我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第十四節:新人戦 早撃ち勝負

 ◆◆◆

 

 午後の競技が始まって幾らか経った。

 

 新人戦・女子『アイス・ピラーズ・ブレイク』の、深雪と雫、エイミィによる決勝リーグは深雪が1位、雫が2位、エイミィが3位となった。

 

 エイミィは三校の強敵、「十七夜栞」との戦いでかなり消耗していたため、深雪と雫には勝てなかった。

 雫は深雪に勝つために〈情報強化〉と〈共振破壊〉だけでなく、CAD二刀流や〈フォノン・メーザー〉を駆使し、深雪の氷柱数本を砕くも、〈ニブルヘイム〉と〈氷炎地獄〉で敗北。

 

 そういう訳で女子の方は終わったので、深雪達の応援に会場に来ていた第一高校の生徒達のほとんどはそのまま男子「アイス・ピラーズ・ブレイク」の会場へと移動した。

 

「それにしても観客多いわね」

「それはそうですよ。エリカちゃん。皆立華さんが何やってくるか楽しみにしているんだもの」

 

 エリカの感想に美月がコメントする。

 それに全員が頷く。

 

 無名な選手である藤丸立華だったが。

 一回戦では西洋甲冑を纏い、剣から熱線。

 二回戦では女番長の恰好して、独鈷杵から雷。

 三回戦では鎧武者となり、弓から矢を早撃ち。

 そして、決勝リーグでは歌声で氷柱を破壊した。

 

 

「でも……全部禁止されたんだろ?」

 

 レオの言葉に全員の顔が曇る。

 CAD使い捨て戦法は中条が死にそうなので、禁止になり。

 歌声は観客の迷惑という事で、禁止。

 

「やっぱりあーちゃんには二階級特進してもらう方が良かったかしら?」

「会長!?」

「言いすぎだぞ真由美……」

「冗談よ摩利」

 

 そんな感じで幹部も会話している。

 

「ですが、あの使い捨て戦法では一条選手に勝てるか疑問かと」

「……確かにねえ」

 

 市原の言葉に七草は頷く。

 一条の〈爆裂〉はそれほど脅威の速さだった。

 使い捨て戦法も結構早いが少し時間がかかる。

 

「一体どうするのかしら?誰か知ってる?」

 

 七草の問いかけに答えたのは。

 

「切り札を切るって言ってました」

 

 森崎だった。

 さっきまでは居なかったのだが、いつの間にか一校メンバーと合流していた。

 

 因みに。

 

『今までの事を謝る。すまない』

 

 愉快な仲間達に今までの事を謝って来た。

 ……本当に性格が変わった物である。

 

「モリ。どこ、行ってた?」

「……その呼び名は……まあいい。アイツに発破かけに行ってたんだ」

「それで?」

「その時に言っていたんだ……。まず鷹山」

「うん?」

「切り札を切るとさ」

「……そう」

「それと……柴田美月……さん?」

「わ、私ですか?」

「ああ。あいつが眼鏡を絶対に外すなだと。外した結果何が見えるかわからないからとかなんとか……」

「「「「「「?」」」」」」

 

 全員の頭上に疑問符が浮かぶ。

 

「あいつは何をする気だ?」

「知るか!」

 

 達也の言葉に強め語気で答える森崎。

 

「だが、こう言っていた。爆裂に対抗するには”これ”しかないって」

 

 そう言って目を指差す。

 その動作に疑問符が増える一同。

 だったが。

 

「……どっち、だろう?」

 

 レイナだけは疑問符の種類が違った。

 どうやら心当たりがあるようだ。

 

 そんな中遂に試合が始まる。

 両者がせりあがる床に乗ってそれぞれ自陣に現れる。

 

 一条は赤い軍服。

 刺繍が派手であった。

 結構似合っている。

 

 そして、立華はと言えば……。

 

 

「「「「「「……」」」」」」

 

 一同絶句した。

 会場が静まり返る。

 

 立華は艶やかな着物を着ていた。

 それだけならまだいいのだが、着物は女性物だった。

 更に長髪の鬘を被り、肌を白く塗り、一見すると別人にしか見えない。

 日本人形のような、儚げな美人である。

 

 恰好に絶句し、その美しさに絶句。

 その中で一番初め(レイナ除く)に起動したのは雫とほのか。

 

「本当に似合うんだね」

「うん」

 

 その言葉に一校の面々は何とか再起動し始める。

 

「え!?アレ立華くんなの?」

「言われなきゃ別人にしか見えないぞ!?」

 

 七草と渡辺がコメントし。

 

「深雪ばりの美人ねえ」

「エリカちゃん……。でも確かに」

 

 エリカと美月もコメント。

 

「ほのかと雫は知っていたの?」

「うん」

「前に言ってました」

 

 深雪の疑問に答える2人。

 

 ほとんど皆立華の女装に関する話題な中、達也がある呟きを漏らす。

 

「一体どういう手段で行くんだ?」

「弓」

「?」

 

 達也の呟きに答えたのはレイナ。

 

「どういう意味なの?」

「弓兵、わかる?アレ、こと」

「「……。ああ」」

 

 レイナの言葉に頷く司波兄妹。

 彼女が言っているのはサーヴァントの事である。

 ……今は女装の話題で誰も聞いていないので安心である。

 

「弓使う、少ない。杖殴る、財宝投擲、剣斬り込む、俵投げる、人投げる」

「アーチャーなのにか?」

「うん」

「……」

「その中、異質、視線」

「「?」」

「見ればわかる」

 

 それだけレイナは言うと視線を戻した。

 

 ランプがともっていく。

 赤。

 黄。

 青。

 試合開始。

 

 一条は赤い銃型CADを氷柱に向ける。

 

 立華は腕輪型CADがはまった右腕を向け呟いた。

 

(まが)れ」

 

 同時のタイミングで氷柱が破壊された。

 

 立華側は木っ端微塵、一条側はねじ曲がっていた。

 

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

 その光景に一同絶句。

 

「な、今の何?」

「一条は爆裂を使ったんだろう」

「そ、それは見ればわかるわ!私が言っているのは立華くんのことよ!彼は一体何をしたの?」

 

 そう言うと視線をレイナに向けた。

 他の面々にも向けたが。

 

「内緒」

 

 レイナはそれだけ言った。

 

 因みに試合は協議の結果、両者引き分けという事で落ち着いた。




試合後のある会話。

(「ありがとう。助かった」)
(「いえ。構いません。それに」)
(「?」)
(「私の通っていた学校ではこういう競技はありませんでした。なので新鮮で良かったです」)
(「そっか」)
(「はい」)
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