我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第十七節:新人戦 代理出場

 「ミラージ・バット」の試合の後、ミーティングルームに呼び出された立華。

 そこには一校幹部が勢ぞろいしていた。

 

「来たか」

「はい。呼ばれたので」

 

 十文字の言葉にそう答える立華。

 

「それで?一体何用なのでしょう?」

「……”モノリス・コード”についてよ」

「……棄権はしないのですか?」

 

 七草の答えに立華が尋ねると渡辺が答える。

 

「確かに棄権しても総合優勝はできるだろう。それに新人戦でも上位は狙えるが、やっぱり新人戦優勝も目指したいじゃないか」

「まあ、それはわかりますけど、代y」

 

 聞こうとしてこの状況に思い至る立華。

 とある可能性に思い至る。

 

「まさかここに呼んだ理由って……」

「察しの付いたようね。そうよ。貴方には”モノリス・コード”に出て欲しいの」

「……」

 

 七草の言葉に無言になる立華。

 ふと疑問が沸き出たので尋ねる。

 

「……なぜオレなんですか?」

「貴方が向いているって思ったからよ」

「あれだけの戦闘を見せるんだから当然だろう」

「それに貴方まだ1つしか出てないじゃない」

「成績だっていいしな」

 

 七草と渡辺が続けざまに誉める。

 

「……ですが」

「そこをなんとか……お願い!」

 

 七草が手を合わせてお願いしてくる。

 

(「受けるしかないけど、手札がなあ」)

 

 立華は確かに魔法実技の成績はいい。

 だが、それはあるインチキを使っている。

 それは【右腕・悪逆捕食(ライトハンド・イヴィルイーター)、左腕・天恵基盤(レフトハンド・キサナドゥマトリクス)】。

 彼が契約していたサーヴァントである「天草四郎」の宝具を借りているのである。

 

 常時解放型のこれには、古今東西のあらゆる魔術基盤に接続することで、如何なる魔術をも操作可能にする万能鍵(スケルトンキー)のような効果がある。

 それを使う事で「この世界の魔法」を使えるようにしているのだ。

 だからこそ成績はいい。

 

 攻撃用の魔法もそこそこは使える。

 だが、どれも特化している人や得意な人には及ばない。

 得意分野では雫や深雪、ほのか、レオ、十文字、服部、桐原などには劣る。

 だからこそ専ら接近戦主体なのだが、「モノリス・コード」にはそれが使えない。

 

「ですが手札が……」

「……本当にないのか?」

「……あるっちゃありますけど、状況や場所に関わりますし」

 

 十文字の問いに答える立華。

 ステージによってそれは変わる。

 安定して使えるのは……。

 

(「アレ位か……」)

 

 アレならギリギリ誤魔化しは効くだろう。

 仕方ない……。

 

「わかりました。引き受けます」

「本当!嬉しいわ!ありがとう!」

 

 七草が立華に駆け寄って、手を握ってブンブン振るう。

 

「でも……」

「「「「「「でも?」」」」」」

「……どうなっても知らないよ?」

「「「「「「何をする気!?」」」」」」

 

 凄みを出す立華にツッコミを入れる一同。

 

 閑話休題。

 

「それで他の選手はどうするんですか?」

「……1人は候補がいる。だが引き受けるかどうかわからん」

 

 立華の疑問に答える十文字。

 その言葉に立華の脳裏にある男子生徒が思い浮かぶ。

 

「それってまさか……」

「……恐らくお前の予想通りだ。呼んだからそろそろ来るh」

「失礼します」

 

 そこへやって来たのは。

 読者もご存じの司波達也だった。

 

 その後、沈黙が続く。

 誰も何も喋れない中。

 始めに口を開いたのは七草だった。

 

「達也くん、今日はお疲れさまでした」

「はい」

「選手達が存分に実力を発揮できたのは、達也くんのサポートがあってこそです」

「ありがとうございます」

 

 頭を下げる達也。

 それに中々本題を投げかけられない七草。

 そこへ十文字が助け舟を出す。

 

「疲れている時に悪いが、お前に頼みがある」

「……何でしょうか?」

 

 達也は鈍くない。

 この時点で感づいているだろう。 

 

「司波、お前には森崎達の代わりに新人戦に出てもらいたい」

「……選手が負傷しても交代は禁止されているはずですが?」

「大会委員会との協議の結果、特例として認められた」

 

(「説得(ファランクス)したのかな?」)

 

 そんな事を思う立華。

 だが、空気が先程よりも重くなったように感じる。

 十文字も達也も顔色を変えず。ただ無機質に言葉を交わす。

 

「何故、自分が抜擢されたのでしょうか? この場にいる藤丸を考慮しなくとも、一年には未だ選手がいるはずですが」

「試合に勝てる人選をしただけだ。他の選手は疲労が溜まっていて試合に出れる状況ではない。……不満か?」

 

 達也の刺々しい言葉に五十里や中条、服部の顔が固まった。

 七草もこうなる事を予期していたようで、十文字に視線をぶつける。

 

「不満も何も自分は選手ではなくエンジニアです。他に選手がいるのに二科生の自分が選ばれるのは、一科生にとって不愉快な話だと思いますが」

 

 達也の言う通り、彼が試合に出れば一科生から反発が起きる事は確実だ。

 それは七草も言われたくなかった事。

 しかしこのままでは一科生よりも先に、達也と十文字の間に確執が生まれそうだ。

 

 そんな雰囲気の中。

 

「なあ達也」

 

 立華が彼に声を掛けた。

 

「お前はエンジニアだけど、一校の生徒だろ?」

「……ああ」

「ならば、勝つために力を尽くすべきだろう?それで勝てる人選で俺や達也が選ばれたわけだ」

「……」

「だから、俺達は力を尽くすべきだ。違うか?」

 

 そして立華は笑みを浮かべ、ある事を話し始める。

 

「オレはさ、色々好きな物があるんだが……」

「「「「「「?」」」」」」

「その中で上位に入るのが」

 

 凄みのある笑みを浮かべ続けた。

 

「オレはな達也。勝利を確信した奴らを叩き潰すのが……大っっっ好きだああああああ!」

 

 咆える。

 その声に数人耳を塞いだ。

 

「だからこそやろうぜ?ぶっ殺sじゃなかった、ぶっ壊sじゃなかった、ぶっ潰そう」

「「「「「「酷くなってる!?対して変わってない!?」」」」」」

 

 全員ツッコミを入れた。

 因みに達也は引き受け、3人目の選手には達也の意見で幹比古が選ばれた。

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