我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者 作:亜亜亜 無常也 (d16)
「ミラージ・バット」の試合の後、ミーティングルームに呼び出された立華。
そこには一校幹部が勢ぞろいしていた。
「来たか」
「はい。呼ばれたので」
十文字の言葉にそう答える立華。
「それで?一体何用なのでしょう?」
「……”モノリス・コード”についてよ」
「……棄権はしないのですか?」
七草の答えに立華が尋ねると渡辺が答える。
「確かに棄権しても総合優勝はできるだろう。それに新人戦でも上位は狙えるが、やっぱり新人戦優勝も目指したいじゃないか」
「まあ、それはわかりますけど、代y」
聞こうとしてこの状況に思い至る立華。
とある可能性に思い至る。
「まさかここに呼んだ理由って……」
「察しの付いたようね。そうよ。貴方には”モノリス・コード”に出て欲しいの」
「……」
七草の言葉に無言になる立華。
ふと疑問が沸き出たので尋ねる。
「……なぜオレなんですか?」
「貴方が向いているって思ったからよ」
「あれだけの戦闘を見せるんだから当然だろう」
「それに貴方まだ1つしか出てないじゃない」
「成績だっていいしな」
七草と渡辺が続けざまに誉める。
「……ですが」
「そこをなんとか……お願い!」
七草が手を合わせてお願いしてくる。
(「受けるしかないけど、手札がなあ」)
立華は確かに魔法実技の成績はいい。
だが、それはあるインチキを使っている。
それは【右腕・悪逆捕食(ライトハンド・イヴィルイーター)、左腕・天恵基盤(レフトハンド・キサナドゥマトリクス)】。
彼が契約していたサーヴァントである「天草四郎」の宝具を借りているのである。
常時解放型のこれには、古今東西のあらゆる魔術基盤に接続することで、如何なる魔術をも操作可能にする万能鍵(スケルトンキー)のような効果がある。
それを使う事で「この世界の魔法」を使えるようにしているのだ。
だからこそ成績はいい。
攻撃用の魔法もそこそこは使える。
だが、どれも特化している人や得意な人には及ばない。
得意分野では雫や深雪、ほのか、レオ、十文字、服部、桐原などには劣る。
だからこそ専ら接近戦主体なのだが、「モノリス・コード」にはそれが使えない。
「ですが手札が……」
「……本当にないのか?」
「……あるっちゃありますけど、状況や場所に関わりますし」
十文字の問いに答える立華。
ステージによってそれは変わる。
安定して使えるのは……。
(「アレ位か……」)
アレならギリギリ誤魔化しは効くだろう。
仕方ない……。
「わかりました。引き受けます」
「本当!嬉しいわ!ありがとう!」
七草が立華に駆け寄って、手を握ってブンブン振るう。
「でも……」
「「「「「「でも?」」」」」」
「……どうなっても知らないよ?」
「「「「「「何をする気!?」」」」」」
凄みを出す立華にツッコミを入れる一同。
閑話休題。
「それで他の選手はどうするんですか?」
「……1人は候補がいる。だが引き受けるかどうかわからん」
立華の疑問に答える十文字。
その言葉に立華の脳裏にある男子生徒が思い浮かぶ。
「それってまさか……」
「……恐らくお前の予想通りだ。呼んだからそろそろ来るh」
「失礼します」
そこへやって来たのは。
読者もご存じの司波達也だった。
その後、沈黙が続く。
誰も何も喋れない中。
始めに口を開いたのは七草だった。
「達也くん、今日はお疲れさまでした」
「はい」
「選手達が存分に実力を発揮できたのは、達也くんのサポートがあってこそです」
「ありがとうございます」
頭を下げる達也。
それに中々本題を投げかけられない七草。
そこへ十文字が助け舟を出す。
「疲れている時に悪いが、お前に頼みがある」
「……何でしょうか?」
達也は鈍くない。
この時点で感づいているだろう。
「司波、お前には森崎達の代わりに新人戦に出てもらいたい」
「……選手が負傷しても交代は禁止されているはずですが?」
「大会委員会との協議の結果、特例として認められた」
(「
そんな事を思う立華。
だが、空気が先程よりも重くなったように感じる。
十文字も達也も顔色を変えず。ただ無機質に言葉を交わす。
「何故、自分が抜擢されたのでしょうか? この場にいる藤丸を考慮しなくとも、一年には未だ選手がいるはずですが」
「試合に勝てる人選をしただけだ。他の選手は疲労が溜まっていて試合に出れる状況ではない。……不満か?」
達也の刺々しい言葉に五十里や中条、服部の顔が固まった。
七草もこうなる事を予期していたようで、十文字に視線をぶつける。
「不満も何も自分は選手ではなくエンジニアです。他に選手がいるのに二科生の自分が選ばれるのは、一科生にとって不愉快な話だと思いますが」
達也の言う通り、彼が試合に出れば一科生から反発が起きる事は確実だ。
それは七草も言われたくなかった事。
しかしこのままでは一科生よりも先に、達也と十文字の間に確執が生まれそうだ。
そんな雰囲気の中。
「なあ達也」
立華が彼に声を掛けた。
「お前はエンジニアだけど、一校の生徒だろ?」
「……ああ」
「ならば、勝つために力を尽くすべきだろう?それで勝てる人選で俺や達也が選ばれたわけだ」
「……」
「だから、俺達は力を尽くすべきだ。違うか?」
そして立華は笑みを浮かべ、ある事を話し始める。
「オレはさ、色々好きな物があるんだが……」
「「「「「「?」」」」」」
「その中で上位に入るのが」
凄みのある笑みを浮かべ続けた。
「オレはな達也。勝利を確信した奴らを叩き潰すのが……大っっっ好きだああああああ!」
咆える。
その声に数人耳を塞いだ。
「だからこそやろうぜ?ぶっ殺sじゃなかった、ぶっ壊sじゃなかった、ぶっ潰そう」
「「「「「「酷くなってる!?対して変わってない!?」」」」」」
全員ツッコミを入れた。
因みに達也は引き受け、3人目の選手には達也の意見で幹比古が選ばれた。