我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者   作:亜亜亜 無常也 (d16)

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第十九節:新人戦 モノリス・コード 中編

「立華さんは一体どう戦うのですかね!」

「嬉しそうだな光宣」

 

 立華が出ると聞いてその試合を見に来た烈と光宣。

 特に光宣は嬉しそうだった。

 彼は立華が出ると聞いてとても喜んでいたのだ。

 

 因みに来賓席には2人しかいない。

 人払いをかけたうえ、響子は居ない。

 彼女は仕事中である。

 内容は同僚と達也の監視といったところである。

 彼は軍事機密の塊なのだ。

 

「はい。一校で怪我をした選手には悪いと思いますけど。立華さんがどういう風にするのか楽しみなので」

 

 そう言って笑う。

 そのまま試合の開始の合図を待った。

 

 そして、試合開始。

 その合図で走り出したのは達也。

 凄まじい速さ。まるで韋駄天。

 そして、あっという間に接敵する。

 流石お兄様である。

 

 その速さについて行けない選手は達也の攻撃を喰らう。

 しかし、決定打にならず、片膝をつく程度に終わってしまう。

 それでも駆け抜ける隙は稼げた。

 横を抜け、モノリスに近づく。

 

 だが、相手のディフェンダーも黙ってはいない。

 すぐさま魔法を放とうとするが、発動しなかった。

 展開していた起動式が吹き飛ばされた。

 達也が銃を向けている。

 

「今のは……あれは……!?」

 

 彼女には見覚えがあった。

 バスの中で多重に重なり合った魔法式を吹き飛ばした物だ。

 

「〈術式解体(グラム・デモリッション)〉か……もしかしたら、と思ったけど、達也君、使えたんだね……」

「真由美、今のが何か、知っているのか?」

 

 掴みかからんばかりの渡辺に七草が説明する。

 そして七草がポツリと呟いた。

 

「達也くんって繊細な技巧派かと思ったらパワーファイターだったのね……」

 

 一方相手選手のオフェンスもモノリスに近づいていた。

 そこにいるのは立華である。

 片膝を地面につき、眼を閉じていた。

 

(「舐めてんのか?それとも作戦か?」)

 

 警戒するが、何もしなければ始まらない。

 なので、魔法を発動させようとする。

 そして、踏み込もうとしたが。

 

「あああ!?」

 

 踏み込もうとした足が沈む。

 地面の一部が陥没していた。

 その為、バランスを崩して魔法発動がキャンセルさせられてしまう。

 そこへ。

 

「痛い!?な、なんだ!?」

 

 何かが彼にぶつかって来た。

 しかも幾つも。

 手で払いのけて、地面に落ちた物を見るとそれは。

 

「折紙?」

 

 折り紙で折られた鶴だった。

 そこへさらに。

 

「そーれ!」

 

 気の抜けた声がする。

 そこを見るといつのまにか立華が剣を持ち、振り下ろしていた。

 

(「ここからなら届くわk」)

 

 何か重い衝撃を頭部に感じ、相手のオフェンスは意識を失った。

 

「ふう……」

 

 モノリスを守り切り、一息つく。

 

(「なんとか行けそうだな……」)

 

 これが彼がこの「モノリス・コード」で選んだ戦法だった。

 あるアサシンのスキルである〈千代紙操法〉を使い、折紙で遠距離攻撃。

 とどめは剣での中距離攻撃。

 結構力は必要だが、これでも筋力には結構自信がある。

 

「ブート・キャンプやっておいてよかった」

 

 そう呟く立華。

 

 この世界に来てから彼が契約している「ある王」が行った「ブート・キャンプ」。

 レイナや光宣も巻き込まれた……というか、元気になった光宣を鍛えようとしたのに、巻き込まれた立華やレイナである。

 おかげでレイナや光宣の体力が人一倍どころか、数倍ついたが今は割愛。

 

 

「達也達は……上手くやっているな」

 

 気配を読み、笑みを浮かべる。

 

 そして、試合終了のブザーが鳴った。

 一校が勝利した。

 

 その後も試合を行う一校面々。

 

 次のステージは廃ビルエリア。

 ……あんなことがあったばかりなのに……。

 

「歴史は繰り返す……だな」

「うん」

「「「「「「真面目過ぎるのもやめて!?」」」」」」

「我儘ですねえ」

「ねえ」

 

 立華の言葉にレイナが頷き、それにツッコミを入れる一同。

 どうやら真面目なのもダメらしい。

 

「あんなことあったばかりだから、加重系は控えてね?」

 

 七草の声を後ろに聞きながら、テントを出ていく選手3人。

 それを見送った七草が渡辺を見て聞く。

 

「立華君の事、どう思う?」

「どうって……。実力もあるし、頭の回転も速い。この試合も平気だろう」

「違う違う。そうじゃないの」

 

 七草から帰ってきた否定の言葉に渡辺は首を捻る。

 渡辺に続きを促され、七草は躊躇いがちに話す。

 

「彼、百家なんじゃないかしら?もしくは……」

 

 最後まで言わなかった七草だが、察する渡辺。

 彼女は数字落ちか二十八家じゃないかと言いたいのだ。

 

「考えられなくもないが、本気で思ってるのか?」

「でも……」

「司波兄妹だってそうだろう?」

「……」

 

 この時点で2人はまだ知らなかった。

 司波兄妹が十師族、しかも四葉の血を引いている事を。

 

 因みに試合は彼らの勝利。

 幹比古の精霊魔法が大活躍した。

 視覚同調でモノリスを探して、コードを打ち込んで勝利。

 立華は今回は剣が大きく振り回せないので。

 

「こんにゃろー!」

 

 折紙主体で頑張った。

 鶴やら手裏剣やら、馬やらが襲い掛かり、相手のオフェンスをかく乱する。

 そうして守り切った。

 

 その試合を見ていた一条と吉祥寺はと言えば。

 

「ジョージはどうみる?」

 

 一条は隣の吉祥寺に目をやる。

 その問いに対して、吉祥寺は自分の予測を語り始めた。

 

「司波達也は戦闘技術の高さが目立つ。一方で、肝心の魔法は初戦の術式解体以外目立った所がない。魔法力自体はそこまで高くないと思う」

「遊撃の吉田幹比古は直接的な戦闘を避けるような立ち回りにも見えたな」

 

 作戦本部のモニターに一高の試合の画像や動画をピックアップしていく。

 

「藤丸立華についてはどうだ?」

「魔法力は高い。まだ何か隠している可能性もある」

 

 表情を切り替え、吉祥寺は続ける。

 

「だけどディフェンスという所を見ると、主に使えるのは折紙戦法だけなんじゃないかな?」

 

 立華が前衛に出て魔法を使ってくる可能性は低い。

 そう予測した吉祥寺。

 

「援護に気を付けながら司波達也と吉田幹比古を先に倒して、最後に三人がかりで藤丸立華を倒す。そうすれば僕等の勝ちだ」

「ああ、そうだな」

「そして、草原ステージなら……勝ちは決まったような物だ」

 

 この時点で吉祥寺は予測できなかっただろう。

 立華があんな手札を切ってくることを。




ブート・キャンプ

ランサー真名■■■■■■■が光宣を鍛える為に行った物。
立華が行った物より難易度は下がってはいるが、軍人やスポーツ選手でもへばる。
ちゃんと3人ともクリアした。
そのおかげか光宣とレイナの体力はすさまじい事になっている。100kmマラソンもこなせるようになった。
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