ほのかがエイミィにひん剥かれかけたが些細な事だろう。

 

 彼女達の話題は……。

 

「そういえばさ、三校の一条君、ずっと深雪の事見てたね」

 

 女子のほとんどはオシャレや恋愛話といった話題に敏感である。

 特にそれが身内であれば、尚更だ。

 

「一目惚れしたんじゃないの?」

「そりゃあねえ。深雪だもの」

「むしろ昔から深雪の事好きだったりして」

 

 女子達は勝手な妄想をする。

 それに深雪は。

 

「真面目な話、一条君とは一度たりともあった事は無いわ。会場に来ていたのも気づかなかったし」

 

 冷たい反応、もしくは興味が無いといった感じで、妄想に歯止めを掛ける。

 盛り上がっていた彼女達も、沈んでしまう。

 

「じゃあお兄さんみたいな人がタイプなの?」

 

 だがそこで諦めたらJK失格(?)。

 エイミィが疑問を投げかける。

 それに深雪は呆れたような表情を浮かべ。

 

「……私とお兄様は肉親よ? 恋愛対象なんて論外だし、お兄様のような人もいないと思っているわ」

 

 期待はずれの返事のせいか深雪に対する話題はお終いとなる。

 

「そういえば、レイナはどうなんだろう?」

「「「「「「……」」」」」」

 

 スバルの問いに彼女を知っている一同が無言になる。

 

 言葉使いが独特で接続詞をあんまり使わない。

 人の事を変な呼び名で呼ぶ変わり者。

 見た目は真っ白で結構可愛い。

 

 最初に口を開いたのは深雪。

 

「立華さんとは”相棒”って言っているわよね」

「でも、アレ絶対それ以上いってるよね」

「エイミィ。そんなに気になるなら聞いてみたら?」

「……う~ん」

 

 悩むエイミィにスバルが忠告する。

 

「藪蛇かもよ?」

 

 そこに雫とほのかが。

 

「藪からキングコブラ」

「藪からアナコンダかも」

 

 更に続けて深雪が。

 

「まだこの世にいる蛇じゃない。龍とかナーガよりはマシでしょう」

 

 続けた。

 この3人はあの仲良しコンビと付き合いがもう四カ月程になる。

 あの仲良しさ結構凄い。

 ……まあどこぞの兄妹も中々だが。

 

「……聞かない方がいいかも」

 

 エイミィが呟いた。

 そんな感じでその日は終わった。

 

 ◆◆◆

 

 懇親会の翌々日。

 ……一日休業日があるのだ。

 

 遂に九校戦初日となる。

 開会式が終わり、競技が始まった。

 この日の競技は……。

 

「今日は何があったっけ?」

「スピシュ、バトボ。ナナナベ、出る」

「「「「「「何その略!?」」」」」」

 

 「スピード・シューティング」と「バトル・ボード」。

 「早撃ち」と「波乗り」。

 である。

 正確には前者が本戦、後者が予選である。

 ……因みに「ナナナベ」は七草と渡辺の略だった。

 彼らはとりあえず「バトル・ボード」を見に行った。

 

 結果は。

 

「ナベ先輩、勝利」

「順当だな」

 

 渡辺は〈硬化魔法〉で自分とボードの相対位置を固定、〈移動魔法〉のマルチキャスト、〈振動魔法〉で水面とボードとの抵抗を緩和して準決勝に進んだ。

 ……達也の解説である。

 

「…戦術家だな」

「性格が悪いだけよ」

 

 達也の呟きに悪態をついたのはエリカだった。

 彼女は渡辺の事が好きではない。

 

(「ま、好きになれない人って必ずいるもんだよな」)

 

 そう思う立華であった。

 

 そして、彼らが次に観戦に向かったのは「スピード・シューティング」であった。

 

 結果は。

 

「凄い……」

「ああ」

 

 七草はスピードと精密射撃で勝利を飾った。

 ドライブリザードを原形とした〈魔弾の射手〉と実体物を様々な方向で知覚する視覚的な多元レーダー〈マルチスコープ〉を併用して勝利を飾った。

 

「確か”エルフィン・スナイパー”とか、”妖精姫”って呼ばれているんですよね」

「……本人はその呼び名が好きじゃないらしいがな」

 

 美月の言葉に達也が補足。

 

「ナナ先輩、チビ。でも、胸ある、救い?」

「「「「「「ぶっ!?」」」」」」

 

 あんまりな言葉に噴き出すほぼ全員。

 

「こら」

 

 噴き出さなかった立華がデコピンをレイナに決めた。

 

「痛い……」

「反省しなさい。人の外見は言うもんじゃない」

「わたし、背もある、胸もある」

 

 威張るレイナ。

 それに一部が落ち込んだのは余談である。

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