我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
九校戦5日目。
今日行われるのは「クラウド・ボール」と「アイス・ピラーズ・ブレイク」。
前者が本戦、後者が予選。
レイナや立華が出場するのだ。
そういう訳でいつものメンバーで観戦に行く。
「確か三校の「エクレール・アイリ」が出るんですよね?レイナさんは大丈夫なんですか?」
「エクレアなんか食べてやるって言ってたぞ」
ほのかの疑問に立華が答える。
ガオーと軽く咆える真似をする。
午後から試合なのにいつもと変わらぬ様子であった。
「「「「「「エクレア……」」」」」」
その呼び名に全員がため息を吐く。
なんで彼女は人を変な呼び名で呼ぶのか……。
閑話休題。
「そういえばレイナはどういうスタイルで行くの?」
雫が首を捻る。
「クラウド・ボール」のスタイルは大きく分けで2つ。
1つ目がテニスのようにラケットで打ち返すタイプ。
2つ目が魔法を利用して打ち返すタイプ。
因みに前者が一色、後者が七草が代表例である。
雫の疑問に立華は。
「まあ見てからのお楽しみ」
そう言って笑った。
しばらくして選手が入場する。
レイナは手にラケットを持ち、手首にはCADを巻いている。
「ラケットで打ち返すんだ……」
雫の言葉にメンバーは納得する。
立華だけは意味深な笑みを浮かべていた。
それに達也が疑問に思っていると。
試合が始まる。
シューターと呼ばれる機械から相手選手のコートに向かいボール(低反発)が射出される。
それを加速魔法で運動ベクトルに干渉して動きを反転させてレイナのコートへと飛ばす。
それに対してレイナは魔法も使わず純粋な歩法で追いつきラケットで打ち返す。
そのまま魔法vsラケットのラリーが続く。
時間が経つ事にボールが追加されていく。
相手選手は段々ボールを追いきれなくなる。
だが、レイナは全てのボールを打ち返す。
時に純粋な歩法で、時に加速魔法を併用して追いつく。
そして、そのまま勝利を決める。
「……なあ立華」
「うん?」
「あの戦法で体力は持つのか?」
達也の疑問にメンバーがうんうん頷く。
元々この競技は消耗を押さえて戦う物なのに、彼女は魔法はあんまり使わなかったのだが、あれは体力を消耗する。
それに対して立華はケラケラ笑い。
「俺やレイナ、後、アイツはそんなに軟な鍛え方はしてないよ」
「……どういう風に鍛えたの?」
エリカが尋ねると。
「俺は最初に裸で
「「「「「「え!?」」」」」」
「鍛えてくれた人の方針でね……」
「どこのスパルタだよ……」
レオがツッコミを入れる。
それに頷く一同。
……流石にほぼ全員「本当のスパルタ」から習ったとは思わないだろう。
予想もしない答えに呆然とする一同だったが。
「レイナはそこまではしてない。でも、結構鍛え込んであるよ。100kmマラソンとか平然とこなすし」
「「「「「「……」」」」」」
それに全員何も言えなくなる。
そんな中雫が尋ねる。
「立華さんはレイナは「エクレール・アイリ」には勝てると思う?」
「……あれ凄いよな」
素直に称賛する立華。
試合を見たが、レイナと同じ戦法。
〈稲妻(エクレール)〉という、知覚した情報を脳や神経ネットワークを介さず直接精神で認識する魔法と、動きを精神から直接肉体に命じる魔法の2つを併用してラケットで打ち返す。
まさに「稲妻」である。
「勝算はある。まだレイナは半分だし」
「「「「半分?」」」」
意味の分からない言葉に雫とほのか、深雪、エリカが首捻る。
一方達也は何かを思いついた顔になる。
「立華」
「うん?」
「レイナの得意魔法は確か気流操作だったな」
「うん。気体の密度を変えたりが得意だね」
「そうか」
納得した顔になる。
「え!?達也君わかったの?教えて教えて!」
「立華。どうする?」
「ぶつかった時まで内緒で♪」
「そうか」
「えー!」
不満そうなメンバーを無視してそのまま試合を観戦した。
その後、レイナはそのままの戦法でストレート勝ちで決勝まで勝ち上がる。
一方、一色もストレート勝ちで勝ち上がる。
因みに里美は一色に敗れ、3位となった。
「レイナ勝てるかな?」
「勝って欲しいよね」
「勝つさ」
雫とほのかに立華は告げる。
「だってオレの相棒だしな」
そう言って笑う立華だった。
そして、試合場では。
レイナと一色が向かい合っていた。
「宜しくお願いしますね。鷹山さん」
最初は無名なので侮っていた。
だが、今は違う。
自分と同じスタイルなうえに、ストレート勝ちでここまで来たのだ。
侮る気はない。
「宜しく、エクレア」
「誰がエクレアですか!?」
あんまりな呼び名にツッコミを入れる一色。
「エクレールです!稲妻です!」
「リオレイア?プラズマ?」
「遠ざかった!?」
そんなやり取りをしていると審判に注意される。
そして、両者離れ、ブザーが鳴った。
1セット目。
両者同じスタイル。
ボールが乱舞する。
それに歓声を上げる観客達。
結果は接戦の末、一色が取った。
少し悔しそうなレイナ。
立華の方を見て来る。
なので頷きを返す。
するとニッコリ笑った。
なので立華は近くにいるいつものメンバーに声を掛ける。
「どうやら使うようだぞ?楽しみにしておけ」
「え?本当!」
2セット目。
一色は先程と変わらぬスタイル。
だがレイナは違っていた。
自身もラケットで打ち返すが、更に魔法も使う。
空気を凝縮させ、ボールを弾く。
通常の選手が加速魔法のベクトル操作で跳ね返すのを、彼女は収束魔法でそれを行う。
「す、すごい……」
「しかも加速魔法と併用して使うなんて……」
ほのかと雫が驚いている。
他のメンバーも結構驚いている中。
立華は達也に尋ねる。
「どう?当たってた?」
「ああ。だが両方こなすには驚いた。お前達の処理能力はどうなってるんだ?」
「慣れさ慣れ」
フフフと笑う立華。
試合はラケットと魔法の同時攻撃に流石の一色も押される。
そしてレイナが勝利。
そして、3セット目は……。
お互い全てを絞りつくし……。
接戦の末。
『WINNER 鷹山レイナ』
1位鷹山レイナ 2位一色愛梨 3位里美スバル となった。
A.どちらも選ぶ。どちらも使う。